今日は、記憶の原理の話とそれを活用した漢字や英単語の覚え方の話です。簡単にそれを行うための「IMRシート」の紹介です。
このサイトのアクセスの大半は、大学受験情報になっています。しかし、このサイトを作った目的は「学び方の学び」です。
そういう大学入試情報がスタートであっても、よりよい学習方法を少しでも目にしていただいて、「気づき」が生まれることを期待しています。
というわけで、ここのところ、原点に戻って学習方法や学習計画の作り方などを書き進めています。
「記憶」については、「学び」をすすめていくためには必要不可欠な知識で、ここまで原理を紹介してきました。
だいぶ間があいてしまいましたが、国語の真似びの方で、漢字を具体的に覚えるやり方を紹介しましたので、そちらを見てもらいながら、記憶の話をしていきたいと思います。
- 記憶の仕組みを正しく理解する~瞬時記憶から長期記憶へ
- 記憶するためには、むしろ関連づけが必要!覚えるモノをむしろ増やす!
- 記憶の限界は7つ~どうやって整理するのか?
- そして、「思い出す」ことを意識する。~IMRシート
記憶の仕組みを正しく理解する~瞬時記憶から長期記憶へ
ここまで、記憶については説明を続けていました。
まずは、「陳述記憶」と「手続き記憶」があること。要するに、単純に覚えることと、身につけるというか、体に覚え込ませないといけない部分があるんですね。
英単語を覚えるだけなら陳述記憶ですが、英語がぺらぺらしゃべれるとなると、手続き記憶です。数学も、難しい問題になると手続き記憶型ですし、文章読解もそういう系統。これらはそう簡単には成績はあがらないし、時間もかかるということです。
続いて、記憶は三段階を経るということ。
瞬時記憶から、短期記憶、そして長期記憶というプロセスを経て、記憶が定着します。つまり、それぞれの場所に移していくためには、反復する必要があるということ。これが復習の必要性です。
1回で覚えるということは原理的になく、「1回聞いただけのものを、無意識に反復して、思い出す作業を経て、記憶が定着する」ということです。
たとえば、漢字の勉強をしていく場合、何度も書くということが、長期記憶につなげるかということを考えてみると、実はそうではありません。
なぜなら、一度書いたモノを見ながら書いているとするなら、その動作には「思い出す」動作がなく、延々と写しているからです。それは常に瞬時記憶である可能性さえあります。
もちろん、書いたモノをがんばって忘れて思い出している人は、それで覚えるんですが、やる気なく無理矢理やらされている子どもの場合、写している可能性が高く、そうなると、瞬時記憶になるわけです。
記憶するためには、むしろ関連づけが必要!覚えるモノをむしろ増やす!
続いては、関連づけの話です。
漢字の覚え方の例でありがちなことは、たとえば、漢字のテストのためにテキストを見ると、いくつも熟語が載っていたり、当然、音読みと訓読みが載っていたりしますよね?ところが、セットになっている問題集は、たいていひとつしか取り上げられていないから、それだけを覚えることにするわけです。
ところが、実際にはいくつもセットで覚えた方が忘れにくいんですね。
接点が多い方がいいんです。
それをより進めていくと、体感という、体の感覚とそれにつながるイメージ化が必須になります。
記憶の限界は7つ~どうやって整理するのか?
一方で、記憶の限界は7つです。あくまでも個人差がある上での平均的な数字ですが、8つ以上になってくると急に覚えられなくなります。
漢字なんかでも、一回の範囲が7つということはほぼなくて、10~20ぐらいが範囲になってしまいます。
そういう時にどうすればいいのか、ということが起こります。
ここで紹介したのは整理する、ということですが、イメージ化の場合は1つの話にしてしまえば、そこにいくつもの情報が入る可能性もあります。
そして、単純なやり方は、7つで反復をかけて、長期記憶にしてから次にいくというやり方です。
そして、「思い出す」ことを意識する。~IMRシート
思い出すことについて、まとめたのがこちら。
要するにどうやって効率的に反復するか、ですね。でも、これも結構きついし、どうやっていいか理論ではわかるけど、具体的には…ってなるので、作ったのがIMRシートです。
IMRシートの実際の使い方については、上の「国語の真似び」のページでチェックしてください。
小学生から中学生ぐらいだったら、実際にやってもらうと、結構取り組んでくれると思います。
高校生は、本気になればやってくれますが、やってみると、頭がすごく疲れるのでいやがられます。入試意識して「なんとかしたい」と思うとやりはじめます。
記憶っていうのは、結局は「意識」なんですが、「意識」の問題にした場合、苦手な子、やらされる子はやりません。だから、証拠が必要な宿題が必要なんですが、そうすると瞬時記憶になるわけで、八方ふさがりになるんですね。
というわけで、「意識」を「見える化」したのがこのシートです。さぼろうと思えば、さぼれてしまいますが、リスクはだいぶ減ります。
使えるモノとしては、
- 漢字
- 英単語、特にスペルを覚える必要があるとき。
- 英文法、例文暗記、当然英文を書けるか必要があるとき。
- 歴史、年号と出来事、人物と出来事などの結びつけ
つまり、かなり単純な、陳述記憶系の暗記物に効くものです。
でも、ようやく肝になるものがアップできたので、これからひとつずつの覚え方のコツなどについても書いていこうと思います。