学びの真似び(まねび) 「学び続ける人」になるために(教育と受験と勉強法)

学習の仕方に困ったことはありませんか?ここでは、「真似び=学び」という形で、さまざまな学習方法へのアドバイスをしていきます。学習の仕方に悩んだら、受験勉強で行き詰まったら、ぜひ訪れてみてください。効果的な学習方法を知って、学び続ける人を目指しましょう!

2019年度入試は私立中堅大学以下の難化傾向が顕著に。2019年度入試分析。そして、共通テスト前年の2020年度入試動向はどうなる?

今日は、予備校で主催された入試結果報告を受けて、2019年度入試を振り返り、そして、共通テスト前夜となる2020年度入試を展望してみたいと思います。

2019年度入試結果がまとめられ、教員向けに説明会が行われています。そうしたデータをもとに、2019年度入試結果を振り返り、まだ何もデータがでてきていませんが、共通テスト前夜となる2020年度入試を展望してみたいと思います。

※この記事は2019年6月に、19年度入試の結果報告を受けて執筆したものです。2019年秋の模試動向をまとめた記事は以下になります。

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国立は、大きな変動なし。私立は最難関、難関でやや競争が緩和。中堅以下は激戦に。

さて、2019年の入試がどうだったのか、データで確認することができました。これからの話はかなり大きくくくった話なので、個別の学科を見ていったりすると、当然、例外的な話が出て来ると思いますが、そのあたりはご容赦ください。

まず、どんなことを考えていたかというと、こちら。

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この二つが私の予想と言えます。早慶上智MARCHはやや易、そしてそれ以下は基本的に難化、ただし、もともとの予想が難化になっているから、それ以上にはなかなかならないんじゃないか…というような感じ。www.manebi.tokyo

で、終わったときがこちら。要するに「厳しかった」ということですね。

では、実際にどうだったのでしょうか。

結論からいうと、上位私大は、当初の予想が当たったようで、応募微減または減、で、合格は微増、または増ということになっていました。

となると、私の入試が終わったあとの「手ごたえ」「印象」が間違っていたということになります。「当たった」とは自慢ができでないですね。

で、それ未満の大学はとにかく厳しくなったようです。もともと、このランクの大学については、定員管理で失敗している大学や学部がありましたから、やはりかなり厳しい入試になったよう。加えて、女子大系あたりでは、かなり指定校推薦などの集まりがよかったようで、一般入試にしわ寄せがきた、というようなこともあったようです。

では、もう少し、細かく結果を見ていきましょう。

国立大学は大きな変動なし。ただし、センター易化の影響は大きかったはず…。

まず、国立大学は大きな変動がなかったということ。

前年からあれだけ「私立大学定員厳格化」が騒がれれば、多少は国立に流れるか、という話もあるような気がしますが、実際には、そんな動きはなく、志願者は前年並みです。

つまり、私大は相変わらず厳しい、ということでしょう。

しかし、細かく見ていくと、東大、一橋大あたりで微減ないし、減になるなど、やはり、一定の「安全志向」が働いたと見えなくはないですね。私自身の皮膚感覚でいうと、最難関はやや入りやすくなってきているような気がします。正直言って、ここ10年ぐらい、東大志向というか、最難関を目指す機運というのは確実にあって、なかなか厳しい入試が続いていたように感じます。

しかし、ひとつには、旧帝大クラスでAOや推薦などを入れて、早めに定員を確保しようとしたこと、そしてもうひとつは私大難化による安全志向から、最難関が若干入りやすくなってきているように感じます。「安全志向」の年は、第一志望に入るチャンス、という基本路線の上にあるような気がします。

もうひとつデータを見ていて印象的だったのが、センターの重要性。

私が出た研究会では、千葉大の法政経をとりあげていたのですが、センターの実際の得点と、二次用の模試偏差の相関を見ると、ほとんどセンターに偏っているんですね。

千葉大の法政経は、センター450:二次800なので、二次の方が重視されているんですが、それでも合格はセンターに偏っています。

これは、センター直後に書いた記事ですが、

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基本的に、センターが易化した年は、目標点がとれた人がそのまま出願してしまう傾向が強いんです。正確に書くと、「平均点があがったから、目標点が上がって、それには到達していないけど、もともとの目標点をとれた人」がみんな出願する。

点がとれたからって、志望をあげる人は少数ですから、基本的に予定通り出願する。そうすると、ボーダー付近が激戦になって、逆転が難しくなるんですね。そもそも、センターで失敗している以上、模試の偏差があっても危ういし、模試の偏差がなくてもセンターで取れたということは実力をつけてきた可能性が高いわけで。

逆にぎりぎりの人が1ランク落としてくれれば、そもそものボーダー付近がすいてくるわけで、そうなると下からでも受かる可能性があがるわけです。

私は、この傾向はセンター易化が強く出た結果だと思いますが、それはそれとして、やはりセンターでしっかり得点をとるということがまずは重要だと思います。

 

私大全般を見てみると、難関と中堅以下で大きな違いが。

さて、私立大学です。復習になりますが、定員厳格化は本来2019年度に一段進む予定だったのですが、それが見送りとなり、「2018年度据え置き」となっているわけです。

妥当にいけば、今まで以上に難化する必要はないわけで、基本的には「前年並み」でいいわけですね。

しかし、実際にはいろいろな要因が働きます。

  • 推薦を受ける人数。指定校推薦、附属高などの応募が増えれば、一般入試の定員が圧縮される。
  • 安全志向。厳しいと思えば、志願先を変更する。ただし、これは空くところもあるということ。
  • 浪人生が増えるかどうか。
  • 全体としての少子化。受験生の総数。
  • 各私大が抱えている事情。現状においては、前年までの入学者数。定員厳格化は、その年だけでなく、現状抱えている学生数に左右されているので、オーバーしていれば、定員がとれないし、足りなければ定員をオーバーさせる(限度はあるが)可能性がある。

こんな感じです。というわけで、実際の2019年度入試結果は、まとめると次のような感じ。

早慶上MARCH関関同立をまとめると、38000人志願者減で、5700人合格者増。しかし、その下、日東駒専、大東亜帝国、理系単科大などになると、73000人志願者増で、1900人合格増という状況になっています。

全体の志願者増の傾向が続いているのは、安全志向の現れですね。「難化」という言葉の中で、受験校数は増やす傾向があるようで、それがこうした志願者増を見ても現れているようです。それでも、合格者が増えていますから、定員管理自体は落ち着いたともいえます。

ついこの間までは、志願者が増えて、合格者が減らされていたことを考えると、これでもだいぶマシになったようには感じますね。とはいえ、下のランクの志願者増と合格者微増を考えると、難化はまだ続いた、ということになるかと思います。

では、大学群別にもう少し細かく見てみます。

早慶上理は、応募微減、合格も微減

早慶上理も応募が若干減り、合格も若干減りました。その意味では昨年並み、というところでしょう。

大学別で見ると、早稲田が志願減、合格微増、慶応はは志願減、合格ママ、上智志願減、合格減、理科大志願増、合格減ですから、理科大を入れなければ、やや易化ということになります。もちろん、これはとにかく厳しかった2018との比較なので、すでに難化であった2017と比較すると、2019の方が厳しいですよ。

上智は公募などでの確保を鮮明にしていますから、その影響が出ているでしょうね。理科大の状況はおそらく、文高理低が止まったことを示すと思います。

ベネッセの偏差値で追ったデータを見ると、文系では偏差値60~65で10%強、65~70で25%程度ではありますが、合格率は上がっています。(偏差値の意味は模試ごとに違いますから、河合模試の偏差値を適用しないでくださいね。)

こういうのも、こうした競争緩和から逆転が可能になったことから実現するわけです。

しかし、肌感覚は、「難化」でした。実際にこのデータを見てみると、偏差値75~80で50%強と昨年より減少、70~75でも、40%弱と昨年並みと、必ずしも易しくなったとはいえません。

やはり、難関大併願者が受験校数を増やすなどしてある程度同じ層で集まっていて、志願者自体が減っても、それは合格ラインより下にいる生徒で、かなり厳しい入試であったことがわかります。

理系では昨年より若干厳しくなっている印象ですが、70~75をとっていた受験生は70%ぐらいの合格率となっており、安定して合格がとれる状況です。厳しいのは、原則として私大文系で、理系は今までも書いてきましたが、2年生の秋・冬にはほぼ勝負は決しており、ある程度の力をつけさえすれば受かるし、そうでないと厳しい結果になるということでしょう。

ちなみに、65~70で40%弱です。

 

MARCHは、応募減、合格は増

さて、MARCHです。全体では志願減、合格者増です。2学部新設の中央を除いて、志願者は減、合格増で、だいぶ落ち着きました。ただし、あくまでも2018年との比較であって、すでに厳しかった2017と比べれば2019の方が厳しいですから、「易化」という言葉はあまり適切でないような気がします。

さて、とはいえ、昨年に比べれば易化となったことは間違いないですね。

文系について、偏差値ごとの合格率でみると、高偏差値の合格率が若干とはいえ、落ちていますから、易化とは言いがたいものの、そのあと偏差値65~70以下の層では合格率は増加に転じていますから、昨年に比べれば易化であったとはいえます。

しかし、重要なのは「昨年に比べれば」であって、「2017年に比べれば」これらどの層でも「難化」です。

ですから、落ち着いたとはいえ、「易化」という印象がない、というのはまさにその通りですね。

たぶん、私がもともと予想していた「易化」は当たっていたけれど、私が楽観的過ぎて、「易化ということは合格が取りやすくなる」というように考えていたことが間違いの原因だったように思います。あくまでも昨年ベースで易化なだけで、実際は厳しい入試に突入しているわけですから、決して元に戻るわけではないわけですね。

ということは、定員厳格化が撤廃されない限り、こうした状況は続くのだと思われます。

理系ですが、むしろ合格率はどの偏差値帯でも微減しており、やや難化傾向に突入しています。

学習院成城成蹊武蔵明学國學院は「隔年現象」、日東駒専は日大をのぞいて難化

さて、問題はここから下の層です。

まず、学習院、成城、成蹊、武蔵、明学、國學院といった中堅の小規模の安定した教育を行う大学群ですが、志願者は、全て「隔年現象」で説明がされていきます。

昨年増えた大学は志願者を減らし、減らした大学は増やしたわけです。受験生は、ここから下になると、大学の中身よりは「受かりやすさ」で、受験校を選んでいるともいえる傾向です。

増加:國學院・成蹊・津田塾・日本女子・武蔵

減少:学習院・成城・明学・東京女子

といった具合。この中で動きが例外なのは武蔵で、2年連続の上昇です。

では合格者はといえば、増やしたのは、学習院・日本女子ぐらいで、あとは軒並み減らしています。

この大学群は、定員管理で失敗している大学や学部もある程度あり、國學院などは2019はその典型だと思われます。

また、津田、東京女子、日本女子も取り上げましたが、この中ではここのところ日本女子が入りやすい傾向でした。ここが、難化するのも、こうした受験校選びの一環でしょう。

この隔年現象で、受験生が少しでも受かりやすいところを狙うという傾向は、今年の動向を占う上でも、覚えておいた方がよい傾向だと思います。

で、このクラスは、結果から言えば、明らかに難化です。もちろん、志願者が隔年現象で減った大学もあるわけですが、合格者が基本的に減らされているわけですから、易化に転じようがありません。

次に日東駒専です。

ここは日大だけが違う動きですが、基本は志願者増です。駒沢は合格減、専修は合格微減です。

東洋大は、おそらくレベルアップの影響で、辞退が増えたのでしょうが、合格者増です。

日大は、志願減、合格微減ですが、難易度はあまり変わらなかったようです。

さて、では、これらの大学はどの程度の難易度になったのでしょうか。たとえば、経済系統の一般入試の合格分布を見た場合、合格率50%を切ってくるのは、慶応でベネッセ偏差値78になります。(繰り返しになりますが、河合偏差とは意味が違いますし、別物としてとらえてください)明治で72です。法政の経済は例年、経営より低くなるとはいえ、ここで66。東洋大が実は同じ程度どころか、場合によっては逆転しているぐらいに見える結果になっています。

センター利用でいうと、早稲田商学部で93%、明治商で89%、法政経済で87~84%、東洋経済が84~82%です。日東駒専は、センター利用でもはや80%必須の状況となっており、東洋がその中でも一段抜けています。センターでは、駒沢も絞り込みが行われており、経済で84%、法で82%、グローバルで89%程度となっている感じ。

数年前まで、立教で80%行くかどうかだったことを考えれば、いくら平均点が多少上がったとはいえ、おそろしい数字ですね。

こういう状況になってくると、いくら問題が簡単になっても、きちんと苦手をつぶして範囲を終えた生徒以外にはチャンスがないことがよくわかります。

また、東洋大ですが、合格は増やしたものの、合格者のレベルがあがり、上位大学にとられたようで(このこと自体が安全志向で、併願が増えていることを教えてくれます)、大量の繰り上げを出しています。3月入試とともに、「繰り上げ」というのも、現状の入試では意識せざるを得ません。ほとんどの大学が「繰り上げ」や「補欠」は一般入試で行います。こういう入試をきちんと受けておかないと、繰り上げのチャンスさえなくなることになります。

 

大東亜帝国クラスでセンター利用は70%に。女子大は推薦で確保か。

正直、自分の学校の生徒が、この下のクラスにさほど関心をもっていなかったがために、ここまで省いてきていました。しかし、センター80%となってくると、皆が皆とれる状況ではありませんから、どうしても、下に目を向ける必要がでてきます。

この下のランクの大学は、結論からいうと、文系を中心に軒並み難化です。まったく下げ止まる気配がありません。

さきほどの経済でいうと、大東文化の経済でセンター利用73~76%、神奈川大の経済で76%程度と出ています。

もちろん、3科目でこの程度であれば、とれなくはないと思いますが、センターの平均点の上昇に比べれば、この最低点の上昇はかなり厳しい。1ランク、下手をすれば2ランク以上、数年前より合格基準があがってしまっています。

この状況は、一般入試も同様です。全てが難化傾向と思った方がよい。しかも、このランクになってくると、どうも、追加合格を出し切れないで終わったようです。

上から繰り上げ合格が出てくるんですが、この大学群で3月末になってしまい、繰り上げられずに定員割れを起こしている大学もあるようです。

こんな話を書くと、定員を守らせることの是非はともかく、補助金をちらつかせて、脅すようなやり方で、結局受験生を苦しめているんじゃないか、ということがすごく気になりますね。

理系ですが、文系ほどではないにしても難化傾向にあります。

最後に女子大系列ですが、大妻、共立、実践では全体的な志願者増にも関わらず、全大学全学部で合格者が減らされています。

これは、どう考えてみても、推薦の影響でしょう。基本的に女子の方が安全志向が強い傾向にありますから、指定校推薦を中心として受験生が集まり、その結果、一般入試の定員を圧迫したことが考えられます。この指定校推薦や付属校からの推薦は発表されることが少ないため、実態は予備校でもつかめないようですが、容易に想像できる部分ですね。大学によっては、AOや公募などでも集まったがために、いい生徒が多く、思わずとってしまった、ということさえありうると思います。

こうした傾向も、来年を見据えるときに注意すべき傾向だと考えられます。

 

系統人気が顕著に。文高理低はやや止まった感があるが、まだまだ「地獄」。

というわけで、系統人気の話です。

ここまでの話で、文高理低であることはわかるかと思います。しかし、若干ブレーキが踏まれている。ここまで、私大文系が厳しいと、本当にやっていけないと思うのではないでしょうか。

ただ、あくまでも「文高理低」であることは間違いないです。特に私立文系は地獄です。だから、もしこれから説明会などで「文高理低が止まった」と聞いて、「文系楽になるかな」と思ってはいけません。私大文系なら「覚悟」を持ちましょう。要は、やるしかない。やれなければ、脱落です。苦手をほったらかすような、そんなことはだめ、ということですね。

では、注意の必要な系統を見ていきます。

まずは、ここのところの流行りでいうと、「国際系」「心理系」「社会科学」「情報系」です。こうした系統がとにかく厳しい。

次に、もともとの人気系統はもとの通りです。文系だと「法学」「経済・経営」ですね。こうしてみると文系で書いてないのは「文学」ぐらいです。理系は「機械」「建築」「応用化学」。これらはそもそもの王道ですから、注意が必要。法学部人気はだいぶ戻っているようです。

理系では今年は「理学」が戻しましたが、これはここのところ、理学が低すぎましたから、反動で戻してきたと思います。大学入試が厳しい…という印象が続く限り、「低い」と思うと「増える」という現象はこれからも続くような気がします。

推薦(AO・公募など)の状況は、私立と国立で対照的。とろうとする国立に、とってくれない私立

さて、話は変わりまして、推薦です。これも印象的な数字がありましたので、紹介しておきます。

国公立大学は、定員増、応募増、合格増

まず、国公立大学ですが、一部の公立大を除き指定校推薦を実施していません。したがって、推薦というのは、AOや公募に限られます。

こうした枠は年々増えており、2004年を基準とした場合、2005年に前年比1000人程度増だった推薦などの合格者が、2018年は2004年比7000人を越えて増えています。2010年には対2004年5000人増、2017年の段階でも6000人をようやく越えて増えたぐらいですから、またドンと増えた印象です。今年の結果はさらに増えている可能性が高いですね。

特にAO入試に絞ってみてみると、2年前を100とすると昨年が微増でしたが、今年は全国で120から125ぐらいまで、募集人員が増えています。

それに合わせて、志願者も同じぐらい増え、結果として合格者もきちんと増やし、倍率は同じくらいになっているという感じです。

しかし、いくら倍率が同じでも、合格者が増えるというのは、原則的に下の人まで入る、ということ。つまり、受かりやすくなっていることに他なりません。

もちろん、これは一般入試枠が減少することも意味します。公立大そのものが増えていますから(地方私立大がここのところ公立大として再出発する動きがあったのです)、必ずしもこの増はそのまま一般入試枠の減少にはなりませんが、それでも2004年比2000人減っています。公立大そのものが増えているのに、2000人以上減っているということが、いかに定員が推薦に回ったかを見てもらえるかと思います。

というわけで、国公立を目指すなら、まずはAO・推薦を考えるべき時代となりました。ただし、昔と違って、試験そのもので学力試験を課す、英語の面接を課す、英語外部検定の高い基準を課す、そもそもセンターの一定得点を条件とする、などの入試が増えていますので、学力は必須といえますが。

 

私立大学は、定員微減、応募増、合格微減

それに対して、私立大学は、どうかというと、指定校推薦を含めた推薦A0と一般入試の比率を見てみると、2007年を境に一般入試から推薦にと一旦シフトし、2014年にまた推薦の比率が下がり、ほぼ推薦と一般の比率が同じになっています。しかし、これを最後に増加に転じ、直近では増加に転じ、右肩上がりとなり、2018年で入学者比率は推薦52.5%、一般47.5%となっています。おそらく今年はもう一段進んだのではないでしょうか。

しかし、指定校推薦を除いた、AO推薦の動きをこの3年間でみると、2017を100とした場合、志願者は2019年推薦で117、AOで110と増えているのに対し、定員はほぼ変わらずか微減、合格者も微減、というような状態になっています。

これは国立と違い、私立では指定校推薦があるために、まずは、受験生も大学もこちらで確保していきます。この部分は前にも書きましたが、定員は決めているのですが、その配布した高校が、すべて埋めて来るとは限らず、例年の動きを見て、「このぐらいに指定校を出すとこのぐらい来る」という経験によって、なされているわけです。

そうなると、例年より安全志向が強まると、例年以上に指定校推薦の応募が増える。定員が決まっているなら、本来オーバーした分は落とせばいいわけですが、指定校推薦は慣例上、応募したらよほどのことがないかぎり落とさない。もちろん、「落ちない」というのは嘘です。大学が問題があると思えば落としますが、指定校推薦というのは慣例的に、学校を信頼して託しているので、学校が推薦する人物を落とせない、というのがポイント。もし、「落とさなければいけないような生徒」を送ってきたら、その生徒を落とすだけでなく、その学校の信頼がなくなり、推薦がなくなっていく…というようなところで成り立っているので、学校が推薦するなら、よほどでないかぎり落ちていないのです。

だから、例年より応募が増えると合格が増える。そのしわ寄せは、AOや一般に行くしかないんです。定員厳格化ですから。

というわけで、AOにはいくら人が集まっても、予定以上にとった以上、もはや微減かもしれないけど、とるわけにはいかずに減らしているわけです。

大丈夫ですか?

私立のAOは原則激戦です。もちろん、今の話は、丸めている話ですから、大学によっては、「指定校でもとる、AOもとる、したがって、一般を思いっきり減らす」…というところもあるでしょう。

しかし、全体としては、「指定校でとったから、AOはいっぱい集まったけどとれない。だって、一般があるから」という大学が多いということです。おそらく、過去のデータで、AO入学と一般入学では、一般の方が成績がいいという大学はこんなことが起こるはずです。

私が入試担当者と話した経験では、

  • 早慶上理…指定校やAO入学の成績はよく、しっかり確保したい。
  • MARCHからその下…徐々に推薦の成績が悪くなり、AO入試に価値を見出さない大学が増えて来る。できれば、一般入試の生徒を多くとりたい。
  • 下位の大学…入学者確保のためにも、AOで合格をいっぱいだしておきたい。受けてほしい。

というような印象です。こんな感じですから、

「安全に行きたいからAOで」という発想は論外。もちろん、あなたの受ける大学がAOでいっぱいとってくれるならいいんですが、全体的な傾向で言うなら、合格は減らされていて、かなり厳しい入試が展開されているということを知っておいてください。

本当に安全に行きたいなら、まずは指定校。

AOを受けるなら、少なくとも、倍率のある入試であるという自覚を持つこと。高校入試の推薦のように、「受かりやすくなる」という印象があるのは下位の大学を中心として、倍率が低い大学だけですので、このあたりはしっかり調べましょう。

また、一時と異なり、私立でも学科試験を課す大学は増えています。こうした大学の場合、問題を見せてもらえたり、また、AOは厳しくても一般だともっと厳しくなるというようなケースも確かにあります。あるいは、学科が試験があるけれど、英語だけだったり、国語だけだったりというケースもあります。

しっかり調べて『入試』として取り組むことが重要です。

 

中堅以下では、「隔年現象」が顕著になっている!

観点を変えます。

ここまで見てきて、2019年度入試の特徴は、MARCH以上で若干の易化、それ以下で大きく難化、ということになるんですが、ここまでの説明でも、ここから下は、おそらく安全志向から、「受かるところを探す」という作業、正確には「受かりやすいところを探す」というような作業になっているようです。

では、受験生にとって「受かりやすいところ」とはどのような見え方をしているのか。

それが、予想偏差とか、判定とか以上に、どうも「前年の倍率がその前より下がったかどうか」だけのようです。

これは、受験校選びの間違いのひとつなんですが、みんながこういう動きをします。

  • 同じランクのある大学とある大学を受けようと考える。昨年の結果を見て、応募が減った人気のない学科を受けたくなる。
  • 同じ大学の似たような系統、たとえば経済と経営などのどちらかを受けようと考える。昨年より倍率の下がった学部を受けようと考える。
  • 同一大学、同一学部の複数学科から、どの学科かを受験しようと考える。一番前年倍率が低い学科やセンターボーダーの低い学科を受験しようとする。

こういうのが隔年現象の仕組みです。どれにしたところで、結局、人気のなかったところに集まり、人気のあったところが避けられるわけですね。

定員厳格化のこの数年、傾向が消えていますが、従来は明治と立教も大きな波で隔年現象だったと私は分析しています。こういうことが必ず起こるわけです。

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受験校選びで説明していますが、立教の経済の学科人気はこの典型で、昨年もほぼ読み切ることができました。

安全志向が強まり、大学への関心以上に、「とにかくどこでもいいから受かりたい」という気持ちが、押さえの学校に対して強くなり、この傾向が色濃く出ていると思います。

これは、2020年度の傾向を予測するときにも注意すべき事柄だと思います。

 

共通テスト前年の2020年入試は、どうなるのか?基本路線は「超」安全志向。中堅以下は今年以上の激戦に!

さあ、これらの結果を踏まえ、これから2020年入試を分析していきます。最初に断っておきますが、まだ今年の受験生の模試動向の分析は出てきていません。これが出てきて、しかも秋になってくると、実際の動きがはじめて見えてきます。

つまり、現段階では動向分析ではなく、ただの「予想」です。でも、どんなことが起こるのかは今年はあらかじめ書くことが多いです。

なぜなら、翌年は、「入試改革」があるからです。

2021年の入試改革は何か?

まずは、本来これをきちんと理解する必要があります。

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しかし、問題は、今年の高校3年生は一見関係なく見えること。 だから、実際にどう変わるかはおいておいて、次のように見えるわけです。

  • センターが変わるらしい。記述とか複数解選択とかよくわからないけど、変わるらしい。
  • 英語の外部検定4技能が必須になるらしい。大変。
  • 早稲田の政経とか、文系なのに数学が必要になったり、いろいろ大変ぽい。
  • とにかく、浪人すると訳わからないから、現役で行っておきたい。

こんな感じじゃないでしょうか。2年生だってよくわからないのに、3年生がわかるとは思えない。実際は、どんなことなのか、上の記事を読んでもらうとして、こんな漠然とした感じが今の高3です。

加えて、「どうも私大は超厳しいらしいから、指定校とかでも早く決めちゃいたい」という感じが基本路線ではないでしょうか。

過去の入試改革でも、変わるとなると「安全志向」というのは毎回起こっていることなんです。

安全志向になると…推薦が増え、1ランク落とす…受験校を増やす…

では、安全志向になると、どんなことが起こるのでしょうか。

第一に、推薦が増えていきます。しかし、よくわかっていないから、「私立AO」も含めて増加するでしょう。

指定校が増えるのは、間違いない。そうなると、一般の定員を圧迫します。続いて、AOなどの受験生が増えます。国立はそれでも易化ととらえるべきと書きましたが、倍率は上がるかもしれません。私立は増えた分、倍率がどんどんあがりますから、「受けたら受かる」というようなことはありません。まして、一般入試の倍率があがり、偏差値があがっている状況で、しかも指定校で定員の圧迫が起こっている時に、AOで確保するという選択はあまり考えられません。まさにAP(アドミッションポリシー)に合う生徒に合格を出せばいいようになるでしょう。

でも、ともかくも、推薦の激化と一般定員の圧迫は予想される事態です。

次に、1ランク落とす受験生が増えていくでしょう。このあたりから推察されるのは、MARCH以上がこれ以上激化する可能性は意外と少ないんじゃないか、ということです。逆に言えば、これより下のラインは、さらに激化する可能性をまだ秘めているともいえます。

上が現状維持かやや落ち、下があがってくる…。つまり、受かる人は全部受かり、落ちる人は全部落ちるような入試形態になります。センター利用でいえば、

  • 90%MARCH
  • 80%越え日東駒専
  • 70%越え大東亜帝国

つまり、70%取れない人はノーチャンス、というような状況になっています。しかも、「隔年現象」のように、よりすいているところを探し出そうとしますから、その意味でも、大学レベルの均質化(実際に均質化するわけではないですが)が引き起こされていくわけです。

そして、そうなってくると、受験校数を増やします。そうなれば、合格者の辞退は増えていきますから、本当は大学が「合格者増」という形で対応するはずなんですが、現状大学はその勇気が持てません。「定員厳格化」があるからですね。

最後を「補欠」「追加」で埋める現状は、おそらく今年以上にひどいことになるかもしれません。東洋大が、補欠の繰上げがすごい数にはなりましたが、考え方を変えれば、全員を繰り上げたわけではないので、今年と同じように埋めればよい、と考えている可能性は高い。その方が安全ですから。そうなると、それ以下の大学は、追加合格を出し切れないうちに、タイムリミットを迎えるという入試が続く可能性が高いともいえます。

 

国立を取るのか?科目数=私大を取るのか?

こうなってくると、国立に目を向けるべきですが、今年の入試結果を見る限り、国立人気が高まっているとはいえません。

3科目と7科目の違いは確かに大きいですが、千葉大で80%、旧帝・筑波で85%ぐらいを目安と考えると、もはや文系でMARCH滑り止めにはならず、下手をすれば、東洋大や駒沢もセンター利用では滑り止めにできない状態です。

静岡や新潟などでも70%強ですから、日東駒専はもはや滑り止めにできない。大東亜帝国もセンター利用ではあやしいかもしれません。

こうなってくると、がんばって7科目やって地方国立、という選択肢をとることは非常に有力です。

しかし、どうも首都圏の受験生はそうはならない。地方の受験生は、「地方国立、だめなら地方私立しかない!」と、地方国立を目指す動機になりえても、首都圏の受験生は「試験科目を増やしてまで、地方国立なんて…。だめなら、首都圏私立にも行けなくなる…」ですから、どうも「地獄の私立文系3科目」にとどまるしか道がないようです。

もちろん、これは今後の動向見れば、すぐ見えてきます。地方の受験生からすれば、「こっちくるな!」と言いたいところでしょうが、首都圏の受験生がどう判断するかは気になります。ただし、今年の結果をみる限り、「国立志向の受験生が地方を考える」ことはあっても「私立文系3科目の受験生が科目増やして地方を狙う」とはならないようなんですね。

でも、あなたが受験生で、7科目をまだやっているなら、捨てたり、しぼったりする前に、もう一度入試状況の厳しさを見て、どうするかをよく考えてくださいね。

浪人したら本当に厳しいのか??

最後に、書くのは、「浪人したら本当に厳しいのか」ということです。

私はさきほどの記事でも書きましたが、本来は来年は浪人生有利です。 

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翌年は、みんなが行けるところに行けば、絶対に強い浪人がいなくなります。

東大受験生にとって、一番厄介な敵は、早慶とって東大だけ落ちた進学しなかったやつ、ですね。早慶も落ちたやつは、たいした敵ではない。

早稲田を目指す人にとって、一番厄介な敵は、MARCHをとって早稲田だけ落ちたやつ。MARCHもましてその下も落ちている早稲田志望はたいした敵ではない。

安全志向というのは、そういう「受かったのに行かない人」が少なくなるということなんです。

まして、今回は指導要領の改訂でなく、システムの変更。じゃあ、今の高2はその新しいシステムの準備をしているのか?

  • センターの過去問のように、共通テストの過去問題や模擬問題を今やれているのか?来年からなら条件は一緒。
  • 共通テストの英語が変わるとして、リスニング100点とか一回読みとかの練習ができているのか?そういうCDが今、売られて対策していない限り、来年からなら条件は一緒。
  • 英語外部検定は受けられるのか。あるいは受けられるとして、今年受けているのか?主力となる新型英検やGTECは、まだ正体を見せないし、今年と同じTEAPとかなら、今年の受験生はチャレンジしている可能性が高くむしろ有利では?
  • 私立大学は、早稲田だけでなく、青山や上智も変えるけど、じゃあ、変わる問題の対策ができているのか?していないなら、条件は一緒。

というわけで、既卒生が不利になる要素は何一つありません。むしろ、問題が思考力重視になったり、記述になったり、平均点が下がったり…という情報からすれば、基礎から受験生をはじめる現役生の方が明らかに不利です。

だから、本当は怖がる必要はありません。

 

そもそも「安全志向」は難関第一志望への入学チャンス!!

そして、一番大事なのは、受験生全体の数が増えない限り、すべてが難化することはないんです。

たとえば、今年については、上から受験生がおりてきたからこそ、中堅以下が難化しているんです。でも、上にいる受験生の数が増えているわけではない。

だとすれば、もう、これ以上、下が難化するとすれば、それは同時に「上がすく」ことを意味しないと、つじつまがあわない。

確かに数年前は、段階的に定員厳格化が進んできましたから、少しずつ受験生が上からおりてきて、徐々に難しくなってきました。しかし、2018年を基準として、2019年、今年は据え置きだったんです。それで中堅が下がったというのは、MARCH以上がやや易化、という今年の結果をもたらします。

2020年はそう考えると、

  • 現状維持。つまり、これ以上中堅以下は難しくならない。
  • さらに中堅以下が難化。つまり、上がさらにすくことによって、中堅以下がもっとむずかしくなる。
  • 中堅以下が難化傾向となり、上がさらにすくけれど、今年は一定より下が定員充足できなかったので、反省して、合格者数を増やして、意外と難しくなりきらない。

のどれかだと思います。

一番上はおそらくないでしょうし、書いていない「チャレンジ志向になって、難関ほど倍率があがり、中堅以下は楽になる」もないでしょうから、下のふたつのどれか。

つまり、MARCH以上、場合によっては、成城、成蹊、明学、武蔵、國學院、そして東洋あたりにも、反動の受け控えが起こって易化する可能性だって、現段階ではないとはいえません。

このあたりは、これから先の模試動向を見て、最終的には11月ごろにまた報告します。

でも、全体は少子化。定員削減ではない以上、これ以上の全体難化は考えづらい。

まずは、厳しい入試を覚悟して、完璧にやりきってみましょう。やりきれれば、やったこと以上のごほうびがくるのが今年だと思っています。

もちろん、私は昨年もこう考えていて、だからこそ終わったあとに「思ったより厳しかった…」という読み間違いをしているわけですから、すごく受かりやすくなるわけではないでしょうが…。

でも、逆に言えば、苦手科目を放っておく。たとえば、私大文系で、英語、日本史(世界史)、古典あたりに穴をあけておくと、とんでもないことになるのが今年の入試だといえると思います。

理系の人は、センターをしっかりやって、国立狙いを鮮明にしましょう。この場合も、古文、漢文を中心に、穴をあけておくと大変なことになりますよ。

 

 

 

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