今年最初の定期試験がそろそろ終わるのではないでしょうか。試験勉強期間そのものよりも、この結果が帰ってきたときにどうふるまうかの癖があなたの成績を決めています。今日は、そのお話です。
最初の定期試験は重要だという話をしましたね。
その試験もおそらく終わったのではないでしょうか?というわけで、ずっと読んでいれてくれている方にはしつこいかもしれませんが、「分析」と「改善」の話です。
要は、ここが一番のポイント。重要な時期、ということです。ここを流してしまえば、逆に言うとかなり厳しい状況になります。それでは、もう一度考えましょう。
- 学力は「頭のよさ」でなく、「学習方法」の結果。逆に言えば、自分で学習方法の改善ができることが「頭のよさ」
- 「復習」より大事なことは、まず「分析」!
- 「できない」理由は、たいてい「やっていないから」
- 「できなかった」のはなぜか?学習方法の改善を図る
学力は「頭のよさ」でなく、「学習方法」の結果。逆に言えば、自分で学習方法の改善ができることが「頭のよさ」
中学校でも、高校でも、最初のテストというのは、なんとなく、自分の「頭のよさ」をはかるテストになりがちです。偶然か必然かはわかりませんが、最初に出来てしまうと、次にちょっと悪くなっても、反省が始まりますし、逆に最初が悪いと、次にちょっと上がるとうれしくなってしまいます。
最初のテストを基準に、自分の頭の程度を決めてしまうわけですね。
だいたいこの程度のことで、自分の位置を決める人が大半。でも、こういうところをきちんとイメージを覆していける生徒もちゃんと存在します。
つくづくと思いますが、成績、特にテストの結果というのは、学習方法の結果でしかありません。
一番、大きいのは、授業の受け方。もうちょっと言葉を変えると、どうやって、何を頭の中にいれようとしているか。
授業が「わかる」という完成形のイメージがあるというか、もうちょっとレベルを下げると、何のためにこの授業があるかというそんなことかもしれません。
次の言い方にすると、学習方法。完成形があったり、どうすることが目標かによって、学習方法が決まってくるわけですが、そもそも完成形や目標意識がないと、「言われたことをやる」わけで、そうなると、その学習方法で成果が現れるものが必ず限定されてきます。
その結果、できるものとできないものができてくる。
それだけのことを「頭のよさ」として受け止めるのは本当にもったいない。もちろん、そういう発想がないことが「頭のわるさ」なんだっていう言い方はできるのかもしれませんが、でも、それは「知らない」だけ、「言われてない」だけ、「教えられていない」だけ。
ただ、「勉強しなさい」「がんばりなさい」と言われているからそうなっているだけの話です。
だから、まずは、この三年間、一年間の中で、一番大事なこのポイントをしっかり確認しましょう。
「復習」より大事なことは、まず「分析」!
誤解を恐れずに言えば、必要なのは「復習」ではありません。それ以上に大切なのは「分析」です。
もし、「分析」をせずに「復習」をしていたとしたら、仮に今回できなかった部分ができたとしても、次のテストではまた同じような結果になっていることでしょう。
なぜなら、その結果にいたった「過程」が変わらないからです。
試験が終わると、復習をさせられますね。場合によっては、課題が出ているかもしれません。でも、正直言って、正解を写すだけなら、ほぼ意味はないでしょう。誰にでもできることです。
たとえば、国語のテストで、選択肢の問題があったとして、イを選んだのに、ウが正解だったとき、赤字でウと書くことに意味はないですよね?確かに数学の問題の正答の式の過程を写すことは、ウと書くことに比べれば多少はマシですが、それは、ウの選択肢の文章を意味もわからず正答だから写す作業とたいして変わらないでしょう。
当たり前のように行われている、試験後の課題ですが、結局は「意識」です。「意識」というのは「わかりたい」という気持ち、なんとかしたいという意欲みたいなもので、それは、結局、最初に書いた「目標意識」や「完成形」みたいなものにつきる。
だから、目標設定は大事ではあります。
ただ、それを「意欲」とか「意識」とかに帰着させてしまうと、正直言って、成績があがるテクニックとしては不十分。
そこで重要なのが、「分析」です。
どうしてこの問題ができなかったんだろう…
どうしてこの問題が難しいんだろう…
どうしてこの問題ができる人、簡単だっていうやつがいるんだろう…
頭が悪いから?勉強が足りないから?
そんな答えではだめです。だから、まず、自分ができなかった問題を書き出してみましょう。まずはそんな単純なことが必要なんです。
そうです。答えを写さなくていいんです。問題を書き出してください。あなたができなかった問題をとりあえず、書き出してみましょう。
正解みながら復習なんて、やらないよりはましだけど、成績の向上にはつながらない。これで成績上がるなら、テストなんて勉強しないで受けて、終わったあと死ぬほどやればいい。
あなたが書き出した、できなかった問題には、山ほどのできない似たような問題、似たような知識がかくれています。その隠れた「氷山」本体をつきとめることが大事なんです。
「できない」理由は、たいてい「やっていないから」
さて、どうして、それらの問題ができないのでしょうか?
それはたいてい「やっていないから」です。これは長年の経験からいえることです。それらの問題ができない理由は、あなたの学習の中に、その問題を解くための学習が欠けているからです。
これは、本当にくだらないぐらい、そういうものです。たとえば、「時間が足りなかった」というような問題は、たいてい「時間内で解く練習をしていない」というところに原因があります。初見の長文問題が苦手な生徒は、初見の長文問題を、何も使わずに読む練習が欠けています。文法を必死にやったのに、点を落とす生徒は、ただ教科書や参考書をながめていただけで、実際の試験は、それを使って書かせたり、単語を変えて書かせたりしている、つまり、眺めていただけで書く練習をしていなかったから、書けなかったというようなものであることが多いですね。
たとえば、数学の問題ができなかったとします。
その問題は、次のどれですか?
- やったことがあるのにできなかった。
- 見たことはあるけれど、やってないからできなかった。
- 見たことがない問題で、どうやればいいかわからなかった、
一番目だとすると、やり方の問題です。
二番目だとすると、やらないとだめです。
三番目だとすると、あなたの持っている問題集ではだめかもしれないし、あなたがやっている学習方法ではレベルが低いのかもしれません。
でも、そのどれかで対策が変わってきます。
まずは分析が大事なんですね。
英語なんかだと、本当に、学習方法でできないことが変わります。教科書ばかり眺めているがために、書くことができない。教科書とか問題集の問題を解いてそれだけを覚えているために、単語を変えられるとできない。例文を覚えるだけで、形を変える練習をしていないので、英作文ができない。普段の学習で、長文をいきなり辞書を引いているので、初見の長文ができない。などなど。
思っている以上に、自分の学習方法が問題になっているんですね。
「いや、だいたいそういうことをやればいいことはわかっているんです。それは理想ですよ。限られた試験前の学習時間で、とてもそんなことはできないよ。」
その通りです。
それは、当然、日ごろの学習の仕方が問題なんですよね。もちろん、そう書けば「ほら、勉強が足りないってことでしょ!」と言われそうですが、時間をまったくふやさなかったとしても、授業の受け方や授業中にやることを変えるだけでも、当然、試験前にやることは変わってくるし、出来る問題が変わってくるはずなんです。
「できなかった」のはなぜか?学習方法の改善を図る
ということがわかってくれば、ここで普段の学習方法の改善を図りたいところです。これは決して、「試験前の学習方法の改善」ではなく、「普段の授業を中心とした学習方法の改善」なんですね。
もちろん、この根幹は確かに「意識」ではあります。しかし、「意識」なんてあいまいな定義にしていると、改善はされません。そもそも、もし、あなたがこれを読んでいるなら、「意識」はあるはずです。これを具体的な行動に変えていかなければいけないのです。
それでは、どんな観点があるでしょうか。
テストのできなかった問題をリストアップし、それが手元の学習道具のどこにあるかを探る~先生に具体的に聞きにいく
まずは、一番、簡単な方法です。先生に聞きに行くこと。でも、大事なことは、できなかった問題をリストアップすることです。
単純に先生に聞きに行くと…
「いつも言ってるだろ!授業の予習をきちんとして、しっかり復習するんだ」的なことになりかねません。
具体的な問題を持って、自分の持っている教科書や参考書を持っていき、
「この問題ができるようになるには、この中のどれをどうやって学習すればいいですか」
というような聞き方をするとよいです。
先生は、悪気はないんですが、だいたいみんなに対して同じ答えをします。特に「最低限、何をやればいいですか?」なんていう聞き方は最悪。「東大に行く最低限」「MARCHに行く最低限」「定期試験で平均点をとる最低限」「赤点をとらない最低限」など、どう答えるかは、その先生次第。
まずは、分析。
できなかった以上、先ほども書きましたが、
- やったのにできなかった。
- 見たことがあるし、どこにあるかわからないけど、やってないからできなかった。
- 見たことがないから、どうやっていいかわからず、できなかった。
のどれか。
問題は1番目と3番目。
1番目なら、「こういうふうにやってるんですけど、どうやればいいですか」
3番目なら、「どれやればできますか?」
こうやって、問題点を把握します。
2番目は、生活習慣と授業の受け方の問題です。一番、簡単なのは、授業中にやっちゃうことですね。
何をしていいかわからなければ、とにかく「変える」!試験問題を授業中おいておく・見ないで声に出すことを重視!
まず、すごく簡単な言い方をすれば、変えなければ、絶対に同じ結果になります。だからまずは「変える」こと。
わからない人は、試験問題を、明日からの授業に持って行って、授業中見比べればいいでしょう。今日やっているところは、試験になるとしたら、どうやって出るんでしょう?そんなことを考えてみます。
今が試験だと思って、
基本問題の確認だったらこうかな?応用で記述でくるならこうかな?国語や英語だったら、単語とか漢字とか、この辺が出るのかな?地歴だったら、これが隠されてこう聞かれるのかな?
こんなことだけでも、授業の受け方の大変革です。
また、とにかく、「口に出す」「声に出す」癖をつけましょう。先生にさされたのが別の生徒でも、頭の中ではなく、口を動かして「答える」。小さな声でいいし、口があくだけでもいい。
リスニングや音読だけでなく、たとえば数学や理科の解答をたてる方針とかも、口で説明する癖をつける。
地歴系でも、今日ならったことを、見ないで口で説明する。これが「思い出す」ことです。
英語なんかだと、当たり前ですが、「言えるようになる」から「書けるようになる」んで、逆はないですよ。だから、まずは「口にする」ことが重要性なんですね。
また、とにかく「計画を立てる」「計画の立て方」「学習場所」「授業中の座席」「学習時間」などなど、とにかく変えてみる。
大事なことですね。
中でもおすすめは、授業の座席の変更。できれば、一番前をとりなさい。それだけで、あなたは変わりますよ。
「覚えてノートをとる=授業中に説明を見ないで例題を解く」「家でさっと復習=3分間作文」「次の授業の前にさっと前回の確認」「試験勉強」「試験の復習」で5回の反復を実現!
とにかくまずは授業の受け方を変えることが大事です。
この授業の受け方、特にノートの取り方を変えると、劇的に成績があがる可能性が高いです。
そして、「ノートを覚えてからみないでとる」というアウトプット型にできたなら、あとは復習を簡単に行うだけ。
記憶の定着は最低5回の反復、ですね。
では、学校の授業をベースに、5回の反復を設定してみます。もちろん、これは最低限ですので、もっと完璧にしたいなら、違う手も考えられますが…とりあえず、最低限で5回の反復を実現してみましょう。
1回目 授業自体~書いてから覚えるのでなく、覚えてからノートをとる。解法・説明を写さずに、自分で再現する。
まずは、授業で、ノートに写すのをやめます。とりあえず書いて、あとでなんとかするのでなく、その瞬間だけでもいいので、わかってから書く。数学でいうなら、とりあえず解法を写すのをやめ、自分の頭にいれて、実際に再現します。
2回目 家についたら、ざっと再現する~3分間作文、もしくは口頭
家についたら、3分間作文の手法で、1分間復習、3分間で再現します。時間がないなら、書かずに、口頭で説明しきるのでもよいでしょう。
数学や理科の場合、どうしても、問題の解き直しが必要になります。そうすると、時間が3分というわけにはいかなくなります。この時間は基本的に必要です。なんとか捻出しましょう。ただし、本当に簡単な問題の場合は、解法を口頭で説明して終わりにする、という短縮形もあります。ただし、これも問題演習をきちんとして、身についている前提です。一度も解いていないのに、口頭説明で終わるのは非常に危険です。
3回目 次の授業の直前に、前回やったことを見直し、口頭で再現
次の授業の前に、さきほどやったのと同じような手法で、ざっと口頭で反復します。このぐらいでも、授業の集中力は増しますし、理解しやすくなりますが、それ以上に、これで3回目の反復が終わります。行事で授業がつぶれたりすると、1週間あいたりすることもあるでしょう。その時には、これが1週間後の復習の役割をします。
4回目 試験勉強
ここまでやっていると、試験勉強が4回目の反復です。時期的にも1カ月から2カ月あいていますので、記憶の強化にはちょうどよくなります。
逆に、ここではじめて頭に入れているようでは、1カ月後の復習のタイミングはほとんど作れないでしょう。
5回目 試験の復習
ここまで、やってできないことがあれば、試験後の復習でだいぶクリアにできるはず。これが、「最低限」と呼ばれる5回目の反復です。
6回目以降 模試の復習・受験勉強
ここまでできれば、受験勉強のときにもある程度、残っているはずで、これが完璧にするための7回の復習になるわけです。
学習時間の確保のためには、英語・国語・社会などの簡略化~数学・理科は自宅で時間を確保!
さきほど書いたように、学習時間をできるだけ簡略化して、授業自体や授業後の復習の短時間化が重要になりますが、逆にいうと、数学や理科などの問題演習型の教科は、なかなか時間短縮ができません。
したがって、家での学習時間の中心が、数学や理科になるように、文系型科目は、スキマ時間など、できるだけ効率的に終わらせる必要があります。
間違ってはいけないのは、時間を減らすことはできない、ということです。数学や理科はまとまった時間が必要、英語や古文や歴史は、時間が細切れになってもできる、ということです。
このあたりの時間短縮方法については、また機会を見て説明しますが、まずは授業中に終わらせることを増やし、そして、スキマ時間で反復と演習を行う、ということが重要です。
「改善」されたら、次の課題へ~課題は次から次へと変わっていく
そして、最後に、ここで見つけた「課題」は、必ず次の試験で改善されるべきものだということです。「改善」されたらどうなるのか?
それは、次の課題に変わるはずです。
それはそうですよね?
スポーツを考えてみましょう。
守備に問題があれば、まず守備の基本スキルを改善します。それができたら、今度はチームとしての守備、ですね。それが終われば攻撃。全部一通り終わったら、目標があがって、もう一段高いレベルのものを求めるかもしれません。
そうなれば、練習内容や練習形式は変わりますよね?
変わらないわけがないんです。
さあ、あなたは、今日、次の試験に向けて、自分を変えますか?それとも同じように、毎日を過ごしますか?
考えてみてくださいね。