学びの真似び(まねび) 「学び続ける人」になるために(教育と受験と勉強法)

学習の仕方に困ったことはありませんか?ここでは、「真似び=学び」という形で、さまざまな学習方法へのアドバイスをしていきます。学習の仕方に悩んだら、受験勉強で行き詰まったら、ぜひ訪れてみてください。効果的な学習方法を知って、学び続ける人を目指しましょう!

問題演習を通して、学力をあげる。アウトプットとインプット、解答方法と知識の話

大学入試が近づいてきたところで、久しぶりに学習方法の話です。

学習の流れを考えてみます。

秋も深まってきて、大学入試をはじめ、受験が近づいてきました。

成果、要するに「合格」がほしくなってくると、生徒たちもようやく学習方法に目を向けてくれるようになります。

ただ、「勉強する」ということから「効果」、もっといえば「コストパフォーマンス」を追求したくなるわけです。

もちろん、この時期になっても、「がんばっているんだから大丈夫」「とにかくやるしかない」「何をやればいいですか」というような、成果を求めないような言葉にかこまれた生徒も多くいます。

しかし、この時期になってくると、少しずつ、「どうすれば成果があがるんだろう」と考えてくれる生徒も出て来るわけです。

今日は、そんなことを書いておきたいと思います。

 

学習に必要なものは「参考書=リスト」「解説=授業・塾」「問題集」

まず、いわゆる受験勉強という形で、学習をとらえた場合、必要なものが以下の3種類であることはすでに書きました。

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  1. 参考書=覚えるべきリスト
  2. 解説=そもそもの授業、塾などに加えて、参考書でいうなら「実況中継型」のものや現状ではスタディサプリなどの映像解説
  3. 問題集=過去問題集や模試

以上がその3つです。

人によって、そして教科別でも、癖というものがあって、学力があがっていかない場合には、これらのうちいくつかが欠けていたり、あるいはバランスが悪かったりするパターンが考えられます。

たとえば、塾にいって安心するタイプの場合。

結局は2の、解説をひたすら聞くだけだったりしますので、理数系で授業以外で問題を解かなかったり、英語や国語で予習、つまり自分で読むことをせず、いきなり解説を聞くだけだったりすると、当然学力がついていきません。

たとえば、受験勉強をはじめた初期に多いパターン。

塾の先生などから「基礎」が大事だよ、といわれ、本当に、単語や文法などをひたすらやり続けるような生徒。

長文読解をしたり、問題を解いたりすればいいんですが、本当に文法書をただやるだけなので、何のためにやっているかわからず定着しないケースが本当に多くあります。

「歴史」などの場合も同様で、ひたすらインプットをしていて、覚えたかどうか問題集で確認をせず、なかなか手ごたえがでてこない。

「数学」や「理科」だと、問題集をひたすら参考書のように「暗記」して、実際に問題演習で使うことが不足していくことが考えられます。

上記ふたつが典型例ですが、そもそも、受験勉強をはじめるにあたり、こうしたアイテムが揃っていない生徒も数多くいるのが事実です。

 

アウトプットとインプットはどちらが重要か?

このように書いてきて、欠点の共通点がわかるでしょうか。

根本的には、「自分で、問題演習を重ねる」という部分が欠落するんです。

  • 問題を自分で解かずに解説だけ聞いて学習としている。
  • 知識だけをひたすらインプットして問題の中でどう使うかを意識しない。

両方に共通するのは、「問題を解かない」ということです。

それなりに「言い訳」というものも用意されていて、

  • 難しくて自分には解けない。
  • やり方がわからない。
  • 「基礎」ができていないから、やっても意味がない。
  • 「基礎」が大事で、まず基礎を固め、基礎ができればできるようになると言われた。

というようなものでしょう。

いずれにせよ、とにかく「問題を自分で解かない」ということです。

中には「解いている」と主張する生徒もいるんですが、

  • ちょっとわからなくなると、すぐ解説や訳に頼る。質問にいく。
  • わからない問題がでてくると、辞書を引く、文法書をあさる。

という状況では、いずれも「問題集」を使っているとはいえません。

前者が、「解説」、後者が「参考書=リスト」です。

前者であれば、「解説」で聞いた方法を自分でできるかどうか確認していく場であるのに、実際は、常に他人にやってもらうようにしている状況です。

現代文なんかだと、問題を解かずに、なぜ答えがそうなるかを常に説明してもらってわかったような気になっているパターン。

英語とか古文とかの訳を見てしまう人の場合、まだなぜそういう訳になるか考えてくれれば、参考書型というか、リストを暗記する方向にもいきますが、とりあえず、「訳を確認する」「訳を理解して問題を解く」というやり方だと、参考書型にさえなっていない可能性もあります。

後者であれば、本来、覚えていなければいけないものを、常に誰かに答えを教えてもらって納得しているような状況です。

要するに、問題集を解く、という作業は、思った以上に受験生で不足している可能性が高く、それが原因であることが多い。

要するに、アウトプットの重要性ですね。

そもそも、インプットと思っている作業、いわゆる「暗記」ですが、たとえば、単語であったり、文法であったり、そのインプットにおいてもアウトプットが重要です。

記憶の仕組みについては最初の方でまとめてきました。

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「覚える」ことと「思い出す」ことを組み合わせるのが一番効果的なやり方です。

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じゃあ、単語の具体的な覚え方は…というのが以下。

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思い出すことの重要性も書いてきました。

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で、具体的なシートで、単語とか漢字とかを覚えよう、というのが

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すごくシンプルに書くと、参考書を覚える、単語集を覚える、という作業に関しても、ただ見て覚えるというのではだめだということです。

その作業には、必ず「思い出す」ことが必要。

つまり、「見ないで再現する」「覚えているかどうか確認する」という作業が必要です。これもアウトプット。

覚えるのが得意な人は、ただ見ているだけのようでも、わざと目を切って、見ない状態でいえるかどうか確認しながら先にすすんでいるんですね。

逆に苦手な人はひたすらインプットし続ける。

だから、単純な暗記問題だとしても、アウトプットしながらインプットしないといけないんですが、実際の入試問題は、さらにそのインプットした知識を、「どう使うか」「どう引き出すか」ということも意識しながらやらないといけないんですね。

その意味でも、「アウトプット」を先に考えないと、そもそも学習になっていないケースが多いんです。

なんとなく「インプットしてからアウトプットで確認。だからまずインプット」という気がしてしまうと思いますが、私の経験でいうと、「まずアウトプット。できなかったところをインプット。少しインプットしたら、またアウトプット。できなかったところをインプット」というように、「先にアウトプット」という意識の方がうまくいくと思います。

たいした違いでないように感じるかもしれませんが、アウトプットして、それが解けるように知識を入れていく…という順番にすることが大事です。

つまり、「まず問題演習」ということ。

「一週間勉強して、週末に知識が入ったかどうか演習で確認」ではなく、

「最初に問題を解いて、一週間、できなかったところの知識を詰める」というようなイメージです。

 

「解答方法=問題の解き方」と「知識」、それを理解して実践するには?

さて、これを整理していくと、問題演習を通じて学ぶことは二つということになります。

  1. 解答の選び方、答え方。本文の読み方、問題の解き方、目の付け所、選択肢をしぼる考え方など。これも厳密にいえば、「本文などの読み方」と「答えの作り方」という二つに分かれます。
  2. その解答を作るのに必要な知識。単語や文法、公式や解法の暗記や理解

この二つを問題演習を通じて学び、問題演習を通じて実践し、問題演習で確認していくわけです。

まず、学ぶときに、この二つであることを意識しましょう。

解き方・読み方とそこに必要な知識。

どちらが欠けていて問題が解けないのかを意識します。先生が説明していることはたいていこのどちらかです。

残念ながら、教えてくれるときにこの二つを切り分けてくれる先生は少数派だと思いますから、常に自分がどっちで行き詰まっているかを意識する必要があります。

私の科目は国語ですが、ある問題があるとしたら、

  • どのように本文を読むか=読み方、内容のつかみ方(注や選択肢からの把握)
  • その本文を読むために必要な知識などが入っているか=知識
  • どのように答えを選ぶか、作るか=解き方
  • その答えを選ぶための知識が入っているか=知識(単語・文法)

こんな感じになるわけです。

できない人をわけると、

  • 解き方はわかっているけれど、単語や文法が入っていないために、わからない。
  • 単語や文法は入っているのに、正しい解き方をしていないために、単語の知識を使えない。
  • 解き方も、知識も足りないので、どうしていいかわからない。

という感じになります。

この原因がわからないと、当然、できるようになる手順が見えないということになります。

その状態で、「基礎」と称して、単語や文法をやっていても仕方がないわけです。

こうやって説明していくと、ちょっと見えてくると思うんですけど、受験の成功譚の中に「単語とか文法とかをきっちりやれば大丈夫」というものがありますよね?そして、それを信じて、ずっと単語と文法やって、実際多少はできるようになってきたのに、一向に模試の偏差値があがらない人もいますよね?

その違いは、特に国語のような科目だと起こりがちなんですが、もともとの本文の読み方、たとえば、古文であれば注とか選択肢とかから主客とか、話のあらすじがつかめたり、そもそも、選択肢をしぼる、問題の解き方みたいなものが、現代文の感覚でもっているけれど、ただ、単語や文法の知識が入っていないからできないという人と、そもそもわからない話を類推したり、古文の選択肢を、現代語として解釈する力、あるいは方法が欠けていたりする人の違いなんです。

できない原因が違うから、対策が違うんですね。

あまり私は使いたくない言葉ですが、いわゆる「地頭」みたいな話です。国語というか、文章を読むことに慣れていて、こうした試験問題に慣れていれば、単語や文法をつめたり、現代文であればテーマとかそこに付随する用語に慣れれば解けるようになります。

しかし、文章に慣れていなかったり、選択肢を日本語として読む力に欠けていたりすると、そもそも文章を読む、選択肢を理解する、という練習をしないとできるようにはなりません。

区分けするのがもし、難しいとしても、要は、この二つの基本となるのは「問題演習」をするということです。

問題演習を解けば、区分けされなかったとしても、「解き方・読み方」の解説と「知識」の解説の両方に出会います。

というわけで、問題演習をしながら確認をするということを意識していきましょう。