新型コロナによって、突然学校が休校になりました。この間にどのように学習計画を立て、学習をすすめていくべきか考えます。
新型コロナによって、突然の休校になりました。
ちょっと長い春休み…といっても、日本全体が危機的な状況になっているわけですし、そもそも試験がなくなったり、授業がなくなったり…と喜びたいのはわかりますが、喜んでしまえば、長い目で見たときに、自分の学力が伸びきらなくなりますね。
一日、二日なら変わりませんが、その積み重ねで自分が出来上がっているわけです。
今日はそんな思いで、休校中の過ごし方を考えてみましょう。
- 東日本大震災と新型コロナでは、休みになった生徒の「思い」が違うかもしれない…
- 試験がなくなった…試験があるから学習する人は、一年の1/5の学習を失うことになりかねない。
- やるべきこと1 試験範囲の学習をきちんとしておく
- やるべきこと2 来年に向けた、今年の振り返りと来年の準備をする
- やるべきこと3 苦手科目・苦手分野を克服する
- やるべきこと4 学習の長期計画を立てる。
- やるべきこと5 問題集を解く。
- 学習のコツ1 友達と連絡をとって、計画を共有する
- 学習のコツ2 「解説」をうまく手に入れる~ネットや実況解説型の問題集
- 学習のコツ3 手帳をうまく使う
- 学習のコツ4 時間のセットを短くして、何セット積み上げたか記録をつける
東日本大震災と新型コロナでは、休みになった生徒の「思い」が違うかもしれない…
今回の休校で鮮明に思い出すのは、東日本大震災のことです。
突然の休校…といえば、あのときの方が圧倒的に突然でした。地震の被害だけでなく、原発の問題や計画停電など。ガソリンも圧倒的になくなり、そして電車も動きませんでした。
それに比べれば、今回の方が、まだ突然ではない。圧倒的に時間は足りないけれど、準備の時間があったし、これからだって、ネットや電話など、普通に学習指導をすることもできるかもしれません。
動画を撮ってあげていくことだってできる。
しかし、だからこそ、今回はある意味で、お気楽でもいられる。
あのとき、すぐそこに、圧倒的な危機があり、圧倒的に日常が失われた人がいました。ぼくらは首都圏に住んでいましたから、少なくとも休校になったり、電車がとまったり…日常ではない生活が続くわけです。
にも関わらず、それよりも日常を失った人たちがたくさんいる…。そういう中で、日常の価値を自然と意識する。たとえば、学習するとか、学校に行くとか、そういうことの大切さとか、そして自分がそれを失っているのに、そういう日常を過ごすことさえ、罪悪感のようなものを感じてしまったり…だから、あのときの休校期間中は、「学習」さえ、「今、そんなことをしていていいのか…」というような雰囲気だったんです。
でも、今回はそこまでの雰囲気はない。
危機感はあるけれど、どこかにただの「休み」だという何かを感じてしまいます。もしかしたら、東日本大震災のときに、「休校中の学習」なんて言及したら、炎上かもしれませんし、もしかしたら、今でも、「そんなこと言っているやつがいる」となるような気もします。でも、今回は、逆に言えば、たぶん「休校中の学習」は、むしろ大きな課題です。
要するに、ほっといたら、ひどい話になるかもしれない。休んでいるみなさんに、危機感がある人とない人がいて、その差が、決定的な差になるかもしれません。
でも、卒業式がなくなったり、後期入試が残っているのに学校に来られなくなったり、もちろん、旅行に行っている場合じゃなくなったり、大会がなくなったり、もちろん、大人に目を向ければ、仕事の上でもっと深刻な人もいるかもしれません。
そういう中で、できることがあるときに、あるべき日常をしっかりこなす、という意識はここで持っていてほしいものです。
試験がなくなった…試験があるから学習する人は、一年の1/5の学習を失うことになりかねない。
さて、具体的なアドバイスに入る前にもう少し前提を書いておきましょう。
私自身は、事件簿勉強そのものに否定的です。
試験前に勉強するのでなく、授業でこそ勉強すべきだと思っているからです。だから、今回一番痛いのは、授業がなくなったことであり、やるべき教材がやれなかったことであり、伸ばす機会を失ったことです。
試験でいうなら、決して生徒が勉強しなくなることではなく、間違いそうなところを確認し、チェックし、もう一度説明するチャンスを失ったことです。
しかし、こうした考えについてきてくれる人はあまり多くありません。
私の考えである以上は、ネットでの授業配信ぐらいしか手がない。
でも、試験があるからはじめて生徒が勉強すると考える人、あるいはそう考えさせてしまうような生徒は、確かに試験がない以上捨てて終わりなのでしょう。
試験範囲だから勉強する、試験範囲だけをやる、そう考えているなら、確かに授業はただの試験のための記録であって、試験がない以上、ゴミになるのでしょう。ノートも教材もプリントも。
ということは前後期制なら1/4、三学期制なら1/5を捨てることになります。
決して二週間の問題ではないんです。一年で考えれば2ヶ月から3ヶ月を捨てることになるんです。
大きいですよ。
あなたが、試験前にしか勉強しない人であるなら、やるしかありません。
私自身は、試験や宿題で追うということが、好きではありません。だから、この休校期間を、「後で試験やるよ」とか「宿題いっぱい出すよ」ということは適切でないと思っています。
でも、そのためには、みなさんが、自分の問題として、この期間の目標管理をしないといけないんですね。
では、あなたに意識が出来たなら、次からの具体的な行動に移していきましょう。
やるべきこと1 試験範囲の学習をきちんとしておく
まず、今も書いたように、試験範囲だったはずの学習を一通りやりましょう。
授業でしっかり受けてきたなら、省略が出来ますが、ただ授業でノートをとって試験前に復習するつもりだったなら、これはやるしかありません。
公立の学校を中心に、春休みのタイミングは今回の試験範囲をただ流してしまう可能性が高いでしょう。3月から4月は、先生方が入れ替わる可能性が高いですから、先生の側からすればどうすることもできない。
定期試験というのは、授業と連動していることが多いので。
しかし、その授業の連続で、3年間の成績は差がついていきます。
その試験に向けて、勉強することは決して無意味ではありません。場合によっては、試験問題をくれるということもあるでしょう。
できれば、もらったらすぐやるのではなくて、1週間、試験勉強をしてからやるようにしましょう。その試験勉強の期間が大切ですよ。
やるべきこと2 来年に向けた、今年の振り返りと来年の準備をする
期せずして、新年度に向けて時間ができました。
春のこの時期は、1年の学習を振り返り、新年度の目標を立てるには最適の時期です。クラス替えや先生が替わることもあるでしょう。
そういう時はよくもわるくも「変化」があるときです。
周りの環境も重要ですが、まずはあなた自身がよい方向に変わる「準備」をしておかなければいけません。
そのためにも、今年1年間やってきた教科書、ノートなどを捨てるのでなく、有効利用することを考えましょう。大学入試はやってきたことの積み重ねです。
もし、あなたが好きな授業、楽しかった授業があるなら、その授業の教材を葬ることはありえません。そして、大学受験の時にやり直すなんて。
大学受験の下敷きは、やってきたことです。だから、そのノートを、大学受験の時に有効利用できるように、振り返っておいたり、できれば、まとめ直したりしていたい。
歴史や理科などでは、分野別にまとまっていますから、ノート自体はまとめ直さなくていいかもしれませんが、英語や古典などでは、単語や文法などの別々の項目が、ランダムにちりばめられているノートもあるでしょう。
また、現代文も含めて、やった教材をしっかりやり直して、内容やフレーズを頭の中に入れておくと、入試で似たようなフレーズが必ず出て来ます。それが「教科書」というものですから。そうしたことをしておきましょう。
また、数学や理科、社会など、分野別にまとまっているものは、問題演習あるのみ、です。数学や理科は、結局問題演習量。これが足りないと入試で間に合わなくなります。
理系で一定以上のレベルを狙う場合、高2秋から冬の成績で、ほぼ逆転の範囲が決まります。しっかり問題演習をしておきましょう。
高校3年生になるあなたは、もっと危機感を持つべきです。もう手遅れかもしれないのですから。
でも、期せずして時間ができました。
ここで成績をあげておけば、もしかしたら、例年より逆転ができるかもしれません。
高校2年生になるあなたは、もう瀬戸際です。ここである程度積み重ねておかないと、届かなくなりますよ。
特に理系を志す人は、数学、理科の問題演習を続けましょう。
やるべきこと3 苦手科目・苦手分野を克服する
大学入試では、苦手科目・苦手分野があると、それが最後まで影響をします。
とにかく、苦手科目・苦手分野の克服をこの時期に目指しましょう。
少々古い記事ですが、まず上の記事を読んでください。
大学入試直前になると、「A判定でも落ちる」って本当?という質問が山ほどきます。
この理由は、「そもそもA判定でも20%落ちる」「1回のA判定はA判定と言えない」「大学の対策をやらないといけない」「確かに判定ラインが難化することがある」などでもあるんですが、もうひとつ大きな理由は、
「模試は偏差値で判定しているので得意科目の偏差値で判定ラインを越えるが、苦手科目や苦手分野があるため、実際の入試では合格最低点がとれない」
というものです。
とにかく一番多いんです。これ。
- MARCH文系では、英語、古典、歴史のどれかに穴があるだけで落ちる
- 早慶文系では、現代文・小論文でこけると落ちる
- 漢文とか文学史とか、少ない配点のものを完全に捨てていると、本番でそれができないと出た大学だけ落ちる
なんていうことが起きるんです。特に文系の方がこれが怖いですが、逆に理系は、ある一定レベルに行っていないとどうすることもできなくなります。
というわけで、苦手の克服を考えましょう。
やるべきこと4 学習の長期計画を立てる。
時間のあるときに、大学受験までのイメージをしましょう。
今年1年の流れ、そして新高2なら、受験までのイメージが大事。
目標と計画の立て方は以下でどうぞ。
やるべきこと5 問題集を解く。
やることがわからないならとにかく問題集を解くこと。
高3なら、センター試験の過去問題集を先輩からもらってやりこむだけでも十分。とにかく、何をしていいかわからないなら、問題集をやってみましょう。
学習のコツ1 友達と連絡をとって、計画を共有する
さてここからは生活習慣です。これ、意外と大事ですね。
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ここに関しては、自分なりの方法を見つけてもらうのが一番です。特に新高3生は、場所、時間、服装、環境、ルーティンなどなど、自分が学習に入るための儀式、集中するための儀式を見つけていきましょう。
こうした長期休みでおすすめなのは、友達と連絡をとって、同時に学習に入ることです。Youtubeで、「勉強動画」が流行りましたよね?あれ、ちょっとわかるような気がします。誰かとともに、誰かに監視されているような感じで、誰かを目標に、学習をしたい。だから、友達は大事。今までの友達を捨てろ、と言ってるわけではないです。勉強をする友達とも付き合うべきだし、友達関係は、ともに勉強するような関係になればいい。
だから、友達と連絡をとって、ここからここまでは勉強時間。それが終わったら、連絡をとって、また勉強の間は連絡をとらない…なんていう風に、決めてしまうのがいい。
受験勉強の大きな敵はスマホです。
使わなければベストなんですが、これだけ長い休みになると、なかなか「使わない」のも難しい。だから、結果としてだらだらと使い続ける。
だとすれば逆手にとって、友達の、連絡がきそうなグループで、時間を決めてしまえばいい。そして必ず何をやったか報告するようにすればいい。
そんなことも話し合ってくださいね。
学習のコツ2 「解説」をうまく手に入れる~ネットや実況解説型の問題集
休校になったときに難しいのは、授業がないことです。それはつまり「解説」がないこと。
勉強は、「参考書」「問題集」「解説」です。
休校で困るのは、「解説」ですね。学校も、塾も要は解説です。
これを埋めるのは、
- スタディサプリなどの動画
- 実況中継型問題集
です。今はネット、Youtubeにも、かなりありますが、勉強法などが多く、具体的な解説は必ずしも多くありません。
以下にまとめてあるサイトです。勧誘などにつながるかもしれませんが、そのあたりは各自判断しましょう。
そうなると、実況中継型の問題集という手がありますので、書店で探してみてください。
こんな感じのです。別にすすめているわけではありません。こういうの、ということです。
英語に関しては、Youtubeはオススメです。英単語から英文法まで、リスニング、スピーキングとかなり練習になると思いますので、ぜひこの機会に探してみてください。
英語はやっぱり、聞いて発音するのがとにかく重要ですから。
学習のコツ3 手帳をうまく使う
計画は手帳を使うのがおすすめ。
ここまで使ってこなかったとしても、残り1ヶ月使って、新しい手帳を使う練習をしましょう。
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使うのに慣れない人は最初は割り切って、学習記録をつけることだけに使ってもいいと思います。休校期間に何をやったかを記録しましょう。
学習のコツ4 時間のセットを短くして、何セット積み上げたか記録をつける
最後に時間をはかることをオススメします。
ストップウォッチとキッチンタイマーを使って記録をつけていくことがまずは大事。とにかく記録を測る。これだけでも、かなり集中力があがります。
さらに、単語とか文法とかだったら、3分間作文の手法があります。
さらに、さきほどの学習時間の管理も慣れないなら、まずは20分ぐらいがいいでしょう。20分やって、10分休みぐらいでもかまいません。これでも1時間に40分できます。いつもの学校より10分少ないだけですね。このぐらいのセットから少しずつ長くするのがいいでしょう。
だからこそ、友達とうまく連携して、集中できるようにしましょう。