学びの真似び(まねび) 「学び続ける人」になるために(教育と受験と勉強法)

学習の仕方に困ったことはありませんか?ここでは、「真似び=学び」という形で、さまざまな学習方法へのアドバイスをしていきます。学習の仕方に悩んだら、受験勉強で行き詰まったら、ぜひ訪れてみてください。効果的な学習方法を知って、学び続ける人を目指しましょう!

共通テストが今年だけ追試を選択できる特例措置!実際にどっちを選べばいいの?

新型コロナに揺れる学校教育の現場ですが、2021年度共通テストの実施方法が見えてきましたので、それをもとにどちらの日程で受けるべきかを考えてみようと思います。

新型コロナへの対応に追われる学校現場の中にいると、まだまだ通常通りということが遠いんだなあ、と感じます。短縮授業や授業カットなども平気で行われていますし、通学のラッシュなど「3密」への対応などが言われるかぎり(努力目標ならまだしも)、結局はいろいろと対応に追われ続けるんだな、となかば諦めに近い形でやれることをやっています。

とはいえ、生徒、特に受験を考えている生徒からすれば、「やれる限り」では不十分で、合格に向けて、「やらねばならぬこと」をやりきらなければいけません。

そんな中、今年の共通テストに関して、重大発表がされました。

今日は、そんなことを考えてみたいと思います。

 

第二日程が追加~共通テストの日程の変更点と特例追試、得点調整

すでにご存じの方も多いと思いますが、2021年度の共通テストは、3回になることが発表されました。

  • 第一日程は予定通り1月16・17日、追加された第二日程は1月30・31日、そして特例追試は、2月13日・14日。
  • 第二日程(追試)は、病気や事故だけでなく、「学業の遅れを学校長が認めた者」も受験できる。
  • 得点調整は今まで通り、その試験の中の科目間のずれが大きい時だけ行う。つまり、第一日程と第二日程の間では調整は行わない。
  • 特例追試は、2月13日14日。二回目の追試。問題は、過去に用意されていたセンター試験の緊急対応用問題をベースに作成する。

こんなところが今のところ発表されていることのまとめです。ここから読み取れることを考えていきたいと思います。

 

第二日程を選べるのか?~第二日程を選ぶ問題点はどこにある?

というわけで、もうわかったと思いますが、第二日程が追加されたことにより、どちらを選んだ方が得なのか?というようなことを受験生が考え出すということが始まるわけですね。

あるいは、短絡的に「二週間余計に勉強できるんだから得に決まってるじゃん!!」みたいなことが起こるのかもしれません。

まったく問題がないわけでもありませんから、このあたりをいろいろと検討しておくことは重要だと思います。

受験できるのは、「学校長が、「学業の遅れ」を認めた者」

まず、受験ができるのは、現役生、しかも「学校長が学業の遅れを認めた者」です。こう書くと、そもそも自分では自由に選べないように見えるかもしれませんが、これは「個人の選択」。だから、「学校長が認める」というのは一応ある程度のものです。

たとえば、オンライン授業をやっていたとしても、環境によってはその授業を受けられなかった…というようなことを想定されるわけで、学校としては申し出があれば認めざるを得ません。

つまり、よほど変な学校が出てくればともかく、そうでない限りは、制度上、現役生であれば誰でも選択できるわけです。

だから、どちらを選ぶか考えなければいけなくなります。

 

追試の問題は難しいの?問題が見られるから得なの?

さて、ここで問題となるのが二つの問題レベルです。実際どうなるのでしょうか。

まず、特例追試に「センターの緊急対応用問題を用いる」とありますから、もともとの追試が第二回の問題となるとみて間違いはないでしょう。

そうなると、「追試の問題が難しいのか」ということにつきると思います。もし、「同じ程度」の問題なら、第二回を選んだ方が得のように感じます。一回目で共通テストの問題傾向をつかんで、しかもほかの受験生より長く対策を練ることができるからです。

さて、ではこれまで追試験の難度は実際どうだったのでしょうか。

残念ながら、追試験の平均点は公表されていません。というか、母集団がまったく違うわけですから、公表されていたとしても、それをそのまま難易度の差としてみるわけにはいきません。だからこそ、発表できないわけですね。誤解を招きますから。

では、どんな風に分析されているでしょうか。

これは大きく分けると二つ、ですね。

一つは、都市伝説のように、「追試験は難しい」というもの。実際にやってみると、なんとなく、ではありますが、確かに追試験の方が解きにくいような気がします。

もう一つは、同じ、というもの。

「実際に、分析してみると難易度に大きな相違はない」なんていうのも出て来ると思います。実際にどうかはやってみる以外には確認の方法はなく、それだってどっちを先にやるかで「慣れ」の問題が出てしまうから、順番を入れ替えて検証するなどの作業も必要ですし、一回だけやればいいわけでなく、複数年やらないといけないでしょうから、かなり大がかりになると予想されます。だから、正確な意味では確認しようがありません。

で、私はどう思っているかというと、基本的に、難易度は同じにしようとしている、ということで間違いないです。少なくともあえて難しくしようなどということはありえない。

しかし、どんなに同じように作ってみたところで、多少の差は生まれます。毎年の平均点の推移のようなものです。それだって、本当に難しかったのか、今年の母集団が違ったのではないか、という程度のことかもしれないし、本当はわからないんですが、平均点を同じにすることは難しいわけです。

だから、結果として多少ずれているぐらい。

実際作問している身でいうと、すごくわかるんです。中学入試とか高校入試とか複数回やるんで、同じレベルで作るんですけど、同じにはならないんですよね…。

ただ、もし私が作るなら、追試が極端に簡単になることだけは避けておかないと、あえて追試を選択するという呼び水になりかねませんから、「同じ平均点を目指すけど、本試より簡単になりすぎないように」ということだけは注意します。

これが「追試はちょっと解きにくいような…」という感覚の正体かもしれません。

というわけで、そうだとすると、もしかしたら、第二日程選んだ方が準備期間も増えるし、共通テストの傾向も見えるし、得をするんじゃないか…と考えだすところですが、なかなかそうはいかないのが次以降の項目です。

 

それ以上に重要なのは、私立の「共通テスト」利用入試

まず、大きな影響を受けると考えられるのは、私立大学の共通テスト利用入試です。1月31日まで入試が行われる結果、成績提供は2月8日になります。

こうなると、私立大学の選択は次の二つ。

  1. 共通テスト利用を早く合格発表しないと意味がないので、第二日程の受験者を選考からはずす。つまり、第一日程を義務付ける。
  2. なんとか第二日程を受験者として取り込むために、最悪、合格発表を遅らせる。

どちらが、現実的かといえば、間違いなく2でしょう。受験者は少しでも多くしたいし、そもそも道義的に1にするわけにはいかないでしょう。

というわけで、この変更はおそらく併願作戦にも影響を与えることが見えてくるわけですが、今回はこれはおいておきましょう。

だとすると、第二日程を選んでもいいような気がしますが、そうもいかない部分が出てきます。

たとえば、まずは第二日程で本当に体調不良で、特例追試に回った場合、合格発表はどうなるのか?これはおそらく「ごめんなさい。無理です」か「合格発表はしましたけど、特例追試の人だけ後で追加で発表します」のどちらかでしょう。これは今後の私立の動向みたいと思いますけど、なんとか後者にして、対応しようと努力するのではないでしょうか。これも問題ない方向にいくでしょう。

でも、もうひとつが、出願なんですね。

共通テスト利用の出願は、「事前出願」と「事後出願」というんですけど、要は受験する前、自己採点結果が出る前に出願をしておかないといけないか、それとも結果を見てから出願できるか、という二つに大きく分けられるんです。

今回の第二日程に関しては、どこもデータが来次第、すぐ発表したいでしょうから(そうしないと、国立志望者をターゲットにした受験層確保にならないんですね)、おそらく事後出願はありえない。つまり、次のどれか。

  1. 公平性を目指して、すべての受験生が第一日程の前に事前出願。
  2. 少しでも受験生をとりこみたいから、第一日程は事後出願できるけど、第二日程は事前出願に限るような日程。
  3. ほぼ1や2と同じになるはずですが、第一日程と第二日程で出願締め切りを変更する。

ということでしょう。少なくとも「第二日程の場合だけ、事後出願ができない」という可能性はありますし、ちょっと怖い感じはしてきます。

 

私大の日程との関係もしっかり見ておこう!共通テストの対策を長引かせれば、その分、私大や国立の対策の時間に響く

どんどん核心的な方に行きましょう。

もっと問題なのは、1月30・31日まで共通テストをして、私大入試は2月1日から全学部統一入試を中心に、すでに始まるということです。

第一に、1日を受けるとしたら、これで3連続日程。もし2日も受けたいなんてやったら、自動的に4連続日程です。

次に、いわゆる共通テストのデータリサーチや、国公立の出願作戦、場合によっては、私大の併願作戦を考える時間がとれないということ。

普通、翌、月曜日に学校に登校してデータリサーチ。それが1週間たたずして戻ってくるんですが、その結果を見ながら、先生と国公立の出願を検討したり、私大の併願を見直したり…なんてことが起こるんですが、それがすでに入試が始まった日程になってしまうということ。

これはかなりあわただしいことだとわかると思います。

そして、最後になりますが、このように日程がつながるということは、私大の対策や国立の対策をする時間がどんどんとられるということです。

私大は2月1日から始まり、10日までに一つ目のピーク、20日にかけて二つ目のピークが来ます。29日まで共通テスト対策ができる代わりにそのまま私大入試に突入し、その間に国立の出願校を検討し、そして受験をしながら私大対策と国立二次対策をする…。これはかなり面倒なことだとわかります。

そりゃそうです。全体が遅れるならともかく、後ろはそろっていますから、今回第二日程をとるということは、「後で必要な私大対策、受験検討、二次対策の時間を、共通テスト対策に2週間費やす」ということに他ならないわけです。

もっと書くと、特例追試に万が一回る場合、13日や14日って私大の受験のピークです。こうなると、私大をとるか、国立をとるかみたいな選択を迫られる可能性もあるわけで…。

こう考えると、「共通テスト利用で勝負かけて、だめなら終わり」とか、「国公立しか考えてないし、その国公立は共通テストでほぼ決まる」とかでない限り、第二日程を選ぶのは勇気がいります。

 

国立大学の出願は、どのぐらい遅らせてくれるのか?

さらにもうひとつは、国公立の出願です。今回の通知では、国立の出願は、国立大学が決定すると書かれていました。

例年、出願締め切りは2月1週目。

もし、そのままだと仮定すると、当然、間に合うんですが、自己採点と同時に出願で少なくともリサーチ結果は待てません。まあ、自分の結果を、第一日程の結果にぶちこむことはできますが…

まして、特例追試に回ることになった場合、はたして、そのあとに出願できるのか?たぶんさすがにこれは無理でしょう。

なんとか、2月2週目ぐらいに出願締め切りを持ってきてくれたとしても、例年、リサーチ戻ってから10日間から2週間くらい、準備期間があったのに、おそらくここは1週間くらい。

実際にありうるから怖いんですけど、目標点がとれなかった場合、全然準備してなかった国公立に出すことになったりするんですね。それ、願書取り寄せから始まるんです。もし、終わってすぐ出願とか1週間で出願とかって、かなりきつくないですか?

繰り返しになりますが、これを2月1日という私大入試が始まっている中で動くと考えると…。

想像するだけでぞっとします…。

※7月14日追記 日程が修正され、国公立の出願締め切りは2月5日、特例追試については2月18日になりました。ここから言えることは、第二日程を選んだ場合、出願までの日数が極端に少ないということ。特例追試は、試験が終わってから出願ができるものの、これもわずか数日の猶予と、志望校の変更などは非常にタイトなスケジュールでやらなければいけないことがわかります。

 

今年の入試で起こる実際の大きな違いは?~リサーチの意味の違い

もう少し、違った観点でみておきます。

というわけで、今年はデータリサーチ自体が、まったく違った意味合いになる可能性があります。

みんなが第一日程を選択してくれればいいんですが、たとえば、もし50%が第二日程を選択するような事態になった場合、第一日程の段階のデータリサーチはほぼ信用できない。おそらく、第二日程も入った段階で、二段階目のデータが出る…なんていう事態になるんだと思います。

まあ、みんなが第一日程を選ぶなら、多少のデータの誤差はあっても、大きな変更はないでしょうが…。

第二日程の選択者が多くなると、そもそも先ほど国公立の受験選択でも書きましたが、「面談時間がない」「要項を取り寄せる時間がない」などの理由から、無理やり第一志望に予定通りつっこむ…なんていうケースも多くなることが予想されます。

こうなると、例年と同じデータ分析でいいのか…というあたりから疑わしくなる。

きっと、データを二回まとめるという作業とかも含めて、一番頭を抱えているのは、予備校のような気もします。

あ、私大関係者もか。きっと、共通テスト利用のシステム作り直しできっと大変でしょう。二回のテスト結果使うシステムになってないでしょうから、Web出願のシステム変更から合格発表の仕組み作り、日程変更やら、訳がわからないでしょう。

あ、ぼくらも大変です。生徒に説明しなくちゃいけないし。安易に考えて第二日程行ったら、後で指導が大変…。

もちろん、当事者の受験生が大変、というわけで、反対するわけじゃないんですけど、よかれと思っているのはよくわかるんですけど、まあ、厄介な事態ですね。

第二日程の試験会場はきちんと用意されるのか?

人によっては、意外と大きな問題となるかもしれないのは会場の問題です。どうも、会場の設定には苦慮しているようで、実際どんな感じになるのかが読めません。

実施に駆り出される私立大学は、共通テストを利用して、つまり参加してしまっているから、なんとか協力しているというところでしょうから、2回協力するというのはできればやりたくないはずだし、反対してくるはず。まして、翌1日から入試とくればそうはやってられないですよね。

もし、第一日程と第二日程で半々になるようなら、会場となる大学も半々ということで痛み分け…となるでしょうが、受験生や学校が冷静な判断をしはじめると、第二日程が極端に少ないなんてこともあるでしょう。そうなれば、なるほど、第二日程の会場は限られてくるはず。

つまり、自宅から遠いところに回される可能性があがります。もちろん、会場が都道府県でひとつしかなかったとしても、近いかもしれませんし、第一日程でも遠いという人もいるでしょうが、少なくとも会場が少なくなる…なんていうのはありそうな話です。

特例追試は「センター試験の緊急対応用問題をベースにする」から読めること

さて、もうひとつ。

特例追試は過去の「センター試験の緊急対応問題をベースにする」とありました。

これ、つまり、センター試験は、万が一用に同じレベルの問題をストックしておいて、いざとなったら使えるようにしておいた…ということです。

ここから読めることを3つ書いておきます。

  1. センター試験をベースにする、ということは、実は特に今年は大きな傾向変更をしないのではないか。大きな傾向変更を考えるとするなら、新しく作る他ないのではないか。
  2. ということは平均点も実は60%で設定しているのではないか。試行調査は50%だったが、いろいろな状況や昨年秋の質疑応答から考えると、実は例年通りで行くのではないか。
  3. とはいえ、「ベース」というあたりからは「変える」とも読み取れる。英語の傾向変化や数学の試験時間などに対応する以上、変えるのは当たり前。だとすれば、全科目しっかりいじって、傾向も多少新傾向にし、平均点も50%にするのではないか。

こんな感じ。1・2なのか3なのかということですね。

結論的にいうと、中間ぐらいで落ち着ける気なんじゃないかって直感的に思うんですけど、まあ、今後情報が出て来るかもしれないので、このあたりは注意して情報を集めて、何かいい話があったら、あげていきたいと思います。

 

調査書の変更もしれっとあがってきました…

最後になりますが、その通知にしれっと調査書の変更があがっていました。結局「やる」ということのようですね。

www.manebi.tokyo

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調査書の変更は、当初「やる」といっていたのが、どこかで情報がとまって、「あれ?やらないのかな?」と思ったんですが、結局「やる」ということみたい。

まあ、受験生のみなさんは気にしなくていいんです。先生が苦労するだけなので。

ただ、今年から主体性を評価するということで、この調査書が入試に使われる可能性もあると考えると結構大事になってきます。

簡単に書くと、6項目について学年ごとに記録を書かなければいけなくなっていることと、上限がなくなって、たくさん書けるようになったことです。

ここに「同点のときは調査書参考にします」なんて言われると恐怖ですよね。

というわけで、きっと、このあと、学校によっては細かいアンケートみたいなの、書かされることになるでしょうけど、一応ちゃんとやりましょうね。

新型コロナで最後の大会がなくなった人もいると思うんですけど、「当初参加を予定していた大会名や資格検定試験名などを記載すること」なんていうのもあるので覚えておいてください。学校とか先生によっては、こういうの読まないで忘れることもあると思うので。

まあ、大丈夫かな。きっと。

www.manebi.tokyo

前回の記事に、今年の入試変更点も簡単に触れているので、主体性評価など読んでおいてくださいね。