学びの真似び(まねび) 「学び続ける人」になるために(教育と受験と勉強法)

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2021年共通テストは易化傾向と得点調整~全体的に強気の出願になって激戦を予想

2021年度、そして、はじめての共通テストが終わりました。これから国公立の出願となりますが、ざっと振り返っておきたいと思います。

さまざまな変更を乗り越えて、はじめての共通テストが終わりました。

わからないことがたくさんありましたが、終わってみれば、センター試験がちょっと変わった程度の変更ですんだような気がします。

というわけで、動向について簡潔に説明しておきます。

 

結局、問題は前年並み「やや易化傾向」。ただし、5教科7科目理系の上位層は減少。

もともと、共通テストの試行調査が平均点50%ぐらいで設定していたこともあり、問題の難化が予想されました。私自身はこのページで言及してきましたが、2019年の秋の段階で、「平均点設定を非公表でいく」と答えているあたりから、センター並である可能性にも触れてきました。

各予備校の共通テストに向けての判定予想は、その中間のやや難化ぐらいで設定してきたようですが、結局はセンター試験と平均点は変わりませんでした。

それどころか、

5教科7(8)科目文系は3点、5教科7科目理系は2点の平均点アップと分析されています。

「難化」と思っていた人からすれば、非常に、予想外に「点がとれた」という印象だと思います。

文系の得点分布の山を見てみると、ほぼ前年と変わりません。

理系に関しては、物理や化学が難しかったこともあり、最上位層で薄くなっていることがわかります。最難関大を希望する受験生にとっては、やや苦しい状況ですが、逆にいえば2次勝負といえるような状況になりました。

得点調整が、公民と理科で行われる。

もうひとつのトピックは、得点調整が行われることです。考えてみれば、共通一次からセンター試験になった時にこの問題が起きたように、今回も起きておかしくない状況だったんですね。でも、考えてもいませんでした。冷静に考えれば、平均点予想ができない状況なんですから、ありえた話だったわけです。

公民の方は2単位科目の中だけですが、それでも現代社会を選択している一定数の受験生からすれば得点アップが見込めます。

問題は理科です。基礎付き科目を選択する文系にはあまり関係ありませんが、理系の上位者にとっては、これからさらに得点がアップします。生物に合わせて、物理と化学が上昇するわけで、国公立理系の受験パターンを考えれば、「物理・化学」と「生物・化学」の2パターンでしょうから、実際には、生物と物理の差が縮まって、化学はみんながあがるということなんですが、それでも「全員の得点があがる」というようなことが起きるわけです。

この得点調整がさらにどんな印象を生み出すかも考える必要があります。</p  

易化傾向に加えて、得点調整であがることを考えると、「強気の出願」か。それは激戦、2次で逆転しにくい年の兆候。

ここまで、毎年、このページで説明してきましたが、前年ベースで目標得点を考えているために、平均点の上下が出願動向に大きく影響します。

たとえば、80%目標の人がいるとします。で、実際の試験は74%だとします。平均点で考えてみてください。

  • 実際の平均点は難化し、ボーダーは77%となっていた。74%はD判定。さあ、どうする?

たとえば、80%目標の人が、79%をとったとします。平均点で考えてください。

  • 実際の平均点は易化し、ボーダーは82%となっていた。79%はD判定。さあ、どうする?

これ、実は3%のビハインドという意味では同じなんですね。

ところが、前者は、平均点が出るまでに「失敗した」と思っています。だからDと言われるとやっぱり厳しい…と思う確率が高い。

逆に後者は、平均点が出るまでは「だいたいうまくいった」と思っています。だからDと言われても、なんとかなるんじゃないか…と思う確率が高い。

こんなことが起こりがちなんです。

今回の自己採点をして平均点がわからなかったときの状況を考えてみましょう。

  • もともとの目標点が共通テストベースで考えられていたから、その目標点をクリアしている。
  • ネットなどで「難化」予想が多かった。

それが実際には、「平均点が上昇」し、さらに「得点調整」で「得点があがる」わけです。

これ、強気出願のパターンです。

誰が強気になるかというのは、ボーダー付近まで強気になります。

  • A判定…得点がとれたからといって予定を変えてレベルをあげる人は少数。
  • B判定…予定通り出願。
  • C判定…本来、このあたりから検討が必要だが、目標点をとれている可能性が高いので出願したい。
  • D判定…惜しいところまでいっている自覚があるので、逆転を信じて出願したい。

こんな感じです。

これが平均点が下がったときは、CとかDとかが1ランク下げる確率が上がっていくんですね。

というわけで、私の予想を書くと、比率が1:1ぐらいの大学は、ほぼほぼ共通テストのまま行きます。もちろん、逆転できない、逆転されないわけではありません。ボーダーが混むときは、共通テストのビハインドを逆転するのが大変だという話です。

したがって、二次力、あるいは過去問題対応をしっかりみて、出願をした方がいいし、国公立現役にこだわる人は「B判定」ぐらいをベースに志望校変更をすることが無難な年だと思います。

例外的に、難関大理系は、全体的に薄くなっていますから二次勝負でしょう。特に前年度の強い既卒生が、安全志向で現役進学してくれたことを考え合わせても二次勝負であることは間違いありませんから、医学部などの最難関大志望者、共通テスト85%以上から上は、二次力さえあって、二次配点が高ければ、状況が変わってくるような気がします。

というわけで、二次試験が中止だの、なんだのとさわがしい世の中ですが、今のところ、私大も含めて行われる方向で動いているようですから、二次での逆転を信じてがんばりましょう。

ただ、中堅大、特に文系の受験生は、逆転が難しいということを把握した上で、自分のこれまでの成績や過去問題との相性などを考えて慎重に出願を考えるべきだと思います。

度数分布表の見方はこちらでどうぞ。度数分布表そのものは、各予備校のネットでも確認できるはずです。

kasikoi.hatenablog.com

 

アナウンス効果に注意。出願締め切りももう一度確認を!

出願の注意は前回までにまとめました。

www.manebi.tokyo

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ここで、あまり予想的なことを書いていない一つは、アナウンス効果です。

国公立はこの予想をみながら出願先を変更するので、今回の予想そのものが当たらない方向にぶれる原因となるんですね。だから、実際に私が自分の生徒から受ける質問で、難しいのが、「どっちのが受かりますか」というような質問。最後は「賭け」みたいなもんで、本当に困るんです。二次の配点とか問題のレベルとか内容とか、明らかな違いがあれば、その生徒にどっちが向いているかを説明することはできるんですが、単純に本当に当たるかみたいな質問はわからない。

「駿台・ベネッセこうなんですけど、東進だとこうで、河合はこうなんです。どれがあたりますか?」みたいな質問は本当にわかりません。

アナウンス効果は、「距離が近くて同レベル」とか「同じ学部内の別学科、定員がすくない」というような条件でより起こりがちになります。なので、判定だけで動くことのないようにしてください。

また、昨年の倍率で動くというもありがちです。これもアナウンス効果と同様の仕組みなんですが、「隔年現象」というやつです。これは過去3年ぐらいの倍率を見ると、それが起こりがちな大学かどうかが見えてきます。そのあたりだけで決めないようにしましょう。

そして、こういうことが起こり、しかも得点調整がこれから行われるとなると、ぎりぎりまで出願の様子を見たい、途中の倍率を確かめて出願したい…ということもあるでしょう。しかし、みんなが同じような状況になればなるほど、出願がにぶくなると思います。先に出す人は覚悟を決めた人、特にうまくいった人が中心だとは思いますが、そこからまた迷っている人は同じようにみながら決める可能性もあります。だから、それを信じていいのか、というのは一概には言えないです。

で、出願ぎりぎりで決める人も出ると思いますが、統一された出願締め切りは、消印有効と必着の二つにわかれています。思い込みで動かずに、迷っているなら、迷っている両方の大学の願書をちゃんとみて、締め切りだけは確認しておきましょう。

 

では幸運を祈ります。

逆転するためには、共通テストの復習を忘れずに。