さて、いよいよ最後の模試の結果が返ってきて、結果が出ているにしろ、出ていないにしろ、併願校をつくらなければいけません。今日は併願校決定の決め方。ベターをベストにして、合格校を作る作戦です。
ここまで、併願校の決め方について、順を追って説明してきました。
ここまで、模試の結果をふまえて考えること、浪人するにしても必ず合格をとるような作戦を考えること、そして、実際に何校ぐらい出願するのか、ということを考えてきました。
そして、最後の模試が返ってきたとき、自分なりにベストで行きたいものがそうでなくなっていくこともありうるわけです。
今日はそれをふまえて、いろいろな角度から「ベスト」から「ベター」に変更して、合格校をとることを考えてみます。
- 大学の場所や学科をちょっと変えたらどうなるのか?
- 大学入試方式を自分に有利なものを選ぶ
- 隔年現象に注意~倍率や予想%を見るなら最低3年
- 問題傾向は自分にあう?大学で作る大学と学部で作る大学
- 定員管理と定員の増減。新学部、新キャンパスは2年目にブレイク!
- バッティングと実際の入試日程を組む(予告編)
大学の場所や学科をちょっと変えたらどうなるのか?
さて、まずはこういう作戦です。
「早慶上理」「GMARCH」「日東駒専」なんてくくりがありますが、実は学科が変わるだけで難度が変わる、というのはとてもよくある話です。
ちょっと考えてみましょう。
たとえば、大学のレベルが問題にされますが、理工系の場合、
早稲田が65ぐらい
東京理科大が60前後
芝浦工大が55ぐらい
なんてアバウトに思っていると思います。
確かに建築で見ると、きれいにこういう序列がつくんですが、ここでふたつの確認をしてください。
学部の場所が難易度に影響する
たとえば、東京理科大は工学部は千住キャンパスが基本。理工学部は千葉県の野田市になります。神奈川とか東京の人から見るとかなり遠くに通う印象ではないでしょうか。
今回のスライドは、河合塾のvol3で作ったところ、たまたま同じになっていますが、例年2.5、1ランクは難度が違います。今年でも機械は62.5と60で1ランクの差がありますし、1年長万部にいく基礎工はやはり55~60に分布します。
法政大学でいえば、経営と経済がこの関係にあたり、市ヶ谷という都心の経営が人気で、多摩にある経済がたいていちょっと落ちます。
日大とか東洋大とかで極端に低い偏差があったら、だいたい地方キャンパスになります。そりゃ近い方がいいですけど、そこに妥協はできないのか、ということ。
学科を変えれば難易度に影響する
そして、もうひとつが、学部ですね。
さっきの早稲田・理科大・芝浦の例で言うと、建築なので高いわけです。ところが、同じ系統の土木にすると、
理科大理工土木57.5
芝浦土木は50
となります。
芝浦建築60、理科大理工土木57.5ですから、芝浦より理科大が上だよね的価値観でいうなら、土木に志望を変えれば、芝浦の生徒が理科大に入れるわけです。
いや、志望が優先だとしても、現役試行なら、芝浦の土木を併願にいれれば、建築がかなり厳しい生徒でも、合格がとれるかもしれない。もちろん、もう1ランク2ランク下げて、50レベルの建築学科を探す、というのが筋ですが、こういうやり方もあります。
今年の場合、情報系統が人気です。
理工系でここ数年人気が高いのは、建築、機械、応用化学。
逆に低いのが、土木、電子、電気、土木。
建築から土木に動けないのか。
機械や情報から、電気・電子に動けないのか。
応用化学から、材料に動けないのか。
もちろん、やることは変わりますから、ちゃんと考えなければいけないけれど、入れなければ意味がないことも事実ですから、よく考えましょう。
情報系は難化。だから、機械を追い越したかどうかはわかりません。やっぱり機械の方が難しいようにも見えます。
文系でいえば、ここのところの人気は
国際・心理・私立の小学校教員養成系
です。
もともとのことでいうと、法学部はどの大学でも絶対的エースの可能性が高い。「政治経済」なんていう名前もそうですね。
それから、ここのところ、「社会科学」は低いことがない。たぶんその大学ではすごく高いはずです。
経済は不人気で、それよりは経営の方が人気。順番で言えば、高い順に、経営、商、経済ですね。もっと不人気は文学。
だから、国際から文学に動けないか、社会から文学に動けないか。心理から教育学や文学、哲学に動けないかあたりも検討事項です。
大学入試方式を自分に有利なものを選ぶ
今度は入試方式の話です。「センター利用」「個別」「一般」というような方式間での難度の差もありますが、このあたりになると、定員配分と大学のポリシーみたいなものがからんでくるので、一般論ではいえず、あくまでも大学別にみることになります。ここでは、そうではなくて、個別の入試方式などの話です。
有名なのは慶応の商や経済。年によって難度予想は変わるとはいえ、A方式、B方式の差は理解しましょう。
数学が必要なA方式と、数学なしで受験できるB方式。そしてA方式の方が定員が多いとなると、数学を捨ててしまった私立文系はB方式に殺到するわけで、結果難易度がかわります。
もうひとつ、今年は東京理科大のグローバル方式をあげます。これも学科によって差はあるものの、難度予想は一般と同じかもしくは必ずグローバル方式が低い。理科大の受験生を基準に考えた場合、資格をもっている受験生は多くない、ということでしょう。
当然、これはセンター利用の多科目入試にもいえます。立教大学は4科方式をやめて、6科方式に変えてきました。これで完全に国立型の生徒でないと受験できなくなります。おそらく、3科方式よりラインは下がると予想できます。
でも、苦手科目があるなら、それがない方式も重要。
法政は統一日程のT方式が2科目入試。日本史世界史がどうしても穴になってしまうなら、激戦でもここにつっこむ以外手はありません。
国学院は、バランス型、苦手カット型、得意プラス型など、定員を3分割して行います。英語を重視するパターンはメジャーですが、こういう受験型もここまでくると作戦に組み込む必要があります。
隔年現象に注意~倍率や予想%を見るなら最低3年
つづいて考えるべきは「隔年現象」です。
これを説明するのに一番わかりやすいのは、立教大学経済学部センター3科目型です。
昨年のこの時期の河合vol3の予想偏差は、
経済 85%
経済政策 86%
会計ファイナンス 86%
でした。これを見てどう思います?
「あれ。一番行きたい(無難な)経済が85%だぞ。経済政策とか、会計ファイナンスってよくわからないし、経済にしよう」とか思いません?
で、実際の結果というか、センター試験直後の自己採点集計時の予想で、
経済 84%
経済政策 80%
会計ファイナンス 80%
となるんですね。気持ちはわからなくもない。
こういうのを隔年現象っていいます。私の経験上、お父さんが倍率調べて、低いからここにしろ!なんていうことが多いです。
調べるなら、3年分ぐらい調べて、隔年現象が起こりやすいかどうか確認することは必須。そもそも倍率と偏差値で、倍率を信じるっていう理屈もよくわからないんですが…。
ちなみに今年の河合塾の立教経済は、
経済 87%
経済政策 84%
会計ファイナンス 81%
となっています。経済学科は本来一番人気ですから、ほかに動いて一番低くなるかというと、そうではないかもしれませんが、会計ファイナンスと経済政策は逆転して、会計ファイナンスの方が難しくなると私は思います。出すなら、経済政策ですね。もちろん、何の根拠もないので、保証はしません。ノークレームで。
ちなみにこれは、定員が少ない、国立の中学校教員養成系と外語大のマイナー言語では、センタリサーチ後の大移動という形で毎年起こっています。
問題傾向は自分にあう?大学で作る大学と学部で作る大学
つづいて、本当に併願校であるとするなら、入試問題の傾向も大事です。
何度か説明してきましたが、入試問題は、大学でまとめて作っている大学と、学部ごとに作っている大学があります。
学部ごとに作る方が癖がでやすい。出る分野が偏っていたり、毎回出る分野があったり…経済、経営、商などではそもそも範囲が「近代以降」なんて指定されているケースもありますね。
本命大学が、歴史の「近代以降」指定が入っているのに、併願校は大学が作っていて、センターみたいです…なんていうのは本当に大丈夫か?特に範囲がからんでくるなら、これもしっかり確認したいところ。
逆に第一志望がバランス型なのに、併願校ですごく特徴的な入試や範囲にされてしまうと、対応できるのか、という問題も起きますね。
ちなみに分類は以下の通り
学部型
早稲田・慶応・明治・青山・中央・法政・理科大・成蹊大・日大
大学型
上智・立教・学習院・成城・武蔵・明学(ただし問題に特徴がつよい)・東洋
中間型~学部ローテーションや学部に合わせて若干癖があるなど
法政は同一日程は学部ローテーション、上智は英語などの日程は英語がやや難しく設定されている。
定員管理と定員の増減。新学部、新キャンパスは2年目にブレイク!
これは調べきれない部分がありますが、定員厳格化が複数年にわたるため、定員管理状況や、定員を増やしたか、減らしたか、などによって難度はあきらかに変わります。
最近では、早稲田が減らす方向に進んでいることが有名ですね。今年は教育で減ります。
定員管理の問題は、明治と理科大が去年下回る発表なので、ことし増える可能性が高いとみています。 逆にオーバー気味の大学は危険。成城とかね。
というわけで、上でそんな話をしています。
また、新学部、新キャンパスは人気が出そうなもんですが、私が過去みてきたかぎり、よほどの有名大学でない限り、あるいは人気系統でない限り、意外と一年目は落ち着いていて、2年目でブレイクすることが多い気がします。
定員厳格化がなかったころの話になりますが、おそらく、お金がかかっているため、いっぱいとりたい、という大学側の事情もあるような気がしますね。ただし、現在は定員厳格化のおかげで、定員通りにいくしかない。
2年目、落ち着くか、というと意外と2年目こそ、周知されて人気になったりしますから、注意しましょう。
バッティングと実際の入試日程を組む(予告編)
最後です。これは、駿台の資料を見て、系統ごとに書きますので、予告編。バッティング、つまり、入試日程がかぶることによって、狙い目ができることも多々あるんですね。
まず、昨年から日程が動いた場合。バッティングが生じれば、受験生は分散しますし、解消すれば、受験生が増える可能性があるわけです。
昔、早稲田の法学部が今の日程になるときに、上智と学習院がいる日程に入ってきたんですね。そうすると、昨年まで併願できたものが、今年はどれかを選ぶ必要が生じるわけです。上智や学習院の受験生から、早稲田の受験生が消える。つまり、上智と学習院にチャンスが生まれるわけです。
だから、新たな日程移動は研究が必要。
もうひとつは、移動がなかったにしても、混んでいる日程はチャンスが多い、ということです。そういう日程こみで難度が決まっているわけですから、数字以上のものではないかもしれませんが、上位者併願が多いか、そうでないかは受かりやすさに違いが出ます。
受かりたいのなら、併願関係にある上位大学とバッティングしている大学を受けるべき、ということになります。
というわけで次回は、そんな話の予定です。