2021年度入試に向けた英語外部検定の成績提供システムに関連して、まだまだ混乱が深まりそうな状況になってきました。今日は、何の建設的なこともなく、そのことについて、思うことを書きたいと思います。
高校2年生には、すでに受験を意識させ、志望校なども真剣に検討させて、次年度の科目選択などもさせる時期に入っているというのに、まだまだ落ち着きそうにありません。
というわけで、今日はあまり好きではない愚痴めいたつぶやきです。
こんな記事とか
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こんな記事をどうぞ。
自分がまとめるまでもなく、みなさんがいろいろな観点から調べてくださるので、非常にありがたいですね。
私自身は、「とにかく対策をすすめる」というスタンスなんですけど、今日はそうはいっても愚痴でですね。
英検S-CBTの予約期間は1カ月延長!GTECは?
まずは、ほっと一息のニュースから。英検が予約期間を1ヶ月延長しました。
個人的には、英検さんに恨みはないですけど、違うだろ!と思っていたことも多いのでほっとはしました。
そもそも、GTECなどが方式をまだ明らかにしていないことは問題があるとは思います。しかし、どんな検定であっても、入試であっても、1年前の予定を今決めるなんていうのは、聞いたことがないし、無理でしょう。それが正しいと思うなら、従来型の英検も、1年前に来年の分の予約を全部させるようにすればいい。
だから、確かにGTECが遅かったり、各大学の入試詳細が見えないなどの問題点はあるけれど、「予約」っていうシステム自体がそもそも、むちゃくちゃなんです。
とりあえず、1カ月でも遅れることになったのは非常にいいことだと思いますけど、少なくとも次年度以降は、だいたい見えるでしょうから、こんな時期の予約制度は廃止してほしいものです。
ですから、GTECもおんなじです。このあと、結局予約システムなんていうバカげたことをいれてくれば、結局は同じ穴のムジナだし、それをしかも来年までやるようだったら、「ふざけるな」っていう話です。
でも、考えてみれば、そもそも今の高校2年生は、「何人受けるかわからない以上、必要な会場もわからないし、予約システムも仕方がないよね」って自分自身が書いているようで、自己嫌悪に陥ります。何事も最初は、多少の不明確な部分が出て来るとはいえ、希望したら希望者がみんな受けられるように、あわてて会場増やそうが、近くの違う会場になろうが、なんとかなるようにするのが「入試」というものではないでしょうか?
まあ、ともかくも、きっと受験したいものが、受験できると信じて、とりあえずこの話はここで止めます。
まずは、一カ月のうちに、GTECが概略でも発表してほしいものですね。あ、どうも日程は出ているようですよ。
本来は、「予約の仕方」を発表するんじゃなくて、会場設定と申込み締切日を発表してほしいわけで。それが検定ですよね。4回の日程のうち、地方によっては会場を設定しない、とか訳のわからないこと言ってないで、どんなに人数少なくても、監督減らせばいいんだから、検定としてはやるべきですよ。
よろしくお願いしますね。
「延期法案」の提出の盛り上がり…
で、その一方、ここに来て活気づいてきたのは、「延期」を求める声ですね。何をいまさら…って感じではあります。まあね、ここまで何も考えず、高校2年生になって、「何?外部検定って?」というような生徒にとっては福音でしかないですけど、ここでやめたとして、準備してきたまじめな受験生はどうなるのかって考えるだけで、うんざりします。
そもそも制度そのものに文句があるなら、最初にやるべきです。「外部検定なんて…」とか「公平性…」とかいう意見ですね。批判的な方の場合、最初から声をあげてきた方もいらっしゃるわけで、その人が大きな声を上げ続けるのはわかりますし、外部検定の「会場問題」なんていうのは地方にとっては、きっとものすごく重要な問題だったはずで、その会場が担保されないなら、これも今になって声が大きくなるのは仕方がありません。
だから、こういう批判的なうねりが起こることは当然なわけで、別に悪いことでもなんでもありません。
でも、ただ変わることへの不安、文句みたいな層を巻き込んで大きくなるとすれば、それは混乱の先送りでしかなく、導入時に必ず同じことが起こります。
要するに、原理原則的な不満層は、そもそもこの施策に反対である以上、ある意味でいえば、大学入試は変わるべきではない、という意味で一貫していますが、そこに「いや、拙速なんだ」という方が加わると事態は複雑です。拙速である以上、延期する必要は論理上出てきますが、それは逆に言えば、拙速でなければやる、ということですから。このふたつの考え方が手を組んでしまうのは、どうかなと思うわけですね。
まあ、愚痴でしかないですけど。
さて、整理しましょう。いまさら、延期になるとはとても思えませんけど、とりあえず、どんな状況にあるのか考えてみましょう。
国立大学は成績提供システムを使うはずだったけど…
まず、そもそもこのシステムは国立大学が全面的に使うはずでした。しかし、どんどん弱まっていきました。しかも最初の発想のころは、センターから英語がなくなって…ぐらいから始まっていたはずだったんですが…
センターの英語はそのままになりました。
外部検定は事実上、出願基準で、しかもA2とか下手をするとA1とかになりました。
で、東大様が、受けてなくてもいい、とか言い出しました。
こうなると、地方(東北、北海道地区ですよね)の検定会場が確保できないところを中心に、「出願要件ともしない」という大学も出始めました。
こんな感じです。こういう観点からすれば、「いっそのことやめちゃえば…」という意見も出るでしょうし、一方で「別にやったところで、公平も不公平もないでしょ」という意見も出るでしょう。
推薦入試とかでは、英検の級取得の義務付けがはやってきている…
でも、問題はそれだけではありません。この成績提供システムとは関係ないところで、様々な動きがあるからです。
来年の話はさておき、指定校推薦、公募推薦などでは、この英語外部検定の義務付けはかなり幅を利かせはじめているからです。
自分が首都圏にいるせいかもしれませんが、立教大学とか、芝浦工業大学とか、指定校にも英検の級取得の義務付けをしている大学の話が入ってきます。早稲田のある学部学科は、なんと準1級指定だったとか。指定校ですよ。
国立大学に目を向けても、公募推薦やAOなどでは、当然旧帝大レベルではありますが、英検準1級より上でないと、事実上出願できない入試を目にします。あるいは、それ以外の実績を認めている場合でも、横に「英検準1級」が並んでいれば、それ相応の実績が必要なんだろうなと想像ができますし、あるいは取得していない場合、どうみられるんだろう、と気になるところでもあります。
これは、大学自体の問題であって、質の高い学生がほしいし、そういう学生によって大学自体が評価されていくそういう時代に入っている以上、おそらくこの要求は続いていきます。
したがって、今回、成績提供システムが延期になったとしても、外部検定自体の重要性が薄くなるわけではないし、私は散々書いているんですが、おそらく推薦入試などでは、少なくとも今まで高い出願基準で課していた大学が、急に下げるなんていうことはないと思うんです。
ありうるのは、今まで基準がなかった大学が、成績提供システムができたのをいいことに、急に外部検定の一定基準、おそらく一般入試と同程度を要求するということぐらいで。
話は戻しますが、推薦などではこうした基準はよりシビアになっていくと私は思っています。
2020年から学力の3要素の義務付けが始まる。その話と成績提供システムは別。
さて、外部検定の成績提供システムが仮に延期されたとして、もうひとつ厄介なのが「全ての入試に学力の3要素を要求する」ということですね。
学力の3要素というのは、
「知識・技能」…いわゆる学力、試験ではかるものです。
「思考力」…これは試験の質の問題です。記述や論述、口頭試問を含めた、試験問題の中身が変わっていく話。
「主体性」…つまり、大学で何をどう学ぶかという姿勢ですね。推薦入試では、いろいろと提出するものがありますが、ああういうものです。だから、まじめといえるかどうかわかりませんが、私立大学の多くは、「Web上などで記入させる。でも、判定には使わない」というのが、多い判断になっているようです。一方、入試判定で使うようになるとすれば、これは「調査書」がベースになるはずで、面接が入るなら書類や面接でそれを判断すると思いますが、今まで通りの入試で、「加点」とかなら、おそらく「調査書」ベースになると思います。
これをすべての入試、たとえば指定校推薦でも、AOでも、一般入試でも問うことになっているわけです。
「指定校に学力?」とか思いますが、実はこれは、小論文でも、英検の級指定でも、口頭試問でもいいわけです。だから、今まで通りで構わないわけですが、一方で、英語外部検定の指定をかける動きも強まりつつあるわけなんです。
一方、一般入試では、「主体性」が問題になります。ここを最終的に加点するときに、外部検定を受けているかどうか、というのも主体性を評価するひとつの基準になっていく。
英語外部検定って、主体性でもあれば、学力でもある、非常に使い勝手がいいもので、結局この役割はどんどん大きくなっていく。
だから、成績提供システムが動かなかったとしても、これを持っているかどうかを結局重要になっていくはずです。
私立大学では、外部検定を積極的に取り入れる動きも。成績提供システム?それとも独自基準?
そもそも私立大学では、外部検定が成績提供システムが動かない今年でもだいぶ入っています。
増える一方、といってもいい。
大学自体が評価をされる時代になっていて、その評価の中には生徒の質、学力もあり、こうした英語力がSGU(スーパーグローバルユニバーシティ)などでは、数値目標化して宣言している大学などもあるわけです。
というわけで、いい生徒をとろうとすれば、当然、こういう資格で担保してこようとするわけですね。
立教大学は、一般入試から英語を抜いて、外部検定で代替することにしましたし、TEAP入試をはじめた上智大学は、一般入試に成績提供システムの加点を決めました。
立教のように独自でいくのか、上智や早稲田政経のように成績提供システムでいくのか、東京理科大のように成績提供システムだけど使えるものを限定するかもよというわけのわからない設定でいくのかはさておき、大学自身の動機として、外部検定が必要となっています。
だから、結局は成績提供システムがとまっても、外部検定はにらみながらやっていくしかないし、持っている人が有利になるわけです。
たとえば東洋大はすでに、「本試験の英語と、級や得点によるみなし得点のいい方をP入試で使う」という制度を入れているわけで、外部検定を受けないことは、損をしたり、受験機会を喪失したりすることにつながっていくと考えられます。
この騒動の結果、少しでも主体的な方向に動いてほしいということを願います
私は、基本的に「やめた」は混乱をもたらすと思っていました。どっちも混乱なんだから、早く決めてくれと。今でも変わらないといえば変わらないかもしれません。
しかし、ここまで混乱するなら、「やめた」でもいいから早く決めてほしい、という気持ちも芽生えています。
でも、私としては「やる」でも「やめた」でもいいので、とにかく事態は前向きに動いてほしい。
つまり、「やめた」の理由は、「準備がととのっていない」「会場などが整っていない」「大学が基準を発表しない」「経済格差がある」などの話であって、だとすれば「準備を整える」「会場などを整える」「基準を発表する」「格差の問題に対策をうつ」などであるはずです。
というのも、結局、大学は生き残りをかけて、外部検定を用いた入試は、成績提供システムが頓挫しても、増えていくはずで、そうなると「外部検定をみんなが受験できるように地方でも会場を増やしていく」ということをしていかない限り、実は、「不公平だ!」と成績提供システムで騒いでいることがそのままに、成績提供システム以外の入試が広がっていくことになります。
大事なことは、地方に会場増やしたり、経済的な援助を考えたりすること。
成績提供システムやめ~た、となっても、国立受ける時に義務のようにあった外部検定の受検をしなくてよくなるだけで(これでも十分だとは思いますけど)、推薦入試とか、私大の外部検定入試とかを考えると、結局は地方の受験生損しているよねって状況は変わらないまま動いてしまうわけです。
特に、今の高1、高2は、「やめた」となったとしても、喜ばないこと。自分の受験する大学のシステムをよく調べて、準備をすすめること。
高校2年生ぐらいまでに英検2級ぐらいは取得する、というイメージは、結局変わらないと思います。持ってないと、推薦・AOとかで損をする確率が高まるし、本当に国立難関目指すなら準1級ぐらいまで到達しないといけない。
決して、英語をやらなくていいわけではありません。
中止を求める人たちだって、みんなが「英検いらないぞ」とか「英検を入試に使うな」とか言っているわけではないんで。
というわけで、今日はただの愚痴でした。正直言って、やめてもやってもいいから、早く決めてくれ(まあ、今のところ「やる」以外ないはずなんで、決まってるんですけど…)、なんて思ってしまいます。ポリシーないといわれれば、ないのかもしれません。自分ではあるつもりなんですけど、ともかくも、当の受験生が対応できる状況になってほしいものですね。