学びの真似び(まねび) 「学び続ける人」になるために(教育と受験と勉強法)

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大学受験出願校決定に向けて 2019年大学入試動向を考えるための補足。

いよいよ調査書をもらって出願に向かいます。ここで、2019年度大学入試動向に関して、もう一度確認をしておきたいと思います。

ここのところ、「2019大学入試動向」に多くのアクセスをいただいています。

www.manebi.tokyo

今年の入試動向がどうなるかを私なりに分析・予想したものですが、アクセスが増えているからこそ、もう一度、いくつか念おしで確認しておきたいと思い、慌てて書き足すことにしています。

 

私大入試動向を考える~難化・易化予想の意味

ここまでの入試動向については、各予備校から動向が出そろっており、新たな情報は入ってきません。各予備校とも、秋口の受験者が多いマーク模試を中心にデータを分析し、秋口の動向を報告しています。それを見て、実際の受験者が動くわけですから、本当にそうなるかどうかはまったくわかりません。

ただ、多くの受験生は、細かい情報を分析するまでのことはとてもできません。なので、秋口の模試で志望した大学を中心に、受験校を決定していきますので、それほど大きな動きがなく、決定していくわけです。

ただし、こういう分析で使う「難化」とか「易化」とかいう意味には、さまざまな使い方がありますので、そのあたりを確認しておきたいと思います。

 

基本的には、「昨年並み」。でも、「昨年」とは違う。絶対的な見方と相対的な見方。

まず、基本的にこうした「難化」「易化」という言葉は、「昨年の志望動向」と比べて使われています。

つまり、昨年同時期の模試と比べて、

  • 志願者が増えているか減っているか→増えていれば難化、減っていれば易化傾向。
  • 上位者が増えているか減っているか→増えていれば難化、減っていれば易化傾向。

のふたつの観点から分析されています。

これに加えて大きな要素になるのが、

  • 定員に変化はあるのか→増えていれば易化、減っていれば難化

となるわけですね。

ただ、当然こうしたものから見えない情報というのがありまして、それは、

  • 大学の個別の事情=推薦入試で集まりすぎてしまった、とか、ここ数年定員を下回ってとってきたため、今年は多くとりたい、とか、そういう事情。
  • 受験生の事情=そういうデータを見て、実際にどこに出願するかということ

といったことで、このあたりはどうなるかわからないといえるわけです。

さて、こうしたことを踏まえて、今年の動向について、各予備校はおおよそ

「昨年並み」

という分析をしています。

この「昨年並み」という言葉は、「厳しかった昨年の状況がつづく」ということだと思います。

なぜなら、一昨年、昨年と厳しかった理由は「大学の事情」、つまり定員管理の厳格化が求められたために、合格者を減らし続けてきた、ということがあるからです。

それに加えて、もうひとつは「受験生の事情」ですね。「厳しい」ということを肌で感じ取った受験生が、「受験校を増やした」わけです。このことが単純に倍率をあげることにつながったわけです。

でも、冷静に考えてみれば、より大きな影響は「合格減」のはずです。なぜなら、受験校を増やしたところで、入学できるのは1校ですから、合格が同じであれば、その分、追加合格が必要となるはずで、逆に確保するためには合格は増やす必要があったはずだからです。そうはならなかったのは、とにかく「入学者を減らす」、つまり、その「入学者一人を確保するための合格者数人」を減らす、という作業にあったわけですね。

で、今年です。

その観点だけで考えれば、

「昨年並み」か「やや易化」

です。なぜなら、定員管理の状態が維持された、もしくは、すでに1.0で管理している状態、あるいはいくつかの大学の定員管理からすればゆるくする必要があるからです。

しかし、見えない大学の事情もあります。それは「指定校推薦」や「AO・公募推薦」による確保状況です。いくつかの大学は戦略的に、こうしたものを増やそうとしているようですし、受験生の側からしても、「厳しいから早く決めたい」という意識が強かったはずです。これが、どんと増えているなら

「難化」

という可能性もないわけではありません。もちろん、ここでは書けないんですが、指定校を絞った、指定校が集まらなかった、という情報が入っている大学もあって、そういう大学は易化する可能性も当然あるわけです。

とはいえ、受験生の事情から考えていくと、

MARCH以上はやや易化

の可能性があります。これはすでに書きましたが、安全志向によって、受験生のチャレンジが減っているように見えるからです。もちろん、上位者動向はあまり変化がないので、予備校は

「昨年並み」

と予想します。妥当ですね。合格は昨年並みだろう、合格ラインより上の動向には変化がない、だったら「昨年並み」です。

しかし、今年のMARCH以上では、C判定付近から減っている状況があります。これは最後のイス取りゲームに参加する人数の減少です。となれば、座れる確率は間違いなくあがります。

受験は抽選やくじ引きではありませんから、参加すれば「当たる」かもしれないわけではありません。ある一定のレベルに到達していれば、その抽選に参加できる、というのが適当かもしれません。

でも、ある一定のレベルに到達さえ、していれば、競争が緩和されていることは間違いありません。その意味では「やや易化」だと私は思います。

そして、もうひとつ。

昨年の「難化」は、予想判定ラインを覆したことの衝撃があったのではないでしょうか。

そういう相対的な感覚からすれば、今年は「思ったよりきつくなかった」という声が出る可能性があります。特にMARCH以上では。

なぜなら、今年の模試判定がかなりきつくなっているように思うからです。うちの学校のデータでいうと、今年の高3の模試成績は昨年に比べて悪くないはずなのに、大学ごとの判定数でみると、どの大学も悪くなっています。いい判定を持っている生徒が減っているんです。成績は変わらないか、むしろいいのに。

つまり、今年の結果は、模試の成績から比べると、「妥当」か「逆転で受かった」になる数が増えるはず。

  • 絶対的な合格数はたいして変わらない。
  • 昨年は「判定がついていたのに落ちた」→難化
  • 今年は「判定通りになった」「判定はだめだったけど逆転した」→易化

というように感じるのではないか。同じ結果でも、です。

受験生の側からすると、だいたい、模試の得点や偏差値ではなく、判定を見て出願していく傾向が強いでしょうから、それも出願の安全志向に輪をかける要因になるんですが、結果については、判定と比べますから、終わってみれば「そうでもなかった」と考えるかもしれません。

もうひとつ、注意事項は、学習院以下の大学群は昨年と比べて、「難化」傾向にあるということです。安全志向が働いた結果、志願者も増え、上位者がたまっていることは間違いなしです。これは、絶対的にも、相対的にも、難化しそうな状況です。しかも、この大学群には、定員管理を失敗している大学も入ってきますから、さらに合格者をしぼる状況も考えられるわけです。

  • 絶対的な視点から考えれば、「難易度はあまり変わらない」
  • ただMARCH以上は、昨年以上に難化する要因は考えにくく、むしろ競争がやや緩和される。
  • 学習院以下については、厳しくなる大学が多い。さらなる難化を覚悟する。
  • 学習院以下をのぞき、予想は厳しく出ているので、MARCH以上で予想を上回る安全策に行く必要はほとんどないはず。

難度は極端に逆転しない。「大学間」「学部間」

さて、このような予想をしてくると、

  • MARCH以上は易化
  • それ以下は難化

などという言葉から、

「だったら、MARCH受けよう」みたいな話になってきます。

でも、こういう大学間の序列が大きく変わるような難易度変化はありえません。もちろん、長い歴史の中で、世間の常識が「A大学よりB大学」となるなら、ともかく、みなが行きたいA大学が倍率や雰囲気でみんながそれより下だと思うB大学の方が難しくなる、ということはありえないんです。原理的に。

みなが常識で、A大学の方がいいと思うなら、併願して両方受かった人は、ほとんどA大学を選びます。そうなるとB大学は辞退するわけですから、B大学は必ずその下のところまで合格を出さなければいけない。逆にA大学は、入学者が確保できるからその下の合格はいらないんです。

次のことを肝に銘じてください。

  • 絶対にMARCHの方が日東駒専より難しい。
  • 逆転はありうるが、それは模試の時より成長した人だけ。「E判定の学力」のまま、「易化」で受かることはありえない。
  • どんなに倍率が低くても、「学力」があがらなければ判定がついてない大学には受からない。

もし、あなたが上位大学の判定が厳しいとするなら、どんなに激戦であっても、それ以下の大学を受けるしかないし、そこが落ちるようなら上位大学はもっと厳しいんです。

だから、

「滑り止めにしたい大学の判定がつかない」「滑り止めにしたい大学の問題も解けない」のに、「上位は易化するかもしれないからチャンスがある」

なんていう思考は非常にあぶないと思います。

これは学部間でも同じです。河合塾などでは、2.5刻みでC判定ラインだけを提示しています。このぐらいざっくりとした方が、確かに実感として正しいんですが、同じに見えると、よく生徒が、

「同じラインだったら〇〇学部の方がいいです」なんていう風に始まります。もちろん、自分のやりたいことが大事ですから、それを優先しているなら、高かろうが低かろうがそれで行くしかないんですが、そうでない場合は、やっぱり「格」というものをちゃんとみた方がいい。

たいてい、この話っていうのは、「君がそう思うように、みんなにもそう見えているよね」っていう話であって、だとすれば、2.5刻みの中でも当然「同じ」ではなくて、差があるわけです。

こういうのをどうやって見極めるかというのは、次の3つ。

  • 違う予備校の判定ライン、志望動向をチェックする。
  • 昨年、一昨年のラインをチェックする。
  • チェックできないなら、あなたの思う「ふつうこっち」が、人気の学部

という感じです。要するに、こういう志望動向予想や判定ラインだけ見て、楽な方にかえると、後悔しますよ、ということです。

「アナウンス効果」は起こるのか?

 最後に、「アナウンス効果」について、触れます。

アナウンス効果は、みんなが難しいというとみんなが避けて逆に易化する、というようなこと。もちろん、狙い目だと情報が流れて逆に難化することもあるわけです。「隔年現象」というのはこの典型例ですね。

www.manebi.tokyo

 

最近の先生方は研究熱心で、だいぶこういった情報を集めるようになってきて、アナウンス効果は昔に比べると、起きつつあるような気がしますが、とはいっても、世の受験生の大半が、しっかりと情報を握って受験をしているとは思えません。

このサイトにしたって、山ほどのアクセスがあるわけではありませんし。

ただ、やはり人気大学、あるいは劇的な状況については、当然これは心配しなければいけません。

今回、気になっているのは、日本大学です。

www.sankei.com

www.manebi.tokyo

私のブログ程度であれば、アクセスも少なく影響は限られますが、予想通り新聞報道が出て、こうしてネットにあがってくると、アナウンス効果は怖いですね。

日本大学は、日東駒専の中では、数年前まで、頭ひとつ抜けていた感じでした。それを追うのが東洋大学、というイメージ。

一時期は、MARCHに限りなく近づいたような難度でもあったはずです。

今回は、

  • 東洋大が頭一つ抜け出して、明学や成蹊と同じような分布イメージになっている。
  • 日本大学は志願動向が大きく悪化している。
  • ただし、その分布は駒沢や専修と同じような形

というあたりです。

さて、これがどういう印象を与えているでしょうか。

受験生の動向としても、これだけ日本大学の動向が悪くなると、

「日東駒専に行けると思ってないけど日本大学ならチャンスがあるんじゃないか」

とか、

「滑り止めを作るんだったら、安全に日本大学がいいんじゃないか」

とか、

いろんな動きが出そうな気がします。

でも、注意が必要なのは、決して日東駒専で、「日大だけが入りやすい」というわけではないということ。もともと高かったですから、それが今年に限って落ちてきただけの話です。日本大学志望者にとっては当然朗報ですが、もともと考えていなかった人が狙うのはどうなのか?と思います。

話を戻しますが、ともかく心配なのは、こうしたアナウンス効果が今年はどこまで起こるのか、特に日本大学、ということです。

あまりに数字が劇的すぎるので、どうなるかがちょっと私も読めません。

とはいえ、過去の例を見る限り、ここまで減少しているものが増加に転じるようなことはありえません。だから日本大学の易化は間違いないと思います。

でも、どこまでの易化なのか?このデータ通り、抜け出ていたアドバンテージを完全に失って、駒沢・専修と同じぐらいか、それ以下になるのか。それともアナウンス効果がおこって、東洋と駒沢・専修の間ぐらいで落ち着くのか?

そもそも日大系列の推薦動向はどうなっているのか?

わからないことが多いですが、そんなことを動向予想としてあげておきます。

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