学びの真似び(まねび) 「学び続ける人」になるために(教育と受験と勉強法)

学習の仕方に困ったことはありませんか?ここでは、「真似び=学び」という形で、さまざまな学習方法へのアドバイスをしていきます。学習の仕方に悩んだら、受験勉強で行き詰まったら、ぜひ訪れてみてください。効果的な学習方法を知って、学び続ける人を目指しましょう!

大学入試における「国語」の重要性~合格するために理系がやるべき国語の学習など

高校1年生、2年生が大学受験を一番意識する時期だと思います。今日は、「国語」の重要性について、国語教員の立場から説明します。

先輩たちの大学合格の結果を見ながら、大学というものをにわかに意識するのが、全国の進学校の生徒たちの現在だと思います。そうなってきたときに、一番軽視されやすいのが「国語」。国語の重要性を、特に理系の生徒に向けて説明したいと思います。

 

大学入試の現状~私立の難化と国立では推薦・AOでもセンターの得点が必要

まず、大学入試の現状をもう一度おさらいしましょう。

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 私大では、定員厳格化(110%まで進んで3年間すえおき)が進んで、難化の一途。

国立では定員をどんどん推薦・AOに回して、小論文とセンターの得点。

私立が慌ててさらに定員を推薦・AOに回す。

英語の4技能は私大でもどんどん取り入れられる。

共通テスト実施にあわせて私大でも、5教科課す動きが出始める。センター利用では、東洋が2科目3科目をやめて4科目に、立教は4科目をやめて6科目に。

名目上は、2021年度入試から「知識技能」「思考力」「主体性」をどの入試形態でも必ず問う…。

これが大学受験の現状です。こうなってくると、次のようなことが起こります。

  • 私立大学が難化している以上、国立も視野に入れておかないと厳しい戦いになる。→5教科7科目
  • 国立を狙うとなると、定員が回される推薦AOから考えるべき→研究・探究活動やボランティアが大事だが、センターの得点も必要
  • 私立大に目を向けても、多科目利用が増えていて、国立併願者を確保しようという動きが明らか。
  • 一方で英語四技能検定もとったら有利になるから、特に2021年度入試からは、高3の6月には入試が始まるような状況に。
  • 当然、この流れでも、激戦の私立大学は併願して受からないとまずい。

こんな感じです。

結論から言うと、

  • 5教科7科目をやる
  • 課外活動もがんばる
  • 英語もがんばる
  • 小論文の準備もしたい

ということです。こうなってくるとやることたくさん、どうしよう…となるのは、目に見えています。

こうなればなるほど、最後の受験生としての1年では、国語が軽視される傾向になるでしょう。

国語の目標は?国語60%で有力校は厳しくなる…センター80%をとるには、満点を狙う意識が必要!

しかしながら、有力国立大学を狙うなら、センターで80%は必要です。私大GMARCHのセンター利用だと3科目は90%目標になってきているぐらい。

センター80%というのは、720/900です。実にマイナス180点しかない。

もし国語が60%になると、120点ですからここだけでマイナス80点。

つまり、1科目で80点貯金を使って、残り6科目で100点の余裕しかなくなるのです。

あくまでもうちの学校のデータですが、国語で120点を下回って、7科目で80%を越えるのは、実に2、3年に1人。

そのぐらい難しいことなんですね。

では、国語で80%をとるためには?

それは満点を狙うしかありません。これが国語という科目の特性です。これはほかの科目とは大きく違います。

  • 数学…難関大受験者は満点狙いで満点に近い得点が必要。文系で中堅大学だと数ⅡBに関しては60%程度狙いということもありうる。
  • 物理・化学・日本史・世界史…満点をとるには時間がかかるが、必ず満点が狙えるので、時間をかけてでもとりにいきたい科目。
  • 生物・地理・現代社会・倫理政治経済…比較的短時間で70%前後までたどりつけるおいしい科目だが、満点をとるのはきつい。一般常識や運用力、時事的な問題など、あらかじめカバーするには範囲が広すぎて、最後の10%ぐらいはつめるのが大変。
  • 英語…やるしかない!

こんな感じです。よく巷で、「満点を狙える科目」「狙いにくい科目」「狙わなくていい科目」なんてことが言われますが、科目特性がありますね。

たとえば、理系の人が社会の科目を選択する場合、

  • 地理…比較的少ない労力で70~80%にきやすいおススメ科目。
  • 日本史・世界史…東大理Ⅲなど、高得点がほしいときに満点を狙うための科目。ただし、私大文系でも日本史・世界史を仕上げるのにものすごい労力をかけていることを忘れずに。日本史と世界史だと、日本史の方が細かいがつめやすく、世界史の方が満点はとりにくい傾向がある。

こんな感じです。労力をかけたくないなら、絶対に地理。(4単位科目ならほかに「倫理政経」、2単位OKなら「現代社会」)どうしても満点がとりたくて、代償として、文系並みの歴史に対する学習時間を投入できるなら「日本史」ということですね。

こんな文脈のときに、「地理で満点を狙う必要はない」なんて言う風に使われます。

では、国語は?

国語は、「満点が絶対にとれないけど、満点を狙う学習を必要とする科目」です。

だから、「満点をとれなくて気にしなくていい科目」ではありますが、地理や現社のように「80%までとれたらあとはほどほどで」というわけにはいきません。

たとえば、です。

現代文が1問ミス、2問ミスで安定しているとします。どう評価しますか?

国語の場合、1問が7点ですから、評論で2問、小説で2問ミスると、この時点でマイナス28点になる確率が高いです。そうなると古漢満点でも、172点で86%です。まして、古漢の満点が無理、となると、もう80%は厳しいということになります。

さらに、です。「調子悪いと、現代文は50%のことも…」なんていうことになると、この段階でMAX150点ですから、75%。古漢満点でも、です。

そうなると、現代文も「1問2問のミスならいいよね」というわけにはいきません。どうしてその選択肢を選びそこなったのかの理由付けをしっかりしないと。

まして、古漢の、覚えればすむような話を放っとく話はないんですね。

だから、国語は「満点を狙う科目」です。

実際は、それはすごく難しい。だから「満点がとれなくてもいい」んです。

わかりますか?この感じ。この特殊性が、国語の独特の部分です。

理系:2年の秋・冬でほぼ決まる。高3では英数理で手一杯に…

理系のみなさんには、いくつかのポイントがあります。

理系は文系に比べて、学習の成果が出るのに時間がかかります。手続き記憶と陳述記憶という説明をよくしますが、

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理系の科目は、手続き記憶型のものが多いことが特徴です。つまり、公式を覚えるだけではだめで、使えるようにしなければいけないこと。問題の解き方を覚えるだけでなく、それをいっぱいやるうちに、組み合わせ方やひらめき方を身につけなければいけないわけです。シンプルにいえば、問題演習型ということですね。

となると、既卒生に圧倒的に負ける部分です。だから、早くから取り組んで、入試直前でも演習を重ねて、既卒生を追いこんでいくわけですね。のびる部分ともいえます。

でも、誰もがのびるかといえば、そうではない。正確に言います。全員が伸びるし、伸びる量も一定だし…違うのは、スタート地点。つまり、高2の秋冬にある程度のことが終わっていないと、もう現役での受験には間に合わない、ということが起こるんです。理系は。

文系は違います。陳述記憶、つまり暗記で相当の部分をしのげますから、ものすごい大逆転も起こるんです。英語をなんとかしておけば。

理系に戻ります。

仮に一定のレベルにいたとしても、数学・理科の問題演習が圧倒的に不足しています。もしかしたら、数学・理科はまだ全範囲終わっていないかもしれません。

それをやりながら、演習をしないといけない。しかも主たる範囲は、高3で今やっている部分。しかも、1・2年の復習も必要…。

これが理系の高3イメージ。だから、国語やってる場合じゃないんですね。

地理ならやらないとまったくできませんが、国語はやってないのにある程度はとれるし…。だから、まず国語は放っとくんです。

で、さっきの話で言うと、120点とったら、これですべてが台無し…。

じゃあどうすればいいでしょうか?

答えは簡単です。高2の秋冬までにある程度の成績を残せるようにすればいい。それだけの話。だって、高3になったら国語に時間をさけないし、国語に時間を割かないで120点とったら受験は終わりだし。

簡単。

つまり、今、高1の人は、あと1年間、特に古文漢文を大事にしてください。ということです。

今、高2の人は…。やってなければ終わりです。が、そうもいってられないとするなら、あと1カ月、そして春休み、ぎりぎりゴールデンウィークで、なんとか基本的な単語とか文法とか句法とかはいれておかないとだめです。「夏休みになったら…」なんて言わないではやめにやりましょう。

 

文系:私大は、英語・歴史・古漢に穴があるとMARCHはありえない。早稲田は現代文、慶応は小論までつめないと合格はない…

文系の場合、国語をやらないことはありえないでしょう。それをベースにすれば、なんとかなります。どんなに時間がなくても、やるに決まってます。主要科目ですからね。

でも、ここでも注意してほしいのが、国語の優先順位はその中で最後になるんですね。

まず英語。

そして、数学・社会。

で、国語。

これも、まず古文。そして漢文。最後に現代文。

この順番自体は仕方ないし、ある意味で妥当だと思います。

でも、覚えておいてほしいのは、厳しい入試状況の中で、特に私立文系はちょっとしたミスで取り返しがつかなくなるということ。

そもそも文系は理系と比べて「全勝」って早慶レベルが入ると難しいんです。その日のちょっとした調子で落としたりするんですね。英語とか古文の長文で思い当たるふしのある人もいるかもしれませんが、なんといってもそれは「現代文」ですね。

これがあるがために、東大受かってるのに、明治ひとつ落としたとか、慶応も早稲田政経も受かってるのに、社学だけだめだったなんてことが起きるのが文系。

ミスが許されないんです。

しかも、今は、定員厳格化のおかげで、ものすごく厳しい入試になっています。今年も滑り止めにしたいところが難化する、という地獄のような様相になっている。

となると、古文漢文に弱点もってる場合じゃないんですね。

過去見てきた例でいうと、どんなに英語が得意で偏差値75あっても、歴史の偏差値が河合ベースで50~5ぐらいだと、MARCH全滅するみたいなことが起こります。

だから、みんながとれるところを落としてはいけない。

そして、早稲田慶応とりたいということなら、現代文や小論文まで自信を持って書ける、解けるところまでもっていかないといけない。合格最低70%こえてきますからね。文章を読んで、わけわからなかったら、その時点で終わり、ぐらいの覚悟をもって勉強してほしいところです。

国語の勉強時間をどうやってとるか?

さて、国語の重要性はわかりましたね。

でも、大事なことは、国語の優先順位をあげてはいけないんです。

理系なら、英語、数学、理科が大事。国語はその次です。

文系なら、英語、社会・数学が大事。国語はその次です。

だから、勉強時間は必要なんですけど、山ほどやってる場合じゃないんです。もちろん、できなければ増やすしかないんですけど、ほかの科目の時間減らしたくないんですよね。

というわけで、まずは授業。

何も使わないで予習。

しっかり予習します。なぜなら、まずは自力で全体を読む練習が必要だからです。

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いきなり辞書なんか使っちゃダメです。本番で使えないんだから。

こういう練習を、授業に合わせてやるのが一番の時間短縮。で、まずは「予習」して、わからないところをリストアップできるかどうか。

だいたい次のように分類します。

  • わからない…訳せない、訳せるけど意味が通じない、品詞分解できない、単語の意味がわからない
  • 確認したい…だいたいあっているはずだけど、自信がない。あっているかどうか教えてほしい。
  • 説明してほしい…理解はできるし、フィーリングでもっていけるけど、原理がわからない。類似する文法事項などを原理として説明してほしい。

などなど。

これって、受験勉強をする手順だってわかりますか?

「わからない」ところがあれば、辞書や文法書を開いて、自分で解決しないといけない。どこを開いていいかわからないとすれば、そもそも覚えようがない。まずは、「わからない」ときは適切な道具をみつけて、それを使って解けるようにして、その上で、それを覚える、という手順なんです。

でも、どこを開けばいいかわかりますか?

だから説明を聞いているだけ、訳や答えを聞いているだけではだめで、それがどこに書いてあるか、どうしてそこだと気付くのか、などを聞かないといけないんです。

そのためには、自分でチャレンジして、そのあと説明を聞くのが有効。そうすると、自分がどうしてそこに行けないかわかりますから。先生の説明が答えをぽんと出てきたら、聞く。

「この単語は基本重要単語だからおぼえてないとだめ」

「この単語はほかにもこういう意味がある」

「紛らわしい語の識別にあるけど、こういうところで見分ける」

「こうだとすると、こうなっていないといけないから、この解釈はなし。だからこうなる」

「ここだけではわからない。前後にこういう表現があるから、組み合わせるとこう意訳できる」

などなど。答えだけ聞いてるとだめなんですね。

というわけで私の一言アドバイスは、

「何も使わないで、範囲を全部読んでおく」

です。

最低限、このぐらいをやって、あとで泣かないようにしましょうね。

授業で説明してもらった文法や単語は「覚える」。

こうやってしまえば、説明で必要なものが、参考書のどこにあるか覚えるだけ。これは家でやってもいいですが、授業中に解決するようにしましょう。授業のうちに確認して、授業のうちに覚えてしまう。

これが大事です。

これ以上に得意になりたいとなれば、家庭学習、プラスアルファの学習が必要になります。そのときには、私のサイトを使ってくださいね。

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