学びの真似び(まねび) 「学び続ける人」になるために(教育と受験と勉強法)

学習の仕方に困ったことはありませんか?ここでは、「真似び=学び」という形で、さまざまな学習方法へのアドバイスをしていきます。学習の仕方に悩んだら、受験勉強で行き詰まったら、ぜひ訪れてみてください。効果的な学習方法を知って、学び続ける人を目指しましょう!

2020年度大学入試動向2 「安全志向」の入試、私立大学の動向分析

2020年度大学入試動向分析の2回目です。今日は、各大学の個別動向を追ってみたいと思います。

秋も深まってまいりまして、高校3年生にとっては、併願校を決める時期になりました。2021年度入試については、混乱しているところですが、報道はいったん落ち着きを見せ、次にいつ、どんな情報が流れるのかわかりませんが、不気味な静寂を見せております。

でも、高校3年生にとっては、まずはとにかく今年の入試を乗り切るしかありませんから、それに向けて検討していきましょう。

ここで、分析していくデータは、予備校の動向研究会の報告をもとにしています。それぞれ夏休み明けのマーク模試あたりの志望校の記入状況をもとに今年の入試動向を予想しているわけですね。したがって、この投稿を、冬、出願時に見る時には、決して実際の出願動向を分析しているわけではなく、2019年の9月~10月ぐらいに行われた模試の、志望校記入の状況から分析している、ということをくれぐれも、読む際に頭に入れてください。

前回はこちら。

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国立大学の志望動向~一橋や東工大が減少傾向も、国立はアナウンス効果に注意!予想するからこそ、当たらない…。

今日は私立大学を中心に動向分析をしていきますが、一応国立も触れておきます。前回も書いたのですが、国立大学の細かい動向は、あまり分析しても仕方がないんです。

なぜかというと、センター試験のあとに、「データリサーチ」とか「センターリサーチ」とかいう、要は自己採点結果を集計し、実際の自己採点結果と出願予定校をもとに、動向をチェックするという儀式が行われるからです。これがわずか数日で手元に戻され、その分析会が行われ、そしてそれらをもとにしながら、たとえばネットで自分の点数を打ち込んで、受かりそうな大学を探す…なんていうことが行われていくわけです。

これがアナウンス効果というやつです。

たとえば、現段階で、A大学が人気で、それより1ランク低いB大学が不人気だったとします。そうすると、センターの結果を受けて、A大学が厳しいという結果を突き付けられた生徒がB大学に回る、なんてことが起こるわけです。場合によっては、A大学が簡単になり、B大学が結局難しくなった…ということも起こるかもしれません。

なので、現時点では、おおよその傾向だけをつかんでいただいて、センター試験が終わったあとの動向分析のときに、またデータを分析し直したいと思います。とはいえ、それさえも、分析すればするほどアナウンス効果ではずれる…ということが起こりかねないのですが…。

全体的な傾向~難関大ほど敬遠傾向が目立ち、大学ごとでみてもチャレンジ層の敬遠が目立つ

まず、全体的な傾向を見ていくと、難関大、各地域の中心となる大学、その他の大学と、レベルが下がるにつれ志願者数が増える傾向にあります。地方に乱立した公立大も人気傾向。

これが基本的な安全志向というやつですね。

大学ごとの偏差値別の志願状況を見ても、特に上位となる大学では、チャレンジ層となる層が模擬試験で志望校としてあげず、すでに現実的な大学を志望校としてあげていることがわかります。

これは逆にいえば、合格層の動向には大きな変化はない、ということでもありますから、「志願者は微減傾向ではあるが、合格ラインより上に変化はないから難易度は例年通り」というような予備校分析になることが多いと思います。

が、私はやはりチャンスの年だと思います。実際に全体の志願者が微増傾向の東大の文Ⅰの分布を見ると、確かに合格ラインの上の層はほとんど例年と変わりませんが、その合格ラインの下の層が急に薄くなっていることがわかります。こういう状況でさらに「安全志向」による志望変更が起これば、「最後のイス」を争うライバルが減ることになると思うからです。

もちろん、これは「合格ラインが下がる」ということを指しているのではありません。しかし、入試は最後の1点、いえ0.何点を争う世界ですから、そのほんの何点かを争う人数が減るということは、「最後の逆転」が起こる可能性があがるということだと思うのです。

ですから、まず、国立志望者はチャンスだと思って、最後の数ヶ月を1点でもとれるように努力しましょう。センターの平均点にもよりますが、現段階ではすでに「平均点が高く、強気で出願して、二次での逆転がしにくかった昨年」の逆の現象が起こっているといえます。

続いて、最難関大の分析をすると、東大はやや楽に見えた昨年の反動か微増。しかし、その下の一橋、東工大が易化傾向にあります。一橋は最上位は東大から落ちてきている傾向がありますから、上位は残っていますが、東工大は最上位も減少傾向です。

東大を見てみると、「がんばれば狙えるんじゃないか?」という次善の層が減っていて、その下はむしろ強気。つまり、ある程度がんばった人が無理せず、他の旧帝大などに逃げているのではないかと思います。

難関大の減少傾向は、文系で北海道、東北、一橋、名古屋あたり、理系は北海道、東北、東工大、名古屋あたりです。ただし、こうした大学も前年並みの大学含めて偏差値の高い層ほど志願者が微増していて、その下が減っているという「安全志向」の傾向が見てとれます。

系統別分析~文系を中心に微減傾向が目立つ

特筆するような状況はないように思います。

文系を中心に志願者全体では減少している大学が目立つ感じです。もちろん、志願者全体が減少しても、合格ラインより上が減らなければ難化するかもしれませんから、個別に分析しないといけませんが、合格ラインより上が例年並みでもその下が減っているならチャンスは増えるというのが私の読みです。

理系は、いわゆる「文高理低」がとまったように見えることもあり、文系ほどに合格ライン前後の山に変化はないようです。なので、全般的に昨年並みの入試とみていいのではないでしょうか。また、情報系統などがここ数年人気となってきていて注意が必要ですが、もともと、工学部は、「建築・機械・化学」がそれぞれの分野の人気系統です。情報がいくら人気になったといってもこれらを逆転するかというとそうでない可能性も十分あるわけで、情報と食い合うのは、その中では機械だと思いますが、「情報やめて機械」というのは、人気系統から人気系統への移動という側面があるので、よくよく注意してください。

また、表を全体的にながめていえることは、昨年の倍率が高いと減少傾向に向かうという、隔年現象が起きる傾向にあること。このあとも、昨年の倍率をもとに少しでも受かりやすい大学を探す、というようなことが起こるのではないでしょうか。こういう思考をしてしまう人は、必ず過去3年ぐらいの倍率を見て、隔年現象がおきやすい大学なのか、系統なのかを分析して出願するようにしましょう。 

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私立大学レベル別分析

それでは私立大学の分析に移りましょう。

全体傾向~「安全志向」「中堅以下の難化」「センター利用敬遠」「定員厳格化は一息」

まずは全体的な傾向の復習です。前回はこちら。

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基本的なキーワードを復習すると、まず「安全志向」により、早慶上理MARCHあたりまで微減傾向で、この下あたりから受験生が集まる傾向が見えます。昨年レベルが格段にあがったセンター利用は諦め気味で、志願者減の傾向。そして、一番問題の定員管理はすでに各大学うまくやっていて、むしろ少し余裕があるような大学もちらほら見えるというところでしょう。

不確定要素としては、各大学の指定校推薦、内部推薦などの合格がどの程度出ているのか、ということ。全体的に志願者が減っても、実は実質定員減みたいなことになると目に見えない難化が起こる可能性もあるので…。

ちなみに昨年の入試結果分析はこちら。 

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早慶上理~全体的に減少傾向で易化に向かうか?

これらの大学群は全体的に志望者は減少傾向です。減少傾向が出た昨年よりさらに減ったわけですから、2年前3年前と比べるとずいぶん減って元に戻るような傾向です。

しかし、偏差値上位についてはむしろ昨年より増えている印象。このあたりは国立で触れた通り、原則合格圏内が減らないというより増えているわけですから注意は必要ですが、実際にはその下の逆転を狙う層ががくんと減っているわけで、私は逆転を狙うにはチャンスだと思います。ただし、何度も書きますが合格ラインが大きく下がるようなことはありません。おそらく、結果の偏差値ラインで見れば前年並みになるはずです。でも、最後の枠を争うライバルが減れば、実感として受かりやすくなるはずだと思っています。

早慶上智の大学群は、東大と同じような傾向で、最上位は若干増え、合格を争うラインが減少、そして下位層は前年並みというような動向のようです。

では大学別に見ていきます。

早稲田大学は、政経、法、社学、商など減少傾向です。理系は創造理工で減少傾向が強くなっています。特に教育あたりでは合格ライン前後で減っているのでこのままなら易化で動くはずです。政経でも合格ラインのすぐ下で減っているので、最後の逆転はここ2年より可能な雰囲気。全体的に文系では上位で減少している募集単位が多く、基本的は易化と見ていいと思います。

慶応は、早稲田よりも敬遠傾向が強く、全ての学部で前年を100として90を下回っている状況です。法学部あたりで見ても合格ライン前後でぐっと減っているのでこのままなら易化。全体的に見て、志願者全体も減り、更に上位者で減っている募集単位が多いので、チャンスは大きいと見ます。

上智もほぼ同じ傾向。いくつかの学部の志願者の山を見ていても、合格ライン前後、あるいは合格ラインのすぐ下ぐらいで減っているので、そのまま行けば、最後のイスをめぐる争いはだいぶ楽になるはずです。外国語あたりを見ても、合格ライン前後で減っているので易化傾向にあることが予想されます。上智も慶応同様、志願者全体より、上位者の方が減っています。

つまり、最上位の傾向はかなり敬遠傾向が出ていますから、いくら東大受験者が滑り止めで例年より受験したとしても、全体としては易化傾向になるのではないでしょうか。もちろん、何度も書きますが、合格ラインが極端に下がるようなことではなく、最後のイスをめぐる争いが10人で競っていたものが、7人とか8人で争うような易化です。これでも、数字以上にだいぶ楽になるような話だと思います。

東京理科大は全体傾向と同じように理学部で前年並みに集めています。理工、工学部などはやはり減少傾向にあります。ただ早慶上含めて、理系の方が合格ライン前後の山の雰囲気は昨年とあまり変わらない傾向に見えます。したがって、文系ほど易化傾向にはならず、昨年並み、といったところではないでしょうか。

 

MARCH~早慶上理よりも減少傾向は強い。やはり易化か?

最上位生の志願者割合が増えているので注意が必要ではありますが、本来の受験者層からチャレンジ層にかけて大きく減らしている印象で、このままだと易化傾向だと思います。この大学群が難化するかどうかは、どれだけ上位者が下げてくるかという要因だけ。最難関受験者が、このあたりでも進学を選ぶのかどうかという各大学の読みが合格者数をしぼるかどうかに関わってくると思います。そうだとしても、本来の受験者層が減っている以上、やはりぎりぎりの生徒にとってはチャンスが大きいと予想します。

明治は総合数理をのぞいて減少傾向。そもそも定員管理についてはだいぶ余裕をもってのぞんでいる状況なので、応募者が減ってきても合格を出す可能性はあるような気がします。理工は合格ラインより上はほとんど山が変わらず、でも合格ラインより下は若干減っています。

青山学院はコミュニティと社会情報が前年並みですが、それ以外は志願者減少。文学部は合格ライン前後で減っています。こういう形だと易化傾向です。

立教は現代心理と理学部が持ちこたえていますが、それ以外の系統は志願者減。たとえば人気難関の社会でも合格ラインのすぐ下が急に薄くなっていますから逆転のチャンスはありそう。経済あたりになると合格ライン前後で減っていますからこれは今のところ完全に易化傾向。

中央は国際経営と国際情報が志願者増の傾向ですが、それ以外は減。復活してきた感の強い看板の法学部も合格ライン前後で大きく減って易化傾向。

法政は生命科学以外はかなり減少傾向です。たとえば、人気の国際文化あたりでも、合格ラインをまたいで減少していますから易化することが予想されます。基本的にどの学部でも合格ラインより上でも志願者全体でも減少という傾向があり、MARCHの中でもかなり易化傾向に見えています。

というわけで、人気系統含めて、この層でも文系を中心にかなり易化予想が成り立ちます。

 

学習院・成城・成蹊・武蔵・明学・國學院~志願者減の傾向だけれど、本当に易化するのか?

さて、この下の層ですが、前年比は減少傾向ですが、早慶上理、MARCHに比べると減少幅は小さくなります。あ、学習院をこちらに入れていますが、個人的には学習院のご動向は昨年あたりからMARCHの動きとは違ってきているので個人的にこっちのくくりに入れています。小規模でいい大学ということでは、評価している大学群でもありますが…。

学習院は文学部で前年なみ。他は減っていると言っても、他の大学に比べるとこらえている感じ。このあたりは前年の反動なのでしょうか。文学部は、ほぼ分布をみると、昨年と変わらないイメージです。

成城大学は、減少傾向が顕著で易化傾向。人気の社会学系統に位置づけられる社会イノベは昨年よりは合格ラインより上で減少傾向で、山全体が下にずれているように見えます。とはいえ、基本的には一昨年並ですから、大きな易化ととらえるのは間違いででしょう。それでも昨年よりはやさしいです。ほとんどの学部が上位者も全体も減っている感じ。

成蹊大学も理工以外は易化傾向。看板の経済学部は、改組があって数字自体をどう見ていいかがわかりませんね。文学部と法学部は全体的に易化の雰囲気がただよっていますが…

明治学院は、比較的前年並みで推移しています。文学部、心理、法学部は前年並みから増加傾向です。ただ、上位者ベースで見ると減少している募集単位が多く、必ずしも難化するとは見えない部分があります。国際とか社会とか昨年難化が目立ったところは反動で易化傾向が見える部分もありますね。

武蔵も同様に前年並みで推移しています。細かく分析していくと、志願者増、上位者増という受験単位も見られるので注意が必要です。

國學院もほぼ前年並みです。募集単位を見ていくと減少しているところもありますが、中には上位者増、全体増というところもありますから、難化するところもかない混じっています。

 

日東駒専~志願者全体は減少傾向も、日大を除いて、厳しい入試が展開されるか?

このランクの大学群は、まず日大だけがあまり回復していないということ。昨年かなり易化した印象の日大ですが、ほぼ昨年並みの動向と見ることができます。その他の大学になっていくと逆に志願者全体は減少傾向。しかし、上位者ベースでみると、たとえば早稲田の合格を狙えるような偏差値層が前年の1.5倍ぐらいに増えているようなケースもあり、こうなってくると易化などという予想はまったく立てられなくなります。実際には受けるだけで、進学しないとなれば、合格は多く出す必要があるんですが、ここ数年の傾向を見る限り、絞っておいて追加合格…という形をとるでしょうから、いったんは厳しい合格発表になるような気がします。そのあたりを考えてみても、楽観はできません。

まず、東洋大。全般的には志願者は減少傾向にあります。たとえば、社会科学は基本的には上位者が昨年並みベースで動いていて、合格ライン前後で気持ち減っている程度ですから、ほぼ昨年並みと見ていいでしょう。経済も志願者では減っていますが、上位者で増えている募集単位もあって、意外と厳しいのかもしれません。全般的には難化した昨年の反動でやや減っている以上、易化傾向にはあると思いますが…。しかし、昨年なみの厳しい入試とみるのが正しい気がします。

駒沢大同様に減少傾向。ただし、たとえば経済は上位者のグラフはほとんど変わらないか若干増加傾向ですので、合格ライン下が微減となっても易化するとは思えません。むしろやや難化する可能性もありそう。法学部などもそうですが、必ずしも減少という言葉で片付けられない募集単位もあります。

専修大は、キャンパス移転がある商と経営をのぞき減少傾向。しかし、たとえば文学部は上位はほどんだ変わらず、合格ライン下は増加傾向にあり、やや難化傾向が見えます。キャンパス移転する商と経営は上位者も増え、志願者全体も増え、注意が必要な系統です。また、全体的に上位者が減っていないか微増している募集単位が結構あるので、志願者全体が減っても易化するとは見えない部分があります。

日大は、昨年並みかむしろ志願者は増加傾向ですが、昨年大きく減った分は戻せていませんから、原則は昨年並みとみていいでしょう。法学部は若干難化予想ですが、基本的には大きく減らした昨年並みで、一昨年に戻るようなことはなさそうです。経済・商・文理などは志願者、上位者とも増加傾向なので昨年よりは難化しそうですが、とにかく昨年ベースでやや難化というあたり。一昨年に戻る数字ではありません。

その他の大学群~理工系単科大学、女子大、その下の大学など

まず、この下の大学群ですが、ここからは志願者が増加に転じます。これだけでも難化傾向の入試と言うことが考えられます。

女子大は、昨年、推薦入試で取り過ぎた感があって一般入試が厳しくなったようです。しかし、これが今年どうなるかはまったく読めません。もしかしたら、もっと推薦で集まっていることもあるでしょう。これも読みにくい部分です。

理工系の単科大学は、文系に比べると厳しい傾向が見えます。簡単になる雰囲気はなさそうです。

というわけで、今日はこのあたりでおしまい。

 

次回は、模試の判定と河合の予想ランキングについて説明して、分析を進めます。

併願校の決め方はこちら。

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