高校1年生や2年生は、文理選択や科目選択のために、志望する大学や学部学科を考え、さらに受験科目などを調べはじめているころだと思います。というわけで、今日はそういう人に向けてざっくりとしたまとめです。
高校1年生の秋に、文系か理系かを決めるなんて酷ですよね。でも、現在の入試システムでは、少しでも早く科目を決めてその科目を重点的にやった方が得をしてしまいます。きっと新指導要領などから少しずつ、全部の科目をちゃんとやるんだよってメッセージになっていくとは思いますが、それはそれとして、ざっくりと、どんな大学に行こうとすると、どんな科目が必要になるのか、どんな学部学科を考えると、どんな科目が必要になるのかを簡単に説明したいと思います。
この話題が必要なのは、高校1年生2年生になると思いますので、共通テストが始まる2021年度入試以降をベースにして書きたいとは思います。しかし、現段階でも不透明なことも多く、また、これからどんどん変わることが予想されます。現高1(2019年執筆)が、受験生になるときには、高校2年生が受験をするときとまた変わるはずです。
ですので、そのあたりは多少差し引いて読んでくださいね。
それから、基本的に私は首都圏にいるので、首都圏の大学、首都圏の状況をベースに書いています。関西や地方では、私学の状況や併願の考え方などがだいぶ変わる可能性もありますので、首都圏の受験状況をもとに書いているということもお願いします。
本当に。この記事、たぶん「違う!!」とかいう人がいっぱい出て来る内容なんです。なので、あくまでも「こういう意見もあるよ」ぐらいで読んでくださいね。
- 国立大学を志望するか私立大学を志望するか
- 学部系統で必要な科目は変わる
- 理系 工学部や理学部 物理・化学の2科目が王道だが、生物・化学で進むことも。理科が1科目ですむかどうかは、狙う大学のレベル
- 理系 医学部 基本は物理・化学・生物から2科目。物理・化学が一番可能性が広がるが生物受験も無理ではない
- 理系 薬学部 基本はとにかく化学。国立大では2科目なので、物理・化学が無難。生物・化学にするかどうかは併願によって決まる。数学は、数ⅡBで済むが、難関や国立はⅢまで。
- 理系 農学部 学科にもよるが基本は生物・化学。専攻によっては物理・化学の方がいい場合も。数学は私立ではⅡBですむが、国立だとⅢまで必要になることが多い。
- 看護系 基本は理系で、生物・数ⅡBが必須。ただし、国語を使って文系受験をすることも可能。
- 文系難関国立大学 数学が二次に入ったり、加わったりする可能性が高い…
- 文系私立難関大学 英語・国語に数学・世界史・日本史が一般的。地理や政治経済はどんどん使えなくなっている…
- 文系私立大学 基本は3科目だけど、国語から古典が消えたり、2科目入試になったり…
- 文系私立大学 経済・経営・商学部系の特徴
- 文系私立大学 文学部系統の特徴
- 文系 法学部は大学による
国立大学を志望するか私立大学を志望するか
まず、試験科目を考えるとき、重要なのは国立大学を考えるか、それとも私立に絞れるかです。こうした考え方がもっとも試験科目を決めるのに重要な要素になっていきます。
国立大学は5教科7科目と2次試験が一般的。でも総合型選抜や学校選抜が増えている…
まず、国立大学全般についてです。一般入試、一般選抜になりますが、まずこれを考えるとなると、共通テストと二次試験の合算で決まるのが一般的です。
この共通テスト科目については、大学によって異なりますが、5(6)教科7科目が一般的。これは共通テストになっても変わらないところです。それにほぼ私大と同じような科目であるところの二次科目が必要になります。つまり、国立を受けるという場合は、たいてい5(6)教科を全部やる、ということになります。
また、原則として国立大学は、英語外部検定の成績提供システムを義務づけています。もちろん、初年度はほとんどどうでもいいような受験資格になっている大学がほとんどですが、一部には加点としている大学もありますから、国立志望は、成績提供システムの受験を考える必要と思います。
ただし、国立大学といっても、総合型選抜や学校推薦型選抜もありますから、こうした入試になると大学の個性が出てきます。たとえば、英語外部検定も、英検とかTOEFL、TOEICに限って基準を作ったり、小論文や面接の上に、共通テストの任意の科目に基準点を設けてみたり、そもそも共通テストに学科試験を課したり、さまざまなパターンがありますので、それだけを考えるなら、5教科やっていなくても国立を受けることは可能と言えば可能ではあります。
国立理系の共通テスト科目と二次科目
国立理系の場合、まず共通テスト科目は、
英語、数学➀、➁、つまり、ⅠAⅡB、国語、理科2科目、地歴公民1科目が標準です。
もちろん、これらは大学によって異なりますが、基本的には標準的なことを考えておかないと共通テストの自己採点結果によって出願変更する時に選択肢がなくなる、ということも起こります。
理科については、理系の場合は、物理・化学・生物から2科目を選ぶ形になるでしょう。基礎科目2つで、基礎無し1科目分になるわけですが、基礎無しを認めない大学も多いですし、結局2次試験で難関大学では2科目を使うことを考えると、基礎無し2科目です。
地歴公民については、地理か倫理・政治経済が無難。
まず、一つ目は、日本史Bや世界史Bは文系と競争することになります。文系が時間をかけて必死にやってようやく終わる…というような科目ですから、理系が手を出して文系と競争するのは、よほど歴史が得意でないとやるべきではないと思います。今、世界史受けていて文系合わせても上位で範囲もそこそこ終わっている…とかならいいですけど、「小学校のころ好きだった」レベルではやめた方がいいと思います。
東大しか考えないぐらいの進学校では、100点に近づけるという観点で日本史や世界史を選択する作戦もありますが、これはいかに100点に近づけるかという視点です。いかに80点ぐらいを楽にとるかと考えるなら、地理とか倫理・政経ですね。
楽という観点では、現代社会や単体の政治経済などもあります。これは2単位科目です。いくつかの大学、特に難関大では4単位科目に限る、というような指定がつくこともありますので、何も考えないなら、さっきの2科目になるわけです。
現代社会は比較的取り組みやすい科目ですから、受験するだろう大学がだいたい全部現社でいけるなら「アリ」です。しかし、繰り返しますが、思ったような点数がとれず受験先を変更することもありますから、少し視野を広げて現代社会でも大丈夫か見ておくことが大事です。
二次科目ですが、一般的には次のような感じ。
- 英語・数学Ⅲ・理科2科目・国語…最難関
- 英語・数学Ⅲ・理科2科目
- 英語・数学Ⅲ・理科1科目
- 英語・数学ⅡB・理科1科目
という感じ。例外的に国語選択ができたりする大学もあれば、国立医学部のように共通テストと合わせて実質理科3科目が要求されることもありますが、基本は上の通り。
なので、二次でも共通テストでも使うのが重点科目、主要科目で、共通テストのみの科目がやや軽い科目となるわけですね。
国立文系の共通テスト科目と二次科目
さて、文系です。
英語・国語・数学➀・➁・地歴公民2科目・理科1科目
というのが一般的。
まず、理科ですが、理科基礎2科目で1科目分、というのを選択するのが無難です。というのも、理系はほとんど理科基礎を選択しないので、理系と理科を競争するリスクを避けられるからです。逆にいうと、生物とか化学とかは理系と競争するので不向き。しかも、親世代のころと違って、共通テストの基礎無しの範囲が拡大しているので、昔よりも基礎無しは範囲が増えています。
理科基礎の4科目から、どの2科目を選ぶかは好みです。なぜなら理系と競争がないからです。昔は、文系が選ぶ科目といえば生物か地学で決まりだったのですが、今は理系がいない以上、やってみてとりつきやすい科目、学校でやって成績がよかった科目で大丈夫です。とはいえ、物理を筆頭に数学色が強いですから、やっぱり生物とか地学とかの方がやりやすいかもしれないですけど…。まあ好きなのを選びましょう。
続いて地歴公民です。1科目目は、2次試験や私大で使う科目ですから、きっと別の視点で選択済みでしょう。
もう1科目が問題です。
これは理系の社会と同じで、無難なのは、地理と倫理・政経、2単位科目でもよければ現代社会などを考える…というところでしょう。
日本史・世界史を選ぶというのは負担が大きいことは間違いないですから、基本的には地理か政経を意識しておくといいと思います。
私立大学は多様な入試 総合・共通テスト利用・全学部・一般・外部検定利用…
では私立大学です。
私立大学は、一般選抜であるとするなら、国立の二次と近いような形になっているのがほとんどです。
理系
- 英・数Ⅲ・理科2科目
- 英・数Ⅲ・理科1科目
- 英・数ⅡB・理科1科目
文系
- 英・国・数ⅡBor日本史・世界史
- 上記の2科目入試
というのがベースです。学部学科別はこのあと説明しますが、もちろん例外的な選択ができるケースもあります。
2科目入試もあるにはありますが、一定以上の私大を狙う場合、2科目で受験できるのはまれですので、基本は3科目は最低準備するべきです。
もともとは上記が基本だったのですが、実際には複雑な様相を見せているのが現代の私立大学入試です。
一般選抜例外的な状況…慶応大学や新入試対応=早稲田政経、上智、青山学院、立教…
まず、そもそも慶応大学は、特に文系ではこれまでも独自路線を貫いてきました。まず、国語を実施せず、いわゆる小論文を課しています。また、経済学部や商学部では、数学受験と社会受験・論文受験で定員を分けて、しかも数学受験の方に定員をシフトするという文系らしからぬ選考を続けてきました。商学部の場合だと、英語・歴史・数学か、英語・歴史・論文、経済学部だと英語・数学・論文か、英語・歴史・論文です。
だから、文系だから数学いらないというのは間違いだったわけです。
で、新入試です。先陣を切ったのは早稲田政経です。
共通テストの英国数にもうひとつ数社理を足して25点ずつ100点にするんですね。で、英語外部検定を加点して、英語と国語と社会(問題の雰囲気としては政治経済的な社会科学的な内容ですね)を必要とするような2題で決まると。
まあ、数学必須ですから、いくら共通テストの数ⅠAといっても、確かに文系にハードルが高いとはいえるかもしれません。
上智大学は、一般選抜で、共通テストと成績提供システムを課します。共通テスト科目はざっと見た感じ、今までの一般入試の科目です。文系だと、英語・国語に数学か社会という感じです。これにプラスして独自試験は論述ということですね。
青山学院大学は、学部によって方針が多少違う感じがあるので、最終的にはしっかり確認する必要がありますが、基本的には、共通テストで主要3教科、で論述型の独自試験を課す、というイメージだと思います。
立教大学は、英語を全て外部検定(成績提供システムにかぎらず、過去2年間まで認める)にしましたが、その他は変わらないようです。まだわかりませんけど。立教の改革はむしろ日程にありますので、科目さえOKなら何回でも第一志望を受験できる形になります。
新入試というのは、この程度ですね。だから、結局文理選択で大きく影響するのは、「文系なのに社会数学両方が必要」「理系なのに国語まで必要」ということなんですが、早稲田の政経以外は、こういう状況にはならないということです。
なので、慶応に加えて、早稲田政経だけですから、文系で英国数社という4科目対応は今のところ、最難関志望者だけということになります。
というわけで、いくら入試が変わるといって、文系最難関でないかぎり、あまり準備は変わらないと言えます。
共通テスト利用
共通テスト利用も、実質センター利用の名称が変わるだけの印象です。
しかし、高校1年生、2年生からすれば、そもそも「センター利用って何?」という感じかもしれません。
共通テスト利用は次のような注意点を理解してください。
- 全部の大学や全部の学部がやっているわけではない。導入する大学もあれば、しない大学もある。早稲田はやっていてやり方が学部ごとに違うけど、慶応はそもそもやっていない。
- 試験科目は、大学や学部によって違う。一般と同じように2科目や3科目のところもあれば、国立受験者をとりこむために7科目要求するところもある。同じ学部でも、3科目型、4科目型、5科目型などと複数のパターンを設定する大学もある。
- 共通テストだけで決めるとも限らない。「共通テストの結果だけで決める」「共通テストに加えて独自試験を実施する」などの大学がある。
こんな感じです。
だから、たとえば数学が苦手だから、3科目にしぼって私立文系、ならいいんですが、「早稲田を目指すから私立文系、数学なくてもいい」みたいな決め方だと共通テスト利用が受けられなくなってチャンスを減らすことにもなるわけです。
外部検定利用
成績提供システムが何かと話題になる昨今ですが、私立大学では、
- 成績提供システムだけに限って利用する大学
- 成績提供システムに限らず、英語外部検定を使う大学
- 外部検定をまったく使わない大学
にわかれます。
厄介なのは、多くの私立大学は、「一般入試では外部検定はまったくつかわないけど、定員や方式を分けて外部検定を使う入試もあるよ」という状況であることです。
その二つの方式が併願できたりできなかったり、一般入試の得点と外部検定の結果といい方を用いたり、とにかくさまざま。まして、どっちの方式が受かりやすいのか、というのは、大学による…というか、やってみないとわからないというような場合も多いんですね。
いずれにせよ、外部検定はやっておくにこしたことがない状況になりますし、国立を受験しなくても成績提供システムにのっかっておくことをおすすめします。
全学部入試
一般入試の中でも、その大学のどの学部でも受験できる日程をもうけるというのが最近はやっていて、全学部入試とか統一入試とか言われています。一般入試との差をつけている大学もありますが、たいていは一般入試と同じ科目ですので、文理選択や科目選択にはあまり影響はないと思います。
早慶はないです。MARCHより下でほとんどやっています。
学部系統で必要な科目は変わる
今度は学部学科系統の視点でもう少し細かく見ていきましょう。学部学科系統によって、必要とされる科目が異なってきます。
理系 工学部や理学部 物理・化学の2科目が王道だが、生物・化学で進むことも。理科が1科目ですむかどうかは、狙う大学のレベル
まず、理系の工学部、理学部は基本的に、「物理・化学」か「生物・化学」かのどちらかでしょう。もちろん、理学部地学科などということになれば地学をやっているのがいいと思いますが、多くの工学部はこのどちらかだと思います。
機械、情報、建築などでは物理が必須ですから、よほどのことがなければ物理が王道。化学でしのげるのは応用化学ですが、もうひとつはこれも物理の方が無難。
生命科学系になってくれば、生物・化学でもだいぶいける感じですが、これも医工学とか遺伝子工学とかになってくるとやっぱり物理がいる感じです。
大学のレベルが下がってくると理科を1科目でいいようにしてきますが、入試を突破するという観点では指定のどれかでいいわけですが、そうでなければ結局物理・化学が必要になってくるというのが、ほとんどの工学部の印象です。
入ってから頑張ればいいんですけど、高校で捨てないようにしましょうね。
理系 医学部 基本は物理・化学・生物から2科目。物理・化学が一番可能性が広がるが生物受験も無理ではない
医学部は、本来、物理・化学・生物の3科目が必要です。しかし、入試では負担が大きすぎるので、2科目になるケースがほとんど。もちろん、共通テストをからめて、二次で違う科目を選択させるなどして実質3科目要求するような大学もあるにはあります。
いずれにしても、入試科目をどうするかと将来何が必要かは違いますから、しっかり3科目やりましょう。
でも、入試科目としてみた場合は物理・化学の方が王道で、生物・化学でも十分いけますよ、という感じ。このあたりはよく調べて選択しましょう。
理系 薬学部 基本はとにかく化学。国立大では2科目なので、物理・化学が無難。生物・化学にするかどうかは併願によって決まる。数学は、数ⅡBで済むが、難関や国立はⅢまで。
薬学部の場合、まず理科は化学がマストです。とにかく化学。で、もう1科目は、どちらかというと物理の方が広くなると思います。工学部の応用化学とかを併願するなら物理化学の方がいい。ただ、医療系ですから、薬学部の併願が医療系で、たとえば看護とかになるなら生物・化学もありですね。薬学部だけでいければいいですが諸事情から併願をどうするかも考えましょう。
いずれにしても多くの私大は化学オンリーですから、仮に学校で勉強しなければならないにしても負担を考えてどうせ使わないから楽な生物にしとくという手はあるかもしれません。ただ、東工大など薬ではないけど化学とか生命系をがっつりとやる感じになると、物理・化学ですね。
もうひとつ、薬学部の場合は、私大はほとんど数ⅡBでいいというのがポイントです。数学Ⅲを選択するかどうか選べるような学校では、併願や自分のレベルを考える必要がありますね。理科大と国立は数Ⅲまで必要です。
あとは、現在薬学部は、6年制が薬剤師、4年制(+大学院2年)が研究、という住み分けになっています。したがって、絶対ではありませんが、6年制に行けば薬剤師にはなれますが、研究職は厳しいです。6年制大学では、多くの大学は最後の方は受験勉強中心みたいになることが多く、研究的に展開してくれる大学の方が少ないです。(研究をちゃんとやってくれる大学の方が薬剤師の合格率は低く見えたりします。薬剤師の合格率が100%近いような大学は、最後は受験シフトで大学の試験で不合格にして卒業させないようにして合格率を上げる大学もあるようです。)
なので、本当に将来仕事として研究したい、というのなら、4年制です。しかも、国立を中心とした数Ⅲを必要とするような大学をしっかり狙いましょう。
理系 農学部 学科にもよるが基本は生物・化学。専攻によっては物理・化学の方がいい場合も。数学は私立ではⅡBですむが、国立だとⅢまで必要になることが多い。
農学部は、遺伝子工学とか農業機械みたいになると物理の方がいいケースは出てきますが、普通に農業をイメージするレベルでは、しっかり生物を選択しましょう。
また私大では数学はたいていⅡBでよく、場合によっては国語や社会受験ができるケースもあるようです。
ただそうはいっても、よほど理数系が嫌いである大学を狙い撃つ、というようなことでないかぎり、やはり農業は理系ですから、そちらで準備した方が将来のためにはなります。
国立大学だと数Ⅲまで必要になるケースも出てきます。
看護系 基本は理系で、生物・数ⅡBが必須。ただし、国語を使って文系受験をすることも可能。
看護系はもっとも指導がゆれるところではないでしょうか。
私は看護は医療系なので、まずは理系であるべきだと思っています。あなたが好き嫌いなく勉強に取り組めるなら、将来を考えてみても、理系の観点で医療に向き合うべきです。
実際、国立の難関の学部は、理系でなければ受けられない形になっています。私は当たり前だと思います。医療なんですから。生物や化学の知識は絶対に必要です。
しかし、現実の医療現場もそうですが、実際には人手も足らず、専門的な知識について原理的に理解していないとしても、脈をとったり、採血をしたり、点滴をしたり…という実務的な経験さえつめればいい、というのも事実です。
なので、数学や理科がなくても受験できるような、そういう大学も結構な数がありますし、専門学校などになってくると、そもそも文系が受けるようなシフトになっているのではないでしょうか。
ただし、看護の場合は、いくら理系と言ってもまずは生物です。物理だと受験できないようなこともあるかもしれません。
文系難関国立大学 数学が二次に入ったり、加わったりする可能性が高い…
さて、ここから文系です。
難関の国立、たとえば東大や一橋では、歴史に加えて、数学まで要求されていきます。旧帝大あたりの経済系や法学部系は、英・国・歴ではなく、英・国・数に限定されているケースも多いと思います。
そもそも、私立大学でも、慶応や早稲田政経などは数学のウエイトが高まっていましたね。商学部や経済学部は数学がとても大事な学部学科系統ですから、ずっと数学をやらせなくていいのかという批判があったわけです。
というわけで、まずは難関大を中心に、数学の重要性が高まっているわけですね。
実際上智のTEAP利用などでは、数Ⅲまで必要な方式なんていうのも出てき始めています。理系の連中をとろうっていうことですね。
文系私立難関大学 英語・国語に数学・世界史・日本史が一般的。地理や政治経済はどんどん使えなくなっている…
とはいえ、私立大学になってくると、「数学がないと受けられない」というわけではありませんでした。慶應だって歴史受験ができたわけで。だから、早稲田の政経で大騒ぎになったわけです。
実際は、2021年度入試でも数学必須はほとんどありません。
英国が必須で、歴史か数学が選択できるのがほとんど。
で、いままでその地歴公民は、
日本史・世界史・政治経済・地理
という4科目だったんですが、この中でまず、地理がどんどんなくなっています。さらに今、政治経済が消えつつあります。今回の、つまり2021年度入試に向けた改革で、さらに政治経済、地理が消えている大学が増えます。
なので、よほどでなければ選択は、
日本史・世界史・数学
です。
ちなみにですが、数学を選択する場合は、「数学が得意だから」にしましょう。
たまにいるんですけど、「日本史や世界史が死ぬほどきらいだから数学」という人がいるんですが、どんなに嫌いでも、歴史はやればできます。数学は必ずしもそうではない。歴史逃げて数学にして、数学はいっこうにできないケースになったら目もあてられません。でも歴史ならやれば少しずつできる。
歴史がいやだから、ぐらいのつまらない理由で選択しないようにしてください。
文系私立大学 基本は3科目だけど、国語から古典が消えたり、2科目入試になったり…
文系は、基本的に3科目ですが、ある一定レベルから下は、いまだに科目を減らして受験生を集めようとする動きがあります。たいてい、英語は消えませんから、国語や歴史が消えていくわけです。
国語の中でも漢文とかはほとんどでなくなりますし、古文もどんどん消えていきます。現代文を勉強しなくていい、とは国語の私は思いませんが、もし、現代文なんて大丈夫だよといえるなら、英語だけやればいいわけですね。
しっかり調べて対応するとこういう大学を見つけることも可能にはなりますが、文理選択や科目選択の段階では3科目は準備しておくのが無難だと思います。
文系私立大学 経済・経営・商学部系の特徴
文系の学部学科系統の特徴です。
まず、経済・経営・商などは、歴史の範囲が偏ることが多いです。これは近現代重視。間違いなく。
私はよく生徒に説明するのですが、「本当は政治経済を出したいけど、あまりに教科書が貧弱なので出題できない。だから、歴史から政治経済を出題する」ということだと理解しています。なので、政治経済、多くの国との関わりということになりますから、近現代だと思うんです。
そもそも慶応などでは、17世紀以降とか宣言してますし。宣言してなくても、偏っている大学もあります。
それから、これらの学部は、古文や漢文を軽視する傾向があります。そういえば一橋も古文はなくて、漢文書き下し調の明治期の現代文ですよね。
レベルが下がれば下がるほど、現代文のみになりやすいのがこの学科系統です。
また、数学受験が認められる可能性が高いのもこの系統ですね。
文系私立大学 文学部系統の特徴
文学部は、逆です。
歴史はまんべんなく出る可能性が高い。
国語は古文や漢文まで出る可能性が高い。
だから、文学部狙いだと、きちんと全部やるしかない可能性が高いです。
ちなみに、全学部入試や立教のように大学で統一問題作る系統は、文学部がある以上、バランス型の、つまり文学部を含むようなまんべんなく出るような出題になります。
成蹊大学の全学部入試などは、経済学部が強い大学だから現代文のみにしたいんだけど、文学部もあるから古典も出したい、となるので、明治期の「舞姫」のような擬古文が出続けるなんてことになったりするわけですね。現代文といって受験生びびらせないけど、古文を聞くってやり方です。
文系 法学部は大学による
法学部は、微妙です。成り立ちから考えると、漢文が必要だったり、歴史が必要だったりするわけですが、現代的な考え方に立つと、数学的な力が必要だったり、現代文が重視されたりするんでしょうね。
なので、大学によって違います。
ただ、間違いなくいえるのは、法学部ぐらい、こだわりとプライドを持って入試をやっている学部はないということ。
経済系の「いいんだよ、古典なんていらないし」というような割り切りとは違って、たぶん、ポリシーがすごくありそうです。だから、過去問題研究がすごく聞きます。特徴がありますからね。
というわけで、文理選択に向けてのまとめでした。地域によって全然違うかもしれないし、結局は考え方ですから、自分でちゃんと調べてねという身も蓋もない言い方で終わりますが、とりあえずはざっと理解するにはいいと思うので、そのあとは自分できちんと調べてくださいね。