今日は、2021年度大学入試動向分析の2回目です。首都圏私大、国公立などの動向分析をまとめます。
今日は私大を中心に動向分析をしていきます。もちろん、国公立も分析しますが、結局、国公立は全体的な動向以外は、共通テストが終わったあとのリサーチで大きく動く部分がありますから、あまり現時点では参考になりません。
ともかくも、今年の入試がどうなるかを分析しておきます。
もちろん、コロナの感染拡大いかんでは、そもそもの入試に、大きな混乱がおき、それどころではなくなる可能性も秘めているわけですが、ここでそんなことをいっても仕方ありません。
というわけで、まずは入試動向の分析をしていきましょう。
全体的な動向分析はこちら。
国公立大学の動向~全体としては前年並みの傾向か
前回国公立の傾向についてまとめましたが、「共通テストに変わることでの敬遠傾向」と「コロナによる地元志向」がせめぎあって、相殺しているような印象です。
それでは少しずつ見ていきましょう。
難関大の傾向~理系を中心に人気増の傾向
東大は理系で前年を上回っています。特に理Ⅱが人気を集めます。
文系は文Ⅱだけ昨年を越えていますが、全体としては昨年なみ。
このあたりの科類別の志望動向は、必ずならされていくのが東大なので、今はあまり気にしない方がいいと思います。
東工大もほぼすべてで昨年を上回る志願者で、一橋も全体としては堅調に志望者を集めています。
このあたりは、おそらく昨年の反動でしょう。
そもそも昨年が安全志向でしたから、その数字と比べると戻してきた…というところだと思います。
中堅大学~文系を中心に志望者減の傾向に…
これが中堅大学あたりになってくると、やや入りやすい印象になります。
基本的に、合格ライン以上のところのグラフはほとんどのところで変わらないのですが、それを下回るあたり、特に山の頂点となるところの人数が減っている大学が文系の、法学部とか経済学部を中心に見つけることができます。
もちろん、合格ライン以上のところが減っていないわけですから、基本的に易化するわけではありません。
しかし、その下のあたりで減りだしていれば、もともと合格ラインを越えている人からすれば逆転される確率が減りますし、逆転を狙う人からすれば、合格の最後のイスを争う人数が減るわけで、だいぶ逆転のチャンスが生まれます。
こうした傾向が文系学部を中心にみることができます。
残念ながら理系はほとんど山の様子が昨年と変わらないですね。
いずれにしても、志望学部のグラフや分布図を見て、指摘したような傾向がみられるなら、逆転のチャンスですから、まずは共通テストに向けて追い込みをかけましょう。
どんなに志願者が減っても、ボーダーがちょっと下がっても、自分自身がぎりぎりのラインにいなければ合格しないことには変わらないんですよ。
私大理系の動向
さて、続いて私大理系の全体傾向です。
全体的には「理高文低」ですから、厳しめの傾向ではあります。
早稲田や慶応では志願者が若干減っているような傾向ですが、ボーダーラインあたりはほとんど変わっていませんから、やさしくなることはないと思います。
見ていて気が付くことは、理系の単科大学、東京理科大とか芝浦工大とかがやや減少傾向であることです。
ただし、これらの大学もひとたびボーダーラインに目を向けると、ほとんど変わらないかむしろ上昇しているような傾向も見受けられます。こうなってくると、非常に注意が必要です。つまり、倍率は下がるかもしれないけれど、受かりやすくなるどころかむしろ難しくなる…ということも起こりうるわけです。
東京理科大の先進工、昨年までの基礎工ですが、名称変更に加え、長万部がなくなり、葛飾キャンパスで過ごすことになります。当然人気があつまり、偏差値の高い層がぐんと増えている印象です。おそらく、ですが、理工学部より難しくなるのではないかと予想します。受験する人は注意が必要です。
MARCHの理工学部は大学によります。前年を超えるところと、志願者が減りそうなところと。しかし、結局は上位者の動向ですから、単純な模試の志願状況だけに惑わされず、グラフや分布図で上位層を確認しておきましょう。
その下になってくると、文系にも言えることですが、徐々に受験生が厚くなっています。
要するに、安全志向の代償というか、大学入試の難化の代償というか、より下位の大学でしっかり受験性が集まるようになっています。
単科大でいうと、都市大ですね。こういったところに集まっています。
千葉工大はここまで募集が順調だったので、反動か減少傾向。しかし、その現象傾向は一般、個別入試ですので、共通テストでとろうとすると、思ったより難しいかもしれません。
私大文系の全体動向
私大文系は、「理高文低」ということで、やや落ち着きがみられますが、もともとがかなり厳しい入試になったというところから、落ち着いているのでやさしくなるというのには無理があります。
しかし、基本的にどの学部系統でも志願動向は鈍い感じになっていますから、一時の「すごく厳しい」という感じには一息ついたといえそうです。
理系と同様、下位大学の難化は続きそう。
また、全体動向としては、
- 入試を変えたところへの敬遠。
- 共通テスト利用、全学部など、地方受験ができる型への集中。
などがあげられます。
文系・早慶上
早稲田は、文化構想以外は志願者減少傾向です。
しかし、文学部のように、志願者が減っていてもボーダーラインより上の層で増えているような系統もありますし、そもそも大きな減少ではありませんから、注意が必要です。
入試形態を大きく変える政治経済は志願者が大きく減っています。しかし、その大半はやはりボーダーラインより下の層です。したがって、合格ラインより上の動向はむしろ増えているぐらいの印象です。文学部同様、厳しいと思います。
易化しそうなのは、国際教養でしょうか。ボーダー上からまんべんなく減って、山自体も下にずれているようです。やはり留学できないのが大きいのでしょうか。
また、早稲田は基本的に共通テスト利用に集中している印象です。
慶応大学は、昨年並みか微増傾向で、法学部などではさらにボーダー上が厚くなっていますから、このままだと難化しそうです。
上智は志望動向がよくありません。入試変更で敬遠されていそうです。
そういった中で新設された共通テスト利用に集中していますから、上智志望者はTEAPと個別一般をしっかり狙うのがいいと思います。間違いなくねらい目になるでしょう。
個別一般は基本的に、共通テストで基礎学力チェック(科目は昨年の一般と思うとよい)、二次で論述型(サンプル問題あり)です。
上智はこの変更によって、おそらく配点変更に近いことが起こっています。今まで実はかなりバランス型だったんですが、配点通りの印象に変わっていくので、むしろ英語の得意な人が入りやすくなっていくようになると思います。
文系・MARCH
入試変更があったのは、青山と立教です。
青山は、上智同様、共通テスト+論述、というイメージ。もともと、共通テスト利用と全学部入試があるんですが、この二つに、そして特に全学部が増えています。
ただ、青山はもともと、これらの入試形態が厳しい=難しい印象ですので、そこに集中するとなると、かなり厳しいと思います。
やはり、青山に思いのある人は、個別一般にかけることが重要でしょう。
また、青山は今まで、実はかなり英語重視、社会軽視の配点になっていました。今回の変更でだいぶバランス型になりますので、英語だけでなく、ほかの科目もバランスよくとるようにしましょう。
立教は、英語を独自試験で行わず、資格か共通テストで代替。日程はすきなところから(といっても科目の縛りがありますが)選ぶという変更です。全学部が解消されて複数回受験できるようになったイメージです。
青山ほどではありませんが、やはり減少傾向で、また共通テスト利用に集中しています。立教の場合、青山とは違って比較的共通テスト利用でも合格はくれるイメージではありますが、やはり、共通テスト利用だと合格ライン前後の動向が変わらないのに対し、個別一般ではボーダー前後でがくんと減っていますから、やはり個別で受けていくことが重要でしょう。
特に立教の場合は、上智や青山と違って、論述になるわけではないですから、怖がる必要もありませんし、しっかり個別で受けましょう。逆にいえば、立教よりも上智や青山のチャンスは大きいと思いますよ。
この二大学が共通テスト型に集中しているのですが、そのほかは、それほどでもありません。場合によっては一般のほうが集まっています。
明治の動向は比較的堅調、つまり受験生にとっては厳しいと思います。ただ、商学部の共通テスト利用は数学必須となって大きく減ってチャンスになっています。
中央と法政は、あまり大きな動向の変化はありません。一昨年に比べ、昨年やや易化した動向が続いていますので、MARCHという中でどこかとりたいとすれば、法政や中央が大事だと思います。
文系・学習院、成城、成蹊、武蔵、明学、國學院
学習院は共通テスト利用が始まります。また、昨年がだいぶ易化した印象で、MARCHくくりからはずれてしまった印象ですので、その反動か、やや難化傾向がみられます。
成蹊、成城、武蔵、明学はのきなみ志願動向が悪い印象です。ボーダーライン上でも減っていますので、易化傾向にあると思います。やはり共通テストのほうに集まる傾向がありそうですので、一般でしっかり受けましょう。
国学院はその中では、昨年並みの印象ですが、かなり共通テストのほうに集まりそうです。
文系・日東駒専
日大と東洋、駒沢、専修で大きく動向がことなっています。
一昨年に大きく志願者を減らし、反動増だったのが日大です。今年もほぼ前年並みの印象です。日大は入試システムひとつとっても学部ごとに大きく傾向が異なるので、学部でしっかり見る必要がありますが、全体としては昨年なみになりますが、若干難化しそうな動向です。
東洋大は、逆に難化を続けてきて、ここにきて反動減の傾向にあるようです。難しくなりすぎた、という印象でしょうか。
しかし、細かく見てみると、減っているのはチャレンジ層で、上位層が減っている印象はありません。ですから、志願減の傾向とはいえ、なかなか厳しい印象です。
東洋も共通テスト利用に集まっていますが、さほどではないのと、伝統的に共通テストの特に多科目型で合格を多く出そうとする傾向が見えますので、上位者はあまり敬遠しすぎないほうがいいと思います。
駒沢と専修も減少傾向ですが、こちらはむしろ、そのまま易化する可能性が見えます。ボーダーライン前後から減っているためです。
共通テスト利用型のほうが集まる傾向にあります。
大東亜帝国とまとめ
今年の傾向でいうと、この下はまだまだ増えている傾向です。
つまり、「難しくなった。もっと下げなきゃ…」というのが、このあたりにまでおりてきて、数年前のボーダーフリーなんていう言葉はなくなりそうな気配です。
まずはしっかり受験勉強をしなければだめですね。
全体の傾向ですが、コロナと入試変更のセットで、共通テスト型や全学部入試など、地方で受けられ、特殊な対策が必要のない系統に人気が集中しています。
共通テスト利用については、昨年センター利用がやや易化したことにコロナの状況が足されてしまった印象です。したがって、上智や青山などを中心に難化することが多いと思います。
しかし、大学には、定員通りにとろうとする大学、たとえば青山とか明治とかですね、こういう大学と、優秀であろうと予測される受験生を多めにとってしまおうとする大学、立教、成蹊、東洋などですね、この二つに分かれます。
後者は基本的に、国立志向の多科目受験者が入学後成績で優位であることを見抜いてとろうとしますので、こうした大学の場合、特に滑り止めで使おうとする場合は、あまり怖がらずに共通テスト利用を使っていいと思います。成蹊のP方式とか東洋の多科目はこの典型例ですので、国立受験者はしっかり併願に加えるべきだと思います。それぞれターゲットはもともとセンターで7科目70%いかないぐらいのはずです。最近は難化してしまってジレンマがあると思いますが、もともとは地方国立を落ちた生徒を狙っていた型であることは間違いないので。
逆に、青山などはもともと定員志向に加え、一般の敬遠が加わるとかなり激戦が予想されます。新設の上智もそうです。上智は基本的には優秀な受験者をとろうとする雰囲気の大学ですが、今年の数字からすると、TEAPや個別が圧倒的に有利だと推測されます。
というわけで、大学ごとに雰囲気が違いますが、データを見ながら、最後まで併願作戦を考えましょう。
併願作戦はこちらをどうぞ。