学びの真似び(まねび) 「学び続ける人」になるために(教育と受験と勉強法)

学習の仕方に困ったことはありませんか?ここでは、「真似び=学び」という形で、さまざまな学習方法へのアドバイスをしていきます。学習の仕方に悩んだら、受験勉強で行き詰まったら、ぜひ訪れてみてください。効果的な学習方法を知って、学び続ける人を目指しましょう!

模試の判定を志望校、併願校選びにどれほど反映させるべきか?~模試の判定は当たるのか?

大学入試が近づいてきて、志望校や併願校を決める時期になってくると、「模試の判定は当たるのか?」というようなことが話題になります。何度かこれまでも触れてきていますが、今回はこれを中心にまとめます。

毎年のことですが、出願校や併願校を選ぶのは大変なことです。私たちのような職業だと、過去の経験から模試の判定をどの程度信じて、どの程度無視していいのかがわかりますが、受験生にとってみれば、はじめての経験でしょうからほとんどわからないですよね。

学校の先生にしたところで、毎年進路指導をしていればともかく、3年とか6年とか間をあけて高3を持つと、また受験状況が大きく変わっていますし、いろいろな入試方式の中でどう見ればいいかなんてわからなくなってしまいます。

進路指導の経験を積んでも、当然、逆転して合格をつかむ例と、A判定でも落ちる例を毎年見るわけで、しかも、受験生やご家庭の方針や価値観が違えば、適切なアドバイスも変わってきますから、最後は「本人次第」というような感じになってしまうわけですね。当たり前ですけど。

というわけで、適切なアドバイスになるかはわかりませんが、偏差値や判定の見方についてまとめておきたいと思います。

 

模試の判定は当たらない~未来予測でないし、大事なことは「入試問題」とは違うこと。

まず、原則論を書いておきます。模試が当たるという根拠と、模試が当たらないという根拠です。これは両方正しい。どう考えるか、ということですから。でも、両方正しいからといって、両方の意味を知っていないと、自分の都合のように、事実を捻じ曲げることになってしまいます。なので、まずは、これを紹介しましょう。

模試の判定は当たりません。当たるわけがないんです。

第一に未来予測ではないということ。

統計と言っても、模試の判定に、未来予測要素は入っていません。「去年の模試受験者の成績とその合格率」ではなく、「昨年の入試結果をもとにした、ある模試の偏差値での合格率」に過ぎないんですね。

ですから、「E判定ということは、がんばっても届かないのか…」ではなく、「今はE判定だから、今のままなら不合格だよ」という数字にすぎないわけです。

仮にたまたま受けた模試が、その模試の判定基準を作成する同じ回の模試であったとしても、「これから死ぬ気でがんばるのか」「その成績はたまたま運が悪くてはずしたのか」などなど、統計ではわからないはずのものがたくさんありますから、模試の判定は当たりません。

これから頑張れば受かるんです。今はE判定でも、入試当日にC判定を越えていけば合格するはずです。

第二に、模試は模試であって、入試ではないということです。

つまり、大事なことは、過去問題で合格最低点をとれるかどうか、ということ。これに限ります。

もっといってしまえば、今の模試はあなたの大学の問題に、むしろ似ていない。

たとえば、マーク模試だとするなら、似ているのはセンター試験・共通テストだけ。これは「そっくり模試」である以上、「模試はとれないけど、本番は大丈夫」なんてことは起きません。

でも、私立の問題が、どんなに記述なしでマークシートを使っていたとしても、たとえば東洋大は東洋大の癖があり、立教には立教の癖があります。国語なら空所補充なんて、センター・共通テスト、マーク模試ではありえない問題ですから。

じゃあ、記述模試は…ってわかると思いますけど、あんな記述が出るのは国立ぐらいだし、逆に国立ならオール記述かもしれない。

そして、各大学の問題には癖、つまり傾向があります。たとえば、歴史なら、ある特定の時代しか出さないとか。英語長文とか現代文とかだと、学部学科に関連のあるような文章を中心に出すとか。

だから、模試ではなぜか沈んでも、過去問題はやたらととれるというようなことが起こるのなら、それはきっと受かります。合格最低点は、結構な大学で発表化されていますしね。

まあ、一応書いておきますと、過去問題の合格最低点がとれても、受かるとは限らない原理があるとすれば、次のようになります。

  • 難化するかもしれない。一昨年あたりのように、合格を絞ってくれば、それは合格ラインがあがってしまう。
  • 多くの大学は、違う科目を比較するために得点調整を行い、そのために実際の得点は補正された合格最低点より高いことが多い。
  • 配点は不明。もしかしたら、できない問題の配点が高いかもしれない。

こんな感じ。

でもね、どんなに模試ができていなくても、あるいはできていても、傾向をつかんでいたり、逆に傾向をまったく知らずにいたり、しかも相性みたいなものもあって、うまく解けるなら、それはやっぱり受かったり、落ちたりするんですね。

 

模試の判定は当たる~学力の「穴」が、他の人と比べて明らかになっていることは事実。

そうはいっても、模試の判定は当たります。それは統計であり、そして、どんなに問題が違っていても、科目や分野ごとにどの程度理解しているかを、受験生全体で見て、分布させたものだからです。

たとえば、統計的なものでいうなら、特に理系は、2年生の秋から冬でどの程度の成績まで上り詰めたかで、どのランクまで上がれるかは決まっています。

私がよくいう譬えですが、「野球を一度もやったことがない、しかも運動能力の低い選手が、突然高3で入部して甲子園に行くチームのレギュラーとして活躍したい」といってきたらどうか、と考えればわかります。まだ、高校から始めてくれればいいですが、高3からはじめて間に合うってなめてんのか!って怒られるような気がします。

もちろん、もともとの能力やサボっているという限度もありますから、一概にはいえません。たとえば、「高3最初に偏差値40だったけど、東大受かりました!」みたいなことだって、「東大実践模試の偏差値40」と「進研模試の偏差値40」では意味が違いますし、「クラブで疲れてて模試の最中寝ちゃった40」と「真剣に取り組んだ40」では元の意味が違います。

でも、そうはいっても、ある特定の模試の偏差値40は、ここまでの実力を示しているわけで、特にあなたが高3だとすれば、あとわずか数カ月でどこまでやれるかは、限界があるんですね。

事実、うちの学校のデータを見ると、夏終わりの河合記述模試で、ほぼほぼ今年の私立大学の合格者数が推定でき、ここ数年はずすことはありません。これはあくまでも、うちなりの数字の修正が入っているので、必ずしもA判定とかC判定が当たるということではないのですが、それでも夏終わりの段階で全体としての合格者数が決まってしまうということで、もっといえば夏の段階である程度見えるということでもあります。

もちろん、個別に見れば逆転はあるわけですが、全体としてはそれが起こらないんですね。

そもそも、どんなに入試と模試の形式が違っても、ある分野に必要な知識があるなら、それほど落とすはずはないですよね?

だから、たとえば過去問ではとれても、模試では相応の点数がとれないとすれば、もしかしたら、それ相応の知識の穴があって、もし本番でそこが出たら落とす可能性もあるわけで、だからやっぱり無視するわけにはいかないんです。

もちろん、その模試から死ぬ気でがんばって、頭に入っていない単語や文法などがどんどん入って、過去問題やったら解けるようになったなら、それは受かる可能性があるとみていい。けれど、「今までさぼっていたけど、2カ月一生懸命やったから受かるはず」などということは起きないんですね。

というわけで、ここまで模試が当たるかどうかを見てきました。次はもう少し別の視点から見てみましょう。

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偏差値が50前後以下の大学を志望する場合の注意点~入試ではたいてい70%以上が目標点になっている

さて、続いて、模試の基準偏差値が50前後から下を受験する場合の注意点です。模擬試験の平均点というのはだいたい50%弱~60%ぐらいになっていると思うんですが、この平均点が偏差値50となるということから考えると、気をつけなければいけないのが、比較的平均以下の大学を志望する場合です。

というのも、大学入試というのはおおよそにおいて合格最低点はどのレベルの大学でも、60%台~70%台であることが多いからです。

つまり、模試で偏差値50を行かないということは、問題に対して50%未満しかとれていないわけです。その人も当然、過去問題では70%程度を目標に合格最低点をとる必要があります。

当然、問題は簡単になります。あくまでもその大学を受験して合格する人は、基準となる偏差値の人がその合格最低点をとれるということですから、普通は模試で50%未満でも、その大学の問題になれば70%がとれる、つまり、問題が簡単になるということですね。

でも、本当にみんなが得点上昇するでしょうか?

たとえば、範囲が終わっていないとすれば?

たとえば、極端に苦手な分野があってそこは基本問題でもできないとすれば?

たとえば、漢字が全然書けないとすれば?

たとえば、英語の得点はフィーリングで稼いでいるだけで、単語や文法が全然入っていないとすれば?

問題が簡単になっても、実は得点が上がらない人っていうのがいるんです。

すごく簡単にいうと、

  • 極端に苦手科目がある。
  • 苦手な分野がある。
  • 手をつけていない問題パターンがある。
  • 覚えるべきものを覚えないまま問題演習だけをしている。

という感じの人があぶない。

偏差値が低くなればなるほど、基本問題や基本単語、基本文法などをちゃんとできるかどうかで決まることが多いので、こうした問題をしっかり身につけていないと、判定ではCでも、実際はできないということが起こります。

 

それぞれの大学で、入試の得点の扱い方が異なっている~模試の取り扱いとは異なる

つづいて、大学の判定の仕方と模試の判定の仕方による違いから、起こってくる現象をチェックしましょう。

大学入試の判定の仕方は大学によって異なります。まず選択科目があります。そのことで、それをどう扱うかが決まってくるわけですね。

  • 得点を得点のまま扱い、補正しない。
  • 偏差値をもとに得点補正を行っていく。得点として加算する。
  • 偏差値をもとに補正したので、判定も科目ごとの偏差値を用いて行う。
  • 偏差値をもとに補正し、その科目だけ偏差値を得点のように扱う。

一番最初が、センターとか明治です。

次が一番多いパターンで多くの大学。これも、どうも平均点で機械的にそろえてしまう大学と、他の科目の得点をもとに平均点を調整する大学があるようです。3番目を用いている大学もあります。上智が今、このパターンのようですね。最後は青山学院大学。大学案内に詳細な入試情報を開示していますが、日本史とか世界史は毎年、平均点が50ぴったりぐらい。それが足されたのが合格最低点として発表されていますから、これは本当の得点による合格最低ではなくて、社会だけが偏差値にされたあとの合計点だということです。明治学院大学などは学部でこの方針が違うようで、入試要項などで詳細に計算方法が説明されています。

河合模試は、偏差値の平均ですから、得点ではありません。進研模試は合計点を偏差値にしている関係上、各大学の科目重視度合いが無視されていて、模試上は1:1:1のような扱いになってしまいます。

こうしたずれがある以上、たとえば、帰国子女で英語だけむちゃくちゃ高い偏差値をとるけど社会は死ぬほど苦手とか、英語がすごい弱いけど社会だけはむちゃくちゃ強いとかいう人が、その模試で示されている判定と実際の大学入試の判定で、違う結果になるということも起こりうるわけですね。

たとえば、青山学院だと入試では計算上、英語のウエイトが非常に高く、社会のウエイトが低くなります。逆に上智では英語と国語と社会が均等になっていきます。それが各模試で違う形で計算されていることはありうるわけです。

ちなみにですが、得点補正は「山の補正」という形で行うこともあるようです。私の知っている限り、法政がそうだと思います。説明会に行くと、全員が受けているはずの国語とか数学とかが0.1点刻みになっていたりしますので。

また、早稲田はよく説明してくれないのですが、とにかく平均点補正だけでないことは確か。いろいろなことをやって、それを「標準化」という言葉にしています。少なくとも他科目の成績はここには配慮して、おそらく山の補正もやっているんじゃないか…ということを話しぶりから想像していますが、とにかく詳しいことはわかりません。いずれにしても、標準化後の発表されている合格最低点よりもとの得点は10点は多くとらないといけないようですね。

実際に、歴史と数学を両方やっていて、どっちがいいかという質問もよく受けるのですが、こうしたこともあるので一概に判断できません。明治ならば、やって得点率が高そうな方、でいいのですが、早稲田あたりだと数学を利用する生徒は難関大併願の生徒も多く、どちらがより平均点よりとれるかわかりませんし、またその生徒がほかの科目集団より優秀かどうかも考えるとなると非常に難しい判断になります。一般論としては、MARCHより下になると数学受験が有利に働く確率が高くなる印象ですが、早稲田は…というのが個人的見解。決して不利ということではないのですが、有利になるとはいえないぐらいの感じですが。

おそらく、下の方にいくと、社会がだめなので数学、というネガティヴな層が増えて来るので数学受験が有利に働きだすんだと思います。

慶應は、商や経済では数学受験が枠をわけていて、しかも多いので、有利な印象。

来年から早稲田商が数学の定員を分けますが、慶応とは違って定員が少ないのでこれもどうなるのかわからないというか、興味深いです。

※2021年度入試より、青山学院と上智大学は大きな変更を予定していますので、それにともない、ここで書いていることはだいぶ変わると思います。2020年度入試まではおそらく、判定方法は変わらないと思っています。

 

河合模試の場合~偏差値の平均であること

それでは模試自体の判定に使う偏差値の計算方法を言及しておきましょう。

まずは河合模試です。

河合模試は判定に使う合計の偏差値を「科目偏差値の平均」で行っています。英語と国語と社会が、150:100:100だとすると、1.5:1:1になるように偏差値を使って計算するわけですね。

したがって、志望する大学の配点に応じて、同じ人でも判定に使う偏差値が異なっているということになります。

また、河合の場合、C判定基準だけを決めて、機械的に2.5刻みでB判定やD判定を作っています。これも大きな特徴です。

志望校が偏差値60以上だと…B判定以上がとりにくくなっている

この一番の弊害は、偏差値がつぶれていくということです。

普通、偏差というのは、分布の幅ですから、合計点になればなるほど、分布の幅は広くなり、高偏差値や低偏差値が出やすくなるんですが、河合の場合、偏差値の平均を使うために、合計点になればなるほど、高偏差値はとりにくくなります。

つぶれるんですね。

偏差値75をとるためには、全部の科目が偏差値75にならなければいけないということです。普通は合計点のトップにいれば、偏差値75になるはずなのに…ということ。

わからなくても大丈夫です。

要は、高偏差値がとりずらい。

しかも、2.5刻みですから、万が一、志望する大学が72.5にランクされると、75とか77.5がB判定やA判定の基準になります。その偏差値が出にくいのに、です。

だから、河合塾の場合、偏差値で65ぐらいから上の大学を志望している場合、そう簡単にBとかAが出なくなります。もちろん、C判定基準には意味がありますから、そこは信じていいんですけど、「BとかAが出ない」という悩みについては真剣に考えすぎないことが大事です。

高偏差値の科目があると、低偏差値の科目を消してくれているように見えるが…

また、偏差値の平均であるということは、苦手科目が消えやすくもなります。たとえば、帰国子女で英語が死ぬほどできると偏差値が75を越えたりするわけですね。

そうすると、残り科目が偏差値50でも、トータル偏差値60近くあることになります。特に英語が配点高いですから。

でも、実際の入試は得点で、さっき書いたように最低点は70%ぐらいですから、たとえば、英語が140点/150点とれたとしても、245/350点とらないと受からない。そうなると、105点/200点は残り2科目でとらないといけなくなるんですが、これが偏差値50でとれるかどうか。たとえば、受験しているのが、偏差値60の大学だとすると、平均点で60点弱ぐらいとみて、実際の偏差値は50ですから、意外と厳しい可能性がありますよね。

こんなことも注意しないといけないことのひとつです。

 

進研模試の場合~合計点の偏差値であること 各大学の配点比率が判定に入っていない

 進研模試はそれに対して、合計点の偏差値を使っています。2科目なら「2科目を含む受験者の2科目偏差値」、3科目なら「3科目を含む受験者の3科目偏差値」、4科目なら「4科目を含む受験者の4科目偏差値」を判定に使うわけです。

このことで河合塾のように上がつぶれる心配がなくなります。河合に比べて、東大とか早稲田の偏差値基準が高い理由もここにあります。母集団に下の受験者がいることもその要因ですが、そもそも合計点で偏差値を出せば、1科目よりも高偏差値は出やすくなるということでもあるんですね。

これは逆に言うと、レベルの高い大学やレベルの低い大学について、より厳密な判定をしているという風に解釈することもできます。おそらくですが、そういうこともあって、進研模試、ベネッセの場合、大学ごとにB判定基準やA判定基準を変えるというようなことをしています。つまり、逆転の幅というものも資料で見ることができるわけですね。

では、このやり方の何が問題かというと、このような偏差値を出すにあたって、均等配点を原則にしているということです。大学ごとに配点が異なりますから、そのたびに計算し直すわけにもいかないし、大学を受験している中だけで偏差値を出せば母数が少なすぎますから、どうしても全体にひろげざるを得ないし、広げると均等配点にしておくしかない。

したがって、進研模試の場合、たとえば英語200、国語100、社会100というような大学で、「英語が苦手だけど、社会でその分稼いでC判定に行った」というような受験生は、おそらく本当はC判定には届いていないということになるんですね。

なので、進研模試の結果を見る時は、実際の得点と入試の配点をしっかり見比べる必要があるわけなんです。

 

というわけで、今日はさまざまな観点から模試の判定が当たるのか、ということを書いてきました。要は、過去問題が大事で、入試当日に合格最低点がとれるかどうかで決まる以上、過去問題と合格最低点の関係を意識して準備をするめるしかありません。それさえも急激な難化が起こるかもしれないし、突然問題傾向が変わることもあるかもしれませんが、今できることを考えれば、とにかく対策して、合格最低点をとれるようにすることしかないわけですから。

「癖がない」という癖もふくめて、大学ごとには必ず傾向があります。この準備をすることがこれから先、とても大切です。もちろん、その傾向に合わせて得点を積み重ねるためには、当然、基本的な知識の積み重ねも必要ですね。

まずは、そんなことを意識して、併願校決定と、受験の準備をすすめましょう! 

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