新高3にとっては、あっという間にはじめての模擬試験がやってきます。そもそも「共通テスト」とは何かということも踏まえて、試験をどのように受けていくかを考えてみます。
さてゴールデンウィークを前に、もう模擬試験が始まろうとしていますね。
最初だから、とりあえず受ければ…というのは、気持ちとしてわかりますが、実は5月の模試が終わると、8月、10月、共通テストに関して12月にもう一回というあたりで終わりです。
つまり、ぼーっとしていると、10月の一回しかなくなってしまうわけですので、そもそも模試を受ける心構えのようなものを作っておく必要があるわけです。
それでは、今日は「共通テスト」のための「マーク模試」をメインに考えていきたいと思います。
共通テストって誰がどう受けるの?
まずは共通テストを誰がどう受けるかを確認しておきましょう。これから説明していきますが、事実上、大学受験を考える全ての受験生がまず受験の準備をする必要があるものなのですが、順番に説明していきましょう。
国公立大学を一般選抜で受験するために
まずは国公立大学を一般選抜で受験する場合、受験が義務づけられてしまいます。東京工業大学のように、実際には合否判定にまったく使わない大学もあるのですが、それでも受験は義務づけられています。
多くの国公立大学の一次試験のような役割で、これに個別の二次試験を合算して合否判定がされます。多くの場合、5(6)教科7科目が、2024年度入試まで義務づけられ、次年度からは情報が加わるケースがほとんどです。
ただ、間違ってはいけないのは、多くの場合7科目であるということです。特に公立大学では3科目も含めて私大と同じような科目で受験できる大学もありますので、科目をしぼったから、国公立大学が受験できないわけではありません。
私立大学を共通テスト利用型で受験するために
続いて、私立大学でも共通テスト利用型の一般選抜が行われる大学がほとんです。この形があるか、ないか、科目数がいくつなのか、プラスして大学独自の試験が課されるのかどうかなど、すべてが大学、学部、学科などで異なります。
慶応はいっさいありません。
早稲田は学部ごとに方式や科目がまったく異なります。
明治では学部によってですが、3科目、4科目、5科目と選択、併願ができます。
立教は3科目と6科目の選択、併願です。
ですから、私大文系受験を考えて、英国社の3科目にしたとしても、その3科目でこの方式で受験できる大学がたくさんあるということになります。
学校推薦型(指定校・公募)や総合型選抜を受験するために
つづいて、いわゆる推薦入試、AO入試でも、共通テストの受験が必要となるケースがあります。
まず国公立の学校推薦型、総合型では、大学独自の小論文や面接などの試験に加えて、共通テストが課され、それらを含めて合否判定をします。中には「〇点以上」と明確に基準が示されているケースもあります。
また、指定校推薦などでも、合否判定には使わないけれど、合格後、「共通テストを受験し、結果を伝えられるもの」というように条件が付される大学が増えているように感じます。なので、指定校だから受験を義務づけられる、というケースも出てきています。
私立大学の一般選抜で必須とされている場合も…
最後に私立大学の一般選抜で必要とされるケースを紹介します。
まず、早稲田大学では、政治経済、国際教養、人間科学で、学科試験を一部共通テストに移しています。
同じような形を大学全体でやっているのは、上智大学と青山学院大学です。まず共通テストで従来の学力試験を行ってその上で、大学のもともとの日程では、記述・論述中心の試験を課す、というような形になっています。
また、立教大学では、独自の英語試験がなくなり、英語については、英語資格・検定試験のスコア、または共通テストの英語の得点を用いて判定を行います。
こうした大学では、共通テストの出願を忘れた時点で、受験ができないということになってしまいます。
というように、こう考えていくと、かなりの受験生が、共通テストを受験することになると思います。
共通テストまでのスケジュール
では共通テスト受験について、何をどの程度考えていけばよいか理解しておきましょう。
出願 10月初旬(現役生は9月中に学校とりまとめのケースも)
まず、共通テストの出願は10月初旬です。
高校に通っている現役生は学校でとりまとめる決まりです。ですので、学校ではそれより若干早い段階で締め切りが来るケースもあるでしょう。
ここでのポイントは、出願の段階で科目数や地歴公民などは受験科目さえもある程度決めなければいけなくなるということです。
出願後に科目数を増やしたり、減らしたり、変更をしたり…ということはできません。
ここでいう科目というのは、ほぼ「地歴」「公民」のことです。たとえば「地歴」を受験するという宣言はしないといけないのですが、地歴の中で何を受験するかは試験当日に決めることができます。数学➀などもそうです。➀の中で、「数学Ⅰ」なのか「数学ⅠA」なのかは当日でいいのですが、これを受験するかどうかはここで決めるわけです。「外国語」も英語以外を受ける場合はここで宣言をします。
なので、事実上大きな問題は「理科」や「社会」が1科目なのか、2科目なのかということ。そして、社会の場合は、それが「地歴」なのか「公民」なのかということです。
ちなみに、ですが、欠席には連絡もいらないし、ペナルティもありません。
つまり、多めに受けることにしておいて、勝手に休むのは何の問題もありません。
しかし、社会や理科を「2科目受験」としておくと、当日は必ず「2科目受験の開始時間」にいないといけません。「1科目受験者」は少し遅れて、2科目受験者の2科目目から受験が始まるわけですが、2科目を申し込むと必ず、2科目受験する時間に入らないと、2科目とも受験できなくなるのです。
そして、繰り返しになりますが、地歴公民についてはこの段階で決める必要が出てきます。
入試から国公立・私立の出願の流れ
続いて、入試の流れを見ていきましょう。2024年のケースです。
1月13日(土)1月14日(日)共通テスト
1月15日(月)予備校各社のデータリサーチ締め切り
その3日後あたり データリサーチの結果返却、志望校の判定が可能に
2月初旬 前期・中期・後期の全ての国公立大学の出願
※私立大学の共通テスト利用については、共通テスト受験前に出願締め切りが来る大学と、受験後のデータリサーチを見て出願ができる大学の二通りにわかれます。
共通テストが他の大学受験と決定的に違うのは、データリサーチがあるということです。
共通テストは、解答と配点が試験後すぐに発表されます。しかも、答えはすべてマーク式。つまり、自分さえ、正確に記録できれば、自分の得点がその瞬間にわかります。
ということで、翌日には予備校各社がその全国の40万人にのぼるデータをかき集め、その実際の得点を使って、合格ライン予想ができあがります。
受験生は、その合格予想ラインを見ながら、国公立大学の出願をしていく…という流れになるのです。
私立大学の場合は、それを見て出願ができる大学と、すでに出願が締め切られている大学とにわかれますが、それでも合格予想ラインが、当たるか正確かとかそういうことは一切おいて、出てくるわけです。
たとえば、共通テスト利用で、ある大学を滑り止めで確保する予定で受験計画を立てていたとして、自己採点結果、合格がとてもとれないような得点であるとなれば、滑り止めをここから作らなければいけなくなるように、作戦変更が強いられるわけです。
というわけで、まず重要なのは、正確な自己採点が必要となるわけです。
共通テスト模試を受けるためには、共通テストを知っておきたい!
というわけで、自己採点をできるようにする、というのが共通テストを受けるために必要なことですね。では、そういうことを含めて、模擬試験までに必要なことをまとめておきましょう。
共通テスト模試で、自己採点を正確にする!
さきほど書いたように、本番では自己採点以外、自分の得点をつかむ方法はありません。もちろん、模試では1ヶ月も待てば、得点が返ってくるのですが、これではシミュレーションになりません。
というわけで、まずは自己採点をすることが大事です。
その上で、自己採点の方法とミスを防ぐためにポイントを書いておきます。
冊子の選択肢番号に〇や×をつけるのでなく、最終的に選んだ番号を「書く」
まず、自己採点をする時にやらかすのが、後で、どれを選んだかわからなくなること。
番号に〇をつけたり、斜線を引いたり、それを繰り返していくうちに、最後はどっちを選んだか、見てもわからなくなるわけです。国語だとこれで一問7点ぐらい上下するわけです。
なので、ポイントは、数字を書くこと。変えたらその数字に斜線を引き、変えた数字を書く。
これだけでかなり明確になります。
マークカードは最後の問題番号のところにチェックする
共通テストのマークカードは恐ろしいつくりになっていて、実は番号が1からずっと続いていくのです。
何が怖いかというと、たとえば、問1で1を選んだあと、問2を塗るときにたとえば5のように離れたところをマークする時、思わず、一列あけて問3にマークしても、同じようにマーク欄が続き、オーバーしても塗る欄が存在しているのです。
一問のマークミスがそのあとのすべての問のずれにつながるのです。
逆に同じ欄に塗ってしまうこともあります。ダブルマークです。これも同様に、その後すべてずれてしまいます。
こうしたミスが共通テストでは起こるようなマークシートを使っています。
これを防ぐためには、表紙などでページをチェックし、一番最初に書かれている、最後の問題のマーク番号を見たら、マークシートのその番号のところに軽くチェックしておくとよいのです。そうすると、こうしたミスを防ぐことができます。
選択科目は他に何がある?選択問題はどういう仕組み?
共通テストで恐ろしいのは、科目選択のマーク欄があるということです。
地歴公民、理科の他、数学や英語も科目選択があります。
地歴の場合、模試では世界史はひとつでも、本番は、世界史Aと世界史Bがあります。
数学は実は数学①で、模試ではひとつでも、本番は、数学Ⅰと数学ⅠAです。
英語は実は外国語ですので、模試ではひとつで、本番も英語の冊子しか配られませんが、シートには英語というマーク欄があります。(どうもこれだけは忘れても許されるようです)
さらに数学などでは選択問題があります。選択問題が何番から何番で、何題を選択し、マークシートのどこに答えを塗るか、ちゃんと決まっているし、それを踏まえて「模擬」試験は作られています。
ちゃんと調べておき、慣れておきましょう。
ちなみに、ですが、共通テストの場合、3問から2問を選んで、指定の場所にマークします。つまり、1・2が必答で、3・4・5から2問を選ぶのですが、3を選んだら、3の場所に、5を選んだら5の場所に答えます。
これをつめて塗ってはいけない、ということですね。
また、3問全部やった場合は、この部分は0点になります。
私立大学の場合は、たとえば、「マークカードの番号で塗るところが決まっている」「マーク欄は一緒で選択番号をマークする」などのケースもありますし、中には「選択問題を両方やった場合、高得点を採用する」なんていう大学もありますから、あくまでも共通テストの話であって、私大についてはきちんと自分で調べるようにしましょう。
地歴公民・理科の2科目入試は、連続した1科目
地歴公民や理科を2科目選択した場合、これは実は「連続した1科目」です。
これについては次のような対応があります。
- 解答用紙は1枚ずつしか渡されないが、冊子にはすべての問題が入っている。これは違う科目を見てもよい。つまり、何科目を解いてもかまわない。
- 連続した科目なので、1科目終了後は休み時間ではなく、トイレにも原則行けない。もちろん試験中トイレに行くことは可能なように、行けないわけではないが、その結果、次の試験が始まっても救済措置はない。
- 共通テストでは開始後、20分で入室不可となる。したがって、2科目申し込み、本番で1科目にする場合、1科目受験者として後半の開始時間に行くと、入室できず、1科目も受験できなくなる。
というようなことが起こります。
1の話をずるく考えると、「本当は世界史しか使わないけれど、2科目選択ということにして、1時間目は違う科目を白紙で出せば、世界史に2時間使えるってこと?」なんて浮かんだあなた。頭がいい。認められています。
しかし、なので大学は、そんなズルを防ぐために、「うちの大学は1科目なんですけど、2科目を受けた場合は1時間目に受けた科目の得点を使いますね」っていう「第一解答科目指定」があります。「いや、別にいいですよ。」という大学は「高得点採用方式」です。
つまり、あなたが受ける大学(第一志望だけでなく、併願大学、私大の共通テスト利用全部調べてね)がどっちかによって、作戦というか、1時間目にどっちをやるかが変わるわけです。
なので、これも早く調べないと、「模擬」試験になりません。
共通テストでは「シャー芯」を机の上に出せない…
共通テストは、鉛筆を使うように指定があります。したがって、机の上に出せるのは、鉛筆と鉛筆削りです。
なのですが、シャープペンシルは机の上に出すことが可能。もちろん、使うことも可能。これは計算用、メモ用だそうです。
実際には、マークシートをシャープペンシルで塗ったら注意されるということもありません。
しかし、あくまでも鉛筆なので、シャープペンの芯は机の上に出せないのです。
もし、シャープペンシルの芯が切れて、鉛筆がなかったら…。手をあげて試験官に言えばいい。そうすると、鉛筆が貸してもらえるはずです。
というわけで、「僕はシャープペンシルでやりたいんだ!」という頑固者は、開始前にシャープペンシルにたっぷりと芯を補充するルーティンを作りましょう。
本番の共通テストは空き時間が多い…空き時間のルーティンを作る!
模擬試験では実際にできないのが、空き時間です。
模試では隙間なく試験が詰め込まれ、朝から晩までかけて7科目やることが多いでしょうが、本番は2日。空き時間たっぷりで、しかも長丁場です。
1日目の午前中は社会だけ。1科目だとするとやや朝は遅め。
昼休みをはさんで80分の国語。
たっぷりの休み時間があって、英語のリーディングが80分。
また休み時間があって、ようやく英語のリスニング。30分ですが、万が一に備えて、試験開始はその30分前で、60分かかります。
終わるともう7時…。
間食もとることを考えないといけないし、あいている時間に何をするのかを考えておかないと、メンタルの弱い人はどんどん不安になります。
人間は、不安にならないようにする…というのは難しくて、何かをするしかない。
これが「ルーティン」です。
行動を、やることを、決めておく。鉛筆を削る、持ち物をチェックする、間食をとる、参考書の指定場所を見る…など。
これが決まっていないと、あれもこれもやらなくちゃいけないような気がして、不安が増大するわけです。
というわけで、こんなことも模試を通じて、考えておきたいのです。
さて、模擬試験が始まります。
こんなことを踏まえて、模擬試験に取り組んではいかがでしょうか。