期末試験の季節ですね。
私もテストを作らなければいけない季節になりました。
今日は、受験生のみなさんに、定期試験の勉強をすべきか、受験勉強を優先すべきかどっちにした方がいいか、という話です。
というわけで高3向けですが、高1高2の人も、読んでいただいて、定期試験への向かい方を今から考えてみませんか?
定期試験の勉強を優先するメリット
定期試験の勉強を優先する、という考え方は、「学校の勉強を大切にする」ということにもつながりますね。
当り前のことですが、学校の勉強だって、試験範囲の一部なのですから、「定期試験を優先するのなんて当たり前だよね?」という声が聞こえてきそうです。しかし、そうであるなら、高1や高2のころからやってきた定期試験の勉強によって、受験勉強は確実に進んできた、といえるはずですし、高3になってあらためて、「よし、これから受験だ!」と意気込むのも少しおかしいような気がします。
そう考えてみると、定期試験の勉強はみなさんにとって、受験勉強とはやはり少し違っている、と考えることができるのではないでしょうか。
そのうえで、高3の定期試験優先の勉強のメリットを考えるなら、
- 指定校推薦や公募推薦を考える場合、一定の評定平均が必要になる。
- 成績が悪い場合、補習や課題、追試など、余計な勉強に時間がとられる可能性が増す。
- 少なくとも、受験勉強の範囲なのだから、まじめにやることに意味はある
といったところでしょうか。
1については、逆に言えば、推薦を考えれば、捨ててもよい、と言えます。
2については、さほど成績が悪くないのであれば、捨ててもよいし、悪かったとしても、どうせどこかでやらされるなら、やらされる数は同じ、と開き直れなくもないですね。
3については、まっとうです。でも、本当にそれが正しいなら、高1や高2の時のものだって多少は残っていますよね。
こう考えてみると、受験生になって定期試験の勉強をまじめやっている場合ではないかもしれない、と考えてしまうかもしれませんね。
受験勉強を優先するメリット
定期試験の勉強に2週間費やすとすると、高3の12月までに3回から4回、2週間がとられているわけです。
センター試験が1月にあることを考えると、4月から考えて300日は受験まで切っている中で、14日×4回、すなわち60日=約2カ月の期間がここに費やされます。
今だと約200日。
そこで、
14日×3=42日
はあまりにも痛くないですか?
そうなると「メリットも何も、定期試験なんてどうでもいいよね」ということになりそうですね。
そもそも「定期試験の勉強」って何?
結論を出す前に、この議論の前提となる「定期試験の勉強」とやらを考えてみましょう。
定期試験の勉強は、(もちろん、学校によってはきちんと出してくれるところもあるでしょうが)
- 範囲が指定されている。
- その範囲については、授業が行われている。
- したがって、先生が書いたプリントや板書が手元にある。
- 英語や古文、現代文であれば、訳や文法、単語などの説明が行われていて、正解がわかっている、あるいは正解を作って試験に臨める。
- 数学などであれば、基本的な問題の解法が説明され、少なくとも一部は同じ解法で解くことが可能。
といったところではないでしょうか。
私もできるだけ、「覚えるだけ」の問題を作りたくないと思っていますから、国語のテストで授業であつかっていない文章で試験を作りたくなります。しかし、あまりにそれだけにしてしまうと、残念ながら「じゃあ、授業を聞かなくてもいいよね」となってしまうのが怖くて、やはり、やったところを出すわけですね。全部、説明したわけではありませんが。
でも、そうすると、今度は「覚えればいいよね」みたいなことが起こります。これがやっかいなんですね。
模試の成績と定期試験の成績の関係
ここで、うちの学校のデータを紹介します。
定期試験の成績と、模擬試験の成績は、出口=大学入試の成績とどのような相関関係があるかを追ったデータです。
出口といっても、大学入試の合否結果だと、大学を正確にランク付けしないといけないため、「高3最後の模擬試験=10月中旬」の成績と、高校入試の成績やその後の定期試験、模擬試験の成績の相関を追ってみたのです。
どうなったと思いますか?
実は
高校入試段階の相関は、0.3程度(完璧な一致で1です。)しかありません。
高校入学直後の模擬試験(入学最初の実力ですね)で、0.4前半。
ところが、
最初の中間試験(5月末)同時期の模擬試験では0.6弱=0.5後半の相関になります。これが学年が進むごとに高まっていき、
高2の秋ごろには、定期試験、模擬試験ともに0.7を上回っていきます。
高2の秋・冬で8割程度きまっているというデータを見るのですが、本校の数字上もそんなことが言えそうです。
さて、もうひとつの観点なのですが、同時期の定期試験と模擬試験では、どちらが相関があると思いますか?
実は最初から最後まで、定期試験の方が相関があるのです。しかも、学年が進むにつれ、この相関は高まっていきます。
相関を見ているのが模擬試験ですから、驚きですよね?
でも、考えてみれば当たり前のことで、模試で出題されることは、ほとんどすべて高校の授業、あるいは塾ではじめてやることですから、「素質」のようなものでなく、日々の授業をきちんとしたものが、最終的に伸びるわけです。
もちろん、これは半分、うちの学校が授業をきちんとしていて、定期試験が意味のあるものだと自慢しているのかもしれませんが。でも、多かれ少なかれ、授業が大事、というのは当たり前のことですよね?
もっとおそろしいデータもあります。
本校の場合、高3の12月が最後の定期試験になるのですが、実はこの定期試験で成績が大きく振るわないものは、どんなにがんばっているように見えても、大学入試の結果は軒並み厳しいのです。
これは、ある一定の決まった範囲さえ、学習し、定着していないとするなら、それは大学入試の大きな穴となりうるし、あるいは学習方法の間違いと考えることもできるということだと思います。
定期試験は受験勉強のように
でも、です。
ただ暗記する勉強は訳に立つのか?
品詞分解をどうするかもわからずに、品詞分解の結果を覚えるやり方は訳に立つのか?
自分で訳を再現できないけど、とりあえず訳を読むような勉強は訳に立つのか?
解法を暗記して、似た問題はできないけれど、同じ問題だけは解くことができるような学習は訳に立つのか?
そんな学習に貴重な「2週間」を割くのか?
と考えていくと、そもそもの定期試験の学習の仕方が大事だと思いませんか?
ここまでの話ですが、
というようなところで、授業や試験勉強を受験勉強につなげる話をしてきました。
だからこそ、この7月の試験で
- 受験勉強として試験勉強をする
- その結果、自分の苦手分野とそれを何で学習できるのか、参考書や問題集をみつける。
- それをふまえて、夏の学習計画を立てる。
- そのことをふまえて、秋以降の授業の受け方を見直す。
なんていう流れができるとうれしいです。
だって、授業も受験勉強も同じ。
- 自分の力でやる
- それでもわからなかったところの説明を聞く
- また自分でやってみる
なんで、授業だと、「試験範囲じゃなければやらない」なんてなるのか。
なんで、塾だと受験勉強だと、「試験に出ないのにやる」のか。
おかしいですよね?
高1や高2の人。
高3になって、はじめてこのことに気付いてはいけません。今から受験を意識することが大事。
受験を意識するというのは、なにも、クラブをやめるとか、家庭学習時間を増やすとか、塾に通う、ということではありません。
学校の授業の受け方を変え、定期試験の学習を変える。
それは、「意識を変える」というたったそれだけのことなのです。
それでは、試験の健闘を祈ります!