2019年の志望動向が見えてきました。昨年、衝撃的といってもいいほどだったのは、日東駒専、あるいはそれ以下の大学の難化ではないでしょうか。今回はそのあたりの動向予想をしてみます。
この話の前提として、前回の志望動向の話をまずは読んでくださいね。
日東駒専の2018年入試の結果
まず、日東駒専が昨年どうだったのか、ということについて、簡単に振り返ります。
「定員厳格化」入試はどう進んできたか?
定員厳格化自体が大騒ぎになったのは一昨年です。3年前まではそれほどでもなかったわけですね。ところが、2017年度入試(一昨年)、どうも私立に入りにくくなった。それも自分の学校だけでなく、みんな難しくなった…聞いてみると「定員厳格化」というのが影響していると。もちろん、この話題は入試前から知っていました。とはいえ、段階的なものでしたし、数値的には余裕があるように見えていましたから、「えっ」という迂闊な反応になってしまいました。
で、昨年の2018年度入試を迎えていきます。2017年度入試の経験がある各校は、それこそ、「受験校を1校増やすよう指導」なんてことが、予備校関係者から当たり前のように聞いて入試に迎い、説明会でも、この難化を示すスライドがどどんと出るようになりました。
また、ちょうどこの2017年度入試あたりから、「文高理低」になったことも拍車をかけた気がします。あらためてデータを見てみると、15年度入試ぐらいから兆候は出ていますが、16年度で「あれ、文系増えてない?」で、はっきりするのは、17年度18年度のここ二年間。まさに、どんぴしゃでぶつかったことが、「大学入試、厳しいよね?」という印象を作ってしまいました。
日東駒専の難化の流れ
ところが、日東駒専にかぎっていうなら、この難化の流れにのったのは、実は昨年なんです。志願者動向でみると、16年度を100とした場合、17年度が113、18年度が121と徐々に増えていきますが、この流れには、「受験校を増やす」「安全志向」だけでなく、「Web出願」「併願割引」などの流れもあることは間違いありません。
私立大の志願者数は、少子化にも関わらず、09年度入試からずっと増加を続けていて、特に12年度入試あたりからぐんと増えて、14年度入試では私立文系は09年度入試100とすると、150を越えているんです。Web出願に合わせて併願割引がぐんと増えましたから、少子化を考えれば、志願者は増えても受験生は同じ受験生だといえます。
問題は合格者で、17年度入試は実は日東駒専は16年100とすると、99ですから、倍率があがったといっても同じ生徒が志願して(併願割引などで)いるなら、すごく難化ではないと思います。
ところが、昨年18年入試になってくると、志願者は16年度100に対し、121、合格者は16年度91となりました。
つまり、実は17年度入試の段階で、本当に厳しかったのは、早慶上智、MARCHだったんです。(合格者が16年度100に対して、それぞれ94、92)特にMARCHが厳しくなったことを受けて、「大学入試が厳しい」と感じた結果、「安全志向」として「受験校を増やす」指導をし、また、さらに「定員厳格化が進行」し、さらに「早慶上智・MARCHが合格をさらに減らす(16年度100に対して、83、86)」ことにより、昨年「日東駒専の難化」が進んだ、ということでしょう。
日東駒専には失礼ですが、このあたりから下だと、昨年までは「A判定だから滑り止めになるよね」という意識があったわけですね。だから、昨年から「A判定なのに落ちた」となったわけです。
「A判定でも落ちる」とは?今年もそうなるのか?
「A判定なのに落ちる」というのはどういうことなのか?それはすでに説明しました。
www.manebi.tokyo
上のものを読んでほしいのですが、一応、ここでも書いておきますが、「A判定でも落ちる」というのは、必ずしも大学の難化だけではありません。たとえば、次のようなこと。
- 模試の判定はでているが、苦手科目や苦手分野があり、実は過去問題を解くと合格最低点が毎回とれるとは限らない。
- そもそも過去問題に取り組んでおらず、その大学の傾向や準備が十分できていない。
- 模試の判定が、「たまたまA判定がついた」程度のことで、本当はそれだけの実力がついていない。(「A判定が一度だけついて、その他はA判定でない」「模試を一度だけしか受けていない」「センター模試でA判定がついたが、普通の模試ではついていない」など)
こんな感じです。
とはいえ、もちろん、入試が難化したことも間違いない。それは次のようなパターン。
- 志願者が増え、合格者を減らす
- 上位大学が合格を減らしたことにより、その大学の合格者のレベルが相対的にあがる
ということです。ただし、これにも次の絶対的な条件があります。それは、
「模試の判定予想を上回る」ということ。これがとても大事。
もう一度書きますが、模試は「合格予想」でもなければ、「模試の結果で判定予想する」わけでもありません。
模試の前に判定ラインは決まっている
のです。だから、「C判定以上の志願者が増えた」とか「減った」とかいう分析が起こるわけ。
仮に、その大学が前年以上に難化したとしても、もともとの判定ラインが高く設定されていて、模試動向がそれを上回ることがなければ、予想通りになるということです。
逆にいえば、「上位者が増えている大学は判定ラインが予想を越えていて、A判定が実質B判定だったりする可能性がる」ということですね。
もうすぐ、河合塾の分析報告会があり、「栄冠めざしてvol.3」ができてきます。これは、模試の動向結果を見て修正してくるので、まさに「予想偏差」なんですが、これ以前の河合塾の判定は、予想でもなんでもありません。
ここまで河合塾模試の判定は、「かなり厳しい=高い基準」で設定しています。うちの学校の生徒の様子と、ベネッセの志願動向の資料を合わせて考えてみると、河合塾模試の判定は昨年を受けてかなり高めに設定している気がします。でも、早慶上智、MARCHは、昨年まま、明治、理科大については、合格を増やすとすれば易化の可能性もあるでしょうから、あまりびびらなくてもいい気がします。
河合模試をベースにした場合、おそらくA判定でも落ちるというような状況は生まれない
と今のところ思っていますが、まだ河合塾の分析資料がこないので、待ちます。違ったら、慌ててここ、書き直します。今、書いているのは、私の感触です。
話を戻します。
模試動向で見た場合、もし、判定基準より上位者が増えているならば、それは「A判定でも落ちる」が増える可能性はあります。
あ、大丈夫ですよね?A判定はたいてい80%ラインですから、5人に1人はもともと落ちます。A判定だから落ちない、なんてことはありません。
今年(2019年)の入試動向~ベネッセ・駿台マークの判定で考える
というわけで、ここからの話は「A判定でも落ちるのか」ということですから、あくまでもそれぞれの模試ごとにどういう判定基準を出しているかを考えた上での話にしなければいけません。
繰り返します。
難化するかしないかとA判定でも落ちるかは違います。
難化したとしてもあらかじめ模試の判定が高くなっていれば、A判定が予想以上に落ちることはない、ということです。
ですから、ここからの話は、「難化予想」としてなら、どの模試を受けている人も読んでいただいて大丈夫ですが、「A判定でも落ちるか」なら、ベネッセ・駿台マーク模試の判定だけで信じてくださいね。
学習院
GMARCHの中で、学習院だけは、志願者が前年なみを維持しています。しかもC判定前後で微増していますから、意外と厳しい入試になりそう。A判定でも落ちるかといえば、そこまでの雰囲気ではないですが、MARCHがC判定以下で減らしていることを考えると、文学部や理学部は山が上位にずれていて厳しそう。
逆にいえば、学習院はMARCHから離されたのかもしれません。
成城・成蹊・武蔵・明学・國學院
このグループは全体として志願者は前年並みか微減というところが多いですが、ほぼ前年並みの志願者を集めています。ただし、センター利用に関しては微減、あるいは現象という大学が多くなっています。厳しくなったことを受けて受験生が個別入試で考えている、ということでしょうか。
成城は志願者動向が堅調な上に、上位者が増えています。加えて定員管理の面では、オーバー気味で来ていますので、厳しい入試になりそうです。となると、判定ラインは上にあがる可能性が高いと思います。
成蹊は微増傾向ですが、定員管理もしっかりしてきていますし、一部C判定以上で増加している学部(文)もありますが、基本的には昨年なみとみていい気がします。
明学はこの系統の中では、一番減少が大きいです。ここのところ、応募が堅調だったことの反動だと思います。C判定以上でみると、あまり変動はなく、確かに人気系統の心理は増加していますが、それもさほどではありません。この考え方でいうと、もともとあがったところで維持、それ以上の難化ではない、という感じですね。定員管理は昨年はやや少なめなので、心配はありません。
武蔵は、志望を集めている人文ではC判定以上で増加。難化、A判定なのに…が起こる可能性がありますが、大学全体としては、前年なみ。
國學院は志望動向は若干悪くなっていますが、山はほとんど昨年と変わらない感じです。このままなら前年並みか易化ですが、定員管理からするとやや合格を減らす可能性があるので、差し引き0か難化する可能性もあると思います。
日東駒専
このグループは全体として、という書き方ができません。分けて書いていきます。
日大は、前年比、大幅減です。センター利用も個別も大きく減らしています。思った以上に影響は大きいですね。このままいけば完全に易化間違いなしです。ただし、他の大学が違う動きですから、ここからもしかしたら、逆に集める可能性もあります。いわゆるアナウンス効果、っていうやつですね。さすがにここまでになると、これからいろんなところで、たとえば、こんなブログ程度でなく、雑誌とかでも載ってきますから、ちょっとそこが怖いです。
真逆の動きが東洋大。基本的に増えて、C判定上でも大きく増加。前回も書きましたが、完全に成蹊とか明学とかと同じ受験者層になっています。これを見る限り、難化しか考えられません。大学のスタンスや改革の状況を考えて見ても、受験生が一定の評価を与えていると思うので、難しいからやめた、とはならない。かなり厳しいです。狙うとするなら、センター多科目。こういう系統でしっかりとろうとする強い意志を感じます。少ない科目の方が実は得だった…なんていう大学もあるんですが、ここはそういうことはない。だから、しっかり受けていいと思います。
駒沢と専修はトータルの山としては同じような傾向です。志願者は学部による増減はあるものの、基本的には微増傾向で、C判定以上もどちらかというと増えている。昨年なみかやや厳しくなるか、といったところ。
この二大学についてはそれよりも、全体の山を見ると日大と同じであるということが重要。ついこの間まで、日大が、東洋大の位置にいきそうだったというか頭一つ抜けて、東洋がせっていた。言葉をかえれば、駒沢と専修はおいておかれていたと思います。ところが、今回、東洋大だけ上のグループにいって、他3つがほぼ同じ。
これを受験生がどう見るのか。
しかも、山なんて受験生、気にしないですからね。全ては模試の判定とどっちが受かりやすいかだけ。日大に動くのか。それとも、このまま行くのか?どう見えるんでしょう?
たとえば、「日大がチャンスなら受けよう」なのか。「駒沢が厳しそうで日大がゆるやかだから動こう」なのか。このふたつなら、アナウンス効果で易化もあるかもしれないし。それとも、やっぱり日大と東洋大が上に見えていて、だからこそ安全志向で、「駒沢・専修じゃないと受からない」という感じになっていくのか?東洋大が厳しいことははっきりしていますが、それ以外はどうなるかわからないです。
まとめがこんなんで、すいません。