共通テスト英語民間試験「成績提供システム」が中止になり、一応の決着を見つつも、今後の不透明さがぬぐいきれない印象の中、共通テストの英語の方針が見えてきたようです。
一度、「やる」と言っていたものが「やらない」と、しかもこんな時期になった以上、これから何を発表されても、「またこれから変わるんじゃないの?」という疑心暗鬼しかありません。
事実、「国語・数学の記述」も「英語の配点」も問題にしていくようですし。
今の高校2年生にとって、あと1年しかないわけですから、がたがた言ってる場合じゃないと思うんですが…。まあ、準備していなければ、変わらない方がいいってことなんでしょうかねえ…。
英語は今のところ、「リーディング100点、リスニング100点」で、「配点変更はしない」と言っています。そして続いて、こんなニュース。
センター試験と共通テスト試行調査では何が違うのか?
大学入試に直接かかわっていない方からすると、見出しの「英語、出題は「読む・聞く」のみ」なんていうのを見ても「当たり前だよね」としか思えないと思います。
ただ、ここで言っているのはそういうことではなく、センター試験から共通テストに変わるときに、カットされた問題がある、ということなんです。
たとえば、センターの場合、第1問が、発音とアクセントでした。もちろん、記号選択ですね。そして、第2問が語法ともいえると思うんですけど、( )に適切な語を入れたり、並べ替えをしたりする問題だったわけですね。
これが、記事中の「間接的な話す・書くを問う問題」。
こうしたものが、4技能を問う民間試験を入れるわけですから、どんとカットされて、読解問題ばかりで構成されていたわけです。まあ、いろんなパターンの読解なんで、資料とかそういうパターンもあるわけですけど。
で、民間試験がなくなったわけで、ということはスピーキングとライティングがなくなったわけですから、リーディングの部分も、また元に戻ったりするのか、ということが大学受験に関わっている人は心配していたわけです。
「心配」なんて書くと、またどっちがいいのかって話になります。
でもね、もう1年なんですよ。模擬試験だってね、高2の春から、ずっとセンター対応のマーク模試やるわけですよね?それ、どっちで作るの?って話なんです。心配して当たり前。正論でいえば、「どっちでもいいように対応するのが、本当の教育」ってことなんでしょうが、そんなこと言うなら、模試なんて禁止すればいいし、参考書も作らせなければいい。だって、もう1年なんですよ。
というわけで、「配点は変えません」「民間試験がなくなっても試行調査の出題方針です」ということが発表されました。
一応、英語の変更点をざっくりとまとめます。でも、本当は予備校のホームページに行くと、しっかり分析してありますし、そもそも大学入試センターをはじめ、各予備校でも試行調査そのものの問題が出ていますから、しっかり現行センターと比べましょう。
- 試験時間などに変更はないものの、リーディング100点、リスニング100点になる。
- もちろん、上記は各大学が傾斜配点をする可能性があるし、たとえば東大は自前でリスニングを課すため、センターのリスニングは使っていないが、そういうこともどうなるかは各大学次第。
- 英語に限らず、平均点は50%程度で、公表された評価を見る限り、「反省」していない。ただし、最新の発表では、狙っている平均点については「非公表」の方針とのこと。
- リーディングは、現行の第一問(発音・アクセント)、第二問(語法・並べ替え)がそっくり消えた。基本的に第三問以降の形が多い。会話文形式もなくなっている。図表を扱う問題などは当然増えている。また、文法・語法が問われていないわけでもない。
- リスニングは、6問で後半の3問が一回読み。しかも狙いは後半B1レベルで作っていることが発表されているので、大変。
- 図表や資料の読み取り、複数の情報や意見からの判断など、今までとはやや違うレベルと見てよい。
というわけで、「上記のままです」ということなんですが、もはや何も信じられない状態です。
反対の意見があがっても、しっかりやってくれるのか?
いや、この記事もおそろしいもので、大学入試センターが発表したんじゃなくて、リークなんですよね。上記のような方針であることを、11月末に発表しようとしていると。
もはや、この状況では、こういうことのひとつひとつが、疑心暗鬼です。
もしかして、また政治的な意図が働いているのか?
もしかして、ここでリークしておいて、反対意見を広く出させて、また、「センターのままでいいよね?」という方向に持っていこうとしているのか?
順番から言えば、次につぶしたいのは、「記述」なんでしょう。きっと。
で、それもなくなったら、残るのは、事実上、英語の配点と出題変更。
これをつぶせれば、めでたく「事実上のセンターのまま」の出来上がりですから。
順番に、記述つぶして、配点戻して…ってやってたら、いくらなんでも間に合わないですもんね。
…なんていうことを、いくら発表されても、勘ぐってしまう今日このごろです。
個人的な最近の思考でいうと、こういう風になればなるほど、受験テクニックで安易に教えることがだめになっていき、本格的に教えることが必要になっていくなあ、と感じるわけです。
もしかして、そういう塾業界的なものに壊滅的なダメージを与えるために、こういうことをやっているのか、なんて思いさえしてしましいます。まあね、学校の若い先生なんかも、本格的に教える…なんてことはもはやできないんですけどね…。
どうなっていくんでしょうね。不安しかありません。