前回のこのシリーズでPechatをおすすめしたと思います。今日はなぜこうしたものが、効果的なのかを分析してみました。
そもそも、問題は「イヤイヤ期」をどう乗り切るかであって、別に原理はいいんだよ、という方もいらっしゃると思いますが、教育に関わっているとどうしても分析をしてみたくなってしまいます。
まあ、分析ができたから、何が変わるかといえば、何も変わらないんですけど、その中でイヤイヤ期について感じたことや、子どもがどうやって育っているかについて、書いてみたいと思います。うちの子はちなみに2歳後半女の子です。
ペチャットの紹介
まずはペチャットの紹介です。詳しくは前回の記事をどうぞ。
要は、Bluetoothのスピーカー型ボタンで、ぬいぐるみなどにつけることでしゃべってくれるという優れもの。当然、スマホのアプリで操作します。もともとの音声がたくさん収録されているので、シチュエーションごとに選ぶだけ。自分で入力した音声、たとえば、登録した子どもの名前も呼びますし、文章もきちんと読んでくれます。こっちの精度は、まさにスマホの音声読み上げ機能、程度ですけどね。
そもそもイヤイヤ期を意識して作られているようで、文章を探す場所には、「イヤイヤ」というグループがあり、その中でシチュエーションごとに文がたくさんまとめられています。
歯磨きをペッチャットで嫌がらなくなって起こったこと
とにかく、うちの子どもにとっては効果てきめんで、歯磨きをまったくいやがらなくなりました。まずはこのあたりから分析。
ペチャットを嫌がるようになった。
まず、びっくりするかもしれませんが、1週間も経たないうちにペチャットを嫌がるようになりました。
正確に書くと、「歯磨きをしそうな場面でペチャットを嫌がる」ということです。
彼女の台詞を思い出すと、(うちはデール君についているので)
「デール君、ベッドの上に来ないで!」(ベッドの上で寝転んで歯磨きをするのがいつものパターン)
「デール君にボタンつけないで!」(ボタンはペチャットのことです。充電をするので、はずすこともあるので)
どうも、彼女自身は、デール君が「うるさいことをいう」人になったようですね。
うちの場合は「ごはんを食べよう」「歯磨きをしよう」がイヤイヤツートップなので、この小言がデール君からくる。だから、デール君を近づけるな!しゃべらせるな!というのが彼女の言い分です。
もちろん、デール君がきらいなわけでもないし、デール君が「絵本読んで!」とか「いっしょにあそぼう!」とかくれば、問題ないわけです。
でも、親は面倒だから、ふだんは自分が遊んでいて、イヤイヤの時だけ、使う…。まあ、わからなくはない。ちゃんと遊びでも使わないと、デールくんが嫌われてしまいます。
そこから考えたこと…彼女は大人になっている!
どうして、こんなことが起こるのか?
「うるさいことを言う人がイヤ」なのは当たり前。だったら、ペチャット=デールくんが言ったところで、言うことを聞かなければいいだけの話、というか、親とデール君の立場は変わらないわけだから、イヤイヤを続ければいいわけです。
ところが、「デールくんがうるさく言うのはイヤだけれど、言われたら言うとおりにがんばる」というのが彼女の立場。
つまり、これは、デール君は親とは違う、ということではないのか?
そういわれてみれば、デール君に対して、彼女は「親」の立場で話していることが多いわけですね。おままごとの世界です。
彼女は、その世界の中で、親であり、面倒をみる立場であるわけです。親かおねえちゃんか…。だから、デール君は子どもであり、弟であるわけです。
だから、彼女はデール君に対して、いいところを見せなければいけないし、格好よくなければいけない。
彼女は、しっかりしようとしていて、そういうちょっとした大人としてふるまおうとしているんだと思います。
だからこそ、デールくんはだまっててほしいんですよね。たぶん。言われたら、上のものとして、見本を見せる必要がある…。
書いていて思ったんですが、ペチャット=デールくん使って、もう少し甘えて、親の役割をままごとさせてあげないとかわいそうだな、と思いました。
ペチャットがなくても歯磨きを嫌がらなくなった。
次に起こったことでいうと、何日かペチャット使っていやがらずに歯磨きしたら、ペチャットを使わなくても嫌がらないようになりました。
これも発見。
つまり、「習慣」なんだなと。歯磨きの習慣の話でもあるんですが、もうひとつは、「嫌がる」ことも習慣だったんだと。
歯磨きシリーズは、
でも書いたんですが、まさに「儀式」だったんです。
歯磨きしよう!→いやだ→やろう→いやだ→じゃあ、もう知らない!勝手にしなさい!→ごめんなさい。ちゃんとする→じゃあやろう→でも、いやだ…
みたいな。特に一回お母さんが「知らない」って怒って、泣く、というラインはマストでした。ここが来ないと次の展開に行かないんですね。
そうなんです。習慣なんだ…。ある意味で子どもは学んでいて、そうなったのがたまたまであったにしても、そういう作業が必要になってしまったんですね。
たぶん、そこで、お母さんにいい子いい子してもらえる。いやがって、あやまって、がんばった分、お母さんから、ほめてもらえる…。それが、言葉を変えていうなら、味をしめてしまったんではないかと。
お母さんの愛を感じる手段。特にうちは0歳の赤ちゃんがいますから、その間、お母さんをひとりじめできるわけだし。
そうか、習慣でこうなっちゃったんだ…と私は思いました。
それがペチャットのおかげで、「いい子ではみがきすれば、普通におかあさんがかわいがってくれる」という習慣に戻せたわけですね。
「イヤイヤ期」とともに起こっている変化
そういうわけで、じゃあ、彼女が今、どういう状況にあるのかということも分析してみます。そういう発達段階とペチャットがうまくいったことも関係があるかもしれませんから。
弟ができてお母さんをとられた。
まず、これは状況の変化としては大きいですね。お姉ちゃんとしてがまんしなければいけない場面が増えてしまいましたが、まだ、とてもがまんがきく年齢ではないみたい。
かといって、弟はまだハイハイもできませんから、一緒に遊ぶとかいうレベルではない。もっというと、おねえちゃん面はできないんですよね。何かしてあげたくても、ほとんど親からだめって言われるし。
もうちょっと、弟がものがわかるようになったら、おねえちゃんとしてふるまえると思うんですが、まだ、そういう感じではないみたい。
友達と遊びたいと主張するようになった。人と遊べるようになった。
これが大きい変化。ひとり遊びをずーっとしていたのが、どうも友達と遊ぶことを覚えつつあります。保育園に通っているのですが、今までも友達のことは、親もわかります。ただ、どうも一緒に遊んでいても別行動というか、一緒に遊んでいるというわけではないと思うんですね。
ところが、です。
最近、保育園の帰り「〇〇くんと公園で遊んで帰りたい」的なことが始まってきたんです。まあ、いまいちコミュニケーションが完全にとれるわけではないですが、おままごと的なごっこ遊びとか、鬼ごっこ的なおいかけっことかが始まったようですね。
こういうのも、ペチャットが有効になってきたひとつの条件かもしれません。
おままごとのレベルがあがった。なりきるようになった。
次に目に見えて思うのが、おままごとのレベルがあがったこと。
これまではおままごとのパターンがあったんです。料理とか、お店屋さんとかね。
あくまでも、うちの娘が「何か」をやってるっていう感じなんですが、最近急に「演技」が入ってきた感じがあるんですね。お姫様になると、急に言葉遣いがかわいらしく、しおらしくなってみたり…。何か、配役ができてきた、というか、「なりきり」度が上がったんですね。このあたりもデールくんに対して、お姉ちゃんでなければならないという感覚と結びついたかもしれません。
お話を作れるようになった。
それから、お話を創作できるようになりました。ここまでは、覚えたもののコピーだったわけですが、完全に適当な話が作れるようになりました。脈絡はありません。でも、絵にあった話を自分で考えて話すようになりました。
こんなことができるようになるのと同時に、代償としてイヤイヤ期が来たわけですね。まさに、自己主張で、自分で考えて、周りの人とコミュニケーションをとろうとする。どうすれば褒められるか、どうすれば自分がかまってもらえるか、そんなことが考えられるようになったんでしょう。
というわけで、今のところ、ペチャットがイヤイヤ期をなんとかしてくれているわけですね。
もしかしたら、ペチャットは女の子の方が効くのかも?
と書いてきたところで、もしかしたら、男の子よりは女の子の方が効果があるのかも、と思いました。周りの子を見ても、女の子のほうが、友達と遊ぶ感覚が強いし、また、おねえさんぶることにあこがれている気がするからです。男の子は男の子なりの効果的な使い方があるような気がしますが、うちで実験するのは、あと2年ぐらい先になるようなので、そのときの分析をお楽しみに。