学びの真似び(まねび) 「学び続ける人」になるために(教育と受験と勉強法)

学習の仕方に困ったことはありませんか?ここでは、「真似び=学び」という形で、さまざまな学習方法へのアドバイスをしていきます。学習の仕方に悩んだら、受験勉強で行き詰まったら、ぜひ訪れてみてください。効果的な学習方法を知って、学び続ける人を目指しましょう!

受験生が手帳を持つことで何を期待するのか?~学習の仕方と計画をする力、修正をする力

新年を迎えて、手帳を新しくした方もいらっしゃるでしょう。今日は、学習や受験に向けての手帳の使い方をもう一度考えてみたいと思います。

社会人の方にとってはすでに手帳を新しくして、ちょっとウキウキした気分になったり、ちょっとヤル気になってみたり…という時期だと思います。学校では、必ずしも1月でなく、4月始まりの手帳を持たせることも多いと思いますので、もう一度、手帳についての話をまとめておきたいと思います。

今までの話はこちら。

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手帳を持たせるのが進学校では当たり前になってきましたが…

進学校では手帳を持たせることはどうもかなり当たり前になってきたと思います。ノルティのスコラか、フォーサイトかといったあたりが選ばれているのではないでしょうか。

でも、そもそもどうして手帳を持たせるのでしょうか。

おそらく私は、次の二つでとまっているような気がします。

  1. 成績をあげたい。進学実績をあげたい。
  2. そのためには、勉強させる必要がある。

こんな感じ。手帳を持たせて、宿題をきちんと書かせたり、毎日の学習時間を記録させて、きちんと勉強させる。

あるいは、学習計画を作らせて、それをあらかじめ記入させて実行させる。こんなところでしょうか。

もうちょっと別の理由があるとするなら、今度は生活指導の方にぶれて、「忘れ物をさせない」とか「規則正しい生活をさせる」とか、なんだか急に「管理」のための目的に進んでいるような気がします。

学校で、手帳を持たせる最初のころは、きっと先生方の間でも議論が起こって、その結果、どういう使い方をするか、どんな意義を持たせるかなんていうことが、指導としても意識されていたんじゃないかと思うんですが、ここまでメジャーになてくると、

「手帳を持たせれば、勉強をするようになる」というあたりになってしまっているんじゃないでしょうか。

もちろん、これは、ただ持たせるだけじゃなくて、

  • 最低限、一日の学習時間を記録させ、そこをチェックする
  • 最低限、学習計画を立てさせて、その時間が確保されているかはチェックする
  • 最低限、宿題や小テストの予定や範囲などを記入させ、そこだけはチェックする

などのことはされている中での、話ではあるんですが、結果として、なぜそれをさせるのか、どうしてそこをチェックするのか、などが説明されなかったり、理解されなかったりして進んでいるような気がします。

要は、「勉強しているかどうかチェックする」ということになってしまって、手帳を持たせる意義のようなものがなくなってしまっているということです。

手帳を持たせて、どのような力をつけるのか?~アクティブラーニングと探究

では、手帳を持たせてどのような力をつけるのでしょうか?まずはここでは学力の向上ということにしぼって考えたいと思います。

私自身も、手帳を使ってなんとか学力を向上させたい、という思いを持っています。だからといって、ここが「宿題」とか「強制」とか、そういうことになるとは思いません。

そうであるならば、そもそも手帳ではなく、プリントでいいはず。毎日、今日やるべきことを、先生が時間配分して書いて渡してあげればいい。場合によっては、親に見てもらってもいい。

小学校あたりの生活の記録的なノートは、いくぶんそういう傾向があるのではないでしょうか。今日やらなければいけないことを、必ずみんなが記入し、親の目にも触れさせ、必ず実行させる。いわゆる「管理」の側面です。もちろんそれ以外の重要な役割があることはわかりますが、こういう面もありますよね。

要するに、ただ勉強させるだけなら、毎日、帰りのHRでプリントを配り、親にチェクさせて、提出させればいいわけで、必ずしも手帳である必要はありません。

私がよく使うマトリクスです。緊急性と重要度でおいてみます。

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緊急性と重要度のマトリクス。その宿題は緊急かもしれないけど、重要度は?

だから、私は宿題を出すのが好きではないんですが、すでにわかっているものをやる意味があるんでしょうか。もちろん、数学のようにわかったと思っても繰り返す作業が必要な科目もありますが(手続き記憶ですね)、本当に機械的にただ覚えるような作業を、覚えているのにまだやる必要があるでしょうか。

あるなら、さっきのように、プリントで強制していけばいいわけで、手帳というもので考えさせるのは、自分の目標のためにやるもの、自分の学習でみんなより足りていないもの、自分が自分のために考えることですね。

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手帳は自己学習力!

つまり、緊急性は低いんです。誰にもチェックされないし、期限もないから。でも、本当はやらないといけないこと。これを考えること、あるいは考えさせることが手帳指導の重要な側面だと私は思っています。

そうなってくると、手帳はスケジュール管理ではなく、タスク管理になります。もちろん、どのタスクにも、長期目標から逆算した、中期、短期、毎日といった期日が配分されてきますが、そのためにも、まず、「自分がタスクを作る」「自分に必要なタスクを分析する」ということが必要になります。

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最近、文科省は、「アクティヴラーニング」という言葉を使わなくなりました。これはアクティヴラーニングがなんだかグループ学習になって、班にしてほっといて、ざわざわしていればいいよね、みたいなことになってしまった反省だと思います。

主体的で深い、協働的な学び、というような話ならいいんですが、これが「探究」というような言葉に置き換えられていくと、また大きな問題が起こってくる気がします。

つまり、主体的であるということは、どういうことなのか、ということです。ここをしっかり考えることが重要です。教科書をただ覚えるようなものは浅い、テーマ研究は深い、というような区分けでは、主体性とかアクティヴという言葉は置き換えられません。

教科書を覚える、知識を入れる、基礎を固める、ということだって、「強制」して「管理」するのか、「主体的」に「自主的」に行うのか、という違いが明確にあるはずです。

小学生や中学生で、自由研究のような深い学習ができる生徒は素晴らしいと思いますが、でも、その生徒がたとえば学校の成績がひどく低迷していた場合、それは本当に学校がその生徒を正しく測れていない、ということなのでしょうか。

教員としてやっていると、やはりたまに、テーマ研究とか自由研究ではすごく生き生きと取り組むけれど、学校の勉強はまったく…という生徒に出会います。こういう生徒が大学で研究ができるかというと、過去の経験ではやはりかなり苦しい。特に理系では。

テーマ研究とか自由研究とかに生き生き取り組める力は、おそらく生きる力としてはとても重要で、なにかしら働くとか家を支えるとかそういうことにはかなり強みになるだろうとは思いますが、こと大学で研究するとなると、基礎的な学力は必ず必要で、このバランスがおかしいということは、おそらく自分で必要な知識が認識できない、その必要な知識をどう獲得するかもわからない、などの問題を抱えていて、その欠点は大学の研究ではかなり致命的なものになっているのではないでしょうか。

要は、実践的か理論的かというときに個性として、実践的であっただけで、主体的であったわけではない、ということが言えます。

つまり、私は結構重要だと思う視点として、

  • 自分で目標のために必要なタスクを見つけられるかどうか。学習でいうなら、自分の課題がわかり、その課題を分析できるかどうか。つまり、どのテキストを使えばいいか、どんなテキストが自分に必要かがわかる力。
  • そのタスクをどうすれば実行できるか。学習でいうなら、どのようにそのテキストを使えばいいか。簡単にいえば、勉強方法を次から次に試して変えていく力だし、正しい学習方法にたどりつく力。
  • そして実際に、そのタスクを期限までに実行して、期限までにある成果をあげる力。学習でいえば、学習計画をどう立て、どう修正していくかという力。

があると思います。

実は、学習そのもの、つまり知識そのものよりも、この3つの力をつけてあげることがとても重要で、それを学校の先生は果たしてやっているのか、ということはもっと問われていいと思うんです。

たとえば、教科学習であるなら、「知識をいかに詰め込むか」ではなく、「学習方法を教える」ということです。

「このテキストやれ」ではなく、「このテキストをこうやって使う」ということ。

「3回やれ」ではなく、「まずこうやって、次にこうやって、こうして理解しているか確認して、だめだったら、こうやってやり直す」というようなこと。

これが手帳指導になってくれば、より「計画を立てる」とか「やったかどうか確認する」とか「成果が上がったかどうか確認する」というような手法になってくるはずで、こうしたことができているのか。

そして、この作業はまさに学習計画を立てる作業で、だから学習計画を立てる指導が不十分であれば、手帳指導は必ず行き詰ってくるんだと思います。

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学習計画というのは、目標にどう近づくかということ。大学受験ベースで言うと、たとえば早慶に行きたいなら、こうした思想は必須です。

自分で過去問題を見て、レベルを把握して、そのためにどうすればいいかを考える。もちろん、その過程では人を頼ることはいくらでもあるでしょうが、そういう力を持っていないといけない。

その力がある人が、早慶に行けるのではなく、早慶に行けるようにそういう力をつけてあげるというのが理想の状態だと思います。

というわけで、是非、手帳を持ったら、何のために持ったのか、どう使うのかをよく考えてみてください。

計画を立てるのが苦手な人は、記録型でスタートするのがおすすめです。

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たとえば、そもそも学習を順調にすすめるためには、以下のことが必要です。

  1. 自分の現状の把握
  2. 理想の把握 偏差値目標や過去問題のレベル、合格最低点情報など
  3. そこにいくまでの残り時間
  4. その偏差値や合格点をとるために、現状と比べてやるべきことを決める。
  5. そのやり方を決める
  6. うまくいかなかったら、原因を考えて修正していく

という感じ。

こうなると、本来、まず、「理想を把握して、そのための計画を立てる」というようなことになるんですが、そもそもこの力がないからこそ、低迷している確率が高く、この力のない人に「やろうね」と言ったところで、そもそもできない、ということになるわけです。

この場合、簡単なのはまずやってみること。

計画を立てる、のは難しいから、勉強道具を全部並べてみる。つまり、今、やるとしたら、これだなというものを並べてみる。

そもそも並べられないなら、それはそもそもやりようがない分野ということになります。

で、並べたら、1週間やってみる。これは適当でいいです。ただし、手帳に記録をつける。で、1週間たったら、やったことを眺めて「これ、全然やってないな」とか「こればっかりやってるな」とかを考えて、次の1週間に挑む。

これを一カ月ぐらい続けて、実際の定期試験とか小テストとか模擬試験とかで成果が出たかチェックする。

ここで初めて、「あれ。英語ばかりやっていたはずなのに、なんだか英語の成績があがっていないぞ。もしかしたら、今やっているものだけだと足りないのか?」とか「単語やってたから単語はできるようになった実感はあるけど、やっぱり読解問題とか文法問題とかは全然できなかったな」とか、分析の糸口が見えだします。

そうしたら、その分野の学習アイテムやそのアイテムの使い方を調査すればいいわけですね。

手帳の紹介~ノルティとフォーサイト

まず、前に手帳の種類については説明しました。

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 まず、目的が、スケジュール管理、つまり「忘れ物をしない」とか「小テストの日程をきちんと把握する」ということなら、なんといってもマンスリーです。

つまり、カレンダーみたいに一カ月以上がまとめて見えるものがいい。

だって、週間バーチカルとかホリゾンタル使うと、たとえば、週頭の月曜日の小テストは開かないかぎり、1週間気づきません。

だから、忘れ物、提出物、小テストなら、マンスリー。

でも、欠点は一日に書き込めるものが少ないこと。だから、学習計画を書くとか、学習記録をつけるなら、週間バーチカル以上のものがおすすめになります。

で、私は正直いって好きなものを、それこそ「ほぼ日」でもなんでも使えばいいと思うんですけど、学校が与えるものは次の二つですね。

ノルティ スコラ手帳

※上記リンクはまだ2019年度版です。2020年度版の購入はできないようです。気をつけてください。

ノルティのいいところはコンパクトなこと。そして、ノルティが作っているだけあって、紙とかそういう部分を含めて手帳として使いやすいこと。

ただし、作りが完全に、学習記録型、スケジュール管理型になってしまいます。

したがって、意識しないで、手帳にしたがって、つけていくと、自然とスケジュール管理、学習時間重視型の姿勢が身に付きます。

逆に言えば、学習「時間」そのものを可視化したいとか、一日の学習スケジュールを決めさせたいとすればとても向いている手帳です。

フォーサイト 振り返り力向上手帳

 もうひとつの新興勢力がフォーサイト。

こちらは明らかにタスク管理型です。

ノルティと何が違うかというと、フォーサイトは月曜日の前に、タスクを書く欄がある。つまり、一番左にタスクを書いておけば、あとはそれをやったかやらないか、どこまでやったかなどを書くだけ。いちいちタスクを書かなくて済みます。ノルティの場合、これが一番右側にフリースペースがあるだけなので、作りとしては「計画を立てる」ことが中心で、1週間後に振り返るというような作り。

というわけで、多少紙がうすいとかいろいろあるんですけど、私はフォーサイトがおすすめ。大きいことも、「つまりいっぱい書けるよね」と前向きにとらえます。

ノルティだと、「英語」みたいなことしかかけない部分に、フォーサイトはもう少し細かく書けるということですね。

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まあ、でも、これ以外のメーカーも含めて、使いやすいものを選びましょう。ワクワクするって大事だし。

それこそ、使い方さえわかっていれば、キャラクターもののかわいいやつだって、使いこなせますから。

それこそ、ただのノートだっていい。だって、自分が学習記録をつけて、そして長期計画、中期計画、そしてこの1週間をもとに「今日はこのくらいだろうな」という見当がつけばいいわけですから。

というわけで、手帳の季節ですが、できれば、過去に書いた記事に目を通して、どう使うかを考えてみてくださいね。