学びの真似び(まねび) 「学び続ける人」になるために(教育と受験と勉強法)

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2022年度大学入試で調査書のデジタル化が目指される!ポートフォリオはどうなるの?

2022年度入試で、大学入試の調査書のデジタル化を目指すという話題がでてきました。ここから大学入試がどのように変わるかを推測してみたいと思います。

ePortfolioが行き詰っていますよね、でも、調査書がデジタル化されなきゃ何も動きませんよ、なんて書いていたら、やっぱり、調査書のデジタル化の話が上がってきました。いやあ、やっぱりやってきますね。

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一応、私としても、意外と早くやってくるとは書きましたが‥。

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とは書いていましたが、いざ、来るとなるとやるな、文部科学省、という感じ。まだ、「目指す」という表現ではありますが、これが今後どのような入試の状況になるかを読んでみたいと思います。

 

どうして調査書はデジタル化されるのか?

これからの入試では、学力の3要素、「知識・技能」「思考力」「主体性」の3要素をどの入試形態でも問うことになっていきます。「知識・技能」と「思考力」については、いわゆる「試験」の工夫によって問うことができるわけですが、「主体性」は面接でもしない限り、なかなか問うことはできません。たとえば、推薦やAOであれば、自己推薦書、志望理由書というような形で、大学で学びたいことや志望動機、これまでにやってきたこと、大学での修学計画など、さまざまな形で「主体性」をみて、合否を判定することに使えたわけです。

これは多分に、受験生の数が限られている、ということによって可能になるわけです。多少、違う軸でアピールをしてきた受験生がいても、人数が少なければ、それぞれの大学が、それぞれの評価軸で判定をすることができます。

しかし、一般入試となると、全員ですから、特に私立大学ではそうはいきません。しかも、これが紙媒体の調査書や、仮に推薦同様、志望理由書を提出したとしても、紙媒体の理由書では、データに載せるだけでも大変な作業です。

実際に、高校入試でも、調査書から拾う作業を入れることがあるのですが、ものすごく大変です。第一に、手作業で文章などからどこに書いているかもまちまちなものを、拾ってデジタル化しないといけない。第二に、拾うものを恣意的に決めなければいけない。第三にその拾うものが多様であるため、拾ったあとに得点化したりする比較の基準を恣意的に決めなければいけない。

こんな感じです。高校入試なんて、しょせん何百人、せいぜい1000人オーバーの受験生ですが、大学入試ともなると、大変な作業なわけですね。

事実上デジタルのものがなければ、無理です。というわけで、ePortfolioなんてものが動き出しましたが、前に書いた通り、結局義務化することもできるわけはなく、義務化するなら、調査書の方が先だ、ということになるに決まっていたわけです。

こうすることによって、とりあえず、いくつかのものが拾いやすくなります。

第一に、クラブの結果。「インターハイ」なのか「全国高校総体」なのか「全国高等学校総合体育大会」なのかで、拾えなくなったりするんです。県大会だって、「全国高校総体〇県予選」なのか「〇県総合体育大会」なのか、関係ない県大会なのかによって、拾えなくなったりします。これがプルダウン形式になれば拾える可能性が出てきます。

続いて検定系。共通テストによって、ある程度大学は参照できるわけですが、それ以外でどんな検定で、どんな得点をとっているか、拾えるようになります。

第三に、海外経験。留学などの期間や国なども簡単に拾えるでしょう。

そして、ボランティアや探求学習なども拾えるようになります。どう使うかはともかく、拾うことだけは進むわけですね。

 

主体性の得点化は進む?じゃあ、ePortfolioは?

2021年度入試から私立大学も一般入試で主体性を使わなければいけません。ほとんどの大学は「提出、ただし合否判定には使わない」という形のようです。 

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この段階では、当然、調査書のデジタル化の話はありませんでしたし、現在においても2021年度ではデジタル化されないわけですから、自分たちで集めるしかないわけです。本気なら、Web出願の時にデジタル情報で集めるはずです。やる気がないなら、形だけで何もしないはずなので、「紙媒体でもいいよ」とやるような気がします。

一方、国立では、筑波など主体性を得点化する大学もまじっていますね。これは、やっぱり受験生の人数によるところが大きいです。足切りうまく使って、合格者(しかもこれはほぼ入学者の人数)の3倍ぐらいであれば、全部きちんと読むこともできますからね。

戻りますが、ここでなんとなく気が付いてきたと思います。

大学にはふたつの動機があるんです。

一つは、「やれと言われたからやりたくないけどやらなくちゃいけない」「だからできるだけ省力化してやる」という動機です。こうだとすると、これは「実績」になるはずです。おそらく、次のもの。

  • 英検などの各種検定
  • スポーツや文化活動の成績
  • 生徒会活動
  • ボランティア活動
  • 海外経験、留学経験

下に行けば行くほど、あいまいになって使いにくいですね。こういうたぐいのものをデジタル情報でもらって機械的に得点化する、という流れができるでしょう。もしかしたら、ここに評定平均も入るかもしれないですね。

二つ目の動機は、「よりよい学生をとりたい」という動機。ePortfolioなんて動く前から、すべての大学が推薦入試、AO入試で、志望理由書や自己推薦書、実績を書かせ、面接などで、つっこんで確認してきたように、こういうことをまじめにやりたいという大学も、出てくるでしょう。だって、うまくいっているから継続してきたわけで。本当は一般入試でもやれるならやるに決まってます。できないだけの話ですね。

でも、総合型選抜や学校推薦型選抜で、これをやるなら、必ずしも「e」つまりデジタルである必要はない。人数が少ないし、データ化するというよりは、読んで、チェックして得点化できればいいわけで、そのものがデータ化される必要は必ずしもないわけです。わかります?要は、読んで「すごいね、この子。A」とか「全然ダメ。D」みたいなことですね。

そうなってくると、ePortfoiloは要るのか?ってなりません?これ、おそらく、一般入試でも、きちんとやりたいっていう大学に限られてくるような気がするんですけど、私が聞いている限り、実績を拾って得点化するノウハウのようですから、入試ではほとんど意味がないんじゃないかと‥。

もし、義務化できれば、大学のポートフォリオと連携させて、その子の高校時代の経験を大学で教育にあたるときに参照するというような活用は考えられますし、そうなったうえで、改めて入試で、どんな生徒を優遇すればいいかが見えてくる、なんていう気の長い話ではとても意味のあることのはずですが、現実には、すたれていく‥というのが、今後の流れのような気がします。調査書のデジタル化で十分じゃないかってことです。

 

2021年度入試の調査書変更は?主体性入試は?

さて、2023年度の入試で、この変更が目指されているわけですが、2021年度から本来、調査書の変更が目指されていたはずです。これはどうなっていくんでしょうか?

どうも、やらないんじゃないか、という雰囲気ですね。文部科学省のサイトに、大学入学者選抜改革の説明があって、そこに調査書変更の話もあるんですが、あらためて読んでみると、年度がうまくぼかされていることに気づきました。「評定平均」の名称を「学習成績の概況」に変える、という以外は、実は、「時機をみて」とか「段階をおって」的な表現でぼかしているんですね。

いや、うまくやってあります。

つまり、調査書の変更は、下手をすれば、新指導要領までやらない、ということのようですね。

だから、おそらく、2021年度入試は今のままでしょう。そのあとはふたつが考えられる。ひとつは「デジタル化と同時に実施」。これなら、「調査書の上限がなくなる」というのもよくわかります。もうひとつは「新指導要領と同時に実施」。とりあえず、デジタル化だけ進めて、うまくいったら、「上限撤廃」みたいな手でしょう。

なるほど。というわけで、教員側はしばらく調査書の心配はいらないみたいですね。

とはいっても、2023年度は見据えないとまずいですけど。

じゃあ、主体性入試は?これは話が別です。やるって言っちゃったからです。だから、2021、2022年度は、各大学が独自に、情報を集め、入試で使ったり、使わなかったりするようなことになるんでしょう。

で、受験生からすると、総合型選抜や学校推薦型選抜の重要性が増していき、ここではまじめな主体性入試が行われるし、一般型選抜でも提出は義務付けられるわけですから、ポートフォリオはやっておきましょうね。

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実際に2023年度に調査書はデジタル化できるの?

最後に気になるのは、これです。どうなんでしょうね…。厳しい気がしますけど…。だから「目指す」になっているんですよね。

でも、とりあえず、その準備を現段階としてはするしかない。そういうことなんじゃないでしょうか。

といっても、これは教員側の問題で、生徒の問題ではない。生徒の側で考えれば、総合型選抜、学校推薦型選抜を見据えて、ポートフォリオをすするめるしかない。別にeである必要はないですけどね。

というわけで、ニュースから、トピックを拾いました。

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