学びの真似び(まねび) 「学び続ける人」になるために(教育と受験と勉強法)

学習の仕方に困ったことはありませんか?ここでは、「真似び=学び」という形で、さまざまな学習方法へのアドバイスをしていきます。学習の仕方に悩んだら、受験勉強で行き詰まったら、ぜひ訪れてみてください。効果的な学習方法を知って、学び続ける人を目指しましょう!

マインドマップで逆算思考!「算数・数学」が苦手な子の問題点。目標を達成するための第一歩は何?

 マインドマップの利用方法の3番目、逆算の思考を鍛えるための使い方について説明していきます。

 マインドマップを使ったノート術について、説明してきました。

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今日は、「逆算」思考を育てることを考えていきます。その中でも、具体的に算数、数学の苦手な子の問題に踏み込んでみたいと思います。

 

マインドマップの主な利用方法は3つ。「整理」「発想」「逆算」

マインドマップについては、すでに簡単に説明してきました。大きくわけると使い方は3つです。

  1. 整理・分類して記憶する。

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    これはいわゆるノート術の範疇です。まとめノートを作って学習効率を高めるというやり方ですが、学習の効率を高めるためには、「見出し」を意識することが大切で、そういう力をつけるためのものです。

  2. 発想を広げる。まだ、説明していませんが、発想をどんどん広げていくやり方です。これも数学の問題に若干からんできます。
  3. 逆算をする。実はこれがものすごく学力と関わります。今日はこの部分を数学を例にして鍛えることを考えたいと思います。

ということで、使い方でいえば、2の方がメジャーなんですが、数学だけで考えると、どうしても、3の方が難易度が低い、というか、苦手な子が得意にするのが3なんですね。数学だけでいうなら、2が得意にしていく、というためのもの。

なので、順番は逆になりますが、「逆算」から考えてみたいと思います。

「逆算」の発想の必要性~目標達成のために。

マインドマップの使い方の話の前に、「逆算」の話をします。

これが普通にできるかどうかが、究極をいえば、まずは成績の大部分をしめているんです。教員としてやってきて学んだことですが、「逆算」の発想はどんどんなくなっています。

おそらく、この対立項が「マニュアル」とか「指導」なんですね。つまり、何をやればいいか、常にマニュアルがあって、常に指導されてきているんですよね。だから、簡単にいうと、自分で計画が作れないんです。あるいは自分で何をするか考えられないんです。

残念ながら、塾全盛、参考書全盛のこの時代、だんだん厳しい時代になっているような気がします。

言われたことを積み重ねていく学習。目の前に与えられたことを片付けていくと、合格に近づく。

そういう風に作ってくれているからです。

たとえば、各種のネット系教材の中には、やっていくうちに苦手なものを、向こうが自動的にデータを蓄積して、またそれを出してくれたり、たとえば、数学のある分野ができなかったとすると、それを解くための前提となる分野の確認問題を出題したり、大学受験だったら、目標大学に合わせて、問題をどう出すかを目標と実力に合わせて出題したりとか、すごいものがいっぱいあります。

もちろん、合格するためには効果的なサービスです。苦手なところや苦手の前提になっているところを中心にわかるように問題を設定してくれるなんてすごいサービスです。本当にありがたい。AIというかデータベースは、下手すれば、大人数扱っている教員なんか勝目がないかもしれません。

でも、それを考える力は、生徒からどんどん削ぎ落とされていきますよね?どう考えるか難しいところです、というか、はっきり言えば、私は問題だと思います。

成績が厳しい子をなんとかするには有効だとしても、難関大を狙う子になるとは思えないし、仮に成績がキビシイにしても、どうするかを考える手助けをしてやる方が、その子のためになると思うからです。

このキーワードが「逆算」。目標のために、必要なことを考える力です。

要するに、試験までの期間があるとすれば、

  • 試験までに範囲が全部終わらないといけない。
  • 範囲が終わるだけでなく、定着しているか確認しないといけない。
  • 定着していなければ、やり直す期間も設定しないといけない。
  • 定着しているか確認するためには、どのように問われるか考え、様々なパターンで学習しないといけない。

ということです。

逆算ができないと、

  • 毎日一生懸命やった結果、試験までに範囲が終わらなくても気にならない。
  • 試験までに試験範囲が終わらないことに気がつかない。あるいはぎりぎりになってようやく気がつく。
  • 問題集の答えを覚えて、答えで問われて問題が答えになる可能性を考えない。
  • 以上のような状況であるにも関わらず、一生懸命やったから結果で出るという期待をしている。

というような状況になるんですね。

思っているより、

「目の前のことを一生懸命やる」

裏返したときに、

「全体像を意識して残り時間でどこまで到達したか意識していない」

生徒は多いです。大多数といってもいい。

自分の胸に手をあてて考えてみるとよいと思います。だから、私は、「逆算する」力を育てることは、今後の教育の大きなテーマとして、もっともっと意識されるべきだと思います。

「算数・数学」が苦手な生徒の特徴

さて、今日は算数・数学が苦手な生徒の特徴にフォーカスしていきたいと思います。算数や数学が苦手な場合、大きくわけると二つの傾向があると思います。

  1. 抽象的思考ができない。今、やっていることの意味や必要性がわからないために、記号の意味がわからず、混乱する。あるいは、パズルのようなことはできても、逆にどのような必要性があるかわからないために、文章題になると使うことができない。
  2. 基本的な式を順番に展開していくことはできても、そこにいたる道筋がイメージできない。途中の小問があればゴールにたどり着けるが、いきなりゴールを求めるように指示されると同じ問題なのに解けない。

細かく言えば山ほどあるのだと思いますし、算数・数学の先生に任せれば、もっと細かく出てくるのだと思いますが、この二つの苦手パターンが多いように私は感じています。

今日は2を中心に話しますが、1も結構大事なこと。

数学とか化学とかの記号っていうのは、簡単に書いたり、表したりするためのテクニックなんですが、できない生徒はそもそも記号で表すことでわからなくなっている可能性が高いんですね。

たとえば、「CO2」を「炭素・酸素・酸素」って書いていくと、いかにこれが面倒かって気づきだすんですが、苦手な生徒はそもそも「なんでCを覚えないといけないの?」から始まってしまうんです。これも意味、つまり、全体像が見えていないから。

数学の場合、そもそも、今やっている基本的なことを積み重ねて、大きな問題が解けるようにしようとレイアウトされています。

裏を返すと、今、やっていることはある目的のための部分なんですが、これがなかなか説明されていないために、「意味」が理解できない部分があります。さっきの逆算力に近いんですが、どういう順番で教えると、最終的な目的にたどり着くかがレイアウトされている、ということですね。

だから、どこかでつまずいていると、最終的な目的でつまずく。最終的な目的に必要なアイテムを拾っておかないと、敵が倒せないようになっているからです。

でも、中1に中3とか、高校の話をするわけにもいかないですからね…。どうすれば、全体像を見せられるのか…

まあ、このあたりはまた後で説明します。

 

数学が苦手な子には、「逆算の発想」が欠けている。

今日はマインドマップの話です。

で、数学の苦手な生徒の2番目の話を考えてみたいと思います。「逆算」する力です。

まず、もう一度2のタイプの生徒の問題点を考えてみます。まず、こう考えてみた時に、いくつかの段階があることに気づきます。

  1. まったく勉強していないために、基本的な例題も解けない。そこに必要な基本的な前提を理解していないために問題が解けない。
  2. 基本的な例題は解けるが、その発展になると解けない。
  3. 基本的な例題は解ける。したがって、次にやることが示されれば段階を追って上ることができるが、一人ではその道筋が作れない。
  4. 基本的な例題が解け、自分で道筋を作って解くことができる。

というような段階になる気がします。数学の専門家からすると、そこは違う!というつっこみが入りそうで怖いですが…

今日、問題にしたいのは3から4にどう引き上げるか、ということです。

たとえば、数学の苦手な子に補習をするとします。

まずは、1や2の問題をクリアしないといけません。ともかくもその単元の基本的な例題を理解してもらうわけですね。

そうすると、まずはその基本題の解き方を見せて、同じ問題を自分でやってもらう。数値を変えた同じ問題をやってもらう。それで、ある程度の問題パターンをたたきこむ、というあたりで、2ぐらいまでクリアできるんじゃないかと思うわけです。

で、ここで、いきなりゴールを自分で作って、その道筋を立てるような問題はレベルが高すぎます。

そこで、段階を追って、手順をしめしてやるような問題が登場します。(1)でAを求め、(2)でBを求め、そうするとAとBを使って(3)が解ける、というような問題ですね。

で、それは4のレベルの、いきなりゴールを求める問題と、実質同じなわけです。つまり、その解き方を見せて、段階を理解してもらい、4のレベルの問題の解き方を教えた、とこういうことになるわけですね。

さて、ここにどういう問題があるでしょうか?

よく数学の補習で見る光景です。ある意味で、これは暗記の方法なんですね。

つまり、

(1)と(2)を求めて、(3)で両方を使って解く

という暗記なんです。暗記がいけないわけではないです。私たちは繰り返して、覚えることで、ぱっとできるようになるわけですから。

ただ、実際に数学のできる人はそう考えているのでしょうか?

数学のできる人は、

(3)をもとめるためにはAとBが必要。だから、まず(1)でAを求めて、その次に(2)でBを求めて、そのあとでAとBを使って(3)に行くぞ。じゃあ、まず、(1)の作業をするぞ…

という思考のはずなんです。

とすると、この暗記は果たして有効なのか?疑問に思いませんか?

これが欠けている逆算の力です。「プランを立てる練習」といってもいい。

確かに、学習の段階では、まず基礎を叩き込まないといけない苦手な子もいますが、すぐ次に、これがくるはずなんです。

極論をいうなら、問題を解かずに、何をするかの順番をいう練習が必要なんですね。

たとえていうならゴールが見えていない迷路に近いと思います。

このスキルが欠けている子は、手当り次第に目の前のものをこねくりまわします。とりあえず、進んでみるわけです。目の前に道がある。じゃあ行ってみよう。進んだら、アイテムがあった。よくわからないけど使ってみよう。そんな感じです。

最初は、右か左かの2択ぐらいかもしれませんが、次に2択あったらもう4択、さらに次があったら8択です。こんなのを手当り次第やって正解にたどりつくわけがないですよね。ある意味で、迷路より大変。最初は右か左かぐらいの道がどんどんどんどん分岐して無限に膨らむのに、正解の道筋はたいていひとつしかないわけだから。(もちろん別解があることもありますけどね)

どうしてそんな無限に近い組み合わせの中から、数学のできる人は正解の道を見つけられるのか?それは、ゴールからスタートを探しているからです。

その意味ではできる人にとっては迷路でさえありません。逆からたどれば、道はひとつだからです。もちろん、難しくなってくると逆からたどっても何個か道があるように見えてきたりもするんですが、それでも、無限ではないんですね。

つまり、「逆算」。

苦手な子には、どこかでこの練習をさせないと…

  • ちょっとひねると、何をしていいかわからなくなる。
  • 計算をしているうちに、何のためにそれを解いていたかわからなくなる。
  • わからなくなると、目の前にある数式を、目の前にあるものと意味もなく組み合わせてみる。
  • そもそも、ゴールが遠いから考えることもあきらめてみる。

というような現象が起こります。

逆にいうと、自分(あるいはお子さん)に、今書いたような傾向があるとすると、「逆算」の発想がかけている可能性がある、ということです。

 

 どうしたら「逆算の発想」を身につけられるか?

じゃあ、どうしたらいいのか?

私がよく使うフレーズですが、苦手なものは苦手なもの、そのものに向き合わせるしかありません。

つまり、段階を追う問題をやっても、逆算する力はつきません。段階を追っている問題は、スタートからゴールに向かっているし、見本とはなっても意識しない限り、どうしてその順番に解くのかを考えることにならないからです。

逆算する力をつけるには、いきなり、ゴールだけを見せるしかありません。
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ここにあげたシートは「マンダラートシート」と呼ばれるものです。

作るのが面倒くさければ、白紙でもかまいません。

要は真ん中の空欄から→でたどっていけばいいだけですから。→〇でまったく問題ないです。

この中央にゴールを書きます。

たとえば、

「三角形の合同」とか、「三角形の面積」とかです。求めるものですね。

それを求めるのに、必要になるものを周りのマスに書きます。

逆算1です。

三角形の合同なら

  • 三辺の長さ
  • 一辺と両端の角
  • 二辺とはさむ角

ですから、それを場合によっては、すべての辺や核について書きます。

三角形の面積なら、底辺×高さですから、

  • 「辺ABを底辺とした長さ」と「高さ」
  • 「辺BCを底辺とした長さ」と「高さ」
  • 「辺CAを底辺とした長さ」と「高さ」

という3通りが逆算の1になります。

そうしたら、さらに逆算が必要になります。

たとえば、三角形の面積の場合、

  1. 辺ABの長さをどう求めるか?それを求めるためにわかったらうれしいもの。
  2. 高さをどう求めるか?それを求めるためにわかったらうれしいもの。

この2つが両方とも必要になりますね。

これが全部さかのぼれるところが、スタートになるわけです。

つまり、ゴールから、ひとつずつ、手をさかのぼって書く練習。

そして、書いておけば、ひとつずつ求めている最中に、「あれ、今、何やってるんだっけ?」というあれがなくなります。

賢い子は、

  1. ゴールにいくための逆算からやることが決められる。
  2. 実際には逆の順番で解いていく。
  3. 解きながら、その順番と手数を忘れずにたどっていく。

ということを頭の中でやっているんですね。

なんだか、工作とか料理とかみたい。完成図をイメージして、手順を決めて、材料をそろえる。

真似しているように見えて、何も考えずに言われた目の前にあるものだけを、他人の易言うとおりにやって、思いがけず何かが完成しても、後で再現できないですよね。

真似して覚えるにしても、

  1. 完成図があるか。
  2. 今、完成図のどの部分を作っているか。
  3. これは何の材料なのか。

などを意識しないと、再現できないわけです。

だから、本当に苦手なら、書かせる。

逆算で書かせて、その反対から順番にやらせる。

こういう練習をする必要があると思います。