いろいろと手を広げながら、「学び」について、触れているこのページです。
みなさんがどんな記事をのぞんでいるのかわからない部分もありますが、自分の生徒が見ているなんていうこともあり、ピンポイントに、高校3年生、あるいは既卒生を設定して、学習計画について、書いてみようと思います。
いずれにせよ、時間をかけて、ありとあらゆるところまで、書いていきたいですし、教育問題についても触れていきたいと思ってはいるんですが、もし、優先的に知りたい項目があるなら、ご意見いただけるとありがたいです。
今後の流れをイメージしよう
漠然とみなさんが考えていることはこんなことではないでしょうか。
これから夏まで:まず基本を徹底していこう。文法とか単語とか‥
夏休み:苦手の克服を予備校の夏期講習とかでクリア。できれば、センターだけの科目とか夏休みにめどをつけたいな
秋に入ってきたら、少しずつ過去問対策に移行。なんとか秋には志望校C判定ぐらいにはもちこみたい。
冬に入ってからは、実践問題を中心にやって、志望校対策が具体的にできたらいいな。
なんて感じではないでしょうか。これがあっているかどうかというのは、あなたがどこまで、受験勉強を進めているかにかかるので、一概にあっているかあっていないかなんて答えはありません。
ここでは逆算的に実際の予定と時間の使い方を考えてみましょう。それで、いつまでに、どのくらい何をやっていれば、いいかを考えてください。
1月センター以降:2月1日から私大入試が始まる。この間は私大対策としても、とてもでないが、やりきれない。2月以降は私大にかかずらうと、国立2次対策も十分にやる時間があるとは限らない。
12月:センターまで残り1か月。センター試験を1年分やるとしたら、センターと同じ時間設定で、休日2日。解説を読んで理解する程度の復習を入れるとしたら、その倍ぐらいが必要。高校がまだ授業をやっているとするなら、夕方から取り組むとすれば、1日2科目ぐらいが限界。とすると、1週間で復習こみで、1年分がやっと。
→というわけで、12月からセンター全科目をやるとするなら、8年分ぐらいが限界かもしれない。この間は、答え合わせと復習が中心で、だから、入試範囲はすべてやり終えている設定。
10月から11月:過去問題対策をするとするなら、12月以降はセンター利用ふくめてセンターの対策が中心になるとすると、この時期に私大、2次の対策もする必要がでる。
センターと同様に、学校があることを考えると、1日に1科目とそのチェックと考えると、3科目から4科目ベースで、1週間で2年間分ぐらいが限界か。これでも、9月ごろまでに入試範囲が終わっている必要がある計算。これで、2か月8週間と計算すると、トータル16年分の過去問題。第一志望だけなら十分だが、併願する思い入れの強い私大、絶対とりたい併願先‥などと考えると1校あたり何年分できるのか‥
逆にいえば、もし、この段階で入試範囲が終わっていないとすれば、そもそも16年分の過去問題はできない‥
これが理想と現実ですね。つまり、秋・冬で思っているより、過去問題対策はできないだろう、という予測がたちます。
だからこそ、この現実にしてはいけません。
過去問題が秋から・今は基本ではありません。
漠然と
夏までは基礎
夏に苦手克服
秋から実践
なんてイメージをもっていると、ありとあらゆることが遅れていきます。
弱点は命取り。苦手の克服は最優先
私大文系あたりをチェックしていくと、苦手科目や苦手分野が思っている以上に命とりになります。まず、ここを原理的に考えなければいけません。
まず、重要なことは、模試の判定は偏差値で出てくるということ。特に問題は、(批判ととらえないでほしいのですが)河合模試で、判定に使うものは、「偏差値の平均」です。
たとえば、英語65、国語65、日本史65でようやく、合計65、ということですね。配点をもとに割合を変えて大学ごとに合計偏差値を出すのですが、1:1:1と考えた場合、たとえば、英語の偏差値が75あるとすると、国語の偏差値が55でも、合計は65になりますよね。
これが結構勘違いのもとになります。
私立文系の上位大学の大部分は、合格最低点が70%程度、低く見積もっても65%ぐらいであることが多いです。このあたりはかなり情報公開されていますから、チェックが可能です。
厄介なことに、早稲田でも東洋大でも合格最低点は70%なのです。
河合記述模試の場合、200点で平均点が80点から100点ぐらい。だから、偏差値50ぐらいの大学をイメージしても、60%ぐらい間違えられるし、偏差値60ぐらいの大学でも40%ぐらい間違えられます。
まして、苦手科目となれば、もっと間違えても、ものすごく得意な科目があれば、つまり、1科目できれば高偏差値がとれて、トータルではなんとか判定が出てしまいます。
しかし、実際の入試では、合格最低が70%あるとすると、50%の科目をカバーするためには、90%必要になるわけで、これが果たして可能なのか、という問題が起こってくるわけです。記述模試では、140点もとれば、かなり高偏差値ですが、これでも60点分間違っていて、この間違った分が実際の入試で10点ですむのか、ということですね。
だからこそ、苦手の克服は急務で必須の作業になります。
この時期に大事なポイント
次にこの時期の重要なポイントを書きますが、高校3年生はこの時期、「夏休みになったら‥」とかなり、夏休みをあてにしているケースが多いのですが、そこはそんなにうまくいきません。
なぜなら、「夏休みをあてにしている」のは「夏期講習に期待している」ケースが多いからです。
夏期講習を批判しているのではありません。
夏期講習を利用して、なんとかしようと考えているなら、
- 夏期講習をとろうとしている
- そのための予習をする必要がある
- そのための復習をするつもりでいる
ということだからです。
何が言いたいかというと、夏期講習をとる、ということは、今、学校に通って授業を受けている、ということと変わらない、ということです。
つまり、自分の自由になる時間は、今と変わらない。
学校の授業と比べて、夏期講習が素晴らしければその分のメリット=成長はあるでしょうが、少なくとも、
「夏休みは時間がいっぱいあるから、夏になったら苦手克服」
ではないということです。
次に、学習習慣は簡単に変わらないということ。
やってみても、やっていないことは、思ったよりうまくいかない。やりながら、工夫をして、なんとか学習習慣、スキルが身についていくんですね。
仮に、夏に自由な時間があったとしても、その時間が思い通りに使えるようになるには時間がかかる。
どちらにしても、わかりますよね。
今、学校に通いながら、学習習慣、学習方法を試行錯誤した人だけが、夏にはじめて成果をあげることができるのです。
だから、「夏になったら‥」なんて考えている暇があったら、「今すぐに」はじめるべきですね。
学習計画は地層のように
学習計画を立てるときに、
- 夏までは文法
- 夏から長文
- 秋から過去問
のように、時期ごとに切っていくやり方はあまりほめられたものではありません。もちろん、学習には優先順位がありますし、まず基本的なことがざっとでも入らないと先に進まないことは事実です。しかしだからといって、このような学習計画を立ててしまえば、ある一時期以外、その分野を一切やらないような学習計画になります。
歴史で考えてみれば
- 夏まで中世
- 秋から近代
のような計画を立てたとして、本当に何か月前にやったことを覚えていられるかという問題が起こります。
記憶の仕組みとして、忘れないうちの反復が必須だからですね。このあたりを具体的にどうするかというのは、歴史の学習方法としてまとめておきたいと思っていますが、いずれにせよ、時期で切っていくのはあまり得策ではない、ということまではわかると思うのです。
つまり、学習計画は地層のように、いつでも全科目、全分野を平行してやる必要がでてくるわけです。
英語でいえば
- 単語・熟語
- 文法・語法
- 長文読解
- リスニング
- ライティング
- 並べ替えや誤文訂正などの問題対応
などなどふくめて、常にやっておかなければいけない。
もちろん、この2週間は文法がメイン、ということは重要ですが、それと、その間ほかのことはやらない、というのは全く別の話です。
1週間で全科目、2週間で全分野
というわけで、私は、1週間で全科目、2週間で全分野を取り組むように指導しています。
一見大変なように見えますが、センターまで残り200日という中で
1週間の間でやらないということは、間が2週間=15日あくということです。
2週間の間でやらないということは、間が3週間=21日あくということです。
まして、単語をやったあと、文法を1か月やって‥なんていう計画をしたとしたら、とんでもない日数の間、
- 長文読解はやらない
- 英作文をやっていない
- 単語もひさしく確認していない
というような状況となり、本当にそれで大丈夫か、ということが起こっているはずです。
「そんなこといったって‥」「じゃあどうすれば‥」
という一番簡単な手は、2週間に一度程度、模試を受けたり、過去問題をやることです。こうすれば、一応全分野がざっと問われていることになるし、間は最大で14日ということになります。
そして、前にやったけど不安な分野が出てくれば、そこで復習に取り組めますね。
今は文法中心!
別にかまいません。でも2週間に一度はセンターでもなんでも、入試問題や模試をやる。そうすれば、ある程度の問題形式をすべて一度やることになるわけです。
スポーツで、「今はとにかくディフェンスだ!」という時期はありますよね?でも、練習から、すべてシュート練習がなくなったり、基本練習がなくなったり、攻撃する場面がなくなったり、ゲーム形式の練習がなくなったりするわけではありませんよね。
ここでポイントとなるのは、必ずしも第一志望の赤本をやれ、ということではないということです。
えてして、第一志望の赤本は今の君にはレベルが高いでしょう。
だから、一度は解く。
これから登る山の高さ、傾向を知らずして、学習するのは無謀です。本当に勝ちたいなら、ぼろ負けしてでも一度は本気で時間通り戦って、いかに強敵か理解する。
でも、そのあとは、少し弱い相手から取り組んだ方がいい。
先ほどの今後のスケジュールを思い出してもらえれば、わかる通り、秋以降、第一志望以外に関わっている時間は思っている以上にない。
だからこそ、今のうちに、適当に併願校になりそうな問題を使って、1週間から2週間の間に取り組んでおくのです。
手続き記憶こそ、今から取り組む
今回の最後の話です。
基本は文法・単語、応用が長文読解や英作文、そう思っている人が多いです。
しかし、記憶の定着の観点から考えれば、
文法・単語=陳述記憶→直前につめこむことが可能、間をあければ忘れる
長文読解や英作文=手続き記憶→身につくには一定の時間がかかり、一度できるようになれば安定する
ということになります。
だからといって、単語や文法が定着しないうちに、長文読解を繰り返すことは難しいですよね。
だからこそ、夏前の今は、単語や文法をやっていていいのですが、
必ず毎日長文を読む
という作業をいれましょう。苦手なら、
先に日本語訳を読んでカンニング
次にリスニング
そして、音読
この程度でかまいません。
英作文に関しても、毎日、書く。
初期であれば、今日やった文法を使った日記
長文読解の内容の要約
などが楽だと思います。短くてかまいません。一文でも、自分で書く、という練習を続けましょう。
センターまで200日。一日英語、古文、現代文、漢文、歴史や地理の一題音読。一行日記。今からやれば、それぞれ最低200の文章。
10月からやったら、センターまで100日を切り、毎日やったと仮定して、100題‥
大きな差になります。今がラストチャンス、ですよ。