学びの真似び(まねび) 「学び続ける人」になるために(教育と受験と勉強法)

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2021年度大学入試改革~今の所、こんな感じになってます…共通テスト、主体性、ポートフォリオ、英語外部検定…

2021年度入試に向けて本当に動き出すタイミングになりました。今日は、現状の入試改革がどのように進んでいるかをまとめます。

2020年度入試が終わりました。そして、政治にさんざん振り回された学年の入試が始まろうとしています。

2021年度入試改革も、それが改革なのかはどうかはともかく、もう次の入試で行われるわけです。

というわけで、このブログでもさんざん追っかけてきたテーマですが、変わりすぎるために、昔の記事が意味のないものになっていることもあると思います。

というわけで、今日は、2021年度が現状どんな感じで進もうとしているのかをまとめておきたいと思います。2021年3月時点でのまとめです。

 

センター試験から共通テストへ

まず、一番大きいのは、センター試験が共通テストになることです。結果的には名称が変わるぐらいで大きな変更はありません。というか変わることは後でまとめます。

その前に、そもそも大学入試自体がはじめての人にとっては、これがどんな役割なのかをまとめておきましょう。

  • 国公立大学では、この共通テストと各大学で課す2次試験の合算で決まる。5教科7科目であることが多いが、大学や学部によって異なる。配点も各大学で決める。
  • 私立大学では、各大学が独自で問題を作る「一般入試」と「共通テスト利用入試」に分かれる。後者については、「共通テストのみで判定」「大学の独自試験と合算」などさまざまなパターンがある。また、科目数や実施するかどうかなどは大学や学部で異なる。
  • 正規の配点は、英語筆記100、リスニング100、国語200、数学①100、数学②100、理科100(理科基礎は1科目50だが2科目セットで100)、社会100。ただし、大学や学部が自由に配点を変更する。傾斜配点などと呼ばれる。7科目900点満点、あるいは3科目500点満点で説明することが多いはず。

こんな感じ。

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今や、共通テストは、国公立志望者だけでなく、私大の共通テスト利用入試もあるので、ほとんどの生徒が受けることになるでしょう。後述しますが、指定校でも「合否には関係ないけど共通テストは受けて成績送ってね」というような大学も一定数出るでしょうから、受験するつもりでいた方がいいですね。

では、続いて、センター試験から共通テストへの変更点を中心にまとめます。

国語と数学①の記述は結局やらず…

まず、記述についてです。そもそも、国語と数学➀に記述が一部入る予定でした。ご存じの通り、記述の導入は見送られました。

したがって、今まで通り、オールマークとなります。

国語については従来の80分200点分に加えて、記述20分、点数は段階で示すということだったので、この部分がカット。したがって、時間や点数は従来とまったく同じになります。

数学はもともと100点の中に記述が含まれていましたので、これが全てマークになるわけです。

外部検定は導入せず…

共通テストのもうひとつの目玉は、外部検定を義務化することでした。これもご存じの通り、見送り。

これは完全にカットです。じゃあ、外部検定の準備はいらないかっていうのは別の話です。

とりあえず、共通テストとしては外部検定はいらなくなりました。

変更点は、平均点が下がる可能性と、数学の試験時間、英語の配点と問題変更

というわけで、変更点は次の通り。

  • 平均点が50%狙いに。試行調査終了後の評価では、明らかに50%を狙っている文言になっている。ただし、最新のものでは、何点を狙っているか発表する予定がないとのことで、こればかりはわからない。
  • 数学➀の試験時間が60分から70分に。当初、記述が入ることで時間が10分延長され、記述の導入が見送られたがそのまま時間は70分に。記述がマークになっても、問題傾向は変わらないから…と見るのが無難かも。
  • 英語の配点がリーディング200点、リスニング50点から、リーディング100点、リスニング100点に。ただし、傾斜配点が起こるので、実際にそうなるわけではない。東大がリスニングを採用するなど、明らかに変化している。平均点の問題にも絡むがリスニングはB1レベルが混じり、1回読みになるなどの難易度の変化もある。

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  • 英語のリーディングの第一問第二問にあたる発音、アクセントなどの部分がカット。問題傾向は試行調査で確認する必要あり。

というようなことになります。

準備としては、おそらくセンター試験の過去問題を使うしかなくなってくるし、最近のセンターもだいぶ傾向が変わってきているので、「過去問題は意味が無い」ということはないと思います。というか、やるべきです。

でも、以上のような傾向の変化を知っていないと、当然いけませんよね?模擬試験をはじめ、いくつかの対策問題集は出てくると思いますが、例年過去30年分ぐらいの赤本があることを考えると、センター試験の過去問題を、何が変わるか意識しながらやる…というしか手段はないと思います。

 

どの入試形態でも主体性・思考力・知識技能の学力の3要素が問われる

さて、もうひとつの大きな変化は、どの入試形態でも、「主体性」「思考力・表現力」「知識・技能」の学力の3要素を全部問うと決まったことです。

そうなると、

  • 指定校推薦みたいなものでも、学力試験が必須になって落とされるの?
  • 一般入試で、推薦みたいな志望理由書とか面接が課されるの?

みたいな疑問が出て来ますよね?

というようなことは、当然、各大学が決めることではあるんですが、全体的なことを書いておきたいと思います。

推薦入試は、学校推薦型選抜と総合型選抜に…指定校で学力試験が課されて落とされるの?

まず、推薦入試の方ですね。来年から、学校推薦型選抜と総合型選抜という名称に統一されていきます。

複雑なのは、まだはっきりとはわかりませんが、

  • 学校推薦型=指定校、公募
  • 総合型=AO、自己推薦など

という区分けでありそうなことで、今までは、「指定校」と「AO・公募・自己推薦」という雰囲気だったわけですから、ちょっと混乱しそうですね。

いくら名称が変わっても、「指定校」と「公募」はまったく意味の違う入試ですから、これがひとまとめに「学校推薦型」という名前になると、いろいろ誤解が生まれそうな気がして、ちょっと面倒くさいですね。

おそらく、ですが、「指定校」と「公募」は、はっきりと意味の違う入試ですので、まずここは同じ「学校推薦型」でも、混同しないようにしましょう。

「指定校」はほぼ受かる入試、「公募」は落ちることが普通に起こる入試です。

ここでは「指定校」について考えます。

学力の3要素が問われるということは、指定校にも学力試験が問われるのか、そして、そのことで落ちることが普通に起こるのか、ということです。

まず、一つ目ですが、学力試験はおそらく課されません。というのは、学力試験とは、「面接・小論文・英語外部検定」などを含むからです。つまり、今までとまったく同じで乗り切れます。たとえば、「共通テスト受けてね。でも、合否には関係ないよ」というのでもセーフだと思われます。つまり、変える必要がないんですね。

次に落ちるかどうかですが、これは、「指定校」という原理から考えれば、落ちることはないでしょう。そうなれば、「指定校」ではないからです。落ちるとなれば、応募は減ります。応募が減れば、確保できる入学者が減ります。それは「指定校」ではありません。

今だって、全員が受かるわけではありません。中には学力試験を課しているところもあります。一応、落ちる可能性はあるし、失礼な受験生がいれば落とさざるを得ません。でも、それは大学としても高校としてもあってはならない事態なんですね。

学力試験を課すという名目の中で、共通テストを義務づけたり、英語外部検定を条件としたりする大学は増えていくでしょう。

でも、指定校である以上、そう簡単には落とせない。

そういう意味では、「公募」とは決定的に違う入試であることは、これからも一緒のはずです。

一般入試で、「主体性」を問うって?ポートフォリオって必要?

一方で、一般入試に主体性を問うのか、と言われると、これもNOです。

それでいいのか?という理屈はよくわかりませんが、多くの私大が「出願時に提出を義務づけるが、合否判定には用いない」ということで逃げています。

なので、結局、何も使わない可能性が高い。当初は、調査書の評定平均などを使うんじゃないかと邪推していましたが、何もしない大学がほとんどのようです。

ただ、国公立大のいくつかは、得点化すると発表しています。このあたりはしっかり調べて対応する必要があります。

e-Portfolioについてですが、前から書いていますが、動いてはいますが、義務づけにはもともとなっていません。使いようがないんです。だから気にしなくて大丈夫。

ただし、総合型選抜、学校推薦型(従来の公募推薦)の定員比率は増えていきますし、その中では大学独自の書式ではありますが、必ず志望理由書とか面接とか小論文の形でポートフォリオで実践してきたことが生きますので、やらなくていいかというのは別。

つまり、ポートフォリオを使う大学はほとんどないけれど、ポートフォリオを書く中で、自分の高校生活の中での取り組みの見直しが起こるとすればそれは大学入試でかなり生きてくるはずです。

まとめると、e-portfolioはやらなくていいけど、大学で生きる課題研究とか自主学習とかボランティアとか主体的な学びは、どんどん重要になって大学入試、特に総合型選抜で大きな価値を持つんだよ、ということです。

 

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ちなみに、調査書のデジタル化が目指されていますから、もし、本当にそうなるなら、そのあたりから、一般選抜でも使われる可能性は出てくるでしょう。ただし、調査書が、ですが。

e-Portfolioはなかったことになっていくんじゃないでしょうか…。 

 

私大入試改革は、大きく前進?!変わる私大入試

さて、もうひとつ、あまり書かれていないのが、私大入試の大きな変革です。さっき、学力の3要素が一般選抜でも問われると書きましたが、私大は結構大きな変革をうっているところがあるんですね。

英語外部検定の重要性

まず、ここ数年、どんどん拡大している英語外部検定を利用した入試です。定員を分けたり、受験資格にしたり、満点換算したり、加点したり、チャンスを増やしたり、やっていることはさまざまですが、誤解を恐れず言えば、英語外部検定をやっていた方が有利になる時代が来ているといって過言ではありません。

中止になったのは、共通テストの英語外部検定、成績提供システムだけです。今までも、つまり2020年度入試までも、外部検定を利用したさまざまな入試があるわけで、別に成績提供システムなんかなくても、入試は動いているんです。

なので、この準備は必要。

特に総合型選抜、学校推薦型選抜の、難関大学ではかなり大きな意味を持ちますので、しっかり取り組む必要があります。

一般選抜でも、多くの私大で、一定の成績を持っている人を優遇する入試を設定していますから、取り組む必要があります。

大きな変更がある大学

外部検定以外でも大きな変更があるのは以下の大学。

  • 早稲田政経。共通テストで数学を含めた科目+独自試験(英語系と現代文・社会系)
  • 上智。「共通テスト利用」(新設)「TEAP入試」+一般選抜=共通テスト+独自入試(論述型)
  • 青山学院、一般選抜=共通テスト+独自試験
  • 立教、英語の独自試験を廃止し、外部検定or共通テスト英語+国語、社会などの独自試験。日程を並列にして、自由に選べる形に。
  • 早稲田商。数学利用、歴史利用、外部検定型で定員を分ける

こんな感じ。

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変わらない大学

逆に多くの大学はとりあえず様子見です。

慶応とか明治とか理科大とかです。

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とはいえ、さまざまな入試のマイナーチェンジはしていますから、しっかり確認してくださいね。

次の変更は、「新課程入試」

さて、とりあえず2021年度の入試についてまとめました。しかし、今の先送り状況は、すべて、「新課程入試」を見据えて先送られていることを忘れずに。

つまり、新中3学年以降、また大きく変わることが予想されます。

仮に変わらないとしても、「新課程」ですから、入試科目、正確にいえば科目名称や範囲が変わるわけですね。

そこをターゲットに、

  • 調査書のデジタル化
  • 外部検定の成績提供システム
  • 記述問題をどうするか

などが、目指されたり、先送られたりしているわけです。

現状からすれば、「結局やらないんじゃないの?」ということかもしれませんが、少子化の状況の中で、各大学は、

  • いい入学者がほしい。
  • ということは英語はできないと困る。
  • ということは大学でやりたいことが明確な人がいい。
  • 少子化と定員厳格化の中で、そういう受験生を他の大学より早く確保したい。
  • ということは、指定校ふくめて、総合型とかで確保したい。
  • といっても、学力のないやつはほしくない。だから、学力試験は課したい。

みたいなせめぎ合いをしているわけです。

ちょうど、いろいろなものが見送りになりながら、私大は外部検定含めて、結構変えてきているように。

そして、よく見れば、そもそもこれは国立大学の定員確保から始まっています。だから、共通テスト記述問題や外部検定成績提供システムやポートフォリオなんかが全部頓挫しても、大学入試は少しずつはっきりと変わっていくことは間違いないと思います。

もちろん、ただ厳しくなるわけではなく、全体としては少子化ですから、大学入試自体が簡単になる中で、実際にどういう生徒がほしいかというのを、しっかり見ようという動きの中でこれが実現していくと思います。

人が少なくなれば、しっかり見れるということ。だからといって大学受験がただ難しくなるわけではないということですね。

 

というわけでまだまだ不透明ですが、まとめてみました。

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