もう9月が終わり、秋の足音が聞こえてきました。そろそろ8月の模試の結果も戻ってき始めるころ。勝負の夏休みも終わって、いつもと同じ学校生活のリズムが戻ってきます。
こうなると、あんなに「なんとかなる」と思っていたのに、「あれ、なんだかおかしいなあ」という雰囲気になってくるんですね。
今日は不安についての話。
大学受験だと、「推薦」の誘惑、というものがあります。推薦入試だったら、なんとかなるんじゃないか、というものです。まあ、指定校推薦がとれれば、それはほぼ決まり、なんですが、自己推薦とかAOとか公募推薦とかは、全然決まりではありませんし、むしろ別の能力が必要とされますから、試験科目を増やすような状況になってしまいます。詳しくはこちら。
指定校推薦だって、第一志望やかぎりなくそれに近い大学ならラッキーですが、そうでないところに「不安」なだけで決めて後悔しないのか、という問題がありますよね。
というわけで、ここまで頑張ってきてどうやって「不安」から脱出するか、という話です。
不安との戦い。「合格」から遠ざかることはありえない~人と比べない
この時期になってくると、生徒からよく聞くのは、
「どんなに自分ががんばっても、ほかの人もがんばっているのだから成績はあがらないんじゃないか」
とか、
「ここまで自分はコツコツとがんばってきて伸び悩んできてるけど、今までサボってたアイツが集中してやると逆転されるんじゃないか」
とか、そんなセリフです。
受験では偏差値という、相対的な尺度を使いますから、特にそう思ってしまいます。
実際、倍率が上がれば、入試の難度はあがるわけであながちウソというわけではありません。
成績の伸び率は成績のいい人も悪い人も変わらない
まず、まじめにやってきたからこそ不安になる人が、「今までさぼっていた人が一気にのびるのではないか」ということについては、これは完全に間違いです。
ベネッセのデータを見ると、センター型のマーク模試の伸び率は、どの得点層でもほぼ一定で、下位者がより伸びるということはありません。
むしろ、「苦手科目を持っている」「苦手分野がある」というような人ほど、成績の伸びは鈍くなる傾向にあります。
ですから、あなたがもし、まじめにやってきたなら、あなたの方が伸びるのです。逆転はされません。
もし、あなたがこれから受験勉強を追いこもうとおもっているなら、
- 早く全範囲を終わらせること
- 苦手を早く克服すること
このふたつをこなさないと逆転のチャンスはありません。気になる方は、このへんの記事を読んでください。
manebi.hatenadiary.jpmanebi.hatenadiary.jp
一応、付け足しておくと、一般的に現役生は既卒生に比べると、最後まで伸びます。これは、まじめにやってきた現役生は、11月ごろにようやく数学や理科などの範囲が終わるわけですが、これらの科目には「演習」してはじめて成績があがる、という特性があるからです。したがって、特に理系の受験生は、年明けの入試そのものが、大きな演習になりますから、本当にぎりぎりまで伸びます。
ただし、この恩恵があるのは、苦手を克服した人、全範囲を終えた人のみ。だから、あなたがやるべきことは、全範囲を苦手なく終わらせることです。
文系の場合、英語、国語の長文を除けば、終わったことがそのまま得点につながる可能性が高い。タイムラグが少ないです。したがって、逆転がしやすい。ただし、理系以上にボーダーが高いために、苦手が原因で落ちる可能性は理系以上に高くなります。
合格からは遠ざからない。単語ひとつやればひとつ分合格に近づく
この話をふまえて、「不安」から逃れるためには、他人を気にせず、自分のやったことをみることです。合格のためには、今書いたように、やるべき範囲をあなたが終わらせるかどうかだけの話なのです。
他人は関係ない。
あなたの問題としてとらえれば、合格からは決して遠ざからない。
たとえば、あなたが、単語1900をまったく覚えていなかったとしても、入試当日までに覚えきれば、受かる可能性はある。
だから、単語ひとつ覚えれば、残りは1899になる。500覚えれば、残りは1400になる。だから、合格には、ひたすら近づくだけなのです。
他人と比べないこと。
入試は自分との戦いです。
イチローは、4割への挑戦みたいに言われていましたが、本人は打率は気にしない。彼が目標とするのは「安打数」なんですね。
打率を目標にすると、打席に立つのが怖くなる。だって、ヒットが出なければ下がる可能性があるわけですから。日本のプロ野球で首位打者になりそうな人が、打席に立たないでベンチにいる、なんて話がありますよね。
イチローは、打率を気にしない。一年で一本でもヒットを多く打つことを目標にする。打席に立てば立つほどヒットは増える。
他人とは戦わない。自分にコントロールできないものだから。
自分にコントロールできるものを意識する。
受験生も、この意識はとても大事だと思います。参考書の1ページ、問題1題が、合格に近づく一足ずつ。あとは合格に少しでも近づくこと。
そしてやったことを意識すること。「これだけやったんだ」という意識。
もちろん、空のコップを満杯にするためには、あとどれだけ空いているかは知らないといけないんですが、コップに注いだ部分を見て、「これだけ入れたんだ」という意識も大事です。
トップだろうが、合格最低点だろうが、同じ教室に入る~合格階行きのエレベーターはひとつ
模試の判定も気になるところですよね。
そりゃE判定はショック。せめてC判定がほしい。もちろん、目標はA判定やB判定。
でも、そんなことありえないと思いません?
今、この時期にA判定やB判定が出ているなら、目標が低いぐらいの話です。
ましてあなたが、苦手を克服していないなら、ましてあなたが、全範囲勉強し終わっていないなら、判定が出ないのは当たり前。
全範囲終わっていないのに、A判定がほしい…
おかしいですよね?
じゃあ、志望校あげればいい。
じゃあ、C判定?
C判定っていうのは合格50%~60%ラインのことがおおいですよね?簡単にいえば、合格の最低ライン、っていうことじゃないですか?
そうです。
その点数をとれば「合格」です。
滑り止めならまだしも、あこがれの第一志望なら、その点数をとればいいんじゃないでしょうか。
そうです。最低の目標は、「合格最低点の1点上」。
じゃあ、それをいつ実現すればいいのか?
それは「入試当日」です。
そのために、今、コップの空いているところに必死に水を注いでいるんですよね?
だから、今、E判定なのは当たり前です。ここから、どれだけ水を注いで、C判定ラインを越えるところまでもっていくか?
あなたが余裕のある状況なら、もちろん、C判定ラインを越える知識量、経験値は入試当日より前に設定したいところですが、あくまでそれは「最高の目標」や「中間の目標」。
あなたがぎりぎりなら、「最低の目標」でしかたがないのです。
だから、今、E判定なのは、当たり前なんですよ。
「不安」からは脱出できない。
さて、そうはいっても、E判定は不安ですよね?
このメンタルをなんとかしなければいけなくなります。でも、「不安」な気持ちを何とかしたい、といってもこれはなかなか難しいです。
ばたばたしている人に「落ち着け!」って指示しても、逆によりあわててしまうように、「不安な気持ちをなくそう」というのは、非常に難しいことです。
そうなんです。「不安」からは逃げられません。
だって、入試は終わってないし、受かるかどうかわからないし、ましてE判定なのに大丈夫、なんて思えるわけがありません。
これが、第一歩。
不安に思うのは仕方がないわけで、どうすることもできない。
だから、「不安をなくす」のではなく、「今やるべきことをやる」に変えることが大事です。
「やるべきこと」に集中する~ルーティンを作り、やり続ける
つまり、試合でばたばたしているときに「落ち着け」ではなく、
- 声をだそう
- 戦術を確認しよう
- 顔をあげよう
- ボールをよく見よう
とか、明確な「やるべきこと」を指示することが有効です。「やるべきこと」をしっかりやり続ける。そのことによって、「不安」が入り込んでくる隙がなくなるのです。やるべきことを順番にやり続け、次に何をやるかだけを考える。
先ほども名前をあげたイチローさんが、このルーティンという言葉をメジャーにしました。ラグビーの五郎丸さんもそうでしたね。
緊張した試合の場面で、今までやってきたことを今まで通りやることによって、緊張から解放されるわけです。
どんなルーティンがあるか?
というわけで、今、問題となっているのは「現在感じている漠然とした未来への不安」ですが、当然、「現在は意識さえしていない試験当日の不安」を意識して、同じルーティンを作っておかないといけない。
今作り上げるルーティンが、「受かるかなあ」という現在感じている不安から集中へと導き、そして、そのルーティンが「今までやってきたことを今日もやろう」となれば、試験当日の不安も解消してくれるはずです。
そんなことを意識する必要があります。
試験当日のためのルーティン作り
細かいことはあとでまたセンター試験対策として、もう一度書く予定ですが、試験当日をイメージしたルーティンを今から考えておく必要があります。
- 朝起きてから会場に行くまで
- 会場に持っていくもの=当日すべきこと
- 休み時間の間の過ごし方
- 試験中や休み時間の気持ちの切り替え
- 補食・昼食の取り方
- 復習の仕方
などがおおざっぱに挙げられることだと思います。今日はその中でも簡単にできることと、今の不安を払しょくすることにつながることを中心に、書いていきたいと思います。
センター試験を意識したルーティンについては、多少重複しますがまた近々まとめます。
勉強の準備
第一に勉強の準備が挙げられます。
これは具体的に、勉強の道具を揃えることと、それから気持ちを作ることが挙げられます。
一番レベルが低い話から入ると、
「必要な学習道具を揃える」こと。
英語を学習するのに必要なものを、まずは固定するということです。辞書、ノート、文法型の参考書、単語集などなど。
そろえても使わないのでは意味がありません。「揃える」ということは「どう使うか」が決まっているということです。
使わないものはいらない。試験当日、使わないものを持っていて、使っていないものをもっていても不安は募るだけ。まずは、「揃える」。絶対に必要なはずなのに「使っていない」としたら、それは早く「使い方を知る」。そして「使う」。
次のレベルは、
「鉛筆や鉛筆削りなどの学習道具」です。
「鉛筆を削る」「シャーペンの芯を入れる」などの行為は意外と精神の集中をもたらします。こうしたことを必ず、学習前にする癖をつける。
用意する鉛筆やシャーペンの本数を決める。普段であれば、蛍光ペンや赤鉛筆などの種類と出方を確認する。その準備をしてから、必ず勉強をする。
確認すること、確認する順番を決めて繰り返して、各教科の学習に入るわけです。これが試験当日の、休み時間の緊張を防ぎます。
そして、次のレベルは、
「集中するルーティンを作る」です。
一番簡単なのは、音楽などの力を借りること。
英語の前にはこの曲。数学の前にはこの曲。
などと、直前の音楽を決めるんです。野球選手が打席に立つ前にテーマ曲が流れるようなもの。繰り返すと不思議なくらい、学習の気持ちができあがります。
もちろん、「自分を落ち着かせる言葉」を唱えるのも重要。なんでもいいから、ぶつぶつと唱える、というのはスポーツの世界ではよくあることです。もちろん、あなたにとっては「なんでもいい」なんてことはありません。
決めるからルーティン。
「ぼくはできる」でも「私は〇〇をやってきた。」でも「〇〇と〇〇を意識して読むぞ」でもいい。
かならず、学習前につぶやく、というのは、結構簡単なルーティンです。名言がないなら、「試験で意識すること」を箇条書きにして、それを唱えるのがいいんじゃないでしょうか。普段からやっておかないと、試験のときだけなんてだめですよ。
記録
次に考えられるのが、記録のルーティンです。
これは簡単にいうとふたつ。
ひとつは、試験当日に持っていくものを考えた時に、一冊のノートにまとめられるようにするということ。
そして、もうひとつは、やったことを目に見える形にして確認できるようにし、自信をつけるということ。できれば、その記録を試験当日に持っていて、それを見て「ぼくはこれだけやったんだ」という自信に変えること。
似たようなことですね。
前者は、とにかくノートを一冊にして(あくまでも比喩です。何冊でも復習したいときに「ここ」とわかればいいわけです)いくこと。このあたりは、
これを参照してください。
もうひとつは、これは手帳的な記録です。励ましの言葉や自分が学んだことなどを含めて、手帳などに記録する。勉強した量や時間、そうしたものも記録する。
そして、学習に入る前に、試験を受ける前に、読むもの、見るものを決めていく。こういうこともとても大事。終わった問題集を積み上げる。それを写真にとって眺める、という類のものです。
視覚化されるとやる気に変わりますよ。
切り替え
そして、最後に切り替えのルーティンです。実生活ではいろいろな手が使えるかもしれませんが、ここでは入試本番で使えることを考えてみましょう。
たとえば、音楽を聴くとか、鉛筆を削るとか、ノートを見るとかは休み時間には再現できますが、試験が始まるとだめですね。
この瞬間に緊張が訪れるわけです。
したがって、自分の体だけで、切り替えられるルーティンを作りましょう。
一番のおすすめは指を握ること。
指ごとにメッセージを込めておくといいですね。
親指握って、「お母さん感謝してます。ありがとう」
とか
人差し指握って「いやなことは忘れて切り替えよう」
とか、
中指握って「集中。集中。集中」とか
薬指握って「〇〇ちゃん、見ててね。一緒に受かるからね」とか。
ふだんから同じものにしておくのがコツです。
もちろん、言葉を決めて目をつぶってブツブツというのも当然ありです。
センターまで100日あまり。そろそろルーティンを意識しておかないと、定着しないで終わりますよ。
では。