高校2年生、3年生の中で私立文系にしぼった人が、逆転合格に向けてどう学習計画を立てるかを考えます。もちろん、計画が違ってきますが、国立文系の人も読んでください。英国社については使えますので。
あなたがいつ受験勉強をスタートさせるかわかりませんが、どこかで本気になったとき、「逆転合格」に向けて動き出さなければいけません。
しかし、どうやって学習を進めていけばよいのか、とまどってしまうこともあるでしょう。
とかく、全体像が見えない中、しかも残り時間が限られてくると、ついつい、「一般論」とでもいうべき当たり前の話をとりあえず頭に入れて「まずは文法」とか、時間がないから「英語だけまずやる」とか、そういうような展開になりがちです。だからこそ、逆転ができない。「一般論」でやっても、普通に不合格ラインのまま行ってしまいます。
というわけで、今日は私立文系がどうやって逆転合格を果たすかを考えていきましょう。
- 目指すべきレベルは?英語、歴史、古典はしっかり完成させ、早慶なら現代文や小論文まで仕上げる。
- この3科目をどう仕上げていくか?英語は最優先だけれど、歴史や古典も並行してやるしかない!毎日、「全科目」の意識で!
- 学習をすすめていく注意点~時間をどう短縮していくか?音読と8×8シートのススメ
- 英語~ポイントは「まず英単語」「英文法は重要例文をしぼり、見ないで言える」「読解は毎日」「リスニングと音読がとにかく後から効いてくる」
- 歴史~まずフレームを作る!7周するイメージで!
- 国語~古典は、問題演習から文法、単語へ。現代文はとにかく読む。わかるようにする。
目指すべきレベルは?英語、歴史、古典はしっかり完成させ、早慶なら現代文や小論文まで仕上げる。
さて、まずは合格を目指すレベルです。
ここではMARCH早慶のレベルでまずは話を進めます。
すごくシンプルに書くと、課された科目について、苦手をつくらずに、ほぼ完ぺきに仕上げることが重要です。レベルで言えば、当たり前の、基本事項だけでなく、欄外に書いてあるような例外的な事項までしっかり頭に入れてください。
これを課されている全科目やる。
たとえば、漢文がまったくでないならやらなくていいですが、独立題ではなく数問出るとしたら、そこをやらないことが命取りになりかねません。
漢字や文学史などもそう。
みなさんが思っている以上に、私大文系の合格争いは接戦です。学部学科の人数にもよりますが、合格者が400名規模だとすると、合格ラインから40点ぐらいの間に、ほぼ半分の人数がいると思ってください。その規模だと4000名規模で2000人くらい。1点あたり50人から100人います。
惜しい人がたくさんいる。そういう状況の中、特に私立文系は、時間さえあればつめきれるものが多い。だから、最後まで詰めた人が勝ちます。
だから、まず捨ててはいけないし、しかも、かなり細かいところの勝負になる。もちろん、学習は基礎からつめていかないと混乱しますが、最終的には隅から隅まで、少なくとも目は通したぐらいにいかないとまずい。
私の経験では、文系は全勝が難しいんです。特に難関をいくつも受けた場合は。対策を最後にしなかったぐらいのことで、滑り止め落ちて、第一志望に受かるみたいなことも起こるんです。「受かる実力はあるのに、滑り止めの対策をしない」という話なので、決して、「滑り止めが落ちる実力なんだけど奇跡で第一志望に受かる」ということではないですよ。
そんなイメージをもってください。
- 早慶に行きたいなら、現代文・小論文含めて全部やる
- MARCHに行きたいなら、少なくとも英語・歴史・古文までは完成する
- 日東駒専も、基本的なところだけは穴なくやりきる
というあたりまでいかないと、合格はしません。
もちろん、それぞれの大学のレベルに高い壁があります。日東駒専レベルが見えるところに来たら、MARCHが見えるわけではありません。しっかりと差があります。
そのうえで書くと、早慶が見えない人にMARCHの合格は難しい。つまり、現実問題、MARCHの合格を獲得する人は、早慶を狙ってダメな人、あるいは受かる人が中心であるということです。当然、第一志望でMARCHに届く人もいますが、その人だって、早慶を受ける人と競争しているわけです。
MARCHが見えてきたら早慶が見えるほど甘くはないですが、「MARCHが見えた」がそのまま合格になるような争いではありません。
日東駒専も同じ。安全志向が続いている現状では、よりこのあたりの入試が厳しいようです。MARCHを真剣に狙っている人と競争して合格をとるのが、日東駒専。
そして、日東駒専でも、当たり前ですが、基本レベルかもしれませんが、それを全科目しっかり仕上げないと厳しい。
ここは私立文系の厳しいところだと思います。あなたが国公立志望だとしても、私立を併願する以上、この部分については同じ感覚が必要です。要は主要三科目は数学が入らない限り同じで、共通テストの数学、理科基礎、社会の2科目目をなんとか時短で仕上げるだけですから。まずは、主要3科目をしっかりやらないといけません。
この3科目をどう仕上げていくか?英語は最優先だけれど、歴史や古典も並行してやるしかない!毎日、「全科目」の意識で!
というわけで、全科目やるしかありません。では、どのように学習時間を配分すればいいでしょうか?
基本的なことですが、全科目仕上げる以上、全科目やるしかないのは当たり前ですね。
ただ私立文系では英語の配点が高く、英語が重要性であることも間違いありません。
また、全くやっていない、というようなケースを除き、国語や歴史はある程度やれば、皆同じような点数まで上がります。やりさえすれば差がつかない。現代文なんて、一部を除き大きな差がつかない。
ところが、英語は、「やっているのにできない」とか「英語がスラスラ話せる」ところまで当然差がつきます。しかも配点が大きい。
だから、この二つを両方考慮に入れていくと、
- 三科目全部しっかりやる
- でも英語は重視する
ということになります。ということは、
- 毎日、三科目必ずやる
- しかし、1日の配分では英語を重視する。
考えてみれば当たり前のような気がします。
当然です。
国立大学だって、5教科7科目やるにしても、全科目を1/7ずつやるわけではありません。
- 科目の配点、重要性
- その科目を仕上げるのに必要な時間
- 自分の得意、不得意
このあたりを絡めて、割合を考えるわけですね。
だから、あなたが私立文系なら、毎日全科目、そして、その中でうまく配分を変えて取り組む必要があるわけです。
学習をすすめていく注意点~時間をどう短縮していくか?音読と8×8シートのススメ
今回は、「逆転」ということで書いています。あなたがいつ、この記事を目にしているかわかりませんが、逆転のためには、「ある期間の中で目標とする成果をあげる」ことが求められます。
それしかないんですね。
だから、ベストではなくても、時間短縮を考える必要があります。これはあくまでも、一方で効率をしっかり考えるものであり、もう一方では緊急避難的なものです。
最大限の効果を出す、とか、理想を言えばこうだよね、とかではないです。
一方で、こうやれば大丈夫だよ、とか、これ以上の手間をかける必要がないよ、とかでもありません。
これは、時間をせめぎ合う中で、どのようにして、学習をすすめていくかということです。仕方なく、やむなくこうするのと同時に、そういう中で無駄を減らすということでもありますが。
さて、どんなことが考えられるでしょうか。
書くよりは読む、声に出す方が、何倍も速い
まず、記憶の定着のためには「思い出す」ことが必要です。これは省略できません。つまり、読むだけ、見るだけで、確認を省略することはできないということです。
確認する以上、「書く」ということが必要になります。
しかし、自分が受ける大学に、それに近い記述問題が出ないなら、ここは省略が可能です。仮に、あったとしても(今回の改革で意外と私立でも書かせるところが出て来ています)、毎回毎回、書く必要があるかという部分もあります。
アウトプットは必要ですが、「書く」よりは「声に出す」「話す」方が速い。つまり、ある程度自信があるなら、そこで書かずに、その内容を「言う」ということで時間短縮を測れます。
こればかりは、自分でしっかりやってくれないとダメな話。
覚えたことをちゃんと言えたか、言えてないかはふつうわかりますよね?
どうしても証拠を残してチェックするなら、キーワード記述
それでも、その確認ができないとするなら、キーワードチェックの方法もあります。
たとえば、以下のような紙に書き出す方法です。
要約もそうですが、大事なキーワードとか、内容とかをシンプルに書けばOKです。確かに文にする練習が欠けますが、時間は短縮できます。
キーワードが、8より多いと思うなら、
マンダラートシートを使う手もありますが、私はせいぜいキーワードが8つぐらいの範囲で、確認していく方をおすすめします。
人間の記憶は7つが限界と言われているからです。
三分間作文の手法も重要
さて、それでも、どうしても大学の入試問題の関係で、文を書くということが重要だとしましょう。そういう場合には、3分間作文の手法をおすすめします。
いわゆるタイムプレッシャーを応用した手法です。
特に、歴史などでは、学習した直後に、今、覚えたことをこの程度の時間で吐き出すというのは重要だと思います。
もちろん、この時間を調節しながら、「話す」「キーワードを書きぬく」「作文する」ということを適宜組み合わせることをおすすめします。
慶應の小論文のようなもの以外は、かなりこれで短縮できるはずです。
英語~ポイントは「まず英単語」「英文法は重要例文をしぼり、見ないで言える」「読解は毎日」「リスニングと音読がとにかく後から効いてくる」
それでは、ここからは科目別に考えていきましょう。
まずは英語からです。一応、以下にまとめています。
英単語ができれば、状況は変わってくる。
英語の中でもっとも最初に手をつけるべきは、単語です。単語がすべてわかったなら、多少文法がわからなくても文が読めるようになります。
だから最優先で英単語をやりましょう。大体5分で7語、一時間で80語、これを5週間で400語です。1日2時間にすれば1ヶ月で800語行けます。
大学入試単語集は2000語ぐらいですが1000語ぐらいがほぼほぼ頭に入れば、かなり読めるようになるはずです。
したがって大至急これからこなしましょう。
理想的には、意味をイメージして、リスニング、発音です。
最悪スペルは後回し。
できればこの段階でも例文とかを聞いて発音したいですね。
初期段階は、
- × 英単語を見て、意味を思い浮かべる
- ○ 意味を思い浮かべながら、聞いて何度も発音する
- ○ できれば、それをフレーズや例文で。
という感じです。
英文法は、白紙からすべてが言えるかどうか。
英文法をやっていく時に重要なのは、次のこと。
- 初期は、基本例文だけにする。つまり重要な例文を抜き出して200強ぐらいにとどめる。
- その例文をイメージして、聞いて、発音する。
- まったくの白紙の状態から、目次を含めて、抜き出した200程度の例文をすべて言えるようにする。
- 言えるようになったら、単語を変えて、同じ構文を使った違う例文を作れるようにする=3分間作文の手法で、とにかく口頭で発音することがポイント。3分やらなくてもいい。
これができるようになってから、その他の細かい例文を同じように入れていくといいです。
逆に言うと、できない人は、文法をやっているといいながら、次のようになっていることが多いです。
- ただ文法のテキストを開いてながめている。
- 出てくる例文の目次や見出しを意識せず、ただ連続して取り組んでいる。
- 空所をうめる、選択肢を選ぶなど、正解とか答えとかだけを意識して、例文全体を読んでいない。
できるならいいんですが、なかなか手応えがないとすると、こうした部分を変えていかないと、成果は出ないと思います。
英語は、「聞く」そして「発音する」です。できれば、本格的な早いスピードで聞きたい。読むのはいいですが、正しいスピード、正しい読み方を知らずにカタカナ読みをしていても、リスニングにはつながりません。
そして、大事なことは、手に入れた構文を、単語を変えて、次から次へと使っておくことです。
3分間作文の手法はとてもそのときに生きると思います。
読解は毎日。リスニングと音読を入れて時間も短縮。
もうひとつ、英語が伸びない人がやりがちなことは、読解を完全に後回しにすることです。
秋ぐらいからこんなことをやったらうまくいくわけがありません。
初期段階に、単語や文法を優先するというのはある程度しかないのですが、その時でさえ、毎日入れるべきです。
できないうちは以下のようにして、時間短縮。
- まず、先に日本語を読んで、おおよその意味を理解する。
- とにかくリスニング。英語は見てもいい。
- そして、それを真似して発音。
- 何度か繰り返す。
こんな感じ。本当の初期は、これ自体もブロックで切って、さらに短い中で、これをやっていき、少しずつ長くします。
単語や文法を中心にやっている時期でもこうしたものをやっていきます。徐々に、本格的な読解、つまり、初見でリスニングがない状態で、どうやって読んでいくかを考えます。
この段階でも、できるだけ「全訳」をしない。
あるいは、読んで戻るような、読み方をしない。印の付け方ですね。
とにかく、英語の塊ごとに、順に読んでいくように意識しましょう。これが最終的な読解のスピードに結びついていきます。
歴史~まずフレームを作る!7周するイメージで!
今の英語もそうですが、学習の大きなポイントは、
- 勉強は「地層」のように、展開する。
- 勉強は「7周」する計画を立てる。
です。
というような中で歴史に行きましょう。
初期段階でフレーム作りを!映画を観るようなイメージで最初は本を読む。
逆転合格に向けて重要なのは、とにかくまずフレームを作ること。
イメージを得やすい、という意味では、マンガや映画もオススメ。歴史の先生がすすめる映画は観ることが勉強になりますから、映画好きは、映画から攻めるべき。
マンガとかアニメとか映画が勉強ですよ。
とにかく、イメージできればあとは細かいことを覚えるだけですから。
次の段階は、教科書を、小説を読むように全部読むこと。
こうなると、このあたりがオススメ。
これをある程度、理解しながら本を読むように読む。このあたりをざっと3回、4回読んで、その中で書いてあることを頭に入れていきます。
これを最初の1ヶ月ぐらいでできてしまったら、後はだいぶ楽になります。あなたが春休みにこれを読んでいるなら、高3になる前に、4月に読んでいるならGWまでに、クラブ引退の時に読んでいるなら、夏休みに入る前に、夏休みに入っているなら、最初の3日でなんとかしましょう。秋になったら…うん、根性で、一日で何回も読みましょう。
これが出来たら、今度は教科書や参考書に移っていきます。
学習したら、キーワードを書きぬいて時間短縮。
もうひとつのポイントは、読んだら、項目ごと見出しごとに、アウトプットすること。
理想的にはマインドマップがいいので、頭に入りにくいところや、込み入ったところはマインドマップの手法を使いましょう。
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ただ時間がかかりますから、時間が足りなくなってきたら、さっきの英語と同じで、
- 3分間作文の手法で、文として書き出す。
- その時間もないなら、8×8シートなどでキーワードを書き抜く。
- その時間もないなら、口頭で説明する。
というような形でまとめていきましょう。
これと並行して、一問一答や、問題演習も入れましょうね。
国語~古典は、問題演習から文法、単語へ。現代文はとにかく読む。わかるようにする。
さて、最後に国語です。国語に関しては、「国語の真似び」の方に詳しくまとめてきましたので、どうぞ。
さて、まずは古文漢文です。
古典は、単語や文法が重要だが、「まず問題演習から」
古文漢文は単語・文法、漢字・句法ができなければ点が入りません。しかし、所詮日本語ですから、英語ほど「最初に単語を入れないと手も足も出ない」ということがありません。
それから私の経験で言うと、出来ない人は、
- 出来ないから、単語と文法をやる。
- 模試を受けてみても成果が出ない。
- だから、まだ単語と文法をやる。
- まだ成果が出ない…
といつまでも、読解に入らないことが多い。
まず、「問題演習」と「単語・文法」は行き来しなければいけません。その上であえて書きたいのは、出発点は「問題演習」。
- そもそも問題演習をすることで、読解練習ができます。
- 問題演習をすることで、単語や文法を覚えるポイントやレベルを理解できます。
この二つが重要です。
つまり、
- 英語と同様、毎日古文を読みたい。
- 問題をやってできなかったら、意味を理解して音読する。
- 問題を解いて、できなかったら、必要な単語、必要な文法の、説明があるもとにあたって復習する。
というように、問題演習を出発点にして、復習する、という流れで考えるとできるようになると思います。
現代文は、「とにかく毎日読む」が初期段階
現代文は、成果があがりにくいと思っている人が多いですが、そんなことはありません。
成果があがりにくいのは、次の思考が全て。
- 扱っている文章は難しいからわからない。
- みんな難しくてわからないに違いないし、勉強してもわかるようにはならない。
- だから、わからなくても答えを選ぶテクニックがほしい。
- つまり、答えの選び方の方法を勉強したい。
もちろん、テクニックは必要ですが、「わかる」ことを放棄したら、どうにもなりません。確かに、多くの受験生は「難しい」と思っていることは間違いありませんが、受かる受験生は、ある程度「わかる」、あるいは「難しい」といっても、「こんな感じかな」というのが当たっている。つまり、みんな「難しい」と言っていても、そこには差があって、「まったくわからない」「わかる気がない」人と「なんとかわかろうとする」「ある程度わかる」人がいるわけで、後者にならないと現代文は安定してきません。
はっきり言うと、早稲田と慶応の小論文に対応するなら、「全くわからない」なら、もうその時点でゲームオーバです。
なので、現代文は「一日一題」が効きます。特に受験勉強の初期ほど、英語や歴史同様、まずは「わかる」こと、量を読むこと。
その時に意識するのは、答えが合っているか以上に、文章が読めたか。
要約するなら、写すのでなく、何も見ずにまとめる。
ここまで書いてきたように、マインドマップや3分間作文の手法です。
で、わからないなら、塾でも学校でも友達でもいいので、わかる人に聞きにいく。
これが大事。
最悪、現代文を後回しにするにしても、問題文を読むだけなら毎日できます。これを繰り返していけば秋にはなんとかなるはずです。
もし、あなたが秋にこれを読んでいるなら、とにかく「先生」を使うこと。わからないときは、内容を先生に説明してもらってわかること。
これができないとテクニックが生きてこないんです。
というわけで、詳細は「国語の真似び」で。
以上が、3科目に絞れる、私立文系の話です。国立の人は、数学が入ってくるので、時間をそちらに回す必要が出てくるでしょうから、さらに時間をうまく使うことが求められます。そうしたテクニックも書いたつもりです。
ただ、私立文系は、3科目。楽だからこそ、競争相手がたくさんいるレッドオーシャンです。がんばれば早稲田まで届くし、何かが欠けると中堅まで落ちます。
ぜひ、しっかりと学習しましょう。