ここでは、授業と家庭学習について書いていきたいと思います。「勉強」というとどうしても、「家でする」「試験前にする」というイメージが出来上がっているような気がします。まずは、そんな当たり前のことを検証してみましょう。
- 授業と家庭学習の関係
- 授業は「記録」する時間ではない!
- 授業時間の意味~授業時間に頭に記録する。
- 天才たちの逸話がもたらすもの~直接頭の中に記録する人が「天才」になる。
- 本日のまとめ 授業ですべきこと
授業と家庭学習の関係
授業では、「教わる」。家庭学習で身につける。
簡単にいうと、こんな関係で学習をとらえていないでしょうか。
予習として考えれば、「授業を受けるための準備」。たとえば、英語などで考えてみるならば、
・本文をうつしてくる
・わからない単語の意味を調べてくる
・訳を作ってくる
などの作業があげられるでしょう。
そして、授業を受ける。
授業では、「覚えるべきことを記録する」。したがって、
・黒板をノートに記録する
・訳をノートに書く
・先生のいったことをノートに記録する
さあ、これで家に帰って復習です。
・ノートに書いてあることを理解する
・ノートに書いてあることを覚える
そしてこれでじゅうぶんでなければ試験勉強ですね。
・ノートや教科書を覚える
というような順番でしょうか。
授業は「記録」する時間ではない!
こうしたことでわかるのは、授業が記録にすぎないということ。
つまり
・授業では「覚えることを記録する」
・それを家に帰って「身につける」
という関係になっています。だからこそ、ためてしまう人は、「試験前に勉強する」ことになりますし、「ノートをコピーさせてもらう」なんていう経験もあるわけですよね。さらにいえば、「クラブを引退してから受験勉強をはじめる」なんていう思考にもつながります。これは、「受験勉強をするからクラブをやめる」という発想にも通じていると思います。
もし、これが正しいなら、この時代、スマホを使わない手はありません。
授業の黒板を写真におさめることも簡単にできますが、今や録画もできる時代です。動画で授業をおさめてしまえば(先生が許すかどうかは別として)、リクルートのスタディサプリや東進ハイスクールのビデオ授業ではありませんが、いつでもどこでもスマホひとつで復習できる環境が整います。
しかし、ここまでやればわかるのは、「では、それをいつ、どのくらいかけて見るのか?」という問いかけです。
授業時間の意味~授業時間に頭に記録する。
そうなんです。確かに、授業で記録を残すことは大切なのですが、授業で残した記録をいつ頭の中に入れるかということを考えると、授業と同じ時間が必要になることがわかります。
もちろん、授業時間ですべて頭の中に入るとは限りませんから、家庭学習は必要になるかもしれません。
ここで言いたいのは、「家庭学習がいらない」ということではなく、まず「授業で頭の中に入れるべきだ」ということです。
考えてみれば、学校と塾で、塾の方がわかりやすい、あるいは、動画教材に「神授業」があるにしても、授業を見て頭に入れるのが学習であるとするなら、まず授業で頭の中に入れるべきだ、ということです。
天才たちの逸話がもたらすもの~直接頭の中に記録する人が「天才」になる。
テレビ番組では、東大に進学した生徒たちが登場することがあります。彼らの「天才」エピソードとして「授業以外はほとんど勉強しなかった」「授業中にノートをとって覚えたから捨ててしまいノートを残さなかった」などなど、そんな話がたくさん出てきます。そして、芸能人たちが「天才だ!」「違う!」と盛り立てるわけです。
でも、考えてみれば、授業は頭の中に入れる場所。
頭の中に入れるのが「授業だけ」と聞けば天才のように感じますが、もし、授業中に
・ノートに記録したら、休んでいる人
・頭の中に入れるために、何度も何度も授業中に繰り返している人
がいるとするならば、それは差がついて当たり前です。
仮に頭のよさがちがったとしても(私は東大に入るという程度なら、「姿勢」の問題だけだと思いますが)、少なくとも家庭学習に「宿題」のように積み残される「みにつけるべきこと」は少なくなっていくことは間違いありません。
私からすると、「授業だけで覚える天才」ではなく、「何十時間もかけた授業内容をちょっとの試験勉強で完璧にできる人」の方が天才に見えてしまいます。
本日のまとめ 授業ですべきこと
とすれば、授業ではまず「頭の中に入れること」を考えるべきです。
1 頭に入れてからノートにとる
頭のよい人とはよく目があいます。これは頭のよい人が話を聞いて頭の中に入れていくからです。別の項目で記憶の仕組みについて説明しますが、記憶は「瞬時記憶」「短期記憶」「長期記憶」の順番で定着していきます。簡単な説明をすると、人間が記憶するためには最低2度の反復が必要だということです。
ノートをとるために、黒板を写す行為は「瞬時記憶」。何もわかっていなくても、ノートに写せますよね?
どうせ、あとで、それを覚えるなら、覚えてからノートに書けば、最低1回目の反復が授業中に終わっています。
つまり、
・じっと話を聞く
・話を聞いて、黒板の文字も頭の中に入れる
・何も見ないで、一気に書く
というようなことで、まずは一旦頭の中に入ることになるのです。
2 覚えるためにぶつぶつとつぶやいて、見ないで言えるか確認する
以上のようなノートを作るためには、何をおいても「覚える」作業が必要になります。これもあとで記憶の仕組みの説明で詳しくやりますが、覚えるためには「覚える」ことと「思い出す」ことが必要になります。これをいかに合理的にすすめるか、というのは別の機会にするとして、授業中にやるとなると
・ぶつぶつと言葉にする
・何も見ないで言えるかどうか確認する
という作業が必要になります。
たとえば、あなたが買い物を頼まれたとします。10個のものをメモできずに覚えて買わなかったとするなら、まずはぶつぶつと唱え続ける。そして、それが書いてあるものだとするなら、目を切って(見ないで)いえるか確認する、という作業が入るはずです。
これを授業で行うかどうかがまずは第一歩になります。
数学でも解法を見て解くのと、似たような違う問題を解法を見ないで解くのとは違いますよね?ここまで授業でできるかどうか。
先生が例題を解いているときに、意味もわからず写していくのではなく、がまんして聞いて、「わかった」と思ったら、何もみずに同じ問題を解けば、黒板と同じものがノートにあるはずですよね?
3 何度も書いて覚えるなら、何度も書く
中には、「ぼくは何度も書かないとだめ」という人がいるでしょう。実は、漢字のような短いフレーズを何度も書くことは瞬時記憶の繰り返しで、あまり意味がないのですが、ノートを作る、というようなことなら、多少の意味は出てくると思います。もし、そうやって、何度も書いて覚えるということをするなら、ノートに一度書いて終わり、ではなく、2冊目のノートに同じことを書く、3冊目のノートに同じことを書く、という作業で授業中に体に覚えこませることが必要ですね。
数学の問題などもそうですが、問題を解くことを繰り返す必要があるなら、授業中にどんどん解くべきです。
4 整理して覚えるなら授業中に自分なりに整理する
覚えるために、まとめ直す、という作業も必要です。覚えやすい説明ならよいのですが、そうでないなら、自分でまとめ直す作業が必要です。視覚的に整理されたものと自分の頭の中のイメージが共通になれば、理解はたやすく、乖離すればするほど覚えにくくなります。
ここではマインドマップの説明が必要になりますが、これもあとで詳しく説明するとして、こうしたまとめ直しが試験勉強として有効なら、授業でそもそもまとめ直したノートを作る必要があります。
5 友達が当たっても、自分が常に答える
授業でよくあるシチュエーションは、順番にあたっていくような場面ですね。下手をすると「しばらく自分は当たらない。このへんがあたりそうだ」なんて一回休みにしたり、慌ててあたりそうなところを準備したり‥
でも、考えてみれば、この時間はたまたまそこが当たるだけで、試験や受験の時には全部が範囲になるわけです。
「当たらなくてよかった」などと考えずに、全部、自分が当たったと思って考えるべきですね。
ここまで授業の受け方の基本を書いてきました。この項目はもう少し続けたいと思います。