手帳の話、目標設定の話、科目別の学習方法、苦手の克服などを紹介するためにも、やっぱり理論的なところからタスク管理の話を進めます。
というわけで、今回は、重要な課題を緊急な課題より優先する、という話。
タスクを具現化する。
タスクが期日目標とルーティン目標にきりわける話はすでに書きましたね。
このタスク管理を具体的にするために、手帳にやったことを書き出していく、というのが次の話でした。
というわけで、タスクをどう形にしていくか、という話をもう少し詳しく書きたいと思います。
要は、「英語の予習」とか、「英語の復習」という言葉では、実際に何をするかがはっきりしないわけですね。
だから、「2回音読する」とか「意味がわからないところに線を引く」とか、そういう言葉に変えていくわけですね。
復習の場合なら、もう少し、楽勝。
「暗唱する」とか、「覚えたことを白紙に書く」とか、「習った文法を使って例文を5つ作る」とか、習っているわけですから、真似はできます。
学び=真似び
というタイトルの通りですね。
でも、予習って、本当はとても大事なこと。
実際に「学び方」を学んだなら、次は一人でやってみなければいけません。それが予習。でも、予習はまだ「習っていないこと」。
だから、さぼろうと思えば、いくらでもさぼれてしまいます。
「わからない」と言ってしまえば、それで済んでしまうわけですね。
やるべきことは「できないこと」。
まずは、ちょっと、まじめに書いてみましょう。
どうして、学ぶのか、という話も最初に書きました。
ここで、もう一度まとめてみましょう。
未来のあなたは、できないことができるようになっているわけですよね。できないことはどうして、できるようになるのでしょう。
それは、できないことを何度も何度もやるからですよね?
泳げない人が泳げるようになるためには、どうすればいいと思いますか?
それは泳ぐしかありませんよね。
「泳げるようになってからプールに入る」
なんていうことはできません。
あなたが保護者であるなら、「泳げないからプールに入れられない。泳げるように死してからプールに入れたい」と考えるのは、厳しいですよね。
もちろん、段階というものはありますから、いきなり、泳げない子を海の真ん中に放り投げてはいけませんが、足のつくプールに、コーチがそばにつきながら、泳ぐ練習をするぐらい、がまんしなければ泳げるようにはなりません。
泳げない子が泳ぐ練習をすれば、苦しい。つらい。
できないことをしようとしているからです。
このつらさ、苦しさは、裏を返せば、正しい成長の過程なのです。
1+1=2と1万回唱えても、中学受験の算数ができるようにはなりませんし、中学校の数学を死ぬほどやっても、大学受験の数学はできるようにはなりません。
できるものは楽。できないものはつらい。それでも、それができるようになった自分を夢見て、そこに向かう必要があるし、あなたが親であるなら、多少、苦しんでいるぐらい、どこかで耐えなければいけなくなります。(基本は中学校に入ってからでしょうかね。「自立」というキーワードが浮かんでくるはずですよ。)
「最低限の勉強」の恐怖。
さて、それでは、学校の予習で考えてみましょう。
たとえば、語学系の教科のやるべき学習をざっと書き出すとこんな感じではないでしょうか?
これが全部できればいいわけですが、学校生活は忙しいですから、なかなか全部はできませんよね。
だから、いつの間にか「優先順位」をつけてしまうわけですね。これがいつの間にか「最低限」の学習になっていくわけです。
でも、冷静に考えてみると、この「最低限」は正しいのでしょうか?私の正解は「全部」ではないですよ。同じ「最低限」ならどれか、です。
ありがちな最低限は、
- 本文を写す。
- わからない語句の意味を辞書で引く
- 単語を覚えるために何度も書く
などではないでしょうか。
これらが最低限になってしまうのはなぜか?
実はこれが「宿題=やらないとバレる」ものだからですね。
先生の側からすれば、「証拠が残るもの」。だから「宿題」にしてチェックする。チェックされて、やっていないことがバレると怒られる。
だから、生徒の側からすれば、これが「最低限」になってしまうわけですね。
でも、冷静に考えてみれば、
- 本文を写してこなくても、コピーでもなんでもすれば、ノートの問題はない。もちろん、先生には怒られるかもしれないけど。
- わからないところは辞書で引かなかったとしても、先生が必ず説明してくれる。説明してくれなくても授業中か授業が終わった後に絶対に聞けばなんとかなる。もちろん、先生には怒られるかもしれないけど。
- 単語を覚えさえすれば、何度も書く必要はない。もちろん、覚えてなければやる必要はあるし、10回書けと言われているのに、書かなかったら怒られるに違いないけど。
ということことで、「怒られない」ことでなく、「できるようになる」ことが目標であるなら、意味がないことが多い。
これは先生の側にも反省が必要ですが、
「怒られないなら、バレないなら、さぼれるものはさぼりたい。怒られるものだけを最低限やりたい。」
と生徒が考えるから、先生は、
「生徒はさぼるに決まっているから、宿題は証拠が残らないとだめ」
と考えるわけです。
これは不幸ですね。
それに比べれば、
何も使わないで教科書を自力でがんばって読む
とか
宿題にはなっていないけど、授業でわからなかったところをさっと復習する
とかは大事なはずなんですが‥
やらなくても怒られないからやらないわけです。
「緊急度」と「重要度」で考えてみましょう。
これは緊急度と重要度のふたつで考えてみるとよくわかります。
一番重要なのは、緊急で重要なものですよね。これが最優先なのは明らか。
受験勉強
定期試験の勉強
そして、できない課題が宿題で出てくれば、これは、緊急で重要。
ここが最優先ですね。
そして、一番意味がないのは、緊急ではなく、重要でもないこと。時間に制限がなく、やっても成果がないなら、極力やらない方がいいですよね。
問題は、残った二つ。
緊急で、重要ではない課題。
つまり、怒られるから、とりあえず写す、とかそういう課題ですね。
緊急ではないけど、重要な課題。
たとえば、模試のための勉強とか、苦手の克服とか。時間制限はあるにはあるけど、まだ先。やらなくても怒られないし、困らない。
だから、先延ばししてしまう。
これでは成績がのびませんよね?
というわけで、優先順位は緊急ではないけど、重要な課題。
こうなってくると、自分が成長するために、どれだけ課題を作れるか、が成績が伸びるかどうかの差になってくるのがわかりますね。
こうした課題=タスクをどれだけ、作り出せるか?
そして、問題なのは、この自分の課題が、先延ばしにされてしまうのは、期限がないからですよね。
だからこそ、これを
- 書き出す。
- 期限を決める=期日目標にする。
- そのために、毎日どれだけやるか決める=ルーティン目標にする。
- それを手帳でタスク管理する。
- 何より目標をしっかり持つ。
ということが重要になっていくのです。