学びの真似び(まねび) 「学び続ける人」になるために(教育と受験と勉強法)

学習の仕方に困ったことはありませんか?ここでは、「真似び=学び」という形で、さまざまな学習方法へのアドバイスをしていきます。学習の仕方に悩んだら、受験勉強で行き詰まったら、ぜひ訪れてみてください。効果的な学習方法を知って、学び続ける人を目指しましょう!

休校の学習計画をどう立てるか?長期化するときの学習計画を立てるポイント

全国に緊急事態宣言が拡大し、学校の休校や授業が行えない期間が長期化する形も現実化してきました。

ここで、日々の学習計画をどう立てるかを考えておきたいと思います。

緊急事態宣言が全国に拡大していく中、学校が普通に行えないことがどんどん現実味を帯びています。同時に塾や予備校もそう簡単には実施できない状況です。

したがって、平常通りといえるのは、ネット型の予備校ぐらいでしょうか。

それにしたところで、本来は一回目の学習として、学校の授業があったわけで、その下支えがなくなった中で、どのように学習計画を立てるのかというのが非常に難しいところです。

究極の言い方をすれば、中学生から高校生まで、全員がいきなり自宅で受験勉強をするような状況です。もちろんいわゆる「宅浪」がいけないわけではありませんし、参考書が充実し、ネットによる学習動画や学習指導も安価で手に入ることを考えれば、十分可能ではありますが、そこには生徒自身の学習計画力が必須です。

だからこそ、どのように学習計画を立てるべきなのかを考える必要があります。それでは、休耕期間中の学習計画の立て方を考えてみましょう。

 

今回のポイントは、「学校が始まっても、もう一度やってくれない」

今回の学習計画について、普段の学習計画と決定的に異なることがあります。

それは、「学校の授業がない」ということです。学校の授業がない時といえば、夏休みなどの長期休みですね。

みなさんが、5月以降、普段の生活に戻れると考えるなら、4月という1か月が短くなっただけの話で、この期間を早めに来た「夏休み」ととらえて学習計画を立てることもできるでしょう。現実問題として、夏休みに、この4月の分の授業をするかもしれない、つまり、夏休みはなくなるかもしれないわけですし。

しかし、今回はそうであるとは限りません。休校が長期にわたった場合、この休耕期間中の課題などで生徒が適切に、学習内容を定着させたとすれば、あらためて授業を行う必要はないことになりました。

もちろん、残りの学校生活でゆるやかに授業内容を融通させることもできるのですが、現実問題としては、学年が変われば担当も変わりますし、異動もありますから、今年のものは今年のうちに決着させるようになるでしょう。

特に入試が迫っている3年生については、来年はありません。

私が書いている学習計画も、そういう意味においてです。

だから、学校がなくなってしまって、自分で学校で教えてもらうはずの授業が行われないけれど、それを自分一人で定着させていくための学習計画が今、問われているのです。

もちろん、5月に学校が普通に始まるなら、私が書いていることは杞憂で、いらないことです。

しかし、5月に入って、緊急事態宣言が延長されたり、あるいは延長されなくても学校が通常の形で始まらないとするなら、そろそろ真剣に考える必要があります。

今、課題で出されていることは、後で授業してもらえない。自分一人で学習を進めないといけない。

学校や先生とすれば、そろそろその覚悟から、何をするべきか、どんな指示をするべきか、決める必要があります。端的に言えば、「学校が始まってからやり直せないから、そのつもりで勉強して、わからないことがあれば、どんな形でも質問してね」というようなことが必要になってくるはずです。

 

学習計画は、日々の時間コントロールではない。日々のスケジュールは「時間割通り」が基本。

さて、そのような観点で考えたとき、学習計画は、少なくともタイムスケジュールではありません。

私は、そもそもタイムスケジュール、スケジュール管理としての学習計画はあまり意味がないと思っているのですが、今回ばかりは、毎日が夏休みになる以上、タイムスケジュールは当然必要です。

しかし、それでも計画を立てる必要はない。

なぜなら、夏休みではなく、学校があるはずだからです。

学校の授業が、自習で進み、しかもそれをやり直せない。イメージで考えるなら、自分だけが長期入院している、でも勉強はできる…というようなことです。

じゃあ、どうするかと考えれば、これは時間割通りに進めることにつきます。

こういう意味での学習計画は一切必要ありません。

時間割通りです。

そうしないとある科目が決定的に遅れます。今までの長期休みやGW、あるいは学校があるときは、学校の授業がまったく進まないか、あるいは学校が最低限のものとして進めていくわけです。

でも、今回は、学校が最低限を提供しない上に、再開されたときにその部分がフォローされない可能性がある。

おそろしい事態なんですよ。

もちろん、まったくフォローがないかどうかはわかりませんし、繰り返しますが、短期であるなら、多少のフォローはあるでしょう。

しかし、たとえば私の場合で考えても、たかだか10日間ぐらい3月に授業がカットされただけで、現古ともに、やるはずの教材をやらずに終わってしまったわけです。1か月授業がなくなって、夏休みがなくなるならプラスマイナスゼロですが、夏休みがあったり、あるいは夏休み以上の休校となった場合、もはやどうすることもできない。

何かの単元がカットされたり、あるいは3時間かけるところを1時間でかけぬけたり…ということが必ず起こるんです。

となると、タイムスケジュールに関しては悩む必要がない。

「時間割通り」

それこそ、体育や家庭科までやるべきだと私は思います。その時間、体操をしたり、散歩をしたり、料理を作ったり、洗濯をしたり…。

これ以外ありません。問題はそうではなくて、違うところにあります。

 

考えるべきポイント1 1時間でどのぐらい進む必要があるのか?夏までにどのぐらい進むはずなのか?

今回の一番の問題は、1週間で何時間やるか、一日何時間やるかではなく、1時間でどれだけ進むかです。

ある意味では、やはり「タスク管理」。

つまり、本来学校はその時間で終わろうとしているわけです。それを意識しないといけない。

たとえば、夏休みの宿題の場合、やらなかったとしても怒られるだけで、不足するのはたいていは終わったことの振り返りです。9月になれば、7月の続きの授業が始まります。不利益は、7月までの授業を忘れていたり、ちゃんと定着していなかったりすることぐらい。

今回は、もし、学校から与えた課題が終わっていないとするなら、それは、その単元を「欠席」した状態で、学校が再開するという事態になります。

さて、先生はどのように課題や指示をしてくれているでしょうか?

  1. 毎日、時間割に合わせて何をやるか指示してくれている。→その日のうちにそれを終わらせる。それが進んでほしい部分。
  2. 1週間に一度ぐら、課題がまとめて出たり、授業動画が上がったりする。→それが1週間に進む範囲。それを確実に1週間のうちに終わらせる。授業時間でその範囲を割って、1時間でその範囲を必ず終わらせる。
  3. 課題がどんどん出てきて、期限は特に与えられていない。→先生に、「いつまでにどの程度終わらせる必要があるか」確認する。
  4. まったく指示がない。→当面、既習範囲の確認をしておく。今後、学校が再開されたときにその科目だけ一気に進む可能性があるが、そのときに他の科目をやらないわけにはいかない。したがって、指示のない科目も一気に進んだときに、いつもの学習時間でもついていけるように、既習範囲の復習をしっかりし、できれば、予習の形で入るであろう学習を自分で進める。

というようなことになります。もちろん、こうなったときに重要なのは「課題」をどのようにこなすか、どのように定着させるかです。もはや、「課題の提出」が目標ではなく、どのように「課題を通じて学習を定着させる」かです。

先生方の中には、まだ、学校から明確な指示が出ていないがために、「5月6日までの休校」のつもりで動いている方もいらっしゃるはずです。その学校に今年から赴任される先生方の中には、「休み」と指示され、そういうつもりでいる方もいるかもしれません。

まだ、学校に覚悟がない。覚悟があれば、私は書いてきていますが、「オンライン授業」「時間割通り」しかありえないんです。

でも、それも仕方のないことです。5月6日までの休校なんですから。

もし、これを先生方が読んでいて、私と同じように簡単に再開はないな…と思うなら、ぜひ、オンライン授業じゃないにしても、再開後、なんらかのカットが行われる前提で、それこそ、ただ課題を出すだけでなく、学習の仕方のガイダンスからしっかりと指示してあげて、できるだけ、さきほどの1に近づくような指示を出してあげてほしいなあと思います。

生徒の皆さんは、とにかく、指示された課題を指示された期間で終わらせるためにも、

「1時間あたり、どれだけ範囲を進めるのか」

ということを明確にするようにしましょう。

授業と予習・復習の時間、試験勉強の時間は別

もちろん、授業と同様に重要なのは、

「授業を受けるための準備の時間」

「受けた授業を定着させる時間」

は別であるということです。

学校の先生によっては、そこの違いを意識せず、膨大な課題を出すというケースもあるかもしれませんが、そういう場合は当然、週当たりの授業時間で課題が終わらないはずですから、それはある意味でわかるでしょう。こういうケースの場合、むしろ気をつけてほしいのは、課題が出ていない、あるいは少ない科目を軽視することです。出ていなくても、授業時間分は学習を進めていかないと再開後苦しくなりますね。

さて、戻ります。

たとえば、英語や古典の授業の場合、(私はあまり必要だと思いませんが)予習として、「本文を写す」とか「わからない語句を調べる」なんていうことが課されるケースもあると思います。それを本来の授業時間でやって、終わって満足しているのでは、授業を受けていないのと一緒です。

だから、そういった予習は授業時間のほかでやらないといけない。

また、一番の問題は試験勉強だと思います。

今後どうなるかはわかりませんが、多くの学校は一学期や前期の中間試験をカットするのではないでしょうか。

そうなったときに、(これも私は本来そうあるべきだとは思いませんが)試験勉強を通じて復習をする、という機会が失われるわけです。

1週間から2週間、部活が休みになったりしながら、集中して学習する期間もあなたからなくなります。

だとすれば、そういう授業時間以外の復習の期間も作る必要がある。

これは意外と簡単にできて、本来あるべき中間試験の期間に、自分で試験を設定すればいいわけです。その試験問題は、問題集を買ってきてやればいいだけ。

いずれにしても、授業時間の設定とともに、本来やるべき予習、復習時間もよく考えて設定しましょう。

 

考えるべきポイント2 自分が学習を定着させるためには、どう学習をすべきなのか?

さて、意識されすれば、「1時間あたりの学習量」とかは決まってきます。

しかし、今回本当に難しいのは、「定着させること」。

夏休みの課題であれば「提出するかしないか」です。こうやって考えてくると、「とにかく提出すればいいんだから…」という課題の取り組み方に、意味がないことがわかってきますが、とにかく今までは「出せばよかった」。

でも、今回は明確に、「自習」で「定着」させないといけない。

さあ、どうしましょう?

しかも、いつもは、学校の授業がある中で、それ以外の形で学習を進めていくわけですから、今回は先生方がどのような形で課題や指示を出しているかを見極めて、不足しているものを足していく必要があります。

それでは、少し考えてみましょう。

解説がほしい。授業の解説動画やテキストを読む

従来型授業であるとするなら、まず授業は「解説」であったはずです。このあたり、すでに反転授業が行われているとするなら、休校になってもシステムは確立されているわけですが、従来型授業であるとするなら、「解説」としての授業が欠落しているわけです。

これの代わりとなるのは、

  • 教科書や参考書を読んで自分で理解する。
  • スタディサプリやYoutube動画などを探して解説をまず見る。
  • 先生が作ってくれた動画をしっかり見る。

というようなことでしょう。

たとえば、先生が課題のプリントを作って提出を求めたり、問題集を解いて提出するように指示したりしているとすれば、完全にここが欠落します。

幸い、現在は様々なサービスやそもそも無料のYoutubeなどいろいろなものがあります。特に英語などはYoutubeはかなり使い勝手がいいと思いますから、この部分を補いましょう。

実際にやってみる。問題演習やノートでのまとめ。

続いて、必要なのは、自分で手を動かすということ。だって、頭に入れなければいけないですから。

まず第一に、定着したのなら、問題集を解くということ。実際に問題を解いてできるかどうか確かめないといけないし、場合によっては何度も解いて体にしみこませるということも必要でしょう。

これは、今回の休校期間で、一番多く出ている部分ではないでしょうか。

課題が出る。提出せよ。

だから、これはしっかりやるだけの話。形だけやるのではなく、ちゃんとやるとしか言いようがありません。

もうひとつ忘れがちなのは、ノートを作るということ。

授業を受けたら、つまり、今回の休校期間の場合は、「動画を見たら」ということだと思うんですが、「ノートを作る」ことが大事。

ただ「見た」「やった」というだけでなく、自分なりにノートをとってまとめ、その作業を通じて、頭の中にいれなければいけません。

ノートづくりについては、

www.manebi.tokyo

にまとめているので見てください。

授業を受けたら、ノートは必要。忘れがちな観点ですし、「ノートを作る」という行動目標がひとつできるだけで、動画を見る、解説を読む、集中力が変わりますので、意識するといいと思います。

グループワークはいるのか?討論や教え方の指導

学校にもアクティブラーニングの波が押し寄せて、討論や教えあい、そんなことが学力を育てるというようなこともあるかもしれません。

こんなことだって、実は簡単なことです。つまり、君たち自身がオンラインでつながればいい。

先生がオンラインで授業をしてくれなくても、君たちはスマホ世代ですから、オンラインでつなぐことは可能です。

LINEならおともだちの中で、10名までは同時につなげる。別にチャットでもいいし。Skype使う手もあります。同じ時間割で動くっていう強い動機にもなるし、みんなで授業時間の中の配分をすることもできるでしょう。

教えあいは学力の定着にはものすごくおすすめです。

時間を決めないとだらだらとする可能性はありますが、「時間割通り」という骨格さえ決めればかなり機能すると思います。

定着したかどうかの確認とわからない問題の解決~質問をできる体制

さて、最後に欠落しそうなのが、「確認」と「質問」です。

まず、「確認」というのは試験のこと。

この代わりになるのは、本来、提出型の課題です。理数系はほぼ提出型の課題そのものが問題を解くことになるでしょう。

だから本来は、

  1. 解説動画や解説参考書を読む。
  2. ノートに例題などを解いて定着させる。
  3. 課題を解いて、できたかどうか確認する。

という流れがのぞましいわけです。こうなれば、提出するときに質問することも可能。

しかし、

  1. まず、課題を解く。
  2. 終了

という流れだと、この課題を解くことで定着したかどうかもわからない。解説見ながら写したのか、よくわからないけどとにかく出したのか、ちゃんとできたのかわからない。

だからどうしても後者の流れでやるなら、別途テストを設定すればいいわけです。

  1. まず課題を解く。
  2. 試験を自分で設定する。
  3. 試験に向けて勉強開始。解説読んで、問題解いて…
  4. 試験をする。
  5. できなかったところを確認、質問…

こんな感じ。本当は、課題の前に、学習という最初の流れがいいんですけど、提出しなくちゃいけなくて、余裕がないなら、この流れですね。

質問は、

  1. 友達にする
  2. 先生にする

です。

これはどちらでもちゃんとやってくれると思いますよ。

 

学校から課せられる課題にどうやって取り組むかを考えてみよう!

さて、こうやって考えてきて、どのように課題に取り組むか、少しずつ見えてきたことでしょう。

もちろん、学校に対して、「こうやってくれればいいのに…」という思いもでてきたかもしれません。

しかし、学校もはじめての事態ですし、どうしていいかとまどっている段階。

大学なんかはね、多少なりともオンライン授業の実践があるわけで、あっという間に上から「前期の間はオンライン授業!」って指示を出して終わりです。

でも、中学高校あたりは、たぶんどうしていかわからず、たたずんでいるわけです。

志のある先生がいても、

「オンラインは環境のない生徒がいる以上、やるな」

とか

「Zoomとか危ないらしいからオンラインはやるな」

とかなってくるだろうし、

かといって、現状「5月6日まで休校」なんだから「その先は未定」。「まだお上から指示はないし…」というようなことでしょう。大学が動けるのは、そこから独立しているからで、公立は県や市、教育委員会の決定を待っているだろうし、私立はそれに合わせようと考えることでしょう。

でも、さすがに5月も授業ができなくなったら、考え出すことでしょう。

地域の差はあるはず。

そして、歩いて通える公立小中と電車通学が必須になる、たとえば首都圏高校ではまったく今後の状況も違うことでしょう。

しかし、とにかくこの前代未聞の状況だからこそ、アイディアを出し合いながら、そして、周りの環境に合わせて、しかし流されないで、学習を進めていくことが重要です。