学びの真似び(まねび) 「学び続ける人」になるために(教育と受験と勉強法)

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2024年度大学入試 定員厳格化の緩和?新要領への変更を控えて「狙い目」入試、強気出願をすべき理由

さて、2023年4月高校3年生のみなさんは、自分の大学入試がどのようになるかが気になるのではないでしょうか。

今日は、私の経験を踏まえて、みなさんの入試がどのようになっていくのか、どういうつもりで受験すべきなのかを書いておきたいと思います。

書いている現時点において、2023年度入試の大学入試結果データを予備校からもらっていませんので、あくまでも私の経験に基づくものであることをご承知おきください。

2023年度入試は楽だった!?定員厳格化の緩和って?

2023年度入試はいたるところで「楽」だったように語られています。これはどういうことなのでしょうか。

私は大きく二つの要因があると思っています。

ひとつは巷で噂されている「入学定員厳格化の緩和」です。

入学定員厳格化とは、大学が定めている入学定員をきちんと守らないと、つまり越えてしまうと、ペナルティを科しますよ、具体的には補助金をカットしますよ、という取り決めのことです。

補助金がカットされるというのは、大学にとっては大変なことですね。しかし、国公立大学以外は、合格を多めに出して、他の大学に進学する人、特に国公立に進学する人を予測してアバウトに入学者を決定しているわけですから、これを正確にあてることは至難の業です。

だから、「定員をしっかり守ってください」というのは、「基本的に入学定員を下回ってください」と言っているのと同じことで、多くの大学はやや少なめに発表し、追加合格でぎりぎりまで埋めるというような手法をとってきたわけです。

そして、それぞれがもともと120%とか平気でとってきたものを100%とかにしていくことを上から順にやっていくと、とんでもなく大学入試は難しくなってしまったのです。

さて、これが緩和された、というのはどういうことかというと、これまではこの「厳格化」が毎年守らなければいけなかったわけです。たとえば、昨年入学者定員の95%であったとしても、翌年はやはり100%におさめないといけない。これをずっと続けてきたわけですね。

しかし、今年からはこれが、大学1年生から4年生の全体になったわけです。つまり前年95%だったら、今年は105%までとれる。

これが「緩和」とよばれるものの正体です。決して、無視していいわけでもなく、たくさんとれるようになったわけでもありません。

しかし、これまできちんと定員を守っていた大学にとっては、「もう少し増やして、万が一越えても大丈夫だよね、貯金があるから」というような状況になったわけです。

ですから、もしその今までの貯金を今年一年で使い果たすぐらいオーバーした大学があったとすると、2024年度入試はまた地獄の厳しさに戻るわけです。

しかし、ちょっと越えただけでまだ貯金があるとすると、今年も同じぐらい取るか、あるいはちょっと減らすか、というその程度の変化であると予測されます。

大事なデータとしては、今年各大学はどのぐらい入学定員をオーバーさせたのか、そして、大学全体としてどの程度、オーバーしていい貯金が残っているのかということです。

今年1年の結果とはいえ、オーバーしていれば貯金を使い果たし、借金を増やしますから、たぶん減らすでしょう。まして、全体として100%に近づいていれば絶対に越えないように減らしていくでしょう。

しかし、今年1年とはいえ、貯金を使い果たすように極端に多く発表するでしょうか。

まだデータを見ていないので、なんとも言えないのですが、おそらく微増程度で極端に100%を越えているとは思えません。もちろん、「ちょっと」であっても増えて、それが積み重なれば簡単になるのだ…という仮説もありますが、おそらくもうひとつの要因があると思います。

それは少子化です。

結局、子ども、受験生は減る一方ですから、どんなに定員厳格化は維持されたとしても、そこをピークとして年々少しずつ大学入試は易化していくしかないのです。すでに厳格化からだいぶ時も流れたので、そう考えてみると、今年のトレンドは来年も継続する、あるいはさらに緩くなると私は予想します。

2024年度入試は現役志向が強くなる!浪人したら、入試が変わってしまう?

さて、2024年度入試でなぜ現役志向が強くなるのかというのは、次年度から入試が変わるからです。

いわゆる「新課程入試」というもの。

今の高校3年生と高校2年生では、時間割の科目名称が異なります。それにともなって、試験が変わる…というのが大きな不安材料なのです。

では、実際に試験はどう変わるのか?

共通テストの場合で検証してみましょう。

www.keinet.ne.jp

  1. 新しい科目として「情報Ⅰ」が新設される。既卒生には「旧情報」が経過措置として設定される。
  2. 科目名称が変わっている。実際に、「地歴・公民」「数学①②」では、経過措置として、現行課程履修者用の問題が作られる。
  3. 国語の現代文が1問増え、計5問になる

上記のような変更が起こっています。

科目の名称が変わるとともに、内容が変わります。それによって試験問題が変わる。対応できない…だから不安だ、というわけですね。

しかし、実際には内容が変わる科目については、経過措置という形で問題が作られます。つまり、旧課程履修者用に問題があるわけですから、不利になるわけではありません。

国語なども科目名称が変わっています。現高3は、「国語総合」「現代文」「古典」といった科目ですが、現高2からは「現代の国語」「言語文化」「論理国語」「文学国語」などといった科目を履修しています。しかし、「経過措置」として問題はありません。これは「科目名は変わったけれど、問題には同じように対応できる」という証明です。

これは、私大や二次でも同様で、本当に内容が変わった時には、共通テストと同じようになんらかの形で経過措置対応をします。(選択問題などです)しかし、多くの場合、「科目名は変わったけれど、試験問題は変える必要がないので、そのままです。だから、経過措置のような対応はしません。一部、新しくやっていたり、今はやらなくなったりということがあるのかもしれませんが、まあ、問題にはしませんので気にしないで、今まで通りの問題だと思ってください」とでもいうように、問題はそのまま、というケースが多いのです。

つまり、どっちにしろ、心配はいらない。

確かに、情報と国語では形式の変更はありますが、これにしたって、高校2年生が、どんな問題が出るか知っているわけではないし、過去問題はないし、模擬試験だってちゃんとやれるわけではなく、本格的にやるのは来年からで、それは既卒生も同じように受けられるし、何の不利もないのです。

つまり、実は恐れる必要がないのです。

でも、実際には、なんとなく不安…というその事実が受験生を安全志向に向かわせるのです。

どうしてみんなが弱気になると強気に出願した方がいいのか。

では、安全志向になった時に、どうして強気に出願すべきなのかを説明していきましょう。

浪人したくないから安全志向になるということは、たとえば、

「第一志望がC判定(50%)の受験生が、第一志望でなくB判定やA判定がつく第二志望、第三志望の大学に出願する」

ということですね。

そうなった場合、たとえばもともと、どの第二志望の大学を第一志望にしている人からすれば、合格確実の受験生がいっぱい受けてきて、結果として自分が受かりにくくなるような気がするかもしれません。

でも、そうはならないのです。

わかりにくいかもしれませんが、そのメカニズムを説明します。

そもそも、模試や共通テストのリサーチの判定は、山に沿っていますから、A、B、Cと判定が出る人数が同じではなく、A判定が少なく、下にいくにつれ多くなります。だから、A判定の人が皆、受験をしたとしても、A判定の人であふれることはないのです。

たとえば、共通テストのリサーチの場合、実際の共通テストを受けた自己採点結果を全国から集めて、基準をそこで作るわけで、仮に例年A判定の人が山ほどその大学を志望したとしても、それは判定基準がその段階で極端にあがり、極端にあがった基準では、例年と同じ数のA判定、B判定になっていきます。もし、それを見てさらに安全志向に動くとしても、A判定で合格があふれることにはなりません。

そもそも、もし、この「たとえば」が起こったとすると、すべての大学のレベルが上がることになるわけで、そんなことは、平均点が極端にあがった場合をのぞいて起こりません。もし平均点や受験生の山が同じで、ある大学に優秀な受験生があつまったなら、その分、どこかの大学でレベルダウンが起こるはずなのです。ですから、そもそもこの「たとえば」は起こらないのですが、起こったとしてもA判定、B判定で合格が埋まるということはありえないのです。

まだわからない?じゃあ、こういう説明はどうでしょう。

ある大学は、例年偏差値55がC判定ラインだとします。今年は安全志向なので、1ランク上、2ランク上の人が受験をして、例年の合格者がすべてそこで占められる気配です。

となると、12月の最終予想で、その大学の予想判定ラインは60に跳ね上がります。あるいは、共通テストのデータリサーチで、60に跳ね上がる、共通テストですから、たとえば得点率が5%10%跳ね上がります。

安全志向の人が、そんな大学に出願しますか?

例年より、高くなって難しくなりそうな大学…。

敬遠しますよね。つまり、埋まることはありえないのです。

となると、受験を回避する人で考えてみると、回避するのは本来その大学を志望していたC判定、D判定の人たちです。

本来は、この人たちとともに、A判定B判定の人で先にとられた合格の椅子をのぞいて、余った椅子の椅子とりゲームをするはずだったわけですが、今年に関しては間違いなく、椅子取りゲームに参加する人があきらめてくれるわけです。

つまり、人数の少ない椅子取りゲームになる。

だから、逆転がしやすい年になるのです。

もっとシンプルに考えてもいいでしょう。みんなが下に下に受験していく…。混むのは下の大学で、すくのは上位の大学です。

つまり、もともと難関大学を考えている人にとっては大きなチャンスの年になります。

仮に失敗して浪人したとします。

しかし、多くのライバルとなる受験生は、浪人を回避して現役で進学するわけです。しかも浪人しないのは、現役でどこかに受かった人。

たとえば、東大受験で考えると、「東大に入る実力のある人が、東工大、一橋に進学をする」「東大を落ちて早稲田に受かった受験生が早稲田に進学する」ということが現役志向ですから、翌年の東大受験生は「東大にも、東工大にも、早稲田にも落ちた受験生」ということになるのかもしれません。

試験科目はさきほど書いたように、結局は配慮されているわけですから、心配はいらない。

ということは浪人しても何の不安もないわけです。

メカニズム、わかってくれましたか?

ここまで説明しても、私の経験では「安全志向」になっていくのが今年。

つまり、第一志望を貫いて、しっかり対策していけば、合格をたくさんつかめる年になります。是非、まずはしっかりと対策して、準備して、第一志望への強い意志を持ちましょう!