学びの真似び(まねび) 「学び続ける人」になるために(教育と受験と勉強法)

学習の仕方に困ったことはありませんか?ここでは、「真似び=学び」という形で、さまざまな学習方法へのアドバイスをしていきます。学習の仕方に悩んだら、受験勉強で行き詰まったら、ぜひ訪れてみてください。効果的な学習方法を知って、学び続ける人を目指しましょう!

どうなっていくのか?コロナの中の2021年度入試~入試が行われるとしたら…

ようやく学校が再開された地域も多いと思いますが、そうなってくると、今年の大学入試が心配になります。何も手がかりがない状況ですが、今年の大学入試を考えてみたいと思います。

学校が再開されたといっても、分散登校ではむしろオンラインをちゃんとやっている学校からすれば遅れるぐらいの話で、正常化にはほど遠い状況かもしれません。一方で、学校でのクラスター発生や東京アラートの発動など、まだまだ不安な要素もあります。

しかし、ここでは現状考えうる、今年の大学入試動向を考えてみたいと思います。

 

入試を遅らせたい文科省と入試をむしろ前倒ししたい大学

9月入学を、当面断念したというニュースが流れています。やはり、問題が多すぎるということ。「当面」という言葉がついているのは、今後、入試が行えないような再流行が起これば、9月入学の可能性もありますよ、ということでしょう。だからといって、卒業を後にするのか、その間の学費はどうするのか、など、問題は山積みですから、簡単な話ではありません。

もちろん、いざ1月2月になって、緊急事態宣言をせざるを得ないような状況になれば、入試についても、臨機応変に対応しなければいけないことは事実ですが、そうなったからって、「はい、9月入学で解決ね」というほど単純なことではありません。入試や入学を遅らせることと9月入学はイコールではないからですね。

さて、9月入学がなくなった一方で、「入試を一カ月程度遅らせる」提言がされているようです。

たぶんニュースを聞いて、「もっともだよね」と思った人も多いような気がするのですが、こと大学入試はそんなに単純ではありません。

「学び」が遅れた以上、入試を遅らせたい…入学も遅くするのか、入試が重なっていくのか?

高校入試や中学入試の場合は、遅らせたとしても、入学者の確定や二次入試、追加募集には大きな影響が出るものの、基本ラインは、なんとかなることでしょう。

中学入試は、塾に依存しているからいいとすると、実質は高校入試と大学入試。たとえば、2月下旬とか3月上旬のものを3月中旬発表ぐらいまでなら、ぎりぎり対応できそうですね。

大学入試の場合、共通テストが1月中旬、2月1日から私立が始まり、20日過ぎに早稲田が終わり、2月中に国立前期入試。3月上旬に前期の発表があって、3月中旬に後期というような流れです。

これ、見てわかる通り、もし、共通テストを2月上旬とかに行った場合、このまま後ろずれすることはできません。

やり方は二つ。

大学入試そのものが全部1ヶ月ずれる。それはつまり、入学も1ヶ月遅らせる、というやり方。

そういうわけにはいかないので、なんとか3月中に入試を終わらせる。つまり、短い期間でなんとか入試を設定してもらう、というやり方。

最初の方ならいいんですが、(とはいえ、学費問題は出てきますよね…。)後の方だとすると、大事件です。

例年と併願関係がまったく変わってくる。簡単にいうと、日程がつまる以上、併願関係が成立しなくなり、受験校数をしぼらざるを得ない。例年だったらA大学の、次善校はB大学だよね、といっていたものが、日程が重なったり、重ならないまでも連続する日程になったり、ということが起こってくるわけです。

後でも書きますが、1月2月にまったく入試ができないような状況になったときの超裏技は、すべての入試を共通テスト一本にするという可能性さえ、出てきます。

とりあえず、入試ができる前提で、共通テストを1ヶ月遅らせるけど、3月中旬には入試を終わるよ、という場合、早く発表さえできれば、「私大の共通テスト」みたいなものを作り上げることもできるかもしれません

が、大学間の連携がない限り、こんなことはしませんから、日程が重複すれば、大学は選ばなくちゃいけないわけで、これはものすごい事態です。

逆に、大学間の連携ができれば、「A大学とB大学とC大学で、日程重なったけど、問題同じにするんで、全部併願してもいいよ、受験料はもらうけどね」みたいなことを考えることも一応はできるので、最悪の事態には、こんなことも考えてほしいなあ、とは思いますが…。

つまり、現段階では、

  1. 入試が遅れるか遅れないかに関わらず、例年と同じ時間の流れで入試が進む。
  2. 入試が遅れることによって、例年と違う入試になる。
  3. 入試が突発的に行えなくなり、何らかの方法を考える。

ということが起こっているわけです。

文部科学省というか、政府は遅らせる方向を現在のところ模索しているわけです。

 

コロナがもたらす入試動向~経済不安から安全志向、そして地元志向に。

さて、ここで、コロナがもたらす社会動向が大学入試にどう影響するかを考えます。これは過去の事例から比較的簡単に推測することができます。

まず一つ目は、リーマンショックです。

こうした経済不安のときには、実学志向になりやすい、理系人気になりやすいという傾向もありますが、経済が不安になると、私立の人気が相対的に落ちていきます。併願校数も減るでしょうし、安全志向も強くなる。国立に、という気持ちも増していくでしょう。

私立中学などは、今後数年にわたって、受験生が減少する可能性が高い。すでに「投資」してしまった家庭は、経済が持つかぎりなんとか今年は受験させるにしても、小学校中学年のご家庭は「投資」をやめる、という判断もできるからです。

私立大学の場合は、そこまで準備が必要なわけではないので、経済動向が回復すれば私立も回復するでしょうが、今年に関してはかなり厳しいのではないでしょうか。

そして、東日本大震災の時を考えれば、当然、地元志向が強まります。

あのときは、「帰宅難民」と「放射能」でしたが、今回は首都圏で感染が広がったこと、県をまたぐ移動を禁じることなど、どう考えても、地方の人が首都圏に来る動機がありません。

もちろん、これを機会に、登校日数を極端に減らすような「リモート授業」「テレ授業」かなんかに、回復しても舵を切るなら、通学片道2時間ちょっとぐらいまでの地域から集めることもできるかもしれませんが、人気大学はそこまでしないでしょうから、敬遠される可能性が高いと思います。

つまり、私立大学は、かなり危機的な状況を予測しているのではないでしょうか。そういう状況の中で、なんとか受験生を集めたい、入学者を確保したい、と考えているのが実情だと思います。

受験生と大学は、むしろ早く決めてしまいたい…総合選抜、学校推薦選抜の拡大

要するに、大学はまったく逆の動機を持っています。

つまり、早く入試を行って、できればコロナが広まって入試ができなくなる前に、入学者を確保したいわけです。

これは、学校推薦型選抜、総合型選抜の定員を増やしたいということに他なりません。事実、立命館がすでにそんな動きを見せたようで、そんな情報はあっという間に他の大学に伝わるでしょうから、首都圏、大都市圏の私学は追随する可能性があります。

一方、受験生は、すでに学校の授業が遅れているわけですから、推薦で入学が決められるなら、さっさと決めたいとなるのも当然です。

まして、予想通り、各大学が推薦の定員を増やすような動きをするなら、そこは見事にマッチしてしまいます。特に首都圏の受験生からすれば、首都圏の大学に推薦で行けるなら、躊躇する必要はありません。

そうなると、一般選抜は、定員が少ない中で、場合によっては日程が重なったりしながら、実は意外と入りやすい入試になるんですが、これはあとで説明します。

 

もともとどういう入試改革だったのか?それはどうなるのか?

さて、それでは主観的な可能性を探っていく前に、まずは、今年行われるはずだった数々の改革をおさらいしておきましょう。

とはいえ、かなり骨抜きになった部分が多いので、経緯は抜きにして、結果だけをざっくりと。

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総合型選抜、学校推薦選抜、一般選抜と「知識・技能」「主体性」「思考力」

まずは、呼び方を変えました。

一般入試が一般選抜に。ここには、共通テスト利用、全学部入試、個別日程など、不可思議な入試が全部含まれています。

AO入試は、総合型選抜に。

指定校推薦や公募推薦は、学校推薦型選抜に。複雑なのは、指定校は必ず受かりますが、そうでない推薦もあって、それは「落ちる」もの、というか普通に入試と考えなければいけないことです。

で、このすべての入試形態において、「知識・技能」つまり学力、「主体性」、「思考力」などが問われるわけです。

ただし、学力とは、学科試験だけでなく、口頭試問、英検などの検定、小論文なども含まれていますので、別に指定校推薦が学科試験マストで点数悪いと落とすわけではありません。もちろん、あまりにひどければ落ちることはありますが、それは今までもそうだったし、事実、高い英検の基準や問題を同封して「こういう問題出しますよ。落ちることもありますよ」と明記している大学もあるわけで、だからといって試験だとそうは落とせないのが指定校。後者の大学は、「こういう問題解ける生徒を送ってね」という学校に対するプレッシャーにすぎませんので、あなたが「できなくても受かるでしょ」とか開き直らない限り、つまり、ちゃんと勉強してのぞむ限り、そうは落とせないのが指定校です。

主体性は、調査書とかポートフォリオとかですが、これは総合型選抜と学校推薦型選抜以外では結局何もありません。提出するだけ。推薦は今までだってしっかりやってたわけで何も変わらない。一部、一般入試で調査書を得点化する大学はありますが、まあ、大きい割合ではありません。

もうひとつ、英語などの資格は持っていることは学力でもあり、主体性でもあるわけです。こういうところは拡大しています。

で、最後に、思考力ですが、これは、国立の場合、二次でちゃんとやっていますが、私立は下手すれば、マーク、選択ばっかりですから、ここをちゃんと書かせよう、という動きがあります。

早稲田の政経、上智、青山学院あたりがその筆頭。共通テストで基礎学力をはかって、個別日程では1科目とか2科目にして、ちゃんと書かせようという動きです。

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立教は思考力ではないですが、入試が大きくかわります。

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共通テストの導入

もうひとつが共通テストの導入ですが、結局、

  • 外部検定は挫折=今まで通り
  • 記述が挫折=数学で10分長くなるけど今まで通り
  • 英語はリスニング100点記述100点=配分は大学が傾斜できるので、多くの大学は今まで通り。でも、確認が必要
  • 国語は現古漢セットで受ける=大学が最後は決めます的な通知が出てるので、今まで通り???

という感じなので、結局リスニングと国語には注意が必要でも、大事なのは、

「平均点が10%ぐらい下がるイメージ」

というぐらいでしょう。

これも発表する予定はないとのことですので、現段階は、平均点が10%下がるかもしれないけれど、とりあえず今までのパーセンテージで語るしかないよね、という感じです。模試もこれから、ということですし。

 

不安な時は安全志向に…一般入試はむしろ狙い目に?

さて、おさらいしたところで、何のデータもない、きわめて主観的な、経験による今年の予想に入っていきましょう。こんなもん、現段階はどうすることもできません。本当はデータ、データ、データですが、まだ昨年の入試結果もよくわからないし、今年の定員配分もよくわからないし、入試が延期になるかも、日程変更もわからないわけで、それでも、受験生はそろそろ、本格的に準備をしないといけないんですね。

昨年は、共通テスト前、という漠然な不安を前に安全志向となりました。

こういう時は、結局、一般入試の志願者が減っていきます。実際がどうなったかはデータで検証したいところですが、少なくとも、志願者動向を追った段階や、近いところの受験結果を見ても、やはり難化はとまったといえるような状況ではないかと思います。

今年、このような状況になってくると、地方私大がどうなるかはあまり経験なく読めませんが、地方から首都圏への流入が減り、地元志向、国立志向が高まりつつ、一方で推薦志向も強まっていくでしょう。

となると、総合選抜、学校推薦型選抜は、大学もとりたいし、受験生も出願したいという状況となり、倍率が下がるとは思いませんが、結果的には易化するような印象になると思います。たとえていうと、5人しかとらない大学に、精鋭の50人が集まってきたのが、定員が20人で、200人受けると、倍率は同じで難しいことは難しいけど、増える15人は今まで落とされていた45人から出るっていうような意味でです。

私大も、不安だから合格を出す気がします。だから、高校入試と違って出せば受かる入試ではありませんが、第一志望や現実的な第一志望なら、考えてもいいと思います。

そして、評定とかで出せないとしても、優秀な人から早目に受験を終えていきますから、第一志望を合格するには絶好のチャンスです。
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 弱気になればなるほど、あるいは、万が一、入試が重なって、併願がしにくい日程になればなるほど、優秀な人が合格をかっさらう確率が下がるわけで、

「推薦で優秀な人が抜ける」

「弱気な人でぎりぎり受かるかもしれない人が抜ける」

「日程が重なれば、高い大学に出す人が抜ける」

というような状況が生み出され、例年よりは受かりやすくなると考えられます。

とはいえ、それはまったく受からない人が、急に受かるというようなことでなく、ぎりぎりの人が受かる、というようなことですから、そこまではなんとか到達しておきましょう。

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入試は行われるのか?共通テストはとても重要な状況に…

さて、とりあえず、今回の最後は共通テスト対策です。

仮に、二つの状況を想定してみましょう。

  1. タイムスケジュールを遅らせ、2月に共通テストを行うが、やはり4月には入学を予定通りやりますよ、という場合。
  2. 1月、2月に感染が広がり入試が行えないものの、3月以降に収束した場合。

さて、1の場合、どう考えても、私立大学を中心に、日程のバッティングや多様であったはずの入試の短縮化が必要になります。上位大学は自分の都合で、どんと構えていればいいですが、そうでない場合、どんなことが起こるでしょうか。

私なら、「共通テスト利用」と「全学部入試」に統一していきます。その中で他大学とのバッティングを極力避けて、併願してもらおうと考えます。

変に個別日程にこだわって、他大学とのバッティングが生じたら受験生が減りかねません。そうなると、この二本を重視して入試を考える可能性があります。あるいは、ここをしっかりと確保した上で、つまり、定員をこちらに動かした上で個別入試を行うこともあるでしょう。

そして、この全学部入試は、「共通テスト型」の入試難度、形式である大学もあるわけです。

続いて、2の場合です。コロナで入試が行えず、なんとか収束したときに、考える手は何か?普通にやったら、収束してから2カ月入試が続きます。

ありそうだな、と思うのは、行えなかった共通テストをどんと行って、私立も国立も一気にこれで判定をしよう…なんていうこと。

本当に9月入学とか再燃させるなら、いいですが、たとえば3月とか4月に入試が行えるぐらいおさまっているときに、9月まで他学年含めて全部待たすのか、という議論にはなるはずです。逆に今よりもひどいくらい感染が広がっていればあきらめもつきますが、今ぐらいだとすると始めたくなるんじゃないでしょうか。

この案だと、入試行って、3週間ぐらいで全部決着する可能性がありますから、そこから2週間ぐらい入学準備があったとしても、たとえば3月下旬実施でGW明け入学は可能になります。

…なんてことを考えると、1でも2でも、共通テスト重視です。あるいは基礎重視です。

そういえば、文科省も、範囲とかレベルとかに留意して…とか言ってましたよね。数Ⅲの問題はあるから、理工系、医学系の先生はいやがるでしょうけど、共通テストだけにするとⅡBですんで範囲もこれは解決するんですよね…。

いずれにしても、何が起こるかわからない…という話です。もしかしたら、感染が収まって、秋は何の気配もなくなり、みんな普通の顔して普通の入試をしているかもしれないし…

でも、今年は例年以上に、「まず共通テスト」なんじゃないかな、と今のところ思っています。また、何か社会が動いたら書きます。