学びの真似び(まねび) 「学び続ける人」になるために(教育と受験と勉強法)

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2020年入試改革~共通テスト英語外部検定は結局、何を選ぶのが正解になるのか?

センター試験も終わり、来年のセンター試験を最後に、いよいよ共通テスト、そして英語外部検定=四技能入試が本格的にスタートします。今日は現段階の情報で、英語外部検定を分析していきたいと思います。

※この記事は2019年1月センター終了後に執筆したものです。2019年9月に英検の予約が始まったことを受けてその時点における情報で以下の記事を書いています。英検の予約については以下のふたつの記事をどうぞ。

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※英検予約騒動のQ&Aはこちら。

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いよいよセンターも最後の一回です。現高2、2020年度入試受験生にとっては、センター試験の対策をしつつも、翌年の英語外部検定も頭をよぎる、というそんなイメージではないでしょうか。事実、共通IDは発行されますし。

そして、現高1については、そろそろ対策が頭をかすめてきますよね。だって、あと1年経ったら、外部検定を実際に受け始めるわけですから。

まずは、現状の報告をこちらで。

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というわけで、現状の限られた情報の中で、実際にどの外部検定を受けるべきなのか、考えてみたいと思います。

 

共通テストに認定された英語外部検定を分析する前に

共通テストに英語外部検定が入るってどういうこと?~国立と私立で違う!

まず、この英語外部検定ですが、大きくわけるとふたつの方向性があります。

  1. 国立大学で受験が義務化される。つまり、英語外部検定を受検しなければ、国立が受験できない。で、大学入試センターがそのいくつかの資格を管理し、大学に直接情報提供する。
  2. 私立大学では、推薦を含めて、英語外部検定の資格が、現在でも「出願要件」「英語免除」や「見なし満点(得点)」や「加点」などの形でとりいれられている

まず2についてが重要で、すでにこうした入試改革が進んでいることと、私立大学がたとえばセンター利用のような形にするから、センターで認めた検定しか使えないかといえば、そうではない、ということです。

もちろん、大学入試全体で新しい成績提供の形ができあがるわけですから、それに合わせて、使える英語外部検定を、このシステムとイコールにして、この形(3年生になったら、指定された中から宣言をして、二回までの受検)で受検していないければダメと変える大学も出るでしょうが、今まで通り、スコアや合格証明を添付させて、大学入試に活用する大学も当然あると思います。

たとえば、早稲田と慶応は対応はまったく分かれてますよね?共通テストにのっかる早稲田と使わない慶応。考えて見れば当たり前で、早稲田はセンター利用がありますが、慶応ないですからね。

で、早稲田は共通テスト義務化で政経が動くわけですが、そのとき、外部検定もどうもこのシステムにのっかるようです。でもその早稲田でさえ、「センター試験の英語検定の方向で検討中」です。つまり、2年生のスコアを認めたり、二回に限定しなかったり、システムで認められているけどいくつかの検定を除外したり(たとえばGTECをはずしてみたり)なんてことはあるかもしれないよ、ということです。

まして、現在すでに外部検定を入試に取り入れている大学は、変える必要もないかもしれないんですね。上智とかね。

騒いでいるのはこういうこと。

  1. 共通テストに合わせて、大学入試に使えるよう認可した外部検定のスコアを、大学入試センターが管理するシステムを作る。
  2. そのことが有名無実化しないように、同時に国大協が「四技能のスコアを使う」つまり「全大学がそのシステムに乗る」ことを決定する。
  3. 結果として、国立志望者は指定された英語外部検定を、指定された形式、つまり、高3になったら宣言して二回までの受検という形式で受検しなければいけない

ということです。

大事なのは、私立大学はこの中に入っていないですから、合わせてくる大学とともに、今まで通りの独自の方式を入れてくる大学も当然ある、というより、ほとんどそうなるだろうと思われます。

まず、このことを知っていてください。

英語外部検定がどの程度重要になるのか?

続いて、なんですが、英語外部検定がどのくらい重視されるかでです。

  1. 2023年、新学習指導要領までは、共通テストに英語が存在する。
  2. 当然、国立二次や私大では独自の英語を課すことも可能
  3. 東大は、使わなくても受験できると今のところ言っている

これが現状。

したがって、私はほとんど気にしなくていいと思います。本来、この入試は、共通テストから英語がなくなることとイコールの中で起こる話でした。

だからこそ、「英語が四技能になる」んです。

でも、共通テストに英語が残った時点で、スコアが得点化されるにしても、「共通テスト英語」「二次や独自試験の英語」というスコアに足される程度になりますから、ほとんど関係ありません。

当然、多くの大学がこうした状況の中で、「A2」を受験資格とする、という程度の方針になっているわけです。

もちろん、上智のTEAP入試のように、ある一定のスコアをとったら英語は独自試験として課さない、という大学が出てくることも間違いない。そうなってくると、これはとても重要です。

私立・国立含め、こんな感じになります。

  1. システムは導入されるけど、うちは関係ありません。無視します。
  2. 受験資格にするけど、二次や独自試験で英語課すんで、英語はうちの対策してくださいね。
  3. 受験資格にして、英語はなくしますんで、しっかり外部検定で点をとってください。英語でこの点とったら、英語は免除です。あとは他の科目の点です。
  4. 外部検定を得点化しますんで、がんばりましょう。でも、英語含めて他の科目もありますから合計点ですよ。
  5. 基本的に共通テストふくめて二次とか独自試験とかで合否決めますけど、すごくできてたら、加点ちょっとしますね。

というところでしょうか。要するに、自分の受ける大学によるんですけど、実際は併願したり、共通テストの点数で、志願変更したりするわけですから、この1~5のどれにも対応できるようにしないといけないんですね。

まあ、一番重要になるのは、おそらく、3のはずで、それは私立が今もやっている英語外部検定入試なんだと思います。そのスコアをどうやって、このシステムの中でとるかを考えたいわけです。お金も手間もかかりますから。

ここでは、英語教育や大学入試のシステムについての問題は無視します!

きっと、英語教育にうるさい方とか、大学入試のシステムに文句がある方はたくさんいるでしょう。でも、私はここでは無視します。

いってもはじまらないからです。あきらめてるとか、そういうことでなく、やることになったんだから、特に教員としての私の役割は、このシステムを理解して対応すること。

いろいろご意見あると思いますが、「英語四技能」ということは、とても大事なはず。確かにやり方には問題があるかもしれないし、もっといいやり方もあるだろうし、大変なのは間違いないですが、英語が四技能になるのはいいことだし、もうやるって決めてるんだから、私は自分の役割として、分析します。

もちろん、「意見言って!変えるから」っていう機会があるなら、言うし書きますけど、たぶん私にその役割は回ってこないんですよね。

2023年には、もっとシンプルでわかりやすい四技能になるはずです。だから、過渡期として、四技能に対応するけど、とりあえず今まで通りの共通テストの英語、大学独自試験、二次試験が大事っていうのは、悪い意味ではなく妥当だと思ったりもします。

 

高校教科書との単語のカバー率を考える

本題に入ります。

今日検討していくのは、英語外部四技能試験全部、ではありません。

大学入試センターが認定して管理する試験の中で、どれを選んだら有利になるか?ということです。ここには得点のとりやすさ、対策の立てやすさとともに、私大の併願関係なども入ってきます。さきほども書いたように、私大がこれだけを使うという決まりはどこにもないからです。

でも、だからといってセンター試験が認定していないもの、たとえば、従来型英検などを検討しても意味がありません。共通テストでは使えないからです。だとすれば、その認定されたものの中で何が一番いいのかを考える必要があるわけですね。

当然、このふたつを切り離すこともできます。ただその場合、お金と手間がかかります。はたして、それだけの余裕があるかと考えると、なかなか厳しいものがありますよね。

高校教科書と英語検定の単語のカバー率

さて、センター試験で認定された検定は、

  1. ケンブリッジ英検
  2. 新型英検…従来型は面接、スピーキングが別日程ですから認められません。
  3. GTEC
  4. IELTS
  5. TEAP
  6. TOEFL
  7. TOEIC

の7団体。それぞれ、CBT(コンピュータ上で行う試験)なども細分化されていたりしますから、細かくいうともっとありますが、とりあえず、この七種類。

これを受験指導をしている立場から、受けやすさを考えるときの指標は、なんといっても単語のカバー率です。つまり、高校の教科書をしっかりやっていれば、これらの検定の単語がある程度わかるかどうか、ということ。

たとえば、センター試験なら、このカバー率はほぼ100%です。一般的に95%以上ないと、その検定を受けるのに特別な対策が必要となります。このカバー率、それぞれの検定や母体となる、推している団体が、計算してくれています。どうも、計算の仕方やどの回を計算するかとかでずれるので、正確な数値はあえて載せません。団体の意図がありそうで。(気になる人は検索してください)

で、この観点からいえば、四択。

  1. ケンブリッジ英検
  2. 新型英検
  3. GTEC
  4. TEAP

これ以外は考えられません。これが共通テストの英語対策も含めて、もっとも受験勉強を効率的にすすめる外部検定です。

もちろん、帰国子女とか留学してました、留学したいです、とかになるとだいぶ話は変わるかもしれませんが…。

 

それぞれの検定の特徴と事情を考える

それでは、この4つに絞った上で、それぞれの検定のメリットデメリットを考えてみましょう。

新型英検

まず、絶対に選びたくなるのは、新型英検です。中学生からなじみのある英検ですから、対策としても非常にやりやすそう。ちまたにもあふれているだろうし、また、地方でも受験会場を設定することは簡単にできるでしょう。今までのノウハウをもってすれば。「新型」といったところで、面接がスピーキングとして、同日実施されるだけですから、あまり問題がないでしょう。

私立大学の受験要項を見渡してみても、英検をはずすことはほとんどないですから、問題はなさそうです。

しかし、一番の問題があります。それは「級」であるということ。もちろん、級が不合格でもスコアは出ますからそういう問題はないですよ。

何が言いたいかというと、出題文章が、その「級」を認定するために必要な文章になるたろう、ということです。現在も英検は他の検定とちがって、2題の長文があるとしたら、二題ともほぼ同じレベルだということです。

つまり、二級であるなら二級かどうかを判別すればいいわけですから。でも、実際にはスコア、ですよね?そうなったときに、ある級がどの程度、スコアを見てくれるのか?判別可能な領域ができてしまうし、それをはずれた時にどうなるかというのが問題。特に、難関大受験者は最低A2、できればB1を目標にするはずで、ストレートにいえば、上目に見れば、二級と準一級の間。二級で高得点を狙うのか、準一級で不合格で仕方がないところを狙うのか。

その時、受検する級で問題の難易度が違うわけです。

フィギュアスケートみたいなもので、簡単なレベルでパーフェクトを狙うか、難しいのにチャレンジして大失敗しない方を狙うか、みたいな問題が起こります。

これが英検の未知数なところですね。

※以下2019年4月24日追記

以下のサイトで語られている不満、悩みといったものが、英検を選択する一番の問題点です。2級を持っていて、準1級を受けて、不合格でもスコアがもらえればいいんですが、最悪、判定できないスコアになると、判定がもらえないんですね。これが級ですすめる英検の大きな問題点です。その点、ほかの検定は、そもそもがスコアですから、失敗しても何らかの評価をもらえるわけですね。

edumama.hatenablog.com

GTEC

GTECはベネッセが作っています。高校や私立中学にすごく入り込んでいますし、カバー率から考えても非常に優秀。

取り組みやすいことは間違いないです。これも推しですね。

ベネッセは塾や予備校ではありませんから、会場実施ができないんですね。全て、学校に売り込んで、学校で先生が問題配って、監督して…っていうスタイル。だから信用されていません。不正が起こる可能性がありますよね?問題先に見て、出そうなところを授業するとかね。

だから私立大学では、ほとんどGTECのスコアを認めていません。CBTはそういうことがないので認めていても、学校実施は大学は信用するわけがない。

先生は不正をしたらいけないんですが、でも、入試となったらやりかねないでしょ?

もちろん、それは方式として解消されるはずです。おそらく、会場は学校になりますが、問題の搬入や監督には、学校の先生が関われなくなる。そうしなければ入試で使えるわけがありませんから。他の検定と同じように、場所が学校であっても(英検だって学校が会場になりますよね?)、監督や管理は学校が関われなくなるはずです。会場面からいえば、今、GTEC入れてる学校はそのまま会場になるようなイメージですから、すごく受けやすいはず。

でも、問題は、私立大学の入試方式で、GTECがそのことで加わるかどうか。加わってくれれば、GTECは英検以上に使いやすいんですが、加わらないとすると選びにくいですね。早稲田とか明治とかがどういう判断するかに運命がかかっていると思います。

TEAP

TEAPは上智大学と英検協会が作った検定です。したがって英検の四技能版といってもいいでしょう。したがって、問題としてもよくできていると思います。

メリットを書くと、GTECの逆で、受けやすい中でもっとも私立大学の入試で利用できるのがこのTEAPです。

特に上智大学を受験するとなると、認知させるため普及させるためか知りませんが「TEAP入試」ですから、TEAPでないと受検できないんですね。こうなれば、検定間の不公平なんてことは起きなくなります。

首都圏に住んでいて、上智を意識するなら、TEAPしかありません。これが一番労力を減らせます。TEAP受けて、上智も私大も共通テストも全部使えるわけだから。値段もお手頃ですし、私大の利用で考えれば、複数回の結果を総合して使うことも入試で想定されているので、おすすめ。

ただ、問題が…。

特に、首都圏であればいいんですけど、会場があるから。これがすごく不評なのは、地方ではほとんど受けられないんですね。

当然、共通テストのときには、都道府県に一会場は最低できるのは間違いないんですけど、県に一会場できたとして…受けられます?

まして、地方で上智なんて受けないし…となったら?

というわけで、首都圏では有力ですが、地方では???ですね。

ケンブリッジ英検

最後にケンブリッジ英検です。これは河合塾がからんでいるらしく、河合塾はケンブリッジ英検をすごく推していますし、河合塾かよっていたら、たぶん、これで行け!って話になるでしょう。

GTEC、TEAPと同じく、長文は簡単なところから難しいところまであってスコアを判別する形です。教科書単語のカバー率も高くて、これもおすすめポイント。

まだ認知されていないので、地方を中心に会場が少なそうですので、これはTEAP同様大きな問題。おそらく河合塾がバックアップして、全都道府県で受検できるようになるはず、というか、ならなければ共通テストで使えないので、絶対なるんですが、やはり、県にひとつで大丈夫なのかという問題がありそうです。

また、一番生徒が知らない可能性が高く、名前で敬遠されそうな気もします。問題はかなり日本の検定教科書に準拠しているようなので心配はないはずなんですが、そうはいっても、対策どうするの?って若干不安になります。

河合に通っているかどうか、というところがポイントになりそうな気が…

 

実際にどれを選ぶべきなのか?

というわけで、ここまで検討してきて、なかなか決めきれないところです。最後は自分で決めてっていうのは身も蓋もないですね。

これから、まだ情報もアップデートされるでしょうし、今、私がまとめたことも間違いになったりする可能性だってありますから、その都度考える形になるとは思いますが…一応、ストレートに私の考えを書きます。

  1. 上智大学を志望するなら、やはりTEAP以外ありえない。
  2. 私立大学が外部検定型の入試にGTECを入れてくれるなら、やってきた人は費用面からも対策面からしてもGTECは推したい。ただし、私大が今まで通りGTECをはずしてくると使いにくい。
  3. 新型英検は、対策としてはいいが、CEFRでスコアを狙うなら使いにくい。基本的には合格が十分狙える、できるはずの級に出願しないと、簡単すぎたり、難しすぎたりして、スコアに影響しそう。準一級に受かるぐらいの力になればいいが、そうでないと…。二級がようやく合格できるぐらいの英語力なら新型英検はありかも。
  4. そうしたことを考慮して、残るのはケンブリッジ英検。ただ対策面で漠然とした不安が残ってしまう。この漠然とした不安が解消されること、つまり、対策問題集とか会場とか含めて認知されていけば、ありだと思う。逆にそうでないと受けにくい。

こんな感じです。

いずれにしても、もう少し情報がほしいですね。検定の情報も、大学の入試情報もね。

また、新たな情報が出たら書きますね。

※この記事は2019年1月センター終了後に執筆したものです。2019年9月に英検の予約が始まったことを受けてその時点における情報で以下の記事を書いています。英検の予約については以下をどうぞ。

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※英検予約段階でのQ&Aはこちら。

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