共通テストがやってくると、高校2年生はいやがおうでも受験を意識するようになりますね。
今日は、共通テストを翌年に控えることになった高校2年生にやることを整理しておきます。
共通テストがやってきて、先輩達が受験に向かうと急に高校2年生も受験を意識します。学校や塾でも、共通テストを受けさせられたり、「高3の0学期集会」なんてものが始まったりします。
急にどうすればいいか知りたくなって、このサイトにたどりついた人もいるでしょう。というわけで、高校2年生向けには、だいぶ書いてきたんですが、今までは「センター試験」という言葉でしたし、入試改革が進んだこともありますから、少しずつ書き直す必要があります。まあ、基本的には何も変わらないんですけどね。
というわけで、共通テストまであと1年!です。
今までのはこちら。
大学受験の仕組みを知ろう!~総合型選抜と国公立の入試の仕組み
まずは、大学受験の仕組みを簡単に知っておきましょう。
詳しくはこちらでどうぞ。
大きくわけると、国公立と私立大学、一般選抜、総合型選抜、学校推薦型選抜という入試方式、一般選抜の中の細かい入試方式…というあたりで整理できます。
一般選抜・総合型選抜・学校推薦型選抜
今年から、名称が一般選抜、総合型選抜、学校推薦型選抜という3つの名称で整理されました。とはいうものの、その中で細かい方式が分かれていますので、厳密に整理されたとはいえない状況ではあります。
この三方式とも「知識・技能」「思考力」「主体性」という学力の3要素を問わなければいけない、ということになっています。指定校推薦でも学力が問われ、一般選抜でも主体性が問われる…ということではありますが、実際には指定校推薦の学力は面接や作文、あるいは英検などの資格で聞いていることになり、一般選抜の主体性は出願時に主体性に関わる活動報告のようなものを提出するだけで「判定には利用しない」という大学がほとんどで、こちらもあまり現時点では変更がありません。
では、ざっくりと説明します。
学校推薦型選抜は、指定校推薦や公募推薦という、学校から推薦をもらって受験資格を持つパターンです。指定校推薦の場合は、ほぼ合格確約ですが、公募推薦の場合は、学力検査や小論文などが課され、必ず受かるわけではありません。国公立では共通テストで一定点数をとってはじめて合格というのがトレンドになりつつあります。
総合型選抜は、従来のAOです。学校からの推薦がいらない、というあたりが、学校推薦との違いです。一定の活動実績や英検など英語外部検定の資格などを条件とするケースもあります。学力検査、小論文、面接など、大学ごとに何を聞いてくるのかは大きく異なります。受験資格があったとしても、必ず合格するわけではありません。
そして、一般選抜。いわゆる一般入試です。
一般選抜は、共通テスト利用・全学部・外部検定利用・個別などなど
その一般入試は大きくわけると、4パターンぐらいにわかれます。これは私立大学を中心にまとめたものです。国公立は次の項目を見てください。この入試方式はすべての大学に共通するものでもなく、また、同じ大学でも学部ごとに異なっていますので、志望大学、受験大学をしっかり調べていく必要が生じます。
まず、共通テスト利用。これは共通テストを利用する入試の総称です。「共通テストだけで判定するもの」「共通テストと独自で課す科目とを合わせて判定するもの」にわかれます。さらに、分類上は共通テスト利用ではないんですが、個別入試で共通テストを必須にした大学が出ています。早稲田政経・国際教養など、青山、上智、それから立教の英語も外部検定も可とはいえ、共通テストがベースになります。
全学部入試は、各大学ごとに行う共通テストのようなもの。いろんな学部の入試を一日で行うんですね。これによって受験機会を増やしています。いくつもの学部を併願できるようにしたり、併願できなかったり、大学ごとに違います。
英語4技能外部検定入試は、全学部の日程で行うパターンと個別入試で行うパターンがあります。流行は前者です。たとえば上智のTEAP利用入試のようなものですね。後者は早稲田の文学部・文化構想学部のパターンです。東京理科大のように外部検定と共通テストの英語の選択というところもあります。
個別入試は、普通の入試。学部ごとの入試です。これも、たとえば立教は自由に日程を選べるような、全部が全学部入試のような形ですし、國學院なんかになると日程ごとに配点が違って、普通の型から得意を重視する型まで差別化されています。
で、これが大学ごとに違うわけです。
慶應は、個別のみ。共通テスト利用も全学部もありません。
早稲田は、全学部なし。あとはとにかく学部ごとに違っていて、共通テスト利用にしても、科目数から、個別試験があるかどうかとか、外部検定があるか、あるとすればそのパターンなど、全部、学部ごとにまったくといっていいぐらい違います。そもそも個別入試も共通テスト入れたのは政経とか国際教養とかだけですし、商学部は社会、数学、外部検定と定員をわけて、併願不可にしましたし。
上智は、TEAP利用と個別入試。個別入試に共通テストを入れた上で、21年度入試から共通テストのみの型、共通テスト利用入試を新設しました。
立教は、21年度からずっと全学部統一入試のような、日程選択型。共通テスト利用に加えて、このパターン。このパターンでは英語が外部検定か共通テストで、英語の独自試験はありません。
明治、法政、中央などは今のところ、共通テスト利用、全学部、個別という3方式の入試を維持していますが、学部ごとにある程度違います。
国公立は、前期・中期・後期、共通テストに2次試験
国公立は、基本的に一校しか合格をもらえません。
共通テストの受験が基本。科目数や配点は大学ごとに異なりますが、基本的には、5教科7(8)科目の受験が必要です。これに大学ごとの二次試験のスコアが足されて合否が決まります。
文系は、英国数➀数②社会2理科1
理系は、英国数➀数②理科基礎なし2社会1
が基本です。
ここに2次試験が課されるわけです。
共通テストを9月ぐらいに申し込み、1月中旬に受験、終わったら前期後期とも2月上旬には出願し、2月末に前期試験、前期発表、3月10日過ぎに後期試験、後期発表という流れです。
2回のチャンスがあるように見えますが、合格を原則として2回もらうことはできません。(例外はあります)つまり、後期を受験するためには「前期不合格」または「前期合格したけれど手続きをしない=合格を捨てる」ということが必要です。
そして、そうではあるんですが、出願は共通テストが終わった直後にすべてをやることになります。
目標大学の入試問題を解こう!~共通テストをやってみる
さて、入試の仕組みがわかったら、目標とする大学の入試問題、そしておそらく受けることになるはずの「共通テスト」を全科目解いておくことが重要です。
戦いを始めるためには、敵を知らなければいけません。
だから、最新のものでなくてもいいので、現在と同じ形式になった入試問題を解いてみましょう。パラパラ見るだけでなく、時間などもはかってちゃんとやるといいですよ。数学とか理科とか社会とかが終わっていなかったとしても、それでもやった方がいい。トータルとしてどれだけビハインドがあるか、どれだけ高い山か、意識した方がいいです。
それも決まっていないというなら、まずは共通テストですね。私大でも共通テスト利用入試などをふくめて、ほぼほぼ使うことになりますから、やってみることが大事です。
基本的に、英語と国語については、よほど満点近くをとりきれない限り、1年間で平均10%程度上がります。もちろん、個人差はありますが、これまでやっていない人があがって、やっていた人が上がらないわけではありません。
「個人差」の部分は、ようはあと1年間で、どれくらいやるか、何をやるか、どうやるか、という「差」です。だから、当然10%以上あげることも可能ですが、その意味でも現在地を確かめて、覚悟を確認するといいでしょう。
数学は数Ⅲが中心になる理系は、あがりにくく、下手をするとそのままの得点です。当たり前の話で、数ⅠAⅡBをやらなければ、成績はそのままになります。
理科や社会はこれから追い込みをかけて範囲を終わらせるわけですが、そういう科目があるからこそ、国語や英語は劇的にあがらないともいえます。
まずは現在地と登るべき山の高さを確認しましょう。
自分の行きたい大学にどんな入試方式があるか調べよう!
ここまでの話をまとめて、重要なのが、情報を得ることです。
まず、自分が行きたい大学を決める。別に第一志望なんか決めなくてもかまいません。候補となる大学がいくつかあるなら、そのいくつかについて全部調べればいいのです。そうすることで逆に自分が合う大学見つかる可能性があります。
結構大事なことなんですが、この1年間時間がありません。
大体、1年間の流れを考えてみると、がんばって今までの範囲をやり直していきますよね?その間に、過去問題に取り組まない人がほとんどです。ずっーと第一志望に向けて、基礎を頑張る。で、秋ぐらいから赤本に取り組んでいく…。
そうなると、はっきりいって、併願校の準備をする時間さえなくなってくる。
これでは、併願校も合格がとれない可能性もあるわけです。
だからこそ、最初の段階から併願校も意識したい。決める必要はまったくない。広く見て「あるかな」とか「いいかも」ぐらいは全部調べるんです。
その中で、自分にあった受験型が見えてくる。「英検2級の上位合格ぐらいでここもここもうけられるぞ」とか、「総合型選抜でこの辺受けられるんじゃないかな」とかです。
大学ごとに、学部ごとに全然違う以上、もはや学校の先生や塾の先生でも把握しきれていません。また、友達と君は違う以上、把握していても全体に提案することはできません。
自分自身がしっかり調べて決めていきましょう。
受験勉強をはじめよう!
さて、そうなれば、あとは受験勉強をはじめるだけです。
まだ、高校生活の最大の山場が残っているはず。たとえば、クラブの大会。たとえば文化祭。たとえば体育祭。
別に、それをやめる必要もないし、家庭学習の時間を死ぬほど増やす必要もありません。塾に入ればいいわけでもない。
大事なのは「意識」です。
このサイトが最初から提案していることですが、
「授業を受験勉強にする」「授業で覚える」ということです。
1日6時間、集中して授業を受ける。いや、勉強する。家庭学習ゼロでも、毎日6時間の学習です。
試験勉強に繰り越さない。後でやるためのノートとりの時間にしない。塾でやってる…とか言い訳しない。
塾も、学校も、家庭学習もすべて「同じ」家庭学習です。
まず、その意識が大事。
というわけで細かいことは今までも書いてきてあります。
1 授業と塾と家庭学習を連動させる~参考書・問題集・解説
学習道具を共通させましょう。塾で使っている参考書やノートを学校でも使う。学校で使ったものを塾でも使う。
だって同じ英語や国語や数学なんだから。
そして使う物はひとつではありません。よく参考書は浮気せずひとつのものを使う…なんていいますが、だめです。
参考書、問題集、解説…最低3冊。もちろん、1冊にまとまっている可能性もありますが、それ、少なくとも問題集としてはダメです。過去問題が入らないとまずい。そして、分野をわけると、たとえば、単語、文法、読解、英作文なんてわけていけば、もっと必要になりそうですね。
塾に行っているというのは、解説を聞いているだけの可能性が高い。参考書とか問題集の部分が欠けます。だから塾に行っているだけではだめ。自分で問題を解いて、そのもととなる基礎的知識を参考書で入れる。塾は基本、問題の解説か、基本事項の解説ですから。
そして、塾も、学校の授業も、狙いは同じ。やることが違ったとしても、同じ目標のもとにいれなければいけません。
2 7周する学習計画~2年生の間に最低1周させる
さきほどの学習計画の記事を参考にしてください。
簡単に説明すると、たとえば歴史について、4月から順番に勉強していって、ようやく冬に全範囲を終わらせるとすると、どんなに4月に完璧にしたとして、4月にやった古い時代を覚えているでしょうか。もちろん、問題演習を4月からいれていれば、反復されますから、忘れていないと思いますが、問題演習をやらずに過ごしているなら、かなりあやしい。
というわけで、7回読みの紹介はしました。
これにもう少し色をつけるといいですね。
ちなみに脳の仕組みからしても最低5回の反復は必要です。
そうなってくると、残り1年で、しかも秋ぐらいで範囲が終わると仮定すると10ヶ月弱という感じ。どこで範囲を終えるかという目標でそれを変わりますが、どう考えてみても1ヶ月で1周ぐらいのイメージですね。しかも最初のうちは「ざっと」あるいは「見出し」、最後は「細かいところまでつめる」「本文や注釈まで」と考えると、もっと早く終わらせたいぐらい。
となると、高校2年生のあなたは、春休みが終わるまでにどう考えてもできれば3周ぐらい回したいんです。
これを甘めに和らげてあげても、ここまでの復習が1回も終わっていないようでは、模試で判定出ている人はともかく、逆転しなければいけないような人に逆転はできないでしょうね。
3 英語外部検定と総合型選抜の準備
最後になりますが、以下の記事をもう一度読んでください。
今から1年前に、共通テストに外部検定が入ることがなくなり、共通テストから記述がなくなり、eーPortfolioが消えていきました。
それで「よかった」と安心して、そういう対策から遠ざかった人が多いんじゃないでしょうか。
しかし、今日書いてきたように、英語外部検定を使う入試や総合型選抜、学校推薦型選抜は中止になったわけではないんです。記述についても、上智や青山、そして早稲田の政経などの独自試験は記述型に舵を切っています。
特に英検などは、この冬はともかく、1学期のものを逃すと、もう総合型選抜には間に合わない…という可能性もあります。総合型選抜の実績についても同じで、みんながクラブ活動やってるぐらいまでであれば、レポート書こうがボランティアやろうが、クラブやっている生徒の勉強の両立とたいして変わりませんが、クラブを引退するころから、しかも夏休みとか秋とかで騒ぎ出したのでは、危ないですね。
というわけで、今年1年の流れをもう一度見て、春までにやるべきことを意識しましょう。