テストの季節ですね。
試験勉強って「やらされる」「しないといけない」というものだと思いますが、「アクティヴラーニング」という言葉はこの正反対にあります。授業だけでなく、家庭学習にこそ、アクティヴラーニングがあるんだという話です。
定期試験の復習についてはこちらでどうぞ。
一応読んでくれると嬉しいです。試験が終わって気が抜けるところですが、勉強するかどうかでなくて、次のテストに向けて、授業の受け方は見直しましょう。
中学生や高校生のみなさんには、もちろん、学習をしてほしいのですが、でも、やっぱりいろいろな経験をしてほしいです。
だからこそ、授業や定期試験の勉強そのものが無駄にならないようにして、受験勉強でやり直さないようにしよう、学校で勉強してるんだから家では好きなことをやろう、っていうのがこのブログの基本方針です。
まあ、もちろん、家庭学習がいらないっていうことにはならないんですけどね。
というわけで、今日は「アクティブラーニング」について考えてみましょう。
- アクティブラーニングって授業の話?
- 目標を立てやるべきことを考え計画をして実行する力
- 学ぶ方法を知っていて、実践する力
- 意欲をもってさまざまなことに取り組む力
- 友達、あるいは知らない人と意見を交換する力
アクティブラーニングって授業の話?
学校では、「アクティブラーニング」という言葉がはやって、下手をすると言葉自体はもうすたれてしまって、とにかく先生方は大変だったと思います。
言葉はすたれましたが、2020年の大学入試改革が進む中で、「授業は変わらなくちゃ」みたいな雰囲気が学校にあります。
ポートフォリオに、共通テストで国語の記述、英語ではスピーキングが問われるとくれば、そりゃ、何か変えなきゃって感じです。
国語の記述なんかを見ると、駐車場の契約更新の際の確認に、街づくりの議論、で生徒会の提案ですから、「うわ、国語じゃない!」ぐらいの衝撃です。
とりあえず、席をグループにして話し合いをする…
別にそういうことがいけないと思っているわけではなくて、大事なことだし、実際、自分の授業もかなりの部分でグループで実践しているんですが、でも、班で話し合えばいいわけではないですよね?
だって、班の中で、できる子にできない子が教えてもらうとするなら、できる子がアウトプットする練習にはなっても、できない子にとっては先生に教えてもらった方がいいや、ということにもなりかねません。
そもそも、大学入試だって、記述が入っただけで、その他の構成や配点は同じっぽいし(正式発表はされてませんが、試行調査の段階では国語は200点80分+記述分でした。)、2次試験はあるし、どんなに新傾向の問題が出ても、今までやってきた問題も出る以上、ふりきるわけにはいきません。
そもそも、テストで点をとるということなら、きっとまた新たなマニュアルが出来上がり、マニュアル通りに点をとる作業が続くわけですね。
そういう中で、学校や塾、つまり授業は変わるでしょうが、知識を頭の中に入れるという作業と話し合う作業、というような区分けは果たして意味があるのか?
知識が必要なんてのも当たり前。主体的に考え、話し合う力も当たり前。
だから、まず、「知識を獲得する」ということを「アクティブ」に行うという観点で考える必要があると思います。
目標を立てやるべきことを考え計画をして実行する力
となると、まずは、自分でやることを作れるかどうか。昔から「受け身じゃだめだよ」という言葉はありました。
だから、自分で目標に向かってやることを作り出して計画して実現するということが必要です。
だめなこと
- 怒られないとやらない
- 言われたことだけやる
- 宿題でないものはやらない
- 自分で工夫できない
- 試験だからやる、受験だからやる
という感じでしょうか。
では、どうするかといえば
- 目標を立てる
- そのために必要なことを考える
- 実際にやってみる
ということでしょう。
夏休みにどんな過ごし方をするか考えてみるときに、ひとつでいいから目標を立て、そのために何をするか考えて、自分なりにできるといいですよね。
学ぶ方法を知っていて、実践する力
二つ目の観点は、「知識そのものを学ぶ」のか、「学び方を学ぶ」のか、ということ。
たとえば、このグローバルの時代、下手をすれば、第二外国語として中国語もやりますよ、なんて学校だって出てきます。「これからは英語だけじゃだめなんです。中国語ですよ」なんてね。
もちろん、それはそうでしょうが、でも、20年後はベトナムかもしれないし、アフリカかもしれない。
そうなったときに、どうやって未知の言語を獲得するかを自分の経験から実践できるかどうかで、差がつくはずです。
もちろん、最低限のことでいえば、「塾に通う」ぐらいのことでもいいです。でも、自宅で学習をしようとすれば、「学習法の本を探す」「その中からよさそうなものを選ぶ」「実際にやって修正する」というぐらいのセンスって必要ですよね?
だとすると、「言われたからやる」ではなくて、「言われたことをやって、経験として積み重ねる」というぐらいの差がほしいですね。
となると、学校の先生も学習方法を教える、意識させるということが必要になるんですが、本人がどれだけアクティブに工夫するかということも必要になります。
意欲をもってさまざまなことに取り組む力
そうなってくると、学んだことをアウトプットするような場が必要になります。自分からコンクールやコンテストに挑んだり、セミナーや実験教室に参加したりするような意欲が必要になります。
だって、そもそも最初は「目標」ですよね?
目標っていうのは、「毎日2時間勉強する」というようなものではありません。これは「目標のための手段」ですよね?
目標があるからこそ、手段としての「計画」や「学習方法」の問題になるわけです。したがって、そもそもの意欲・主体性というのは、こうしたものに取り組む意欲だと思います。好奇心といってもいいかもしれません。
その意味では、クラブでも学校行事でも生徒会でもいいのかもしれませんが、「言われてやるのか」「主体的にやるのか」ということでここは大きく変わります。
ポートフォリオの話が出てきていますが、ただ物事に取り組むだけでなく、自分なりに好奇心をもって取組み、新たな目標ができたりするか、というのはとても大事なことです。
友達、あるいは知らない人と意見を交換する力
そして、こういうものに参加しはじめると、他者と意見交換をすることが必要になります。
自分の意見を主張する。
人の意見をきちんと聞く。
そして、その対立を乗り越える。
特に最後が今の生徒は苦手です。
コミュニケーションは、もめないこと、間をとること、摩擦を避けること、だと思っています。
クラスの話し合いでもめれば、「まあまあ」という感じ。意見は言わないで空気を読むんです。
一方で、自分の意見の主張を求められれば、これは真逆になります。
慶應の経済がかつて、原発の再稼働問題のふたつの社説を読ませ「意見の相違と共通点をまとめる」問題を出したうえで、「意見の対立をどう乗り越えますか」と出しますが、その時に生徒は、エセ小論文的に
賛成か反対かをあげる
自分が正しい理由をのべる
相手が間違っている理由をのべる
なんて展開をします。
これって「自分が正しいから相手をやっつける」という「乗り越え方」ですよね?
大きな目的のためには、ささいな違いは目をつぶる
とか
基本的には同意できるラインを見つけて妥協案を提案する
とか
そういうことはできないんです。
主張しないし、人の意見をきちんと聞かないから、いえ、そういう経験をしていないからです。
だから、こういう場を作ることが必要なんですよね。
というわけで、アクティブラーニングの話でした。
このブログの最初の記事です。
そして夢実現のための十則。
みなさん自身がアクティブになれば、少子化、人材不足の時代、必要な人材になるのは、とても簡単。就職活動だって楽勝です。
夏休みの目標、意識してくださいね。