学びの真似び(まねび) 「学び続ける人」になるために(教育と受験と勉強法)

学習の仕方に困ったことはありませんか?ここでは、「真似び=学び」という形で、さまざまな学習方法へのアドバイスをしていきます。学習の仕方に悩んだら、受験勉強で行き詰まったら、ぜひ訪れてみてください。効果的な学習方法を知って、学び続ける人を目指しましょう!

2020年度センター試験リサーチ分析と国公立出願作戦~若干の難化と超安全志向の関係はどうなる?

こくこうセンター試験が終わりまして、今日は予備校で行われた動向説明会を踏まえて動向分析をしていきたいと思います。

センター試験が土日に終わったと思うと、あっという間に動向分析がされていきます。おそろしい話です。しかし、このデータをしっかり見ながら、国公立の出願を考えたり、私立の併願を考え直したり…とやることは多いです。

もちろん、一番は、失敗した科目、分野の補強であることは間違いありませんが、それでも、データ分析はしっかりしたいところです。

では、説明に入りましょう。

リサーチの判定は当たるのか?信じていいのか?A判定でも落ちる?E判定から逆転できる?

まず、今年の動向の前に、リサーチとは何なのかを確認しておきたいと思います。というのも、一番多い質問のひとつが「信じていいんですか?」「当たるんですか?」「出しても意味ないんですか?」みたいなものだからです。

昨年のものはこちら。基本的に同じ話です。

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まずは、この意味を理解しておかないといけません。大きく、二つのまったく違う見方ができます。

 

当たらない理由~二次がある。

まず、「リサーチが当たるのか?」と言われても、多くの国公立の場合は、二次との合算で決まるわけですから、そもそも何を言っているかよくわからないことになります。

つまり、二次が残っているわけですから、センターと二次の得点順位がまったく同じにならないかぎり、必ず一部であっても逆転は起こります。そうなれば、たとえ一人であっても、センター終了後にボーダーより下にいた人が逆転するなら、上の人が一人不合格になります。

当り前です。

だから、そもそも二次があるなら、A判定にいたって、逆転される可能性はあるわけです。

これは、

  • 二次試験とセンターの配点…センターだけで決まるなら逆転の余地はないし、二次の比率が高いなら、二次の成功失敗で合否が決まります。
  • 二次試験の科目や問題が得意か苦手か…理系なら、センターは数ⅡBまで、二次は数Ⅲなんてことは普通です。だとすると、センターは大丈夫で二次はダメ、とか、その逆とかそういうことは起こります。記述や論述になることがプラスに働くこともマイナスに働くこともありますし、センターに比べて問題が難しくなることもプラスだったり、マイナスだったりしますよね。

大きくわけると、上の二つで決まります。あなたの受験予定校はどっちで、二次はあなたの傾向と相性がいいのか悪いのか?

たとえば、センターの配点が主要科目以外で高く、たとえば理系なのに国語の配点が高く、国語が得意なあなたは上位にいる。つまり、AB判定がある。でも、二次になると、その国語が消えて、理系科目だけになる。で、あなたは理数、特にセンターでない数Ⅲが苦手…なんていう場合、当然、厳しいですよね。

まず、これだけでも、「B判定というのは現時点で上にいるだけであって、逆転されるかどうかはわからない」としか言えません。

だからこそ、分布図とか、昨年の分布図とかを見て、逆転が起きやすいのか、そうでないのかはしっかりと見ましょう。

一般論でいえば、二次の配点が低ければ逆転はしにくいですよね。そして、問題が簡単であればあるほど、失敗して逆転をされることは多くなり、成功して逆転することはできなくなります。逆に難しければ、失敗しても逆転されにくくなり、成功して逆転する可能性はあがります。

いずれにしても、自分が二次の問題とどんな相性であるか、ですから、一概には言えません。

 

当たらない理由~あくまでも予想でしかない=アナウンス効果をどう見るか?

次にこのラインそのものが当たるか?ですね。

まず、これが予想であるからこそ、はずれる…というような現象も起きる可能性があります。アナウンス効果というやつです。

難しいよと言われれば、やめますよね?簡単だよと言われれば受けますよね?

こういうことが、予想するからこそ、起きてしまうわけです。

もちろん、各予備校もこうしたことを踏まえて予想してはいますが、こうしたことを当てきるのはとても難しいのです。

では、私大のセンター利用のように、すでに出願が終わっていて、しかもセンターだけであるとするならば、当たるでしょうか。

必ずしもそうとは言えません。

まず一番核心をついているのは、「大学の事情」がわからないことです。

  • センター利用で集まりすぎたことを反省しているのか、それとも受験生を集めるために、あるいはセンター利用が優秀だから多めにとりたいのか。
  • 定員管理に失敗していて、今年は絞らないといけないのか、逆に多くとらないといけないのか、それとも定員ぴったりを狙うのか。
  • そもそも昨年の発表では、歩留まりが悪く、定員を確保するためにもっと合格を出すのか、それとも歩留まりがよかったので、合格を減らさないといけないのか。
  • ボーダーラインが低く、ライバル校やライバル学部に差がついてしまったので、定員が集まらなくてもボーダーを高くしたいのか、昨年ボーダーが高すぎてセンター利用の受験生が大きく減ったために受験生を増やすには合格を増やさないといけないと考えているのか。
  • すでに指定校推薦、内部推薦、AOなどでたくさん集まっているから定員通りにとれなくなっているのか、逆に不人気であるために合格を増やさないといけないのか。

などなど、様々な大学の事情があるわけで、こうしたデータに上記のものはほとんど含まれているとは思えません。

だから、わからない。

さらに言えば、集めているデータが正確であるかどうかもわかりません。特に定員が少ない大学については、少しのデータのずれが大きなずれになる可能性もあるわけですから。

 

当たらない理由~自己採点は正確ですか?そんなこと、あなた以外わかりません。

そして、最後に、昨年のデータだけでなく、あなたの自己採点が正確かどうかさえわからないんです。

自分ではとれたつもりで、マークミスをしていたら…。いくらA判定でもその点数がとれていないわけですから、それは落ちるでしょう。

そして、昨年の入試結果には、そういうものも必ず含まれています。

実は、自己採点と得点開示がぴたっと合う可能性は、受験生の数でみると本当に少ないんです。80%~90%の人がずれるんだよ、といっても、それは、「どの科目でもミスが起きる」ということではなく、「全科目がパーフェクトにはならず、一か所ぐらいどこマークしたかあいまいになることって誰でもあるよね」という話ではありますが。

でも、中には、「あいまいなところはたくさんある。だから全部×にしておこう」とか「どっちマークしたかわからなくなっちゃった。でもきっと全部〇のはず」とか「マークが抜けて全部ずれたからひどい点数なんだけど、自分ではまったく気づいていません」とか、変な人が必ずいるんです。

こういう人がデータに含まれているという可能性も、データを見る時に知っておく必要があります。

併願作戦をどうするか?前期も後期も、今、出願し、前期に手続きしたら、後期の合格はもらえない…。

国立の入試システムについては以下を見てください。

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要は、今、全部出願です。前期終わったら、後期の出願をするわけではありません。

そして、前期に受かって手続きしたら、後期はアウトです。

前期不合格なら、後期は受けられます。

前期受かっても、手続きしない、つまり、合格を捨てれば後期は受けられます。

でも、手続きしたら、アウトです。

逆に言うと、後期を受けて合格してしまったら、前期受験の追加合格の権利を失います。

たとえば、前期しかない医学部受けて、後期は医学部じゃないところを受験します。受験するのは前期落ちたからです。

この時点で、前期の医学部がかりに、追加候補一番だとしても回ってきません。

かつてあったミスで、後期の合格者(手続き者)に、医学部の追加合格を「間違って」出したことがあるんです。受験生は、医学部行きたいですよね?どうなったかというと、国立の手続き者に合格は出せないルールがあるわけだから、「追加合格は取り消し」という決定になりました。厳しいですよね。

公立の中期も同じです。前期不合格で、中期と後期を受けた時だけ、日程的に両方の合格を見てどちらに手続きするか決められてしまいますが、前期合格、手続きは、中期の発表前なので、手続きをした時点で受験していても合格者から除外されます。

このあたりがよくわかっていないと、ひどい目に合いますね。

 

国立だけでなく、私立の併願とも出願は関係してくる…逆に言えば、国立だけで出願を完結させない。

さて、このルールは、私大の併願校決定とも深く関わります。

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行きたい私大にとまるなら、国立はとまらなくてもいい。国立でとめるなら、私大はチャレンジでもいい。

大事なことなんですが、たとえば、家庭の事情で絶対国立なんです…と言われれば、それは国立で受かるところを探す以外にありませんが、私立への進学を考えられるなら、併願作戦は決して、前期・後期だけでなく、私大をからめて全体的に考えられます。

たとえば、絶対に受かる国立に出すとします。しかもそれはあなたの本意でないところ。だとすれば、滑り止めを国立で作ったわけですから、私大はその国立より行きたいところを中心にすべきです。

逆に、厳しいけど国立にどうしてもチャレンジしたいとします。その場合、失敗すれば浪人です。それを回避するためには、行きたくなくても私大で滑り止め、絶対に大丈夫なところを作るしかありません。それがチャレンジの条件です。

両方理想で突っ走れば、高い確率で浪人。逆に両方安全策で行く…というのはよほど慎重としかいえません。

現状の後期入試の位置づけ

さて、とはいえ、後期入試はどんどん数が減っています。一方で、後期を残すことで、優秀な併願者を確保できている大学もあります。

現状、上位大学がずいぶん後期から撤退したために、後期がレベルアップする大学は多いです。千葉大あたりだと、それこそ東大受験者あたりから併願が始まりますので、非常にレベルが高い。もちろん、後期受験までに早慶の発表が終わっていますから、本当の上位者は欠席しますが、それでも国立にこだわる受験生もいて、千葉大あたりだと前期千葉大受験で後期再チャレンジの生徒はほとんど合格できない現状になっています。

しかし、地方に行くと、さすがにそのレベルの併願者はいなくなります。一方で、今の受験生は後期までがんばれない。したがって欠席率は異様に高くなります。もちろん、休む受験生は私大でそこそこのところをとった受験生ばかりですから、他を合格している受験生こそがいなくなる…というような現象も起きるわけです。

だから、もしあなたが行ってもいいレベルの大学の後期が残っているなら、実はむしろ逆転しやすい可能性があるんですね。行きたいレベルの大学の後期はかなり難度があがるので、前期で狙うしかないんですけど、全国的に見ると後期がチャンスという大学はたくさん残っているわけです。

 

前期チャレンジ→後期おさえ

というわけで国立の出願パターンの典型は、前期チャレンジ、後期おさえになります。だって、前期でチャレンジしないと、無駄になるからです。

しかし、この方式の問題点は、後期が行きたくない大学であること。

この間に私大があり、実際には私大の合格を確保している場合、その私大より後期の大学に魅力を感じていないと、結局「欠席」するわけですね。

欠席するぐらいなら、チャレンジした方がまし…ということにもなります。

だからこそ、後期はチャンス。受けにくる人の大半は、その大学より下の合格しか持っていないのがふつうですから。

前期チャレンジ→後期チャレンジ

となると、次の作戦は、私大で滑り止めを作ることを前提に、両方、そこそこ行きたいところ、私大の滑り止めより行きたいところを、少々厳しくても受験することです。

早慶の模試判定がABで固まっているとするなら、たぶんMARCH全滅する可能性は低いです。ある程度受けていれば、ですけど。

だとすると、それより行きたくない国立って意味ないんじゃないかってことです。

もちろん、センターで失敗したのは私大失敗につながる、何か欠陥があるかもしれないから、そこはなんとかする前提ですけど…。

MARCH、AB判定出ているなら、数受けると仮定すれば日東駒専はだいぶ安心できるはず。だとすると、地方国立本当に行きますか?いや、私なら地方国立選びますけど、それは私がそっちがいいと思っているからで、「自宅から通いたいから地方は…」というなら受けても仕方ないんじゃないですか?

というか、滑り止めになる地方国立、つまりAB判定が出ている大学に出して、二次含めて大丈夫と思っているなら、私立はそこより行きたいところを中心にして構わないわけですね。

いずれにせよ、意味のある出願を考えると、意外と、私立で滑り止めがあるとふみ、後期に判定が出ていきたいところがないのなら、両方チャレンジにするのも手です。 

前期おさえ→後期チャレンジ

そして、現実的な折衷案としては、逆にするパターンを私はおすすめします。というのも、センター試験で失敗した場合、現実的には私立を中心に考えざるを得ないし、しかも私立の判定が出ていても、センターで失敗した以上、何かしらの穴があることも考えられ、そうなると私立でも思うような結果が出ないかもしれないからです。

この時、国公立をムダにしないためには、前期で滑り止めやある程度確実なところを作ってしまう、ということです。

どの程度のところに出すかにもよりますが、前期でA判定ぐらいに出すなら、私立は本命中心にチャレンジをしていきます。つまり、国立よりも行きたい私立というイメージですね。C判定ぐらいのところを選ぶなら、私立でもある程度滑り止めを作りながら、行きます。

国立前期までには、私立の発表は終わっていますから、その国立より行きたい私立がとれているなら、国立は受かっていても蹴って、後期にチャレンジ、もしその国立しかとれていないなら、後期チャレンジはあきらめて、そのまま進学、という作戦です。

もちろん、どんなにセンターで失敗しても、本命にチャレンジしたい気持ちはわかりますが、確率がほぼないのなら、こういう方が国立を有効に使えます。

D判定、E判定からの逆転はできるのか?~得点にして考える

上記のようなことを考えるときに重要なのは、得点にして考えることです。

「がんばればなんとかなる」

「根性で!」

などというのは、ことここにいたっては意味がありません。必ず得点にして考えましょう。

たとえば、センターで100点のビハインドがあるとします。これを二次300点で逆転する必要がある。

この場合、ボーダーラインにいる人たちが、201点以上とった瞬間、満点をとっても不合格です。もちろん、リサーチの「100点ビハインド」が当たっているという前提は必要になりますが、その場合はどうにもできないのです。

仮に190点だとしても、あなたは300点中、290点とらないといけない。これは、可能なのか?

しかも、逆転する人はあなたより、センターで100点多くとっている。

つまり、二次の問題を見て、昨年の結果でいいから、おおよその合格最低点をつかんで、そして、それが実現できるかを考える。

 大事な作業です。

一応書いておくと、後期の場合、地方だと欠席が非常に多くなり、もともとのボーダー予想の根底が崩れる可能性があります。山ほど欠席した結果、予想されたボーダーがはずれる、ということです。

だからこそ、大失敗した人ほど、後期はあきらめずにチャレンジしたいし、有効に使いたいところ。

もちろん、ある一定レベルの大学、地方から受験したくなるような首都圏の大学などでは、欠席はあるんですが、ボーダーが大きく変わるほどの変動は少ないんですね。なので、地方国立を有効に受験に使いたいところです。

 

全体傾向~5教科7科目は文系2.1%、理系2.4%平均手が下がる。80%の上位得点者が特に減少。3科は文系で1.8%、理系で3.7%減少

というわけで、今年のセンター試験の平均点ですが、全般的に平均点が減少しました。

5教科7科目文系で2.1%、理系で2.4%、平均点が下がります。

科目別でみていくと、英語筆記、英語リスニングで、昨年に比べて上位得点者が減りました。

数学ⅠAの難化は、実は上位得点者が極端に減っていますし、実は数ⅡBでも上位が減っていて、中下位は変わっていません。

国語も多少ですが、上位で減少。

上位が増えたのは、地理と倫理政経、あえて足すなら化学ぐらい。

というわけで、7科目にすると、

文系で、80%以上が前年比71%、60~70%が前年比92%、

理系は、80%以上が前年比77%、60~70%が前年比93%、

となっています。

つまり、上位大学を狙う生徒ほど、難化の影響を受けて目標点がとれなかったということです。60%以上の地方国公立を狙っている層を含めても、実感としては「失敗」という印象で現在いる生徒が非常に多いと推測できます。

私大を中心とした3科目に目を向けると、文系は1.8%減少ですが、たとえば私大でありがちな現代文のみにするとむしろ、ボーダーは若干ですがアップです。数学選択者は圧倒的不利ですが、社会選択の生徒はさほど影響を受けていない。理系は、数学の影響があって、3.7%も下がっているし、上位者が圧倒的に減っていますから、おそらくボーダーは下がるでしょう。

 

強気出願・逆転を狙う年!安全志向に加えて、平均点減少「問題難化」の安全志向がプラスされると…上位大学ほど敬遠傾向が顕著になる。

これは結論的にいうと、強気出願の年です。

ただでさえ、安全志向ですから、「強気」を主張してきました。

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要は、下げる人というのは、「ぎりぎりの人」であって、そうなると「最後のイス」を争う人数が減るんですね。最後のイスを10人で争うのと、3人で争うのは圧倒的に違う。

そこに、今回、この平均点、しかも上位者、多くの国立のボーダーライン得点近くほど、人数が減る、失敗する、という状況になりました。

これは去年の逆です。

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ちょっと考えてみましょう。

あなたの受ける大学がボーダー80%と資料にあって、1年間目標にしてがんばってきました。

  1. 実際にセンターを受けて自己採点したら80%に届いていました。しかし、平均点が出たら、2%上昇し、ボーダーも82%になっていて、判定はDでした。さあ、どうしますか?
  2. 実際にセンターを受けて自己採点をしたら、76%という結果でした。しかし、平均点が下がっていて、リサーチを見たら、78%になっていて、判定はDでした。さあ、どうしますか?

これを「同じD判定」と気付いた人は冷静で客観的です。でも、全体傾向で、生徒指導をしてきた経験でいうと、1の年、易化した年は、目標点がとれたから、「たった2%」に見えて、やっぱり挑戦したいんです。逆に2の年は、難化して、すでに落ち込んでいます。もうだめだ、4%も下だ…と思っているところにD判定が突きつけられるので、「もう無理ですよね」という感じになります。

つまり、1の年はまして、C判定、つまり82%とか83%とかとった生徒があきらめるわけもなく、下手をすれば、もともとの目標の80%近くをとれた76%ぐらいの生徒までがあきらめずにつっこみます。結果、ぎりぎりほど激戦になり、逆転がしにくい。

ところが、2の年、つまり今年ですが、ただでさえ、あきらめムードなので、下手をすれば、80%目標で78%をとれた生徒が、C判定なのに「でも絶対じゃないよな…」とさえ考え出す。だって、1つ下げればBやAがあるんですから。

これが今年です。

つまり、逆転しやすい年なんです。もちろん、上で書いたように、二次の得点比率で逆転できる点でなければだめですが、強気が報われやすい年です。記述模試で判定をとっていた生徒は、ちょっとしたことで弱気でなく、強気で攻めましょう。

少なくとも、昨年は「易化→逆転しにくい、センターの結果がそのままの年」でした。今年当たる保証はありませんが、安全志向に安全志向が重なる年である以上、弱気は禁物です。模試の結果、二次試験の問題、逆転すべき得点、このあたりに整合性がとれれば強気でいくべきです。

 

系統別の分析~首都圏を中心に。本当の易化は「5%以上、下がったところ」難化は「1%上がったところ」

つづいて、系統別に簡単に分析しています。正確なデータは、予備校のサイトや学校の資料で確認してください。

まず、ボーダーが上がった、下がった、といいますが、平均点が下がればボーダーが下がるのは当たり前です。

ですから、平均点の下降以上に、難化したか易化したかというのは、難化で1%上がる、易化で5%下がるぐらいです。その間は「昨年なみ」です。

こんな感じで見るといいでしょう。

前期と後期~すでに後期はあきらめ、書くこともしていない…

まず、前期と後期を比べると、後期は前年比91の記入しかありません。つまり、すでに書く前から、「とれなかったからあきらめた。もう書かない」ということでしょう。全般的に、後期の方がセンターで決まる可能性が高いわけですから、高いセンター得点が必要で、しかも二次での逆転が難しい。

しかし、こうして出願が極端に減った場合、もともと欠席が多いことを考えると、何かが起こる可能性があります。センターの得点が極端に低いならともかく、注意ラインより上にいるぐらいなら、狙っておく方がよいのでは…と私は思います。

出願しない、さらに少ない受験者が多く欠席…結果たなぼたのように逆転可能に変わっている、というのは賭けかもしれないけれどある気がします。

まだ、下げて他に出すならいいですが、「出さない」のなら、賭けてもいいんじゃないでしょうか。

地方と首都圏~地方はそれでも出願するが、首都圏は撤退気味…

地方は、やはり私大に逃げることができないでしょうから、それでも書いているようです。ここから受かる所を探すのでしょう。

しかし、首都圏になると、「失敗した。だから、国立はあきらめて、私立にしよう」という印象。これも、逆転を生むひとつの要因になるはず。

第一志望はだめでも、1ランク2ランク下げたところも、みんなあきらめムード。CとかDとかなら、まだまだチャレンジする価値はありますよ。

例年より、必ず逆転できるはずです。

難関大学

それでは難関大学です。

難関大学は東大ふくめて、ボーダーが大体2~3%落ちているところが標準的。中には前年並みのところもありますが、総じて、「前年なみの難易度」というところでしょう。平均点が2%下がったのですから、ボーダーも2%下がる。当たり前ですね。

しかし、よく資料を見ていくと、昨年の分布図と比べると、下に行けば行くほど、どんどんうすくなる印象です。

たとえば、東大文Ⅱ。

昨年のボーダー付近が90%で397人。今年は345人のところが88%です。ボーダー予想は昨年が91%で、今年が89%。まあ、そんなもんですよね。

ところが、です。昨年の86%以上が689人なんですけど、今年は692人いるのが、80%になるんですね。

つまり、ボーダー下から逆転を狙う層が現段階でも薄い。

これは大学や学部によって多少の傾向の違いはあるし、また、アナウンス効果もありますから、動きます。

でも、全体的に、ボーダー下回ったあたりで、どんどん薄くなる。安全志向の傾向が出ています。

たとえば、東大の文Ⅱの場合、さらに「一橋は集まっていない。易化傾向だ」という情報とセットになります。これ、意外と狙い目になるんじゃないでしょうか。もちろん、二次力ありき、ですけど。

東大狙う人はチャンスの年です。

理Ⅰの場合、ボーダーは90%のところで昨年1026人、今年926人で、昨年が91%、今年90%予想です。しかし、86%で見ると昨年は1978人、今年は1733人です。つまり、200人以上違う。競争が200人減るともいえます。ちなみに昨年の人数に近いのは、2070人の84%。同じ人数で争うとするなら、昨年86%で受験に踏み切るなら、今年も84%で受験していいという理屈になります。

一橋大は中でも敬遠傾向が顕著でボーダーも下がり気味です。アナウンス効果は怖いところではありますが、たとえば社会の場合。

昨年ボーダー90%は172人でしたが、今年は近いところが213人の86%でボーダー87%予想。で、昨年4%下の86%が393人で、この差220人が最後のイスを争ったわけですが、この220人というところを探すと、404人の82%。

印象としてはとても一橋を狙う得点ではない得点率です。もちろん、ここから逆転できるかどうかは別の話で、何度も書きますが、二次対策、模試の偏差値など見ないといけないですけど、昨年の分布図とこのように見比べて、しっかり戦術は練るべきだと思います。減少しているのは、ほぼ80%以上の受験生で、当然今回の平均点を見れば、最上位も減るんですが、ボーダー上からぎりぎりがどんどん減っているんですね。

後期にいたっては、90%をまたぐ層ががくっと減っている。明らかに狙うべきです。

ただし、私としては、「一橋易化」という情報が流れすぎていて、アナウンス効果で上昇するのが怖い印象は強く持っていますが。

でも、強調したいのは、ボーダーすぐ下ぐらいで、逃げるの?ということです。大逆転は厳しいにしても、D判定なら、データをよく見よう、ということですね。

ちなみに東工大も一橋ほどではないにしても、敬遠傾向がありそうです。

 

人文学系統

では、ここからは学部別系統です。

人文学系統はのきなみ2~3%ボーダー下降です。地方だと70%を切っています。だとすると、まだまだ諦める印象ではありません。千葉大ぐらいで75%を切っても諦める状況ではないように見えます。首都圏では特に受験生が92とかなり少ない印象です。

法学部

やはり同様に2%程度のボーダー下降。地方に行くと1%程度の下降ですが、70%は切っています。首都圏では受験生が91%と減っていて、75%で都立大、77%で千葉大ボーダーです。70%あれば、関東にとどまれるし、さっきからの2%下ぐらいまで行けるよね?という話を入れると70%越えていれば、チャレンジする手と安全に行く手が選択できる状況です。

経済・経営・商

経済系もおおよそ2%ボーダー下降。地方は70%を切っているところがほとんどです。公立大が多くあることもあり、60%台でも受験校を探せます。

首都圏は89とかなり受験生が逃げています。都立大で75%ぐらいがボーダー。70%ぐらいなら埼玉、茨城に手がかかります。安全に行くなら、新潟とか長野県立とかは70%を切っている印象ですから、70%あれば選択できます。

教員養成

地域によって差はありますが、完全に狙い目系統です。教員はブラックなんでしょうかね…。

高くて75%ボーダーぐらいで、大部分の教員養成系は高いところで70%で、低い系統だと50%台がほとんどです。つまり、教員養成系なら60%前後でもたっぷり探せるよ、ということ。

関東で見ても千葉大の小学校が70%を切っていて、技能系教科になると60%です。

ただ、教育系は専門科目がついていると、定員も少なく、学芸と千葉とかでアナウンス効果が起きやすいので、出願には十分注意してください。

理学

理学系統は、受験者数は前年並みです。

御茶の水物理とか、いくつかのところではボーダーアップも出てきます。ただ全体で見ればボーダー下降がほとんどです。70%あれば、千葉、都立、横市など狙えなくもないし、埼玉が70%ボーダー。地方になれば60%を切る大学もありますから、選択ができます。

工学

工学系統も前年より微減程度。理系はやや人気を盛り返しましたね。

しかし、ボーダーは、理系の難化を受けて、2~最大5%下降ですので、まだまだあきらめる状況ではありません。

千葉大で72%~76ぐらいですから、だいぶ易しい印象。たとえば、72~74%ぐらいがボーダーの系統なら、70%越えているなら、まだ検討の余地があるはず。また、関東で60%前半ぐらいのボーダーも探せますから、例年より失敗しても受験ができる状況ですよ。

農学

 受験生は減少傾向。

千葉大で72%で、全国的にはボーダーが50%台~60%台。

なので、探すべきだと思います。農学部は私大で併願を探すのが難しいので、しっかりととりたい。関東の中でも60%どころか50%台で探すことも可能です。

 

センターで70%を切った受験生はどうすべきか?私大は日東駒専より下で激戦傾向が顕著。女子大は今年も推薦が一般を圧迫する傾向に…。

というわけで、簡潔に見ると、70%ぐらいがとれていれば諦めるどころか、まだまだ選択ができる状況にあります。

70%を切ったとしても、まだ地方は十分合格できるし、60%前半でも受かる所は見つかります。

ただ、ですね。ここ、結構重要です。

というのは、私大は安全志向で、

  • MARCH以上易化
  • 日東駒専以下が難化

という予想です。

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となると、センターで65%ぐらいの受験生が、むやみに第一志望につっこむと、私大勝負になるわけですが、激化する中堅以下の大学を合格できるのか?

結構、あやしいです。絶対落ちるとはいいませんが、センターで70%切った受験生が、そのあたりを「滑り止め」と言えるのか…。

つまり、もしあなたが国立勝負でやってきて、それでも60%を越える得点があるなら、たとえば地方でも受けておけば、最悪の状況はまぬかれるわけです。

これ、結構、重要。

「センター失敗、あきらめて私立!」とやった瞬間に地獄に突入。

「センター失敗。でもここまで7科目やってきた。私立は厳しい。本意ではないけれど地方も受けよう!」とすべきです。

地方は、いいですよ。確かに関東で就職するとなると、就職活動で戻ってくるのが手間ですが、私が思うにデメリットはそのぐらい。

「国立」というのは、すごいカードで、優秀な人材にみられるぐらいのことです。

お金だって国立で、地方なら家賃とかもかなり安い。過ごしやすいし。

その地元では、「もっともいい大学」なんですよ。ぜひ検討してください。

 

センター利用私大の傾向は?

さて、センター利用は、出願が減ったようですが、実際にどうなるかは、各大学のリサーチを見てください。でも、何があるかわからないから、合格がくるまでは間引きすぎないこと。

事後出願は、国立同様にアナウンス効果がありますから、注意してください。

ひとつだけ、東京理科大のC方式は、こういう時は狙い目になります。去年は、みんなうまくいって、C方式に出願、併願できない外部検定型が穴になる、と予想してその通り。今年は、センター失敗したから、外部検定型にしよう、という感じになるかもしれません。

まあ、もともと理科大は理科大第一志望層、入ったらうれしい層は英検2級でもちゃんと持っていないことが多く、英検2級は加点なしでも有利なので、どっちが得かは微妙ですが、例年以上にC方式が減るはずです。

 

安全志向の年は逆転のチャンス!

こんなことをつらつらと書きましたが、アナウンス効果がある以上、「賭け」ではあります。当たるかはわかりませんが、今年はとにかく「逆転のチャンス」の年。しかも、安全志向に安全志向ですから、逆転に逆転が重なるような年。

中堅以下にとって、私立は厳しいでしょうから、センター50~60%でも逆転信じて、強気でいきましょう!ただ、客観的な数字はよく見てね。

あと、国公立の出願ルール、受験ルールはしっかり理解してくださいね。

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