学びの真似び(まねび) 「学び続ける人」になるために(教育と受験と勉強法)

学習の仕方に困ったことはありませんか?ここでは、「真似び=学び」という形で、さまざまな学習方法へのアドバイスをしていきます。学習の仕方に悩んだら、受験勉強で行き詰まったら、ぜひ訪れてみてください。効果的な学習方法を知って、学び続ける人を目指しましょう!

受験勉強をするのに必要なものは3種類。「参考書」「問題集」と「授業・解説型」をきちんと使ってますか?

今日は、受験勉強をするにあたって、学習方法の基本についての話です。あなたの持っている参考書と使い方を確認しましょう。

進路指導をしていると、「とりあえず受験勉強をしなきゃ。でも、どうすればいいんだろう?」という生徒と数多く話す機会ができてきます。「とりあえず塾に行こう」「とりあえず問題集を買おう」「とりあえず宿題以外の勉強を始めよう」という感じ。

で、「何を買えばいいですか?」「どうすればいいですか?」「どうやって選べばいいですか?」という感じです。

前回は「やる気スイッチ」の話を書きました。

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こういうことが動くだけでも「やる気スイッチ」が入ったととらえることもできるのでしょうが、私は厳しいので、やはりそれではだめだと思います。「塾に入った」「問題集を買った」ではなく、「自分で勉強を始めた」というところが本当の「やる気スイッチ」が入った状態だからです。「作業興奮」で最初の一歩ですね。

スポーツ用品店に行って、ランニングシューズとウエアを買ったことは素晴らしい一歩ですが、本当の一歩は実際に走りだしたところ、というようなことです。

というわけで、どのように勉強を進めていくべきか考えてみたいと思います。

 

必要なものは「参考書=リスト」「問題集」「授業・解説型」の3種類。

さて、そもそも勉強を始める時に、「これをやればいい」というような絶対の問題集や参考書などは存在しません。

それは、人によるからです。「今、その人がどこまで理解しているのか」「何でつまずいているのか」「何を目標として、どこまでやらなくちゃいけないのか」「どんなやり方でそれを使うのか」「その人の能力で1回でどのぐらい頭にはいるのか」などが違う以上、一言で答えられることはありません。端的にいえば、素晴らしい文法書や単語集があったとして、「すごく集中して覚えているか確認しながらすすめる」のと「とにかくぼーっとなんとなく目を通す」のでは、明らかに違いますよね?ここに、現在地の違い、目標の違い、やり方の違い、意識の違いが入ってくるわけですから、そもそも、「これをやれば大丈夫」というのは、面談しながらオーダーメイドでアドバイスすることはできても、みんなに同じセットを配布することはできないんですね。

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で、ここに話を進めると、これだけで結構なことになるので、この話は今回はしません。

今回は、具体的にどういう問題集、参考書が必要か、ということです。簡単にいうと、よく言われる「一冊の問題集をやりこめ!」は嘘であるということです。まあ、嘘じゃない部分もあるんですけど…。このあたりをきちんと説明できるようにするのが、今回のポイントです。

まずはどんな問題集があるか、分類してみます。もちろん、これから説明する3つの分類のどれかに入るはずなんですが、問題集によっては、これら3つの性質のいくつかを持っていたり、明らかにひとつのパターンなんだけど、それだけでは完璧にならなかったり…というようなこともあります。だからこそ、何にも考えずに、「一冊の問題集をやりこむ」などという言葉だけを信じて動くのは完全に間違いです。では、その3種類とは何でしょうか。

それはつぎの3つです。

  1. 参考書・資料集などの、これを見れば全部書いてある、というタイプのもの。戻ってくるべき場所のような参考書です。インプットする元となるものですね。
  2. いわゆる問題集。過去問題集のようなものを含め、実践型に近い問題集や一問一答のような用語や文法だけを確認するものもあるでしょう。先ほどのものに比べてアウトプットに重きを置いて、できたかどうかを確認するものですね。
  3. 解説授業型の問題集や参考書。わかりやすく教える、わかりやすく説明するということに価値があるタイプです。実況中継とか、現代文の解説なんかがこういうタイプが多いですね。当然、1の重要事項をわかりやすく解説するタイプと、2の入試問題をわかりやすく解説するタイプがあります。

というわけで、それではそれぞれを細かく見ていきましょう。

 

1 参考書・資料型=覚えるべきリストを持っていますか?

さて、まずは、参考書や資料型です。インプットしていく元となるリストといってもいいでしょう。

これを持っていない、あるいは使っていないということは、当然、勉強の基本となるものがない、ということでもあります。

これは当然、教科によっては、1冊とは限らず、何冊にもなる可能性があります。

たとえば、英語であれば、まず、単語集が必要になります。それから、文法の説明をしている教科書が必要になりますね。古文も大体、同じで単語集と文法でしょう。

漢文になってくると、句法は覚えに入っても、漢字のリストは無視していたり、同訓異字や和漢異義語、人称などの漢文ならではの語の意味、漢詩や諸子百家の知識なども、必要なはずなんですが…。

歴史とかになってくると、教科書がこの役割を果たしますが、それだけでは足りない、なんてことも起こります。写真や絵画などを中心に資料集が必要になったり、用語集が必要になることもあるでしょう。

数学や理科になってくると、こうしたものは比較的少なくなってきますが、それでも、教科書と理科であれば資料集は必須になってくると思います。

こうしたものを、まず、頭の中にインプットする必要があるわけです。

まず、持っているか。そして使っているか。

問題集ばかりやっていて、その解説を読んで、場当たり的に穴を埋めていくよりも、まずは系統だてて全体的に頭に入れるものをまとめて理解した方がいいわけです。

だから、まずこうした「リスト」が必要になります。夏休み前の時期には「赤本ばかりやってちゃだめだよ」というのも、こういうことですね。まずはリストを頭にいれないと、実践練習をしても効率が悪いですから、まずは「基礎」なんていう言葉のもとに(トゲのある書き方ですね。「基礎」の言葉の意味が大事なんです)こうしたリストを頭にたたきこむことを第一歩として説明されるわけです。

 

2 問題集=問題を解くことはアウトプットの重要な作業。高1でもアウトプットは必要です!

しかし、当然「アウトプット」が必要です。問題を解いて、頭に入っているかどうか確認するということですね。

問題を解かない限り、実際に頭に入っているかどうかは確認することができません。まだ、「文法」をインプットして、「文法」が入っているかどうか確認する、というようなことなら、必ずしもアウトプット型問題集がなくて、自分なりに確認することはできるでしょう。

しかし、「長文読解が苦手なので、まずは文法」というようなケースの場合は、どうでしょうか。文法をインプットして、そのインプット型の問題集で覚えているか確認するような作業で、果たして長文を読めるようになったでしょうか。

「ならない」と決めつけているわけではなく、こういう場合こそ、アウトプット型の問題集で、手ごたえを確認する必要があるわけです。

よく塾などで、「夏休み前までは文法で十分」というような言葉が使われるケースがあるのですが、この場合でも、決して長文読解は1題も解かなくていい、とか、英作文はまったくやらなくていい、と言っているわけではないはずです。ある程度、インプット作業を行わないと、アウトプットする意味がないということを指している言葉であって、インプットするためにもある程度、こうした問題集を使っていく必要があるんですね。

基本は、参考書・資料集と問題集を行き来させて、確認と反復を行うこと。これが重要!

というわけで、実質必要な問題集と参考書は、この1・2です。これをしっかり行き来させて、定着をはかることが重要です。

たとえば、2の問題集を必死で解くとします。当然、問題集には解説がついていますから、その解説でできなかったところを復習していきます。

なんとなく、勉強としていいような気がしますよね。

でも、ほぼだめです。

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無意味とはいいません。でも、やって間違ったところをつぶす、と言うやり方で成功するためには、次の二つが絶対条件。

  1. 実際の入試で出題される問題を一度やっていること。
  2. その問題の解き方を入試で出されたときに覚えていること。

果たして、こんなことが可能でしょうか。まして、模試で成果を出したいとするなら、同じ模試でやったところをもう一度出すでしょうか。

というわけで、大元の参考書にあたることはとても大事ですね。

だからといって、参考書をやって問題集を後回しにした場合、どんな問題が起きるでしょうか。それは次のような可能性が出て来ます。

  1. 覚えたつもりになっているだけで、本当に覚えたかどうか確認できない。
  2. 入試でどう問われるかが理解できないため、本当に覚えるべきポイントがずれていく。
  3. いつまでも「覚えていない」ことが原因とされてしまい、問題で確かめることをどんどん後回しにする。

などの可能性があるわけです。

そもそも記憶の定着には、覚えるよりも思い出すこと。 

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なので、思い出す動作が入らないことは原理的にも無理があるんですね。 

というわけで、インプットとしての「参考書」とアウトプットとしての問題集を適切に行き来することが、参考書・問題集の使い方として、必須です。

 

3 「解説型」は学校や予備校の授業、スタディサプリや東進やマナビスもそのひとつ。でも、1や2をちゃんと使ってますか?

そして、もう一種類、「1人で勉強をどうはじめていいかわからない」タイプの受験生に必須なのは、「解説型」の問題集。これはなくてもいいんですが、1人でどうしていいかわからない受験生には必要です。

  1. 実況中継型問題集。
  2. 解説の詳しい問題集。
  3. スタディサプリ。
  4. 東進やマナビスなどのビデオ授業。
  5. 塾の授業
  6. そして、当然、学校の授業

だから、本当はこれはなくていいんです。でも、タイミングを逸して、1から1人ではじめるとか、学校では高3で、その科目はもうやらないけど、高3からはじめたい、とか、そういうことになれば、塾かビデオか解説型問題集は必須になるわけです。

これらのポイントは「わかりやすく教えてくれる」ということ。

大丈夫ですか?これらの問題集はこれでは完結しません。ビデオをいくら見ても、解説をいくら読んでも勉強はできるようになりません。塾に行ってだめな理由も一緒。

説明されたら、自分でやらないと。

何を?

1なら、参考書のインプットです。リスト型参考書を手にして、頭の中にいれないと。

2なら、問題集を1人で解く。解き方をきいたら、別の問題で、1人でやらないと。

だから、いくらスタディサプリが素晴らしくても、リスト型問題集を持っていなかったり、覚えようとしなかったり、あるいは問題を解かずに解説だけ聞いているようなやり方だとお話にならないわけです。

だから、もしあなたが本当に0なら、問題集は4冊必要。覚えることを助けてくれる解説と、問題を実践的にとるための解説が必要だからです。

でも、逆に授業がちゃんとしているなら、これはいらないです。

そんな感じ。問題集が何冊必要かわかりました?今4冊とか書いてますけど、たとえば、英語でリストが、単語と文法と…と細分化されれば、当然増えますし、逆に「リスト型なんだけど、問題も実践的についていて別に買わなくても大丈夫」なんていう感じ、たとえば数学なんかそういうのが多いですけど、そうなれば1冊でまずはいいよね、ということになるわけです。

 

科目別の陥りやすい学習状態

それでは、こうしたことを基本として、受験生が結構陥っている状態について、言及しておきましょう。もし、自分がそうなっていたら、十分反省して、取り組み方を変えましょう。

英語~基本の名のもとに、資料型ばかりになっていないか?解説型を聞いてわかった気になっていないか?

英語で一番多いのは、単語や文法などの資料・参考書型ばかりをやって、長文読解や英作文などの問題集型を後回しにするパターンです。問題集を週に1回でも解いて、アウトプットし、インプットを確実にすることは問題ないですが、偏差値50ぐらいだと、先生の言った言葉通り、「夏休みまで長文読解を一度もしない」なんていう生徒が存在してしまうんですね。言った先生もまさか一度も解かないとは思っていないと思うんですが…。

ちなみにですが、リスニングと英語長文は親和性が高いですし、英作文はスピーキングと親和性が高いですね。

両方とも、使う、ということです。この使って身につけるものは、短期間では無理です。もちろん、この前提には、「一定の単語を覚える」「基本的な構文を覚える」というものが必要なのは当たり前です。でも、そのことでさえ、もし、留学をして、英語を聞く、話すが常に行われていれば、インプットはより効果的になるはずです。

インプットが完全にすんでからでないと留学は無駄だ、なんていう先生はいないと思いますね。仮に「まったく入っていないからある程度は単語と文法だけ」ということになったとしても、残り200日ぐらいで、「あと100日インプットに使え!」という英語の先生はいないと思います。残り200日なら一刻を争うはずなので…。

現代文~解説型をいくら読んでも、問題集を解かないと力はつかない。

現代文ができないタイプはふたつなんですが、ひとつは、問題をまったく解かないで、ひたすらわかりやすい解説型を読んで、なんかわかった気になるタイプ。そもそも現代文の問題集は一題25分程度で一冊に12~15題ぐらいしかはいってません。ちゃんと解いたって1週間かかりません。これを後生大事にできるのは、解説しか読まないから。これでできるようにはなりません。

続いて、ひたすら問題だけを解いて、解説について選択肢の選び方だけこだわるタイプ。文章の構成や内容が変われば、解き方も変わりますから、場当たり的に消去法的な選択肢の選び方ばかりやっても力はつきません。文章の内容がわかるように「解説」してくれる問題集が必要です。

そういう意味で、先生選びが、実は一番重要な科目です。

古文・漢文~英語と同じ状態になりやすい。一方でリストは本当にできあがっているのか?

古文・漢文は、英語と同じ状態になりやすい科目です。つまり、ひとつのタイプは、文法とか単語ばかりをやって、問題を解かないタイプ。これが大きな問題です。

しかし、一方で、「ある程度文法をやった。参考書を3周した!」とかいって、あとはひたすら問題集を解くタイプ。

大事なことは、問題集と参考書の行き来です。これが理解できないとダメですね。

そして、どうしてもだめな場合、国語は解説型ですから、先生に聞きにいって、解説を求めましょう。

数学~解説を聞くことは最初の一歩でしかない。基本的には問題集を自力で解かないと力はつかない。

数学ができない人はとにかく、問題集型の不足であるケースがほとんど。数学の問題集は参考書・リスト型、解説型がセットになっている可能性が高く、問題を解いているように見えて、ただ覚えて再現しているだけ、なんていう可能性もあるんです。また、運の悪いことに、数学は暗記だ、なんて説明されることもあり、ここでいう暗記とは解法の暗記であって、答えの暗記ではないのに、まさに問題集なのに、インプット型で使ってしまうということが起こります。

数学は、自力で問題を解く。できなかったら、参考書、解説に戻る。わかった、と思ったら、また、自力で問題を解く。

こんな作業をきちんとしましょう。

理科~問題集を解く、という感覚をそもそも持っているか?

理科は基本的に数学と同じ問題が起きます。

しかも、受験生は問題集型という自覚がない可能性が高い。インプット型のように参考書をかかえているとすれば、そもそもできるようになりません。

まずは、理科は数学と同じように問題を解く、という自覚をしっかり持ちましょう。

地理・歴史・公民~解説は、自分なりのリストを作るために必要。アウトプットはできているか?

逆にインプット型であるがゆえに、問題集が軽視されるのが地歴です。アウトプットで使うのが一問一答だけだったりとか。

要は、入試問題をやれ、ということです。

特に、学習計画として、順番にインプットして秋までインプットに費やし、そして、秋から入試問題、なんて計画の場合、きちんとインプットして入りきっていればいいんですが、そうでない場合、つまり、秋に入試問題やったらぼろぼろ抜け落ちていて、うわ、入れ直しだ!なんてことが起こった場合、もう終わりです。

インプット重視でも、1週間から2週間に1回は入試問題や模試に向き合って、きちんと入っているか、抜けていないかを確認し、不安があったら、インプット作業にすぐ戻ることが重要。

つまり、たまにアウトプットを入れて、インプットを強化するという行き来が大事なんですね。

 

というわけで、参考書選びの話でした。

とにかく自分で考えて、ただ「一冊と決めたら浮気しない」みたいな単純な言葉にだまされないようにしましょうね。