コロナの感染者の報道が依然として続いています。そんな状況下で大学入試がどうなるかを検討しておきたいと思います。
「勝負の3週間」などという言葉が使われてきましたが、それを過ぎてもなお、感染者は増加傾向にあるようです。
「go to」も止まり、いつの間にか、年末年始の帰省も控えようね…なんて感じになってきたような気がします。こうしたことの是非についても書きたくはなりますが、書いてしまえば、異論噴出…ということも想定されますから、まず是非は書かないことにします。
しかし、心配になってしまうのは、年明けの入試が同じように行えるのかどうか…ということです。今日は、そんな状況の中で高まっていく「共通テストの重要性」について、書いておきたいと思います。
現時点では「緊急事態宣言が出ても共通テストは実施する」方向。
そもそも緊急事態宣言と大学入試がどのようにリンクするかはわかりませんが、現時点では、「緊急事態宣言でも共通テストは実施」というのが方向性です。
もちろん、感染状況にもよりますから、これをもって「共通テストは必ず実施される」などということはできませんが、「なんとかして共通テストは実施したい」という「強い意向」は汲み取れると思います。
そうなんです。入試は中止できないんです。
高3生は卒業するし、新しい生徒は入学してくるし…。ここをなんとかするって話になると消え去った「9月入学」の話の再燃でしかありません。
この是非も、ややこしくなるのに置いとくとして、要はみんなのスタートを一斉にずらしてでも、とにかく先に進めるしかないんです。
大学からすれば、4年生が卒業して新入生が入ってこなければ死活問題だし、入ってこない1年生を来年定員倍にして抱えていく…なんてこともできるわけがないんです。だから、とにかく「1年分」の生徒をなんとか確保するしかない。
つまり、どんな形であれ、入試を行って、入学者を確保するしかないんですね。
だからこそ、現時点においては、「緊急事態宣言でも共通テストは行いたい」というのが、文科省だけでなく、大学においても「やってほしい」というものであるはずなんです。
入試が中止になっていく中で、考えられる大学入試のシナリオ
とはいえ、感染拡大、緊急事態宣言…と広がってくれば、当然、中止とか延期とかも考えざるを得ません。
こんなのは、世論というか、状況というか、政府の決断ひとつというか、必ず何らかの決断がくだされて、実施していくわけですね。
では、このあと、どのようなオプションが考えられるでしょうか。
ひとつずつ検討してみましょう。
当然、予定通り強行されていく可能性もあるわけですが、これは「予定通り」ですので、予定通りいかない可能性を検討してみましょう。
①共通テストだけが行われ、私大や二次試験が中止になっていく…
一つ目は、文科大臣の話の通り、「共通テストは実施」というプランです。1月に共通テストは行われたものの、私大や二次試験が続々と、独自試験の中止を決めていく…。
ありそうな感じですよね。
そうなると、今、発表していないところも含めて、
- 入試を延期する
- オンライン・調査書など別の方法を検討する。
- 共通テストを使う
のどれかでしょう。
2番目は現実問題として難しいですね。
大学としては、まず1で行きたいところです。しかし、最低で見ても1か月程度は遅れるわけですから、この選択肢の場合、4月入学はほぼ不可能となるでしょう。
一方、共通テストは行われた、というのが、この設定ですから、1で行きたいのはやまやまでも、併願とか含めて日程を調整することも難しくなるでしょうし、中止としている段階で、どの程度遅らせるか目安がつかないことも含めて考えると、この場合、「共通テストでかえる」というのが一番現実的です。
どう使うのかはともかく、そうなっていくのではないでしょうか。
②そもそも共通テストが延期されていく…
もっと事態が深刻であるとします。
この場合、共通テストが行えない…という状況になります。
この場合は、考えられるオプションは次の3つです。
- 共通テストが中止となるだけで、2月1日以降の入試は、すべて予定通りの日程で行われる。
- 共通テストが行えないので、当然ほかの入試も行えず、入試日程が完全に延期されて行われる。
- 共通テストが行えず、ほかの入試も行えないので、共通テストを延期する。その結果、ほかの入試日程はとれないので、原則として入試が中止される。
まず、1は考えにくいでしょう。共通テストを中止しながら、私大が独自で入試を行える状況は考えにくい。つまり、共通テストが行えないとなれば、「全部を遅らせるか」「共通テストだけを遅らせて行うか」の二択です。
もちろん、後者の場合でも、大学があくまでも自分で決められるなら、「東大は二次試験課します」とか「慶応は入試やりますんで」とか、個別の少数の入試強行は出て来るとは思いますが、大多数の大学は、「社会情勢鑑みて共通テストに代えます」となるような気がします。
というわけで、この場合も、結局は共通テストだけはなんとかやりたいし、その候補日程は、まずは追試日程であろうと思います。
③入試が冬の間、まったく行われなかった場合…
しかし、もっとおそろしい想定をすれば、その追試日程もだめだし、再追試日程もだめだ…ということもあるかもしれません。
そうなれば事実上、2月いっぱいは入試が行えない…というような事態になっています。
そうなると、なんとか3月下旬ぐらいに入試が行えるような状態を想定することになるでしょう。
共通テストは本来1月中旬~下旬、ここから私大、国立と最低でも1か月ぐらい入試を行い、その後1か月で入学者を確定し(当然、この間3月入試や繰り上げなどがあります)そして、4月から入学するわけです。
入試自体に1か月、その後の入学者確定に1か月という感じ。
これを3月下旬からはじめれば、二か月遅れの6月入学…という感じでしょうか。
この間、高校側も大学側も、すでに入学している生徒、学生たちの指導もあるわけですし、できるだけ早く、短期間でもとの状態に戻したいでしょう。
となると、やはり共通テストだけ実施して、独自試験はなし…という流れのほうが、少しでも早く通常の状態に戻れるようになる気がします。
現時点では、より「共通テスト」に向けた準備が大事になってくる
というわけで、どう考えてみても、「共通テスト」の重みが例年に比べてあるんですね。問題がどうとかではなく、まず1回の入試結果がすべてになる可能性が、多少なりともある。
そうならないためには、原則、大学入試が予定通り進むことしかないわけですから。
もちろん、現段階では、すべての大学がそれを目指しているわけで、受験生としては、「私大対策」や「二次対策」も視野にいれながら受験勉強するしかありません。理系であれば、数Ⅲもやらないといけないし、共通テストまでの期間で、英語とかをまったく書かない…というのも不安です。
しかし、すでに12月も終わりにさしかかっている状況を考えると、まずは共通テストの対策をしっかりやりきることが例年にもまして重要であることがわかります。
だって、もしかしたら、この入試で、今年の入試のすべてが終わる可能性があるんですから。
そして、仮に2月1日以降に、普通に入試が進むにしても、共通テストに向けて、基本事項を徹底したり、やり直したりすることが無駄になるわけではありません。
受験勉強は、「まず基本」といって、受験勉強をはじめた当初に単語や文法を一気に終わらせて、秋が近づいてはじめて「演習=応用」に入る…というようなサイクルで語られています。
私自身は、このブログの中でも、むしろ逆で、「演習を行いながら、単語や文法をつめていく…」というようなことをずっと書いています。
しかし、受験生は先に文法、後から演習ですから、本当は短期記憶に頼ってもいい、頼ることが可能な単語や文法を直前におろそかにしている可能性が高いんです。
だから、ここは復習の時期。やれば思い出すし、強化されます。
今こそ、定期試験と小テストの一夜漬け学習の強みを発揮するときです。
ですから、時期がここまで進んだ以上、コロナの状況を考えてみても、まず共通テスト対策をしっかりやる、というのは悪い話ではありません。
国語については、まとめましたので見てね。
で、単語とか文法とか、漢文の漢字とか、使ってくださいね。