AOや推薦について、書いてきて3回目。うちの学校でも切羽詰まりつつあるので、この項目をとりあえず進めていきます。
志望理由書の書き方を面接をイメージして説明します。
ここまでこんな感じ。
さて、今日は実際に志望理由書を書く、そして書いたあとの話です。なんで、このふたつが同時かというと、書いたあとのことを考えて書かないといけないからです。
言い方を変えると、書くことによって、面接などの準備が変わってくるということです。
志望理由書に何を書くのか?
その1でまとめましたが、書くのはすべて自分のこと。自己アピールを書くわけです。相手が求めている観点に立つと、アドミッションポリシーを踏まえて、
- 将来、自分が社会の中で何をどのように成し遂げようとしているか。
- それを実現するために、大学ではどのような学びの計画を持っているか。
- そのために今まで、自分では何をやってきたのか。分析して振り返ると、自分にすでにあるものはどんな部分なのか。
ということにつきるわけです。
- 目標
- そのために足りないもの、埋める計画
- すでに自分が得ているもの
というふうに置き換えることもできます。
もし、ないとするなら…
- あきらめる。一般入試で入る。
- 出願までに、少しでも1や2を作る。場合によっては3をつくる。
のどちらかでしかありません。
志望理由書で面接が始まる
どうして、この志望理由書を書くことが、書いたあとのことを決めるかといえば、それは、これを用いて面接が始まるからです。
つまり、仮に1から3までのうちの書けないものがいくつかあったとしても、それはそれとして、面接では必ず、この手のことが手を変え、品を変え、聞かれるに違いないのです。
たとえば、同じように面接をやったことがある教員としての私の経験で言うと、手元に評価表があって、
- 志望動機
- 高校に入学後にどういう学校生活を送るか
- 中学校のころの活動
- 人間性
ぐらいの感じで、それぞれの評価を点数化し、それを踏まえて全体評価を記入する、というようなものでした。
評価項目の数や、合計を点数化するのか、まとめて全体評価を点数として別につけるのか、などさまざまな違いはあるでしょうが、おおよそこんなもの。
つまり、最初の3項目は書いても書かなくても必ず聞かれるわけですね。
この面接をする際、手元にあなたの書いた志望理由書があるとしたら、必ずそこをつっこむことから始めるでしょう。
場合によっては、いきなり志望理由書に書いてあることの質問から面接が始まっても不思議はないんですね。
仮に、まず志望理由を聞かれて同じようなことを話さないといけないとしても、その質問から面接が始まるわけです。
だから、あなたの志望理由書が面接官の質問を決めているのです。そう考えると、これがいい加減ではいけないことをわかりますよね。
書いた志望理由書は必ずコピーをとって、それを使って面接練習をしなければいけません。
……。
それだけでいいんでしょうか?
もし、そうなら、志望理由書を使って面接練習を仮にやってみて、合格までたどりつきそうな質問がもらえる志望理由書を作り直す作業が必要なんじゃないでしょうか。
こればかりは、添削してくる先生の腕にかかっているのかもしれませんが、本来はこれも自分でやるべきこと。本当に大丈夫か、仮にそれを使って質問してもらえばいいわけです。
で、余裕があるなら、見てもらうのは専門家が一番。つまり、その学部系統に進学した、もっといえば卒業した先輩や親の知り合いなどに見てもらうのがいいと思います。
面接のイメージを作る
となると、先走って面接のことも知っておかなければいけません。
あなたが結婚相手を選ぶとします。何を質問しますか?どんな観点で選びますか?
- 相手の印象や言葉遣い、答え方
- 答えた内容と価値観が自分ののぞむものかどうか
当然、後者ですよね?
「答えればよい」わけではなく、
「どんなに答えとして成立していても、私の好みでなければいやだ」ですよね?
だったら、どんな質問をしますか?
あなたの大事にしているポイントを、どんなに逃げても明らかにしたい。逆にあなたが大事にしているポイントをはぐらかすような答えをし続けるとしたら、絶対にその人は選ばない…。
ではないでしょうか。
だから、面接は、大学のアドミッションポリシーにたって、専門的なことを答える人を求めているに決まっているんです。もちろん、大学教授や大学生ほどの専門性を求めているわけではないですが、「高校生だったらこのぐらいは…」というラインがそこにあって、そのラインを無視して「人柄」や「笑顔」で選んだりはしませんよね。
というわけで、面接は大体次の3パターンになります。
その1 面接官が志望理由書に書いてある当たり前のことをただ聞いてきてほとんど質問になっていない。
これは実は合格パターンです。面接官は興味のあることを聞いています。しかし、それがあなたにとっては体にしみついた当たり前のことなので、質問されていることに思えない。ただ「説明させられた」と感じるのです。面接官はあなたがやったことに質問しているのに、がんばってこたえるのでなく、考えて答えるのでなく、「説明してくる」。
もう合格ですね。あなたに何かをやった実績、研究とかですけど、そんなのがあると面接がこう進みます。
志望理由なんかでもそう。向こうは確かめているのに、こっちが「説明」なら、もう十分です。
その2 面接官があまり質問せず、たんたんと次の質問にうつっていく。
これは不合格パターンの典型。
興味がないから、質問をしないのです。あなたの目の前に、全然タイプじゃない人がいる。質問しますか?やる気ないですよね。
これは大きくふたつの場合があります。
一つ目は、最初から興味がないパターン。志望理由書がつまらないんです。あるいは、その段階でとる気がないんです。
だから、決められたことを聞いて、はいはい、と進んでいく。
このタイプの対策は、がんばってしゃべって興味を持ってもらうことです。第一印象悪いけど、話してみたら意外と…に持ち込みたい。だから、がんばって挽回する必要があります。
でも、できれば最初から志望理由書をきちんと作りたいですよね。
たとえば、実績型の大学が、実績がないから興味を持たないとすれば、志望理由と夢で挽回する以外ないですよね。
もう一つは、最初は興味があったけど、答えがあまりにも今一つなので、途中であきらめられるパターンです。
これは最悪。
質問しても逃げていく。質問には答えているけど、本当に知りたいことが知れない。
だったらもういいや、ということです。
大学の面接記録などがまとめている本があったりしますが、人によっては志望動機で3回ぐらい聞かれている人もいます。
たとえば、
「どうしてうちの大学を志望するの?(本当は将来の計画が聞きたい)」
家から近くてオープンキャンパスにいったときにグローバルな視点で教育を行っていて自分に合っていると思ったからです。
「(いやいやそういうことじゃないんで)大学に入ったら何をやりたいですか。(将来の計画が聞きたいの)」
勉強だけじゃなくて、サークル活動とかボランティア活動とか留学とかで幅を広げたいです。
「(だからそうじゃなくて)将来の夢は(もうちょっと学部学科に関わることを話して)」
ということです。
これでも、最後に、きちんと語れれば合格の流れに戻りますが、ここでも
「人の役に立っていたいです。なんでもいいので社会の役に立ちたい」
なんて答えになったら、もうお手上げ。
あとは、「はい、もういいです。一応、面接しましょう」みたいなことになってしまいます。
その3 面接官が死ぬほどいじめてくる。
そして、これ。
実は耐えれば受かります。
なぜいじめるか。とる気があるからです。興味を持ったからです。
私も採用面接とかをやったことがありますが、いじめる理由は次のどれか。
- とりたい。だから、気になることをどうしても全部確認したい。
- とりたい。だから、この人をとってもらえるように、ほかの面接官にその答えを聞かせて同じ評価に持ち込ませたい。
- 志望理由書には立派なことが書いてあるけど、本当とは思えない。だから確認してやる。どうせ、答えられないでしょ?答えるなら、もちろんとるけどさ。
です。
ちなみに、1と2をやって、質問された人がいじめと感じていないと、最初の「説明させられた=合格」パターンですね。
だから、たいていは3。だって、志望理由書をこんなブログを読んで、がんばって作らないといけないわけで。
でも、いじめたくなるような志望理由書を書いて、面接までに来るだろう質問を想定して、なんとか正解を答えられるようにすれば、受かる可能性が出てきます。
だからこそ、志望理由書をしっかり書くことが必要なんですよ。