最近の生徒の一番の問題は、スマホやネットとの付き合い方ではないでしょうか。というわけで、今日はそのあたりを考察します。
そろそろ4月も終わろうとしています。
高校入学などのタイミングで、スマホを手にする、あるいはスマホが学校でも自由に使えるようになる、などという形で、付き合い方が変わった人もいるのではないでしょうか。
というわけで、今日は、スマホとの付き合い方を考えてみましょう。
テレビを見ると成績が上がる?スマホ依存の実態。
さて、昨今スマホは、「必需品」のレベルまであがってきました。うちの学校でも、コロナ休校の間に、GoogleClassroomやzoomなど、インターネットを介した学習指導は急速に一般化しました。それに合わせて、GoogleFormでの提出、アンケート、ネットによる課題提出、スタディサプリの利用など、劇的に進んでいるような気がします。
これに、いわゆるメールだとかLINEだとかの連絡などもいれたら、もはや「持っていないと困る」レベルに到達しているような気がします。
仮に、高校生の間、これを持たずに過ごしたとしても、大学生以降ではおそらく持っていないではすまされないでしょう。もちろん、スマホと限定したものでなく、タブレットやクロームブックやPCなども含めたネット環境の話ではありますが。
もうずいぶん前になりますが、生徒の生活習慣と学力の相関を調べていくと、「テレビを見る」は、すでに「学力が向上する」条件になっているようです。
私たち、スマホやネットがない時代に育ったものからすると、受験勉強の大きな敵は圧倒的にテレビでした。ゲームといった場合にも、それはテレビゲームであり、テレビと連動するものだったと思います。
しかし、もはや、「テレビを見ると学力が上がる」時代がやってきているのです。これはどういうことでしょうか。
おそらく、子どもたちがテレビに魅力を感じないのは、もはやそれがスマホやネットに置き換えられたからではないでしょうか。そして、それがただ、「学習時間を奪う」ものであるなら、「相関がない」という状態になるはずで、決して「テレビを見るグループが学力が高い」などということにはなりません。
つまり、スマホを使うという行為が、
- 友達とSNSで雑談をする。
- ゲームをする。
- youtubeなどで、あまり意味のない動画を見る
などに限られているのではないでしょうか。
大人のように、「ニュースや記事を読み漁る」というようなものはきっと少ないのでしょう。
これらに比べれば、テレビは、まだ「ストーリー」「情報」「ニュース」にあふれています。まだテレビの方が、あなたの世界を広げる要素にあふれているわけですね。
というわけで、スマホをどうコントロールするかは大きな問題であることがわかります。
「スマホから勉強」はハードルが高い。間に1クッション入れる。
さて、スマホをし続けて、勉強にうつれない、取り組めない、という場合、これを具体的になんとかする必要があります。
これは一度、やる気スイッチの話として書きました。
具体的な言葉としては「作業興奮」というものを応用します。
つまり、人間はまず「行動する」ということで、やる気スイッチが入るんです。何でもいいから行動する。そうすると「作業興奮」が起こる。そうして、起きたところで、次の本来の目的に移っていくわけです。
スマホから勉強というのは、あまりにハードルが高い。
たとえば、スマホじゃなくても「勉強をする…」となれば、本を読みたくなったり、掃除をしたくなったりしません?
それが楽しいゲームや雑談だとすると、より高いハードルに移れなくなるわけです。
ですから、まず、
- スマホをやめて、机を片付ける
- スマホをやめて、勉強道具を出す
- スマホをやめて、着替える
というような作業で終えてしまいます。極論をいえば、やめさえすれば、何をやってもいい。休憩したっていいし、音楽を聴いたっていい。
しかし、次には、
- 片付けたら、勉強する。
- 片付けたら、音楽を聴いて勉強する。
というように、そこから勉強につなげるルーティンを確立してしまうわけです。
なかなか止められない人は、こうしたテクニックを身につけましょう。
スマホの問題は、「リズムが崩れること」~恋愛と受験
スマホの大きな問題の一つは、自分のリズムが崩れることです。
たとえば、せっかく勉強をしていたとします。そこにスマホがあることで、中断され、そして、作業興奮の逆の作用で、スマホに戻っていくわけです。
- スマホの通知が鳴って、ゲームをしたくなる。
- SNSの通知が来て、思わず友達とチャットをする。
- タイマーなど思わずスマホを手にとった瞬間、youtubeなどに手をのばす
などなど。
ここで、余計な話ですが、恋愛と受験の話をしておきます。
若い頃に恋愛をする…なんていうのはうらやましい話で、禁止するようなことでもありません。お互いにプラスに働くような恋愛なら、青春の1ページで、ただただうらやましいかぎりです。
しかし、教員としての経験で言うと、恋愛がプラスに働くのは女子です。男子は恋愛がマイナスに働く。
端的に言うと、「恋愛すると、女子は合格し、男子は落ちる」ということです。
これ、決めつけでもなんでもなく、おそらく、イマドキの恋愛は、女子が主導権を持っている…ということだと思います。
つまり、女子は、自分で勉強を始め、行き詰まると、彼氏に連絡をとり、ストレスを発散する。そして、ストレスを発散したら、また勉強に戻る。
男子の側からすると、せっかく勉強の調子がのってきたところで女子から連絡が入り、リズムが崩れる。で、彼女は勝手に去って、勉強に戻りにくくなる…という感じ。
学校帰りにどこか寄るか、あるいは一緒に勉強するのか、愚痴を聞くのか…なども女子が決定権を持っているのだと思います。
怖いですよ。
ちなみに女子が恋愛で学習に影響が出るのは、彼氏のことを好きなのに振られそうになる…というシチュエーションです。こうなると、たいていボロボロになって、手に負えなくなります。
恋愛には縁がない…という人も、これを友達とか趣味とかで考えるといい。つまり、自分でコントロールできている限りは、まだマシなんですが、他人によって自分のリズムを崩される…というのは徹底的に防ぎたいんです。
スマホの置き場で、コントロールする。
まず重要なのは、置き場です。
端的に言えば、スマホを勉強する場所に持ち込まない…ということです。スマホを使うことを禁止するのは難しいですから、
学習場所が部屋なら、スマホはリビング。
学習場所がリビングなら、スマホは部屋。
というように棲み分けをして、そこでは使っていい。逆に言えば、スマホの場所にいる時は勉強をしているとは言えない、とはっきりさせます。
これだけでも学習の反省はできるでしょう。
睡眠時間に影響している場合、ベッドに持ち込まない。
つまり、スマホの充電器を別の場所にして、使うならそこで見る。ベッドには持ち込まないということを徹底しましょう。
特に睡眠時間にひどく影響する場合は、部屋に持ち込まないようにする。もし、スマホを使うならリビング…というようにすると家族の目も出ますから、極端な夜更かしはコントロールされやすくなります。
スマホを目覚ましやタイマー、辞書に使わない。
ということになると、スマホを勉強道具のような形に使わないということが条件になります。
- 目覚まし時計を使う=スマホがベッドにいらなくなる。
- 電子辞書、紙辞書を使う=スマホが机にいらなくなる。
- 音楽を音楽専用のプレーヤーで聴く=スマホが部屋にいらなくなる。
- キッチンタイマーを使う=スマホが机にいらないなる。
という感じです。
唯一問題となるのが、スタディサプリやYoutubeの学習動画などですが、これらもPCやタブレットに置き換えて、そこでは問題となるゲームやSNSを設定しない。つまり、SNSやゲームはスマホに限定することでかなり改善されると思います。
スマホは便利ではあるんですが、自分でコントロールできないなら、その便利な部分を多少を捨てて、それぞれの機能を分散させることをおすすめします。
SNSは友達との励まし合いが一番。
単純な敵は、友達ですね。
いわゆるダイレクトメッセージやLINEなどが、チャットと化してしまうのが時間の無駄です。
こうしたものに関しては、友達にきちんと伝えるというのが一番です。
つまり、
「これから勉強するから、〇時まで連絡できない。〇時に連絡するね」
という感じで宣言をする。
それこそいい友達関係なら、お互いにそう決めて、同じ時間に学習するぐらいの感じが理想です。
また、寝る前など、際限なくメッセージのやりとりをしないように、いわゆる「既読スルー」のようなものは「あって当然」ということを確認しておくことも重要です。
そもそも、すぐ返信しないとダメ…なんて決めつける関係が、まともな友人関係とは思えません。
こういうことは、その友達の集団が、どういう常識を共有しているか、というただそれだけの話です。
こういうことをスタンダードにしてしまえば、当然スタンダードになります。
ぜひ、やってみてください。