学びの真似び(まねび) 「学び続ける人」になるために(教育と受験と勉強法)

学習の仕方に困ったことはありませんか?ここでは、「真似び=学び」という形で、さまざまな学習方法へのアドバイスをしていきます。学習の仕方に悩んだら、受験勉強で行き詰まったら、ぜひ訪れてみてください。効果的な学習方法を知って、学び続ける人を目指しましょう!

いつもやらないといけない学習と、今回の目標を達成するための学習を意識する~タスクを分類する 学習計画その4

学習計画作りについて、ここまで目標設定の仕方を説明しました。今日からは、目標達成するための「タスク」を考えます。ルーティン目標と期日目標を意識して、タスクを管理します。

さて、今日から学習計画が具体的になっていきます。目標が細かく決まると、「そのために何をするのか」という課題が細分化され、取り組むべき課題やそのための練習が始まるわけです。

では、考えていきましょう。

 

「目標設定が重要」なのは、人によって、目標によってやることが変わるから。~先生の指示でタスクを作ってはいけない!

学習計画を立てるために、ここまで「目標設定」に時間を割いてきました。どうして、そんなことが必要だったかといえば、大きな目標を決めたら、次に必要なのは、自分を分析して、それにあった課題を一つずつ解決する必要があったからです。

スポーツで考えたってそうですが、弱いチームは何もかもできないわけです。だからといって、やみくもに練習してもだめで、弱い理由を細分化して分析して、ひとつずつできるようにしていくし、できるようになったら次のレベルと、違うことをできるようにする必要があります。

だから練習が変わります。

生徒のみなさんに学習計画を立てさせると、起こりがちな現象は、どんな目標であっても、どんなレベルにいても、みなが同じような学習内容を書く、ということです。

たとえば、毎回出る宿題や、必ず行われる小テスト、あるいはとにかく「復習」とか「見直し」とかそういうこと。そして、使う教材も、それをベースにした、教科書、問題集、ノートなどになっていくわけです。

実は、下手をすると、先生たちも同じ思想を持っています。自分の科目をできるようにするには「これをやるといい」というのが先生にはあって、それに基づいて宿題や課題を出す。でも、授業でわかった人と、わかってない人が同じ課題でいいのか、東大を目指す人とどこでもいいから大学行くという人が同じでいいのか、こういうことを全体にどんと言える先生は、たぶん考えていません。もっというと、平気で「これで東大に行ける」と言っちゃうのかもしれません。

おそろしい話です。

だから、先生たちでも、こうした学習計画作りはたぶんあまり意味を感じていない。中途半端な進学校が中途半端な進学校になるのは、先生たちが必死に「全員に何をやらせるか考えている」学校です。保護者の方にも、理解してほしいのは、「宿題で追う」という発想自体が進学校、難関校ではないんです。難関に行くとすれば、限られた時間で、さまざまなことを理解する必要があり、そのためには『取捨選択』が必須。わかっているところとわからないところ、重点科目とそうでない科目、それでも最低このぐらい点をとらないとだめ、だったら最低限、ここを強化しないと…というように、自分を分析して計画を立てる力が必要なんです。

全員に何をやらせるかなんていうのは、いらないこと。指針は必要ですし、理想も必要ですが、宿題や課題である必要はない。確かに、まったくやらない生徒に何かをやらせるために、課題で追うということは一定の効果がありますが、その代償として、すでにわかっている生徒に同じことをやらせたり、理解よりも作業を優先するような課題を出したり、生徒から自分で弱点を分析する機会を奪い言われたことをやれば安心という生徒を作り出したりしているなら、もったいないと思いませんか?

学習時間をうまく配分できるように課題を調節するなんていう思想は、宿題が山ほど出ていて、しかも無意味なものばかりで、生徒が学習する時間がないなら、必要ですが、そうでなければまったく必要のない発想です。みんな、同じ基準で勉強するなんて。

しかし、先生は「指示」をしているので、生徒は目標に関わらず、学習計画に同じ「指示」を書きます。下手をすると先生は、「やることは生徒が考えるんじゃなくて、こっちが示すんじゃないの?」となるぐらいで、むしろ正解がある状況になる。

塾だって大差ないかもしれません。「今はこれやってればいいよ。」「これやれば大丈夫。」そもそも「やる」っていうのが曖昧。「今これがここまで理解してないと」ならいいんですけど、「やった」では意味がない。

これが繰り返しになりますが、人によってやることが変わるということですね。

実力も違う。目標も違う。得意や不得意も違う。学習法の向き不向きも違う。

だから、学校や塾に決められたことをやってもしょうがない。自分で自分の課題を決めるんですね。

 

「いつもやらないといけない学習」と「目標のためにやるべき学習」~ルーティン目標と期日目標

学校や塾で指示していることを「いつもやらないといけない学習」とします。

これをやることで成績が上がる人はどういう人でしょうか。

それは「いつもやらないといけない学習」をやっていない人ですね。だから、こんなことで成績が上がるとしたら、「やってない」から「やる」というようなことですね。

もしやっているとしたら。

その「やっている」ことで、今の成績が出来上がっているんです。だから、変わりません。もちろん、「やり方」とか「意識」とかでも変わる可能性はあります。みんな「ちゃんとやっているとは自信を持って言えない」からです。だから、「頑張れば」「集中すれば」「やる気になれば」なんて思って同じことを書いてきます。

これではだめですね。やっているから、その成績なので、同じことを書けば、同じ成績になります。

変えたいなら、少なくとも、

  • やり方そのものを変える=「見て覚える」を「音読」に、「音読」を「写す」に、「写す」を「白紙に再現する」に、「まとめ直す」に
  • 回数を変える=テストまでになんとか1周を、2周に、2周を3周に。

ぐらいはしなければいけません。

しかし、本当にこれで、成績があがるのでしょうか。

たとえば、

  • いつもやっているものでは、「分野」が足りない。たとえば、資料集までやらないと、テスト範囲はカバーしていないということはないのか?英語の問題集をやっているが、リスニングやライティングは本当にそれでやっているのか?
  • レベルがあっていない。そのレベルでやれればよいが、「遅れ」を取り戻すためには、もっと基本的なものをやらないといけない、あるいは、すでに基本的なものはたたきこんであるから、もっと応用的なものをやらないといけない、ということはないのか?
  • 今、やっている範囲でなく、前提としているこれまでの既習分野にとりこぼしがあるから、取れないとすれば、学年をさかのぼって復習しなくていいのか。
  • 模試が目標の場合、今、授業でやっていることと模試はあっているのか。授業で古文をやっていて漢文をやっていないとき、漢文はやらないでいていいのか。世界史や日本史、あるいは物理や化学の範囲が模試と学校でずれているとき、模試のために復習しなくていいのか。数学の既習範囲がずれているとき、復習しなくていいのか。
  • 英語や国語のような初見問題を読むようなものの場合、授業で説明したことを復習するだけで、本当に対策になっているのか。
  • 授業で出てきた単語や文法事項をひたすら覚えている場合、もととなる単語集や文法書をやらなくていいのか?

などなど、きりがないくらいに、やるべきことが上がってきます。

本来、

ルーティン目標=毎日やると決めたこと

期日目標=期日を決めてそこまでやればいいこと

という区分けですから、たとえば「単語集をやる」ということも、

ルーティン目標=1日2ページ必ず覚える、1週間で10ページすすめる

期日目標=1カ月で2周する

というように、どちらにおくこともできます。

前者にすればルーティン、後者にすれば期日、ですね。

でも、この目標設定においては、

期日目標…今回の目標を達成するために、今回の試験までに特別に与えられたミッション。

ルーティン目標…目標達成に関わらず、「やれ」と言われていること、すでにやっていることなど、すでにやり続け、これからもやらなければいけないこと。

というように分けるとわかりやすくなると思います。

つまり、「学校や塾からやりなさい」と言われていることは、ルーティン目標であって、あなたがあなたの目標を達成するためには、これに何かプラスしないといけないわけですね。

「プラスする」というのは、学校や塾に配慮した言い方で、学校や塾の指示を守りつつ、あなたの目標を達成するならプラスするしかないわけです。もし、あなたがすごく厳しい状況にあるなら、目の前に積み重なった先にあるものなんかやめて、昔取りこぼしたことを必死にやることの方が有効に働くことも本来あるわけですから、その場合は「変える」ですね。

あるいは、自分にとって無意味な課題であったり、明らかに優先順位が低いと思われる課題であるとするなら、「適当にやり過ごす」という技も必要です。

私はよく言うのですが、英語や古文などについて、

  • 本文を写す
  • わからない語を辞書で引く
  • 全訳を書く

というような作業はやめた方がいいと思います。

本当は意味がないことはないです。やれるなら、必ず意味があります。だから、「意味がない」といっているわけではありません。限られた時間の中で、優先順位が低く、一番省略すべきものだと思うからです。

私にとって、絶対にやるべきものは、

  • 何も見ないで、音読する。
  • 何も見ないで、解釈する。
  • がんばって、解釈する。
  • わからないところを、文法的に、何も使わずに分析して訳す。
  • 文法や単語など、そこを解釈するのに必要であったにも関わらず、入っていなかったところを復習する=覚えなおす。原理を復習する。
  • その文法事項や単語に関連する事項や付随する事項を覚えなおす

というものです。英語の先生だったら、リスニング、音読、そして、何も見ずに話す。習った文法事項や単語を使って、話すなども必須です。これらをすべてやったうえでなら、先ほど書いたものも意味があるでしょう。でも、今、書いたことをやらないで、

  • 怒られるから、本文を写しておく
  • 怒られるから、辞書を引いておく

ということに意味があるでしょうか。もし、こうした「証拠が残る課題」ばかりが出される授業だとすれば、その課題にはほどほどに付き合い、より頭を使う学習をしなければいけません。

期日目標を重視する、ということがわかりますか?

一度こんな記事を書きました。

www.manebi.tokyo

緊急でないけど、重要な課題が大事なんです。

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「怒られるからやる」から「自分のためにやる」へ

期日目標は、まさに「今回の目標」という短いスパンに限られた、「ちょっとしたタスク」。ひとつずつ、真剣に弱点をつぶせば、弱点はなくなる。スポーツも何も同じです。課題をひとつずつつぶしていく。その課題が、いつも先生から与えられた同じものである、ということはおかしいんです。

テストまでの課題を持つ。その課題の対策をする。結果が出たら、次の課題をつぶす。

こういうサイクルである以上、期日目標が立てられない時点で大きな問題です。 

で、前回。

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やることをしっかり考えられるように、マインドマップ的発想を身につけましょう。

今回の目標を実現するには、前回をベースに考える。得点化して、分野を探る

さて、そう考えていくと、何度も何度も書いてきましたが、弱点の分析が必要です。そして、これは「偏差値を得点化して考えること」が有効です。

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これは、「前回のテスト」をベースに考えるといいですね。

前回のテストが50点だったとします。たとえば、ぎりぎり平均点ぐらい。今回の目標が偏差値で1~2あげることだとすると、たいてい目標点は、100点満点で、1.5~3点ぐらいあげればいいはずです。

標準偏差×0.1が偏差値1あたりに必要な得点ですが、100点満点だと科目にもよりますが、標準偏差は10~20の間ぐらいでしょう。

標準偏差がわからなかったら、先生に聞くといいんですけど、出さない学校なら、適当にこのぐらいで決めましょう。

じゃあ、「1.5点から3点」をどこであげるのか?

テスト問題を見て考えます。「ミスしなかったらあがるな…」だめですよ。ミスはするものだし、百歩譲ってミスが原因とするなら、「ミス対策」を考えて、期日目標として徹底することが求められます。それも「ミスをしない」ではなくて、「時間よりも早く解く練習をして見直しの時間を確保する」とか「余白や計算用紙を限って、実際の試験をイメージして限られた余白で解く練習をする」とかでないと意味がありません。

意外と厳しいですよね。しっかり、3点学習する分野を決めましょう。

そうしたら、その対策を考えます。わからない?じゃあ、聞きに行きましょう。ここまでやったら、先生もかなり細かく教えてくれます。

「先生、この間のテストのこの問題、15点分あるんですけど、ぼくは5点しかとれてなくて…せめて10点にしたいんですけど、何をどのくらいやればいいですか?」

同じ場所だと思って、聞いてくださいね。

「先生、この間のテストのこの問題、15点分あって、ぼく0点なんです。ここせめて5点ほしいんですけど、どうすればいいですか?」

「先生、この間のテストのこの問題、15点分あるんですけど、ぼくは10点だったんですが、今度は満点にしたいんです。何をどのくらいやればいいですか?」

先生の答え、同じですかね?たぶん、違いますよね。場合によっては、後の人には、難しい問題集や受験勉強的なアドバイスが始まるかもしれないし、状況では、「いや、ここを満点にするのは無理だよ。他をのばした方がいいんじゃない?」というアドバイスになるかもしれません。

自分の課題が具体的になれば、アドバイスする方も楽ですよね。

より効果的な学習方法にたどり着くはずですし、そもそもこういう発想で学習に入るとうまくいかなかったとしても「次は違うやり方にしないと…」と自然と考えるようになります。 

 

タスクは、「いつまでに」「何を」「どのくらい」「どうする」か。

さて、もうひとつの課題です。

タスクは常に具体的にしなければいけません。

  • 何を=教材や問題集など。目の前に出せる名称にしましょう。
  • どのくらい=ひとつは、範囲。どこからどこまで。単元の名前もいいですが、ページ数をイメージして、数えておくと、あとで計算しやすいですね。
  • どのくらい=もうひとつは、反復する回数。1回はありえません。一度やってだめだったらやり直さないといけないからです。記憶の定着には「最低5回」ですね。授業や復習をちゃんとやっていれば、試験前には残り2回です。
  • いつまでに=「試験までに」は絶対にだめ。そもそも学習計画で毎日学習できるとは限らないし、さっと早く終わらせる科目と、ぎりぎりまで時間をかける科目があります。また、できなければやり直しますから、たとえば、3周する計画でも、達成しなければ4周しないといけないわけで、その意味でも「ゆとり」は必要です。

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さて、こんな感じで日々の学習計画が決まっていくわけです。では、次回は、日常生活の見直しと省力化、簡略化の話です。